結婚して半年、新婚生活を順調に送っていたはずの高屋敷つぶらは悩んでいた。
どれほど悩んでいたかというと、あの紅咲小町に相談するほどだった。
「それで、相談っていうのは何なんだい?わざわざあたしに相談しに来るなんてよっぽどの事じゃないのかい?」
今年ピー才で絶賛独身中の紅咲は、
つぶらに呼び出された喫茶店で紅茶を飲みながらつぶらに聞く。
「その、こういうことは、先生にしか、相談できなくて…」
下を向いたままのつぶらは暗い声で言う
「新婚ほやほやだって言うのにそんな暗い顔して…ほら、言ってごらん」
やさしく紅咲が先を促す。
「あの、タカヤシキがね、最近、その……」
「?何だって?」
「だから、あの……」
肝心のところで小声になってしまうので紅咲は身を乗り出して耳を傾ける。
「…Hしてくれないの」
「……あ、そう」
真剣な顔をしているから心配していた紅咲だが、
大したことのない悩みに力が抜ける。
「な!本気なんだから!いつもはいくら疲れていてもタカヤシキの方から求めてくるのに、
最近はぜんぜんしようとしないんだよ!こんなこと、
始めてだから私、どうしていいかわからなくて……」
そんなことか、と脱力した紅咲の様子を感じ取ったつぶらがテンションを上げてまくし立てる。
エキサイトしすぎて声が大きい。
「わかった!わかったから落ち着け。……それで、どれくらいしてないんだ?」
つぶらの声の大きさに周りを気にしつつ、つぶらを落ち着かせる。
「結婚してからはタカヤシキ、ほとんど毎日求めてきたの。
二日連続でしなかった日は無かったのに、それが今日で一週間も何にもなくって…」
うつむいて手元のコーヒーを見つめる。
「それは倦怠期ってやつだよ。結婚してから毎日やりまくってりゃ高屋敷も飽きるってもんだよ。」
「!」
ハッとつぶらが顔を上げる。
「そんな、じゃあ先生どうすればいいんですか。このままじゃ、うっ、ううっ…」
飽きられたという言葉にショックを受けたつぶらが涙ぐむ。
「ああもう、泣くんじゃないよ。この紅咲センセに任せときな。とっておきのを教えてやるよ」
「あんた、裸エプロンてのをやったことはあるかい?」
………………
……………
…………
………
……
…
高屋敷家の長い一日が今始まる。