―スタインバーグ邸  
ネリンが現在この家に居るのは前回の訪問時、忘れてしまった書類を始末するためだ  
ちなみに期限は明日なのと、ここ数日はトリスタン市でも稀に見る平穏な日々が続き、  
仕事の量も大して多くなかった為、本日の書類は大隊片してあるため、ネリンは直帰の許可を貰っている。  
「……」  
ぶすっとした表情で黙々とペンを走らせるネリン。  
レイオットは恐る恐る上目遣いでネリンを見やりながら書類にサインしている。  
唐突に口を開くレイオット  
「あ〜、シモンズ監督官?」  
書類から顔を上げ、レイオットの方を見るネリン。  
「なんでしょうか、スタインバーグさん」  
昨日の怒りがまだ残ってる為か言葉の端々に刺がある  
「(う…やっぱりまだ怒ってるな…)昨日の事はその…すまなかった。」  
こういうときのネリンに対しては平謝りするしかない事をレイオットは経験上理解していた  
 
「…」  
無言のネリン  
とても気まずくなる空気  
「お茶が入りました」  
唐突にカペルテータの無機質な声が響く  
レイオットにはそれが救いの声に聞こえた  
今まで姿が確認できなかったのは紅茶を淹れていた為である  
運ばれてくる紅茶と茶菓子類。  
「ありがとね、カペルちゃん」  
レイオットに対する態度とは打って変わって、朗らかな笑顔をカペルに向けつつ紅茶の入ったカップを手に取る  
「どういたしまして」  
そうそっけなく返すが、少し頬が赤くなっている。  
やはり今だに礼を言われたり、純粋に好意を表されるのが苦手らしい。  
「ところでカペルちゃん」  
「なんでしょう」  
「来た時から気になってたんだけど…」  
テラスの方を見るネリン。  
レイオットとカペルテータも同じ方向を見やる。  
「あのテラスに飾ってある笹は一体何なのかなぁって…」  
視線の先には赤、黄、緑などのカラフルな短冊や飾りがかかっている笹があった。  
「ああ、あれは…「ローランドさんが持ってきたんです。なんでも今日は七夕という東洋の国の行事がある日なのだそうです」…おい」  
レイオットの台詞を遮って一息で喋るカペルテータ。  
「はあ…そうなの」  
その言葉にジャックに対する呆れていいやら感心していいやらよくわからない気分になる  
「笹に掛けてある短冊には願い事を書くんだそうです。書きますか?」  
「え?」  
 
そう言いつつ既に短冊(青)を用意しているカペルテータ。  
ネリンが逡巡している間、じっとこちらを見ている  
「(う…)…そうね、お言葉に甘えることにするわ」  
なにやら自分がどんどんカペルテータに対して弱くなっているなぁ、と自覚しつつ短冊に願い事を書くネリン。  
「では、笹にかけておきますね」  
書き終わり、手渡された短冊を笹に掛けに行くカペルテータ  
それを微笑ましく見ていると横から少しふてくされたような声がかかる  
「シモンズ監督官。書類、書き終わったぞ」  
「へ?」  
見ると持ってきた書類でレイオットのサインが必要な物には全て彼のサインが書かれている  
「あ、お疲れ様でした」  
「ところでシモンズ監督官、これから夕飯にするが…食っていくか?」  
「ではご相伴に預かることにしましょう。…お酒はありますか?」  
振舞われた酒がフィリシスからの貰い物で、  
酔い潰れたネリンがスタインバーグ邸に泊まることになり一悶着あるのはまた次回の講釈で  
 
トリスタン市内某所  
???「計画どーり(にやり)」  
 
なんか中途半端に終わり  
 
 
おまけ  
短冊に書いた願い事編  
ネリン「ケースSAが減りますように」  
ジャック「レイがオレに専用モールド造らせてくれますように」  
フィリシス「もっと面白くなりますように」  
レイオット「シモンズ監督官の小言が減りますように」  
カペル「家内安全」  
プリン男爵「プリン風呂に入りたい」  
アル坊「ママ(*´д`)ハァハァ」  
オレ「榊先生のような文章力をオレにくれー!」  
 

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