キズナノカタチ  
 
今日も今日とてレイオット=スタインバーグ更生計画のためにスタインバーグ邸に来ているネリン  
いつも通り、ネリンが愚痴をこぼし始める時間になってとんでもない爆弾が投下される  
「シモンズ監督官、私の母になってくれませんか?」  
スタインバーグ邸の居間の空気が凍りつく  
「へ!?」  
ネリンが素っ頓狂な声を上げる  
「カペル…そんな台詞どこで覚えてきた…」  
「ムーグさんです。先日…」  
 
「ねぇ、カペちゃんはネリンのこと好き?」  
「よく…わかりません。ですが一緒にいると安心します」  
「安心?」  
「はい。上手くは言えませんが…」  
「それじゃネリンに『私の母親になってください』って言ってみたら?」  
「何故ですか?それに私にも亡くなったとはいえ母親はいます」  
「そうねー。カペちゃんは大人びているとはいえまだ子供だからね。  
 まだ親の保護が必要な時期なのよ。父親代わりはダメ人間とは言えレイがいるからあとは母親の代わりができる人間が必要だと思ったわけよ」  
「はぁ」  
「で、ネリンならレイ相手でも一歩も引かないしカペちゃんのこと気にかけてるし、  
 あの・・・ナレアちゃんだっけ?妹さんの面倒とかも見てたわけだから適任じゃないかなって」  
「…」  
「まぁ、イヤなら別に言わなくてもいいけどね。でもネリンは多分よろこぶよー」  
 
「と、言うようなことがありまして」  
一部始終を語り終えるカペル。ネリンの肩がわなわなと震えている  
「あんの性悪魔法士〜…今度会ったら文句の一つもぶつけてやる!」  
「仕返しするとかじゃないのか」  
「私がムーグさんに勝てるわけ無いじゃないですか」  
「いや、そんなふんぞり返って言われても困るんだが」  
ネリンの服のすそを引っ張り、上目遣いに見上げるカペル  
「イヤなのですか?」  
普段は感情を映さない瞳に微かな不安の色が現れる  
「う…」  
レイオットに助けを求める視線を送るが本人は素知らぬ顔で雑誌を読んでいる  
(薄情者〜)  
「変な事を言ってすみませんでした。今言ったことは忘れていただけると幸いです」  
心なしかしょげている感じが見受けられる。それでも表情は全く変わらないのだが  
「いいえ、嫌なわけじゃないのよ。カペルちゃんがそこまで想ってくれるのは嬉しいし。  
 ただ…」  
言いよどむネリン  
「ただ?」  
 
「スタインバーグさんが父代わりで私が母代わりとすると私とスタインバーグさんが夫婦みたいじゃない  
 それはちょっとイヤかな〜って」  
ずるっ  
何かが滑り落ちる音がした  
気にはなるがとりあえず無視することにしてカペルに目線を合わせるため、しゃがみこむネリン  
「それにね、カペルちゃん。『母親』とか『父親』じゃなくても  
 私たちはカペルちゃんを『家族』として、もしくは『友達』として想ってる。  
 それが理由かな。理解る?」  
「・・・はい。なんとなくですが」  
その言葉を聞いて微笑むネリン。はにかむカペル。  
いつの間にか厨房に行っていたレイオットから言葉がかかる  
「シモンズ監督官、話は纏まったのか?纏まったのならこれから夕食にするが」  
「へ?もうそんな時間でしたか?」  
立ち上がり時間を確認する。  
たしかにもう六時を半グロックほど過ぎている  
そして何故かカペルはレイオットを恨みがましく見ている  
「まあ、今日も来るだろうと思って食材は昨日余分に買っておいたからな」  
「はぁ、じゃあ遠慮なく」  
「あんたが遠慮したのは最初の訪問の時以外記憶にない気がするんだが」  
とりとめない会話をしながら厨房に入っていく二人を見ながらカペルはこの日常が永遠に続けばいいのにと心の中で思い、二人のあとを追いかけた  
 
終わり  
 

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