「ここにルシファーがいるわ」  
『螺旋の塔』。一部の人間しか知らない、  
ルシファーのエターナルスフィア内の研究室につくと、  
私が、この『銀河系』の救世主となる彼らに言った。  
「ここにルシファーが…」  
救世主の中のまとめ役、フェイト・ラインゴッドがつぶやく。  
「時間がないわ、急ぎましょう」  
彼の補佐役といえる、マリア・トレイターが皆をせかした。  
たしかに、ルシファーによって、  
強力なプログラムが施されたエクスキューショナーは、  
この『銀河系』をほぼ壊滅状態まで追いやっていた。  
「ええ・・・そうですね。急ぎましょう」  
私もその意見に同意した。  
そう、早く止めなければならない。  
なぜならルシファーは――――  
「ブ、ブレアさん!」  
フェイトがなんだか慌てている。なぜかしら…  
「あっ!!」  
私はその理由がわかった。腕が引っ張られているのだ。  
いつのまにか背後に現れた光に。  
「あ…フェイトさん…!!」  
私が彼に手を伸ばす。  
この光を放ったのはおそらくルシファーだ。  
怖い。彼と二人きりになるのが怖い。助けて…。  
だが、私の思いも通用しなかった。  
フェイトも一生懸命手を伸ばしてくれたが、一歩及ばず、私は光に吸い込まれ、  
私の意識もどこかへ消えて言った。  
 
「起きろ、ブレア」  
聞き覚えのある声。いや、覚えていて当たり前の声だ。  
「くくく、ひさしぶりだな、ブレア」  
顔をあげると、やはり彼だった。  
「ル、ルシファー…」  
私がキッと彼を睨むが、彼は全く動じない。  
「おいおい、俺をそんな目で睨むなよ。俺達は兄弟じゃないか」  
「くっ!!」  
そう、私と彼は実の兄弟だ。  
だからこそ止めなければならない。  
それが妹として…いや、もしかしたら、それだけではないのかもしれないが、  
彼に対する私の精一杯の『愛』だと思ったからだ。  
「兄さん…お願い、いい加減目を覚まして!!」  
私は、エターナルスフィア開発者としてではなく、実の妹として彼を説得しようとした。  
「ブレア…やはり貴様は俺を裏切るか…」  
しかし、兄の表情はより険しいものとなった。  
でも、私だってここで引くわけにはいかないのだ。  
「裏切ってなんか…兄さんを裏切ることなんて私にはできないわ!」  
「だったら、なぜ私の邪魔をする!!」  
「私が兄さんを裏切っていないからよ!  
 兄さんの行動は、この世界の生命を弄ぶという、背徳行為にしか過ぎないわ!」  
「生命?背徳?…くだらん!しょせん0と1によって構成された連中ではないか!  
 俺達が作った世界を俺達が壊して何が悪い!」  
私はショックだった。  
私が兄の命を受けて、この世界を作ったのは、自分達の都合で弄くるためではない。  
彼らが、彼らの意思で、行動してくれるように願ったからだ。  
なのに、兄は彼らの個性を『バグ』としか認識していなかった。  
ショックのあまり、私は涙を流してしまった。  
 
「…そうか。やはり不満か。ならば仕方がない。  
 貴様には少々痛い目にあってもらう!」  
兄が指を弾くと、突如光が現れ、そこから女性が出てきたが…  
「そ、そんな!!」  
私は驚愕してしまう。光から出た人物は、まさに私そのものであったからだ。  
「驚いただろう?これはお前のデータを基に、私がプログラムを組んだ、  
 この世界だけに存在できる『もうひとりのお前』だ」  
ルシファーは、その偽造の私の肩を掴み、本物の私をあざ笑う。  
「こいつは、ほとんどお前のデータを組み込んであるのだが、  
 いくつか、組み込めなかったものがある」  
「そ、それはいったい…」  
おそるおそる私が尋ねると、返事の変わりに偽の私が歩み寄ってくる。  
「こ、来ないでちょうだい!!」  
言いしれぬ恐怖感を感じ、私が怒鳴るが、  
「…」  
プログラムの私は、それにも動じず、私の服を掴むと、そのまま引き裂いた。  
「きゃぁぁぁぁ!!!」  
ブラージャがあるとはいえ、自分の胸が露になり、慌てて手で隠した。  
いったい…兄は私をどうするつもりなのか?  
「くくく・・・私が入力し損ねたもの、それはお前の性器や喘ぎ声とか、  
 そういったものさ」  
兄が不敵な笑みを浮かべた。  
「ど、どうしてそんなことを…」  
「決まっているだろう?ここは普段は俺一人しかいない。  
 だから、どうしても性欲が溜まってな。それを処理したいからだ」  
「そ、そんな――――!!」  
私は言葉を失った。兄の意味するもの、それはプログラムとはいえ、  
私を模した存在が兄の愛玩具代わりになるという意味だからだ。  
「どうして、私なんですか!兄さん!!」  
そうだ。なぜ私なのか。社内には私以外にも女性社員も大勢いるはず。  
なのに、なぜ私なのか…。  
 
「俺はお前を妹とは見ていない」  
「え…!?」  
兄の言葉に驚いてしまう。『妹』とは見ていない…まさか!!  
「その様子ではわかったみたいだな。  
 そうだ。俺は一人の『女』としてお前を見ていた。  
 我が妹ながら素晴らしい容姿を持ち、そして私と同じくらいの頭脳の持ち主…。  
 これ以上の女がどこにいるというのだ…。なぜ、俺達は兄弟なのだ!!」  
兄…いやルシファーは、頭を抑え、唇をかみ締めていた。  
そう、辛いのだ。決して結ばれてはいけない運命…。私にもそれが分かる。  
なぜなら――――  
「…だが、ここは現実ではない!今お前を抱いても、とがめるものもいなければ、  
 お前が孕むこともない!!」  
ルシファーがそう自分の言い聞かせるように叫びながら、私に近づいてきた。  
だが、私は動けなかった。いや、動かない、と言ったほうが正しいのかもしれない。  
そして、彼が私の目の前までやってきた。  
「邪魔だ…」  
「あ・・・」  
手をどかされ、ブラをずらされ、隠したかった自分の胸を彼に見られてしまった。  
「ふん…やはりお前の胸は綺麗だな…」  
ルシファーはそう言うと、偽の私に、私の手を押さえるよう命ずると、  
私の胸を揉み始めた。  
 
「あん…」  
「どうした?お前も感じているのか?」  
「そ、そんなこと…」  
駄目だ…どうしても『そんなことない!』と最後まで言えない…。  
やはり私はこうされることを心のどこかで望んでいるのか?  
「…そんなことあるようだな。まったく淫乱な妹…いや妹はここではやめよう。  
 淫乱な女だ…」  
ルシファーの手の動きが少し強くなり、私の胸から全身に刺激が伝わる。  
「ああ…に、兄さん…」  
なんて切なそうな声をあげているのかしら、私…  
きっとこんな様子では目も潤んでいるに違いない…「  
「『兄さん』はよせ。ルシファーと今は呼べ」  
ルシファーが乳首をつねった。  
大きな刺激が私の身体を駆け巡る。  
「あああ!!」  
声も抑えられない…私は彼にされていて感じているのだ…。  
「どうだ、気持ちいいか?」  
「あぁ…ルシファー…気持ち…いい…」  
私はそのまま、目をつむり、唇を突き出してしまった。  
一体、私はどうしたというのだろう?  
「ふん…まんざらでもないようだな」  
私の要求がわかったのか、彼が私の口に、自分の口を重ねた。  
そして、彼が私の口の中に舌を割り込ませると、私もそれに応じた。  
「ん…あむ…ちゅ…」  
ああ…どうして実の兄なのに、こんなにキスが気持ちいいのだろう…。  
ああ…なんでこんな気持ちのいいキスができる相手が兄なのだろう…。 
 
「そろそろこちらも頃合だな…」  
ルシファーは私から口を離すと、すでにただの布キレに近い私の服を、  
完全の取り去り、下着も破りすててしまった。  
「あぁ…だめ…」  
一応、拒否する声を出したが、もはやそれに力は入っていなかった。  
「濡れているな…」  
そう、私はアソコを濡らしていたのだ。  
彼の行為が気持ちよかったがために…。  
「ルシファー…お願い…もうこれ以上は…」  
一応、彼に説得を試みるが、もちろん彼がやめるはずがないのは知っていた。  
ただ、ここでこう言っておかないと、  
私のほうも、ある感情に支配されてしまいそうだからだ。  
「駄目だ…俺はお前が欲しいんだ」  
やはり彼は私の言葉を受け入れず、指を私のアソコへ入れてきた。  
「はぁう!!」  
気持ちいい…。ルシファーの細い指が私の膣内に入ってきている…。  
知らず知らずに、私は彼の指を締め付ける。  
「なんだ…お前も積極的だな。締め付けてくるぞ」  
「あぅ…あぁ…」  
そうよ…ルシファー、私だって積極的になるわ。  
だって、だって――――  
「ふん…1本じゃ不満だろ? もう1本…いや、2本入れてやろう」  
ずぶりという感触とともに、彼の指が追加される。  
「あぁ…!!だ、だめぇぇぇ!!」  
ああ…悲鳴まで甘い声に変わっている…。  
まずい…このままでは本当に、『あの感情』に支配されてしまう…  
「ふん。お前がそこまで乗り気ならば、こういうことも大丈夫だろう」  
ルシファーはそう言うと、おもむろに服を脱ぎ始めた。  
 
「あ…」  
なんて嬉しそうな声を出しているのかしら…。  
やだ…アソコがまた疼いてきた…。  
彼のそそりたった男根を見るだけで、こんなに興奮してしまうなんて…。  
「私のは立派かな? ブレア」  
「ええ…素敵過ぎるわ、ルシファー」  
「ならば、これを口に咥えろ。どういう意味か、わかってるな?」  
私は頷き、彼の前でひざまづくと、彼のペニスを手に取る。  
熱い…  
彼が私の淫らな姿を見て、興奮しているのがよくわかる…。  
「はむ…ん…んぱ…んちゅ…」  
私は音をたてて彼のペニスをしゃぶった。  
大きくて硬くて立派なペニス。  
あぁ…子供のときとは比べ物にならないほど立派なルシファーのペニス。  
聞かせてあげる。私が、喜んであなたのペニスをしゃぶっていることを…。  
「く…ブレア…うまいな…」  
嬉しい…ルシファーに褒めてもらえるなんて。  
いいわ、どんどん気持ちよくしてあげるから…  
「ん…んあ…んん…」  
彼の大きいペニスの全てを、舌で刺激してあげる。  
裏側の筋とかを舐めると、彼のペニスがピクンと反応してくれた。  
「う…ブレア!!」  
ルシファーが私の頭を掴み、そのまま腰を動かした。  
出すのね。私の口の中に…。  
「ん!んんっ!!」  
「出すぞ!!全部飲め!!」  
ビクンビクン…。  
彼のペニスが私の口の中で痙攣すると、たちまち私の口の中に苦い味が広がった。  
でも、彼の出したものだから、私はそれをおいしく頂くとする。  
ごくん…  
喉を鳴らして飲み干す。この音を聞けば、きっと彼も喜んでくれるからだ。  
 
「ほお…お前は私の出した種をうまそうに飲むんだな。  
 出した私も嬉しいよ」  
彼が私の頭を撫でてくれた。  
こんなこと、子供のとき以来だ…。  
「ほお…お前は私の出した種をうまそうに飲むんだな。  
 出した私も嬉しいよ」  
彼が私の頭を撫でてくれた。  
こんなこと、子供のとき以来だ…。  
「では、私が再び勃起するまで、お前のからだを味あわせてもらうが…  
 いいな?」  
当たり前じゃない…私が拒否するわけないじゃない…  
「どうぞ…」  
私は、床に仰向けで寝ると、足を広げて、彼に自分のアソコを見せる。  
よく見て…これが私なのよ…。  
「ほう、綺麗な色だ…まるで処女のようだ」  
彼はそう言うと、私のアソコへ顔をうずめた。  
彼の興奮した吐息が私のアソコを刺激して、変な気分になる。  
「うまそうだな、お前のマ○コは…」  
「ふぁああ!!」  
彼の舌が私の膣内に入ってくる。  
暖かい舌が私の膣内を、味わうためにかきまわしてくる。  
「あああ!!ルシファー…いやぁあ!!」  
気持ちいい…気持ちよすぎて悲鳴がでちゃう…。  
「…ん…ブレア…お前の汁は…まるで砂糖水のようだ…美味いぞ。  
 もっと私にお前のジュースを飲ませてくれ」  
 
きゅっ!  
「あはぁぁぁん!!」  
彼が私の敏感なクリトリスを摘んだ。  
アソコからどんどん愛液が流れていった。  
全身に強すぎる快楽が伝わり、私は思わず泡を吹いてしまうところだった。  
「はははは…ごく…この栓を摘むと、お前はジュースを出すみたいだな!」  
きゅう!!  
「はぁああああ!!!」  
さっきよりも強くクリトリスが摘まれる。  
まるで電気ショックをかけられた様にからだが痺れる。  
「あが…!!」  
そして、私のからだが痙攣してしまった。  
私はイッたのだ。彼の愛撫を受けて…。  
「イッたか…。では、私のペニスも復活してきたところだ。  
 お前をこれから犯すぞ、いいな?」  
彼のいうとおり、彼のぺニスはまた大きくなっていた。  
 
ああ…ついにこの瞬間が来てしまった…いや来たのね…。  
ずぶ…  
彼の膨らんだ先端が私の膣内に入り込んできた。  
大きい…口で味わったときよりも大きく感じる…。  
「…なんだ?うまく腰が入らんぞ?」  
彼が自分のペニスが私の中になかなか入らなくて戸惑っている。  
それも当然よ。なぜなら私は――――  
「くそ!…ふんっっっ!!」  
ブチブチィ…!!  
「あ!あひぃいいい!!」  
彼が思いっきり力をいれ、私の何が弾けた。  
「!!ブ、ブレア…!!お前…!!」  
出ないと思っていた、血液が結合部から流れるのを見て、彼が驚いている。  
そう、私は20も終わろうとしているのに、いまだに処女を保ってきていた。  
なぜなら、なぜなら…私も彼と同じで―――!!  
 
「驚きましたか?ルシファー…」  
私の目からは涙が流れている。ただ、これは決して処女を喪失したための、  
痛みによるものだけではない。  
「何故だ!!何故、お前がまだ処女なんだ!!  
 お前は学生のころから、男性との交際がかなりあったはずだ!!」  
そう、私はこれでも学生のころは自分で言うのもなんだが、  
結構男性にもてた。付き合った男子も結構いたが、抱かれた男性は一人もいなかった。  
「くそ!!だが、私もお前を抱きたいという気持ちは変わらん!動くぞ!!」  
ルシファーは、複雑な表情をしながらも、腰を動かし始めた。  
「うぐ…ああぅ…」  
痛い…処女喪失がここまで痛いだなんて…。  
でも、彼にセックスをやめて欲しくはない…。  
「あぅ…あ、あぁああ!!」  
突然、私のからだに変化が起きた。  
痛みが消えたのだ。逆に、彼に突かれて気持ちいい…。  
「初めてなのに、感じるようになったか…。何故だ…何故なんだ!!  
 私に抱かれるのが嫌ならば、処女を失って感じるはずなどない!!」  
彼はわけがわからないという表情で腰を激しく動かす。  
彼の腰の動きと、ずちゅずちゅと結合部から出る淫らな音が私を昂ぶらせる。  
「あぁ…!!ルシファー…だめ!!イッちゃうぅうう!!」  
「く!!中に出すが、構わないな!!」  
「ええ!!私は構わないわ!!出して!!あなたの精子を私にぃ!!」  
「ブレア…ぐぅ!!」  
彼が顔を歪めると、ペニスを根元まで差込み、ふたたび精を放った。  
私の子宮を目指して、彼の遺伝子をもった精子が私を昇ってくるのが分かる。  
「あぁあああ!!ルシファー…愛してるぅうう!!!」  
私も絶頂を向かえ、そしてついに叫んでしまった。  
 
私も彼を一人の男性として、愛していたことを…。  
 
「な…なんだと…?」  
つながったまま、ルシファーは目を丸くさせ、肩を震わせていた。  
「お、お前も私を愛しているというのか!!」  
もう隠す必要などない。私は、また出てきたアソコの痛みをこらえ、  
彼に優しく微笑み、頷いた。  
「私だって、あなたと同じでした…。でも、私達は結ばれぬ運命…。  
 私はそれを表に出さないよう、今日まで過ごしてました」  
優しい兄…かっこいい兄…頭のよい兄…。  
兄の全てが好きだった。  
そのため、私も、いつごろからか、彼を兄として見れなくなってしまっていたのだ。  
「ブレア…」  
「でも…でも…今日、こんなことになって、私も我慢できなくなりました…  
 好きです…私は誰よりもあなたが好きです…ルシファー」  
涙が私の目から零れて来る。  
私はそれを堪えることができない。  
彼も言ったが、なぜ、私たちは兄弟として、この世に生まれてきたのだろうか…  
「ブレア!!」  
そんな私を見て、いとおしく思ったのか、彼がキスをしてきた。  
このまま時が止まればいいのに…。  
「オーナー」  
突然、私の声が聞こえた。  
「なんだ…」  
彼は私から口を離し、それを言った、偽の私に尋ねる。  
「侵入者が螺旋の塔の1階を突破しそうです」  
「なんだと!?」  
彼が私の中から、萎えた性器を抜き、裸のままモニターを見る。  
「フェイトさん…みんな…」  
すっかり忘れていたが、この世界の住民である、彼らが彼ら自身の運命を賭けて、  
この塔を攻略していて、そしてついに1階を突破するところまで来ていた。  
「…」  
ルシファーが考え込んでいる。一体、これからどうなるのだろう?  
彼とは離れたくないが、フェイト達も見捨てては置けないし…。  
 
「ブレア…」  
「はい…」  
決断が出たようだ。私は黙って彼の話を聞くことにした。  
「…これを着ろ」  
彼が私に服を投げてきた。  
私がそれを受け取ると、それは破られてしまった服と同じものであった。  
「それは偽者のお前のために作ってあった服だ。  
 現実のほうはお前はまだ裸だが、だからといって、こちらの世界まで  
 裸でいては、彼らに申し訳がないだろう?」  
「ルシファー…」  
つまり、私に彼らの元へ帰れということなのか?  
「おい」  
「はい、オーナー」  
偽の私が彼に呼ばれる。  
「いいか、お前は…」  
彼が彼女に耳打ちをする。一体何を話したと言うのだろう。  
「ブレア…お前はこいつに囚われたことにする。  
 今、私としたこと、それはいますぐに忘れろ」  
「つまり、あなたは彼らとやはり…」  
黙ってルシファーが頷く。  
「すまない。だが、これも私が自分の正義でやったことなのだ…。  
 そこは理解してくれ…」  
彼が顔を手で隠した。隙間から、彼が涙を流していたのが見えた。  
「ルシファー…」  
「…その呼び方はもうお終いだ。これからはただの兄として、自分の名を呼んで欲しい。  
 頼む…それが、お前に対する最後の愛だ…」  
「ルシファー…兄さん」  
彼がそう呼べというのならば、私はそう呼ぶ。私が彼を愛しているから。  
でも、涙は止まらない…。やはり、兄さんは…  
 
「泣くな、ブレア。私は気が狂ってきていたのだ…。  
 予想外のエターナルスフィアの中の人間に進化に、  
 そして、それを弄くることができないことに、焦りを覚えて、私は自分を見失っていた…。  
 今、こうしてお前と落ち着いて話せるのも、お前が私を愛してくれたからだ・・・」  
「兄さん…」  
「さぁ…私が作ったその人形と戻れ。あとは彼らがその人形を壊し、  
 お前を解放してくれるだろう」   
兄さんが創造物の私に頷き、彼女が私の肩を掴んだ。  
私のからだが光に包まれる。  
「さらばだ…もし、お前たちが私の前に来たときまでに私が正気を保っていれば、  
 いいのだがな…」  
「兄さん…私は、たとえあなたが狂っていたとしても、命がけで説得しますから!!」  
「嬉しいぞ…やはり、お前を愛したことは間違っていなかったな…」  
「兄さん!!」  
ヒュン!!  
光が強くなり、目の前から彼の姿が消えた。  
 
「ブレア…すまない…もう私は駄目なんだ…。  
 私の中に取り付いた悪魔が、すべてを壊せと私に命じるんだ…。  
 すまない…もう、お前に笑顔を向けてやることもできない…。  
 だが、これだけは信じてくれ…俺は、なにがあろうとも、お前を愛している…」  
 
「何故だ…!!創造主たるこの私が!!  
 何故、自らが作り出したデーターなどに負けるというのだぁぁぁ!!!」  
その瞬間、兄のからだは消滅した。  
エターナルスフィアにつながるデータの全消去を試みようとして、  
絶大の力を得た兄だが、フェイト達の前に破り去り、  
そして、この世界に意識体でいた彼は、この世界だけでなく、現実からも、  
消えていった。  
かくいう私も、彼の暴走を止めようとして、彼に消されてしまっていて、  
意識だけが、この世界に残っていた。  
『ルシファー…』  
目の前に同じように意識だけになった彼が見える。  
私は彼に声をかけた。  
『ブレアか…すまない、私のせいでお前まで…!!』  
私は彼に微笑みながら、首を横に振った。  
『いいえ…これでいいのです。あなたともう離れなくて済みますから…』  
『ブレア…』  
『ルシファー…私たち、一つになりましょう…  
 もう、私たちを止めることは誰もできないのですから…』  
『ああ、愛しているよ、ブレア…』  
『ルシファー…』  
私たちは抱き合ったまま、光の中に消えていった。  
これでよかったのだ。  
これでようやく、私たちは結ばれることができたのだから…。 

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