[夢の戯れ]レイ×ネリ
形の整った長い指先が、汗に濡れ光る肌の上を滑る。自分を熟知した動き。身体が震え、やがて指は一番敏感な部分にたどり着いた。
見えなくても感じる事の出来る指。優しく柔らかく、時には繊細にあるいは大胆に、身体を溶かしていった。
唇から零れる声は自分の物とは思えないほど甘く、目の前の青年をしきりと誘う。
「お願い欲しいの……」
唇が勝手に言葉を紡ぎだしていく。
その呟きに青年が意味ありげにふと笑う。耳元で何かを呟いた青年の声は自分には届かない。けれど何を言ったのかは解る。頷いて唇を重ね舌を絡めた。
やっと、待ち続けた物が自分の中に入ってくる。その瞬間の痺れるような喜び。力強くしなやかにうねる青年の引き締まった肉体は、綺麗でエロティックで刺激的で。
「ああっ……凄い……気持ち……いいっ……」
深く打ち込まれる度に昂ぶっていく身体。下腹部から湧き上がってくる鈍い疼き。
「ぁああっ……スタインバーグさんっ……もう駄目、私、私、いっ――」
「〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
声にならない声が上がるのと同時に身体がのけぞった。全身がこわばり、震える。
数瞬の後、ベッドの上でぼんやりと目を開けた。心臓が高鳴り、身体を襲う甘い痺れと目眩。
真っ先に自分の姿を確認した。
パジャマを着た身体が視界に入る。周りに視線を走らせなくてもそこは自分の部屋だと解る。
それでも、確認せずにはいられない。
一人だ。他には誰も居ない。むしろいたら問題だ。
「……何だって言うのよ」
ネリンは、ベッドに横になったまま寝乱れた髪の毛を掻き上げて呟いた。
カーテンの隙間から洩れる日の光。普段なら重役出勤の時間だった。
先程見た夢を思い出す。しらふでは言えないような言葉を使ってレイオットを求め、肉欲に溺れる自分。
とてもじゃないが別人のような乱れっぷりだった。
「違うもん、あんなの」
それもこれも、みんなあの男のせいだ。真面目で通っているこの私が、散々やられまくった揚げ句に色々言わされて、恥ずかしい声を上げて。
「スタインバーグさんのせいよ……。あれは、あの人が悪いんだから」
ベッドから起きようとして、思わずうめき声がでる。下腹部からぞくぞくと這い上がる甘美な痺れ。余韻が身体の中をさまよって渦巻いている。
今度は慎重に身体を起こした。
「夢の中でもイカされるなんて」
情け無いやら、恥ずかしいやら、悔しいやら、いろんな感情がごちゃごちゃと入り混じって、腹が立った朝だった。
END
[密室は情熱の部屋]次の日。夢で悶えるネリン。ベタネタ万歳。