アストラエアの丘、そこには、三つの女学校が建ち並んでいました。  
聖ミアトル女学園、聖スピカ女学院、聖ル・リム女学校。  
そして、その敷地のはずれにある3校共通の寄宿舎である、いちご舎。  
アストラエアの丘……それは男子が立ち入る事の許されない聖域でした……。  
 
学年も学校も違うさまざまな思いを秘めた乙女だけによる百合色学園ライフ。  
そんなヒミツの花園で起きる出来事をあなたもちょっと覗いてみませんか……?  
 
 
          *          *          *  
 
 
Episode 1.『秘密の花園』  
 
 
「お姉様、あれって……」  
「静かに……気づかれるわよ」  
 
思わず声を上げようとする渚砂を静馬が優雅に制する。  
物陰から覗き込む二人の視線の先には二人の女生徒が部屋の片隅で密着してもぞもぞと  
無言でうごめきあっていた。渚砂達との距離はそんなに遠くない。二人の女生徒の呼吸  
の音も聞こえるぐらいだった。それは通常より荒く、甘く切ない息遣いだ。  
 
「う……ん……夜々ちゃん……そんなとこ……」  
「光莉、声を出しちゃダメ。誰かに聞かれたらどうするの?」  
「でも……でも……。ダメ……はぅん……!」  
 
光莉と呼ばれた柔らかなウェーブの髪の子に、夜々と呼ばれたストレートの黒髪の子が  
背後から抱きついて体のあちらこちらを触っている。二人とも床に膝立ちで、光莉と  
呼ばれている子のスカートは太股の上まで捲くれ上がっていた。可愛らしい薄い桃色の  
下着が渚砂の位置からも見える。  
どうやら夜々という子が光莉という子を一方的に愛撫しているらしい。  
 
「スピカの子達もここを使うようになったのね……」  
 
二人の様子を見て真っ赤になっている渚砂の背後から静馬が呟く。  
光莉達の制服は、渚砂や静馬が着ている黒色のミアトルの制服ではなかった。陽に  
当たれば輝くばかりに明るいパールホワイトのスピカの制服だ。  
黒いレースを基調とする伝統を重んじたクラシックな印象のミアトルの制服と違い、  
生徒の自主性を重んじた革新的な校風のスピカの制服は現代的なデザインのブレザーと  
ミニスカートだった。  
 
「フフフ……このスカートの素材、こうするとずり上がっちゃうんだよね♪」  
夜々が楽しそうに光莉のお尻を撫で回す。そうすると伸縮性のない素材で出来たスカートは  
彼女の言うとおり、皺になった分が捲れ上がっていく。光莉のスカートは既に半分以上  
ずり上がり、可愛らしいピンクの下着に包まれた白い滑らかなお尻が見えていた。  
 
「夜々ちゃん……こんな格好、恥かしいよ……」  
「大丈夫、私が隠してあげるから。誰にも見えないように……ねぇ、光莉……  
あなたの事を一番大切に思ってるのが私だって事、わかってくれた?」  
「う……うん……。だからもう…………ひゃ!? ああ…ん!」  
迫ってくる夜々から逃げ切れず、なすがままになっている光莉。恥かしがるそぶりは  
見せているが、拒んだりはしていない。光莉も夜々の事を憎からず思っているのだろう。  
 
「ん……はぅん! 夜々ちゃん……!」  
俯いてもじもじしていた光莉が面を上げ、その顔が渚砂の位置からも見えた。  
(うわぁ……綺麗な子……)  
責められている光莉のかんばせを見て、渚砂は思わず溜め息をつく。  
光莉はまるで天使を思わせる美少女だった。その声もカナリアの歌声の様に美しく、  
髪は光の雫で出来たように輝いている。清楚な外見や声とは裏腹な今の官能的な表情と  
喘ぎ声は、渚砂は勿論の事、静馬の胸をも高鳴らせた。  
光莉を責めている夜々も黒髪が美しい美少女で、こちらは悪戯っぽい猫の様な釣り目が  
光莉と対照的に妖しげな魅力を湛えている。  
 
(ど、どうしよう……)  
高鳴る動悸を押さえきれず、思わず口をパクパクさせながら見入ってしまっている渚砂の  
手を、不意に静馬が掴んだので、もう少しで悲鳴を上げてしまうところだった。  
「これが渚砂ちゃんの知りたがってた『秘密の花園』の正体――ミアトルでは秘密の逢引の  
場所なのよ♪」  
(えッ? ……ええ〜〜〜ッ!?)  
微笑みながら解説する静馬の声を聞きながら、思わず渚砂は目を白黒する。  
自分が知りたがっていたのは、こんな秘密ではなく、ただ敷地内にあるお城の様な建物が  
何であるか、それだけだった。静馬に案内され、それが学園の図書館である事はすぐに  
わかったが、更にその奥に案内され、そして本棚の裏や壁の反対側から伝わってくる人の  
気配に疑念を持って覗いてみたのが、この目の前に展開されている光景だった。  
 
「流石に渚砂ちゃんにはまだ目の毒だったかしら?」  
ワイルドポニーの髪をふりふりさせながら、大きな瞳でまじろぎもせずにその光景に見入っ  
ている渚砂の肩を、静馬は自分の傍らに引き寄せる。息遣いがうなじに感じられるほど  
間近に引き寄せられた渚砂は、小さく悲鳴を上げて静馬の胸元に体を預けた。  
(お姉様――)  
ふくよかな柔らかい胸の感触、無造作にアップにしただけなのに美しくボリュームのある  
髪の柔らかさ、そして暖かさと匂い――静馬の全てを感じられる距離に身を置き、目の前の  
光景とは別に渚砂の小さな胸の鼓動が高まっていく。  
(私もお姉さまと……あんな事を――?)  
初めての不安と緊張、そして仄かに淡い期待――そんな気持ちが入り混じった渚砂は静馬の  
手で体を触られるたびにゆっくりと呼吸を落ち着かせ、力を抜いていった。  
そして、静馬の手がレース素材で出来た制服の内スカートと渚砂の太股の間に入ってきた  
その時――。  
 
「あら……?」  
静馬が太股を這わす手をピタリと止める。  
「……?」  
もう「一線越え」を覚悟していた渚砂はいつまで経っても静馬の手が動かないので固く  
閉じていた目を開いて静馬を見た。彼女の憧れのエトワールはまたしても先程の二人に  
釘付けになっている。  
「お姉さ……」  
「黙って」  
声を掛けようとした渚砂を視線を逸らさずに制する。渚砂も静馬の興味を引く二人の方が  
気になり、そ〜〜っと彼女の脇から覗いてみた。  
 
そこで見た光景は――。  
 
「だめ……! 夜々ちゃん、私、それ……弱いの!」  
「光莉。これはアストラエアの女生徒共通の愛し方なんだよ? 苦手だからっていつまでも  
甘えていてはダメ」  
「違うの……。苦手じゃないけど……その……!」  
「そんなに足の力を入れていると余計に辛くなるよ? 私を信じて、体を楽にして……  
ね?」  
「う……うん。や、夜々ちゃん!? ま、まだ心の準備が……はぅん! ……ああッ!!」  
 
(な……何をしてるの?)  
渚砂は驚きの目で二人の様子に見入っていた。光莉と夜々は先ほどの様に密着しておらず、  
お互いに向かい合って座る格好になっていた。しかし、二人はそれほど離れていない状態で  
お互いの足を折り曲げないで座っている。そうなったら二人の足は――。  
(大事な所に当たったり……しないの?)  
渚砂が息を呑みながら光莉を見て、その「大事な所」に視線を移す。するとそこには  
夜々の黒のニーソックスに包まれた長い足が、光莉の綺麗な白い足の間を割ってあてがわ  
れていた。制服のスカートは捲れ上がり、ピンクのショーツに包まれたなだらかな丘から  
縦に筋がショーツに食い込んでいる部分までを踵がキュッと圧迫している。  
その踵が少しでも動くと光莉の声から呻き声が漏れ、ビクン!と全身が震えていた。  
(…………!!)  
渚砂は思わず口元を押さえる。その様子に気づいた静馬が渚砂の仕草を見てにんまりと  
妖しげに微笑む。しかし、渚砂は光莉達に視線が釘付けになり、静馬の邪な心に気づく  
様子も無かった。  
 
「フフフ……こんなのはまだ初心中の初心よ? ここをちょっと動かしただけでこんな  
調子じゃ、震わせたらどうなるのかな?」  
「や、やめて……夜々ちゃ………ッ!! はぅう……!!」  
夜々の右足の振動がさっきより速く強くなった。ショーツに浮かんだ縦筋に沿うように  
あてがわれた踵はプルプルと震えて刺激を与えながら、割れ目を上下していた。  
振動を受けるたび、或いは責められる位置をずらされる度に、光莉の体はそこから強烈な  
電撃を受けたように反応し、上半身を縮こまらせる。  
(あの娘は……どうして逃げないの?)  
渚砂は光莉がされている行為を見ながら、自分がされている錯覚に陥り、思わず下半身が  
キュンとなるのを覚えた。もし自分が静馬お姉さまにそんな事をされたら――逃げようと  
するだろう。でも、あの娘は体が震えるほど恥かしい責めに遭っているのに逃げないままだ。  
「フフフ……しっかりと『電気アンマ』が極まってるようね」  
静馬が少し頬を上気させ、瞳を煌かせながら言う。  
 
 
でんき……あんま……?  
 
 
渚砂にとっては初めて聞く言葉だったが、それが何故かとても印象に残った。  
「あの娘はね、逃げたくても逃げられないの……ほら」  
静馬が茶目っ気を帯びた声で言うと、渚砂の顔を両手の平で挟んで夜々のほうに向ける。  
そこには光莉の綺麗な足が伸びていたが――。  
(あっ……)  
渚砂はその光景を見て思わず切ない気分になってしまった。  
夜々は光莉の両足首をそれぞれの手に掴んで逃げられないようにしていたのだ。  
それだけではなく、光莉が股間の刺激に耐えられずに思わず内股になると、責めている  
足と反対の足も割りいれてその抵抗を無駄にしたり、逃げようとして後ろに下がるのを  
両足を引き寄せて逆に距離を詰めて責める力を強くしたりなど、されている女の子に  
とって意地悪な事をしやすい体勢であった。  
(あの娘……辛くないのかな……?)  
渚砂は光莉にとても同情的な気持ちになる。もし自分があんな事をされたら……とても  
たまらないだろう。逃げられないようにされた上で、恥ずかしい所を思うが侭に責め  
立てられるなんて――。  
 
「はぁ……ん……。お願い……夜々ちゃん、もう……」  
光莉は目を閉じて荒くなった息で辛うじて声を絞り出す。その頬は上気し、じんわりと  
滲み出る額の汗に前髪が張り付いて、少し乱れた様子になるのがとても官能的だった。  
その表情を見て渚砂は思わずごくりと唾を飲み込む。  
「だめ……この程度でギブアップしてたら、お姉様達との『おつとめ』は務まらないよ?」  
夜々が少し上ずった声で言う。彼女も興奮しているようだ。光莉を責め立てるのに足が  
忙しなく動き、こちらもスカートが捲れ上がってきて黒のショーツが渚砂の位置からも  
良く見える。  
(……気のせいかな?)  
渚砂の目には夜々のショーツの皺がぴったりとその中の割れ目に張り付き、その形が  
くっきりと浮かび上がっているように見えた。その張り付き方が、何か水分を含んだ  
布の張り付き方に似ているように思えたのだが――。  
 
「あの娘、興奮してるみたいね」  
静馬の声が耳元から聞こえ、渚砂は仰天して悲鳴を上げそうになった。  
「あ、あの娘って……?」  
「黒髪の娘の方よ。電気アンマをしてる方」  
また『でんきあんま』と言う言葉が出た。静馬の言葉から察すると、今スピカの二人が  
やっている行為そのものが『電気アンマ』と言うらしい。  
「あんな美少女を思うがままいじめてるんだから、気持ちはわかるわ……している方は  
とても気持ちが昂ぶるでしょうね……電気アンマだって、どうしてもエスカレートして  
しまう――」  
淡々と夜々の気持ちを代弁する静馬。しかし、決して彼女は無感動ではなかった。  
表情こそ平静だが、呼吸は僅かに荒く、渚砂を抱く手にも力が入っている。その手が  
しっとりと汗ばんでいるように感じるのは渚砂の気のせいだろうか?  
 
(お姉様は……する側の気持ちがわかるんだ――)  
それはそうだろう、と自分でも納得する。エトワール様があのような行為をしたとしても  
それはされる側ではありえなかった。餌食になる子は特定とは限らない気もするが。  
「でもね……」  
静馬は意味深な表情で渚砂を見つめた。こんな際だが、渚砂はいつもの様に静馬に  
見つめられると体が蕩けそうになる。  
「そのエスカレートした気持ちを女の子の秘密の所にぶつけられる相手のほうは……  
たまったものじゃないでしょうね?」  
クスクスと忍び笑いをしながら静馬は視線を光莉の方に移した。  
 
(あっ……)  
静馬と同様に光莉の方を見た渚砂は思わず胸がキュンと疼いてしまう。  
静馬の言葉に誘導され渚砂が見た光莉のそこは、大変な事になっていた。  
 
クチュ………チュ……。  
 
「ん……! はあぁ……ん……」  
光莉が耐え切れない表情で制服の上着をギュッと掴んで悶える。執拗な電気アンマを  
長い時間続けられると、何かを掴んで力を入れていないとイクにイケない気持ちが  
募りっぱなしで、内面の高まりに精神がついていけない。  
そして、その光莉を苦悶に喘がす女の子の急所は――。  
「フフ……もうぐっしょり濡れちゃったね、光莉。ぱんつ、ダメになっちゃったかも♪」  
興奮で上ずりながらも揶揄するように言う夜々の声を聞き、光莉は真っ赤になった。  
「やだ……見ないで……」  
身も世もない表情を両手で覆い隠す光莉。自分達が見てる事を知ったら、あの娘は卒倒  
しちゃうかも――と渚砂は思った。  
光莉のスカートの中は下腹部の辺りから太股の内側までびっしょりと濡れそぼっていた。  
水をかけたような――或いはお漏らししたような、とは少し違う。濃密な女の子の匂いが  
その周囲に立ちこめ、夜々の足はねっとりと濡れ、動くたびに糸を引いてキラキラと光に  
反射していた。ショーツはその下の割れ目の形にぴったりと引っ付くどころか、割れ目の  
所の皺が深くキュッとお尻の方まで食い込んで、それ自体が光莉の女の子の秘密の場所を  
責め苛む道具と化していた。光莉の女の子の急所を守ってくれるものは何もないのだ。  
 
「いい感じだね、光莉。これでも……電気アンマは苦手?」  
「だって……だって……ああッ!!」  
夜々の靴下に包まれた踵が更に光莉の股間をグリグリと責め立てる。光莉のピンと伸びた  
両足が電気アンマされるたびに小刻みに震えているのを見て、渚砂も思わず自分の股間を  
スカートの上から押さえた。  
「あっ……」  
その瞬間、ビリビリと電流の様な衝撃が今触ったところから脳天に突きぬけ、思わず  
呻き声を漏らしてしまう。  
(あの娘……こんなのをずっと……)  
傍らに静馬がいるのも忘れて、渚砂は股間を押さえながら電気アンマされている光莉の  
悶え方をじっと見つめていた。静馬はその渚砂を見て胸を高鳴らせる。  
 
(渚砂ちゃん……同調しちゃったかな?)  
静馬は渚砂に自分の興奮を悟られないように息を整えながら渚砂の様子を観察する。  
電気アンマはされるが向いている女の子と、するのが向いている女の子がいる。渚砂は  
間違いなく前者だ。そして自分は勿論後者――。  
(私たち、いいカップルになれそうね♪)  
声に出しては言わず、電気アンマされている光莉に同調した渚砂が股間を押さえて内股に  
なって悶える姿を静馬はじっと見つめていた。この淫らな姿をするのに妙にミアトルの  
クラシックな制服は良く似合うものだと思う。  
 
「光莉……もう、耐えられない? ……逝かせて欲しい?」  
夜々が更に振動を強くしながら言う。彼女は踵を光莉の割れ目の上部――クリトリスを  
斜め下からグリグリと圧迫するような責めと、割れ目に沿って上下しながら細かい振動を  
送る責めを交互にやっていた。  
「はぅうん……!! や……夜々ちゃ……ん……。……あぅん!! ……あああッ!!」  
その責めに対し、光莉は割れ目を責められている時は喘ぎ声漏らしてプルプルと全身を  
震わせ、クリトリスを責められている時は激しく身悶えしてのた打ち回る。  
(女の子の責め方を熟知してるわね、あの娘――)  
思わず静馬も感心してしまう。ミアトル一のテクニックを誇る彼女が認めるのだから、  
夜々はスピカでもトップクラスのテクニシャンだろう。  
 
「夜々ちゃん……! もう……だめ……はぁああ! お願い……い、いじわる……しない  
……で……はぁん!!」  
「光莉……可愛い……」  
本当はもっと虐めたい――夜々は心の中で思っていた。光莉と逝く寸前まで高まらせて  
その状態を可能なだけ引き伸ばし、そしてゆっくりと冷まさせる。光莉の苦痛と快楽の  
狭間に喘ぐ表情を見て、これを何度も繰り返したかった。実際にそんな事をしたら光莉の  
精神はおかしくなってしまうだろうが――だから今はこれで止めを刺してやる事にする。  
 
「光莉……これからも私たち、一緒だよね? 何度もこんな事、してもいいよね?」  
「……ハァ……ハァ。……う、うん。光莉ちゃん……いいよ……しても……はうんッ!?  
だ……だから……お願い……!!」  
悶えながら泣く光莉からの言質を取った夜々はしっかりと股間に踵をセットしなおした。  
そして止めとばかり、今までにない激しい振動を送り込む。体がゆさゆさと揺らされる  
激しい電気アンマを受けた光莉は悲鳴を押し殺し、キュッと太股で夜々の責め足を挟み  
こむとその爪先を両手で掴んで激しく身悶えした。  
 
「う……ぁああ!……夜々ちゃん! ……はぁううう……!!!」  
「光莉! 逝って……心を解放して!」  
「飛んじゃう……! 飛んじゃうよぉ……!! 夜々ちゃん……夜々ちゃあん!!」  
光莉の逝きそうな表情を見て渚砂も激しく自分の股間を触っている手を動かした。  
静馬が見ているその前で――そして――。  
 
「「はぁああああ……あああ!!!」」  
 
ぷしゃぁあああああ…………!!  
 
溜められていた堰が一気に決壊したかのように、光莉の神秘のクレヴァスから蜜が  
溢れかえった。自分を苛んでいた渚砂もガクガクと腰を震わせ、白の下着を濡らせて  
しまう。  
「はうぅぅぅぅ…………ん…………」  
失墜を迎え、ガックリと全身の力が抜けた光莉――。その光莉と同時に失神した様に  
ふらっと倒れる渚砂。渚砂はしっかりと静馬が受け止め、光莉は夜々がギュッと  
抱きしめた。  
 
(あの娘と同調して逝っちゃったのね)  
自分は電気アンマされていたわけではないのに――なんと感受性の強い子だろうと  
静馬は思った。もしかしたら自分は得がたい物をその手に抱いているのかもしれない。  
(これから、面白くなりそうね……)  
気絶した渚砂の額の汗を優しく拭ってやりながら、静馬はにんまりとその寝顔を  
見つめていた。  
 
 

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