「ああ……」
暗く狭いウロのなかに艶かしい女の吐息が音となって響いた。
「はぁぁ……あはぁぁぁ!」
女は荒い息を吐きながら官能の叫びを上げ続ける。
快感に震え、愛欲に濡れた雌の吐息を漏らし続ける。
暗く湿った暗いウロのなかにその雌の獣の声を聞く人間は誰もいなかった。
「ひあぁぁああ」
一際敏感な突起を抓られて女が悲鳴にも似た声を叫びを漏らす、だが涙の浮いた女の顔からはそれすら快感であることが見て取れた。
狂ったような快楽を貪る女は、事実狂っていた。
普通の人間なら触れることすら嫌悪する赤い肉色をした触手の群れに身を任せ、拒むどころを愛おしげに慈しんでいく。
その触手が自らを取り込み作り変えていくものなのだと言うことを理解しながら、女はそれは受け入れていた。
「あ、もうっ昔からお尻が好きなのは変わらないんだから」
そう言うと女は自らの腕ほどもある触手を自らの排泄口へと導いていく。
入り口を見つけた触手は戸惑うようにゆっくりと侵入を開始した。
「んっ、はぁ……す、てきぃぃ」
直腸を破裂させながら侵入してくる触手に熱い吐息を漏らしながら、女はもう幾度めになるか分からない絶頂を迎えた。
ぐったりとした女をそれでも触手は離そうとしない。
まるで大切なものを離すまいとするかのように、触手は必死に女に纏わり付いてくる。
膣や肛門、口はおろか耳や鼻、挙句自らの皮膚の表面に細かい穴を開けてまで彼女のなかに入り込もうとする触手を夢見るような眼で見つめながら幸福そうに女は呟いた。
「ああ、大好きダニエル」
混ざり合い一つに溶け合っていく中で、たった一つその言葉だけだけは女のなかの真実が口に出させたものだった。