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 今日のお昼はお財布を教室に忘れてしまって、梓君にご飯を分けてもらった。  
 梓君が持っていた宇宙食は滅多に食べる機会無いし、味が気になったし。  
 でも、さすがに一つの容器から二人でストローで吸うなんて、予想外だったなぁ。  
 ……そういえば、他にも不思議なことがあったなぁ。  
 
「それじゃあ、もう少し分けてもらうね」  
 そう言ってストローに口を付けた時にサイドから髪の毛が落ちてきた。  
 ぱさり、と音を立てたそれは微かに梓くんに当る。  
「あ、ごめんね」  
「いいえ、大丈夫ですよ」  
 ああ、こうなるのなら結んでおけばよかったなあって重いながら、私は落ちてきた髪を耳にかける。  
 そして、ストローがずれないようにそっと指で押さえる。  
「……んっ」  
 何となくだけど、梓君と目を合わせるのが恥ずかしくて思わず目を瞑りながら吸ってしまう。  
 視覚が遮断された分、細いストローを介して宇宙食が喉を通る感覚がダイレクトに伝わってくる。  
 今分けてもらっている宇宙食の中身は野菜スープのようなものらしく、とてもあっさりした味わいだ。  
「ん、おいし……」  
 梓君の言う味は良いという言葉を理解して、思わず感嘆が漏れた。  
 
「……あ、あの夜久先輩?」  
「ふぁい?」  
 視線だけ上げて私を呼ぶ梓くんを見る。何だか真っ赤な顔をしている。  
「やややや夜久ぁ! す、ストローから口を離せ!」  
 突然横から宮地くんの注意が飛んでくる。その声にびっくりして、思わずストローを離してしまう。  
「ふぁ! ご、ごめんなさい! お行儀悪かった、よね?」  
「……そういうことにしておく」  
 こちらを見ずに、宮地くんは視線を反らしてそう呟いた。  
「あ、夜久さん。ほっぺに宇宙食が飛んでるよ」  
「えっ?」  
 そういえば。さっき離した時慌ててたせいで中身が頬っぺたに付いたのかな?  
「取ってあげるからじっとしてて」  
「大丈夫ですよ。自分で出来ますから」  
 指で探ると、頬骨より少し下の辺りに付いていた。それを指で掬って、そのまま口に運ぶ。  
 流石にそのまま指をしゃぶる訳にもいかなないし、舌でちろりと舐める。  
「っ!」  
 そのまま、何故か部長まで顔を真っ赤にしてしまう。そして、蚊の鳴くような声で一言、呟いた。  
 
「その、指は……せめてテッシュか何かで拭こう、ね?」  
 
 何故か思いつめたような、それでいて必死さを帯びた声音に、私は首を傾げながら頷くしかなかった。  
 
 
 今日のご飯はすごく楽しかったな! でも、どうしてみんな顔が赤かったんだろ?  
 ……今度錫也とかに聞いてみればわかるかな? うん。そうしようっと。  
 
 

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