♯[謎]  
レイオットは、黙々とデザートを口へ運ぶネリンを見詰めた。  
とても幸せそうだ。本当に美味しそうに食べてくれるのは、作った本人にとっては純粋にうれしい。  
しかし……。  
(よく食べるなぁ)  
 
夕食を済ませて書類に戻り、2時間ほどして、彼女は言ったものだ。  
 
「なんか、小腹が空きません? スタインバーグさん」  
 
「は?」  
 
とりあえず、ありあわせの果物でサラダを作ってヨーグルトと一緒に出してやると、彼女は大層喜んでくれた。  
時間が時間だからと、大雑把ではあるがカロリー計算もしてある。  
それにしたって、あまり時間を置かずに色々食べたるのは良くないように思えた。  
「遅い時間に、そうばくばく食べると太るぞ」  
「大丈夫ですよ私の仕事はハードなんだから、ちょっとやそっと食べ過ぎたって、すぐエネルギーに返還されますから」  
「その備蓄は、ちっこい身体のどこにあるのか謎だな」  
レイオットは苦笑した。  
彼女は小柄だ。女にとってデザートは別腹なのだろうが、こうして良く食べるのを見ると心配になってくる。  
「まあ、縦にも横にも大きくはなって無いようだが……」  
何となく、ネリンの胸元に視線が向かった。制服を着ているのであまり感じないが、ジャケットを脱いでブラウスになると、妙に目につくようになる。  
サイズはどのくらいだろうだろうか、余分な栄養は全部胸にいってそうだ。  
「……何か言いたそうですね、スタインバーグさん」  
考えている事を感じ取ったらしい監督官が睨んだ。  
「言っていいのか?」  
「殴られても良いなら止めません」  
「じゃあ、止す」  
 

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