何故こんな所に居るのだろう。
見えそうなくらい冷たく、重い空気がたちこめる部屋。
潰されそうな思いを振り払いたくて、細く長く、ゆっくりと息を肺から送り出す。気付かれぬよう、少しずつ。
「来い、アニー」
あの人が私を呼ぶ。私の目を真っ直ぐに見て。
いつも迷惑そうな顔ばかりするくせに。決して視線を合わせなんか、しないくせに。
たったそれだけのこと、ただ視線を合わせるだけのことで私が、どんな風になるかなんて知っているくせに。
「来い」
それで手を差し延べられたら。