(もう。結局は口でするのよね……)
素っ裸になった夏姫の前で男も服を脱ぎ、ピーンと反りかえる肉勃起を突き出し
てくる。ふたりきりになってキスを交わしているうちに彼が昂り、あれよあれよと
いう間に脱がされて、ひざまずかされた。
ヌードを見せるのはまだしも、口で奉仕するのはイヤ。夏姫はきいきい声で訴え
たが、彼が熱心にお願いしてきて、結局は願いを叶えてしまう。今でもツンツンす
ることが多い夏姫だが、それは照れの裏返し、彼にべた惚れなのだ。
大げさなため息をついてみせてから、そっと右手の指を巻きつけて、勃起の感触
を確かめる。
「元気ね」
「夏姫の前だからな」
女の声には呆れが混じっているが、男は誇らしげに返す。あまりの自信っぷりに
夏姫の口もとがゆるむ。
「元気なオチン×ン、こうすればいいのね」
「お? い、いや、そうじゃなくて」
夏姫は巻きつけた指を上下に動かしていく。求めたのはフェラチオだから男は微
妙な顔をしている。それでも、指愛撫でかなりの快感がもたらされているから、口
唇奉仕をせかされることはなかった。
右手で竿をしごき、左手は玉袋を包んで揉みほぐしていく。じわじわと刺激して
いると袋がきゅっと締まってくる。ここが縮むのは射精の準備と夏姫は知っている。
見上げれば、彼の顔つきが切羽詰まって、目がぎらついていた。これ以上焦らし
たら無理矢理ペニスを突っこまれまねない。
「してあげるわ」
両手を根元に添えなおすと、ペニスの角度を調節し、唇を割って舌を伸ばしてチ
ロリ舐めあげた。
「うはっ!」
喜びの声に応えて、なんども舐めあげる。肉幹へ舌腹をねっとりと絡めるし、裏
筋を舐めるときは先端でくすぐりながら。
「う、うまいよ、夏姫」
(うまくもなるわ、いったい何回舐めさせたと思ってるのよ)
従順に舐めしゃぶりつつ、心のなかで少々おかんむり。
初めてのフェラチオは、下手だったのに加えて昂奮した彼がペニスを喉元まで押
しこんできて嘔吐しかけた。強引なやりかたに憤慨し、それからしばらく口を聞か
なかったくらいだ。
なんとか仲直りして、今度は無理を絶対にしないと約束のうえで、二度目。二度
目はそれほどイヤじゃなかったから、三度目。と回数を重ねて、自然とフェラチオ
テクニックが身についた。
たっぷりと舐めて唾液でべとべとにしてから、頬張る。口のなかで亀頭をころが
し、舌をくなくなと粘っこくまとわりつかせる。
(あん、オツユが出てる)
ほろ苦い味が舌にひろがる。先走りのカウパー液が噴き出している。
味覚を刺激されるだけでなく肉棒全体が雄々しく脈動するのも粘膜で感じたその
とき、
「夏姫!」
だしぬけに彼が叫んで、腰が振られた。ペニスがすぽっと口から抜ける。
来ると思ったときにはぶちまけられていた。ピュピュッと勢いづいた白濁液が顔
にへばりつき、髪にも届き、胸もとにも散っている。反射的に夏姫は、添えていた
手の五本の指でしっかりと握り、搾るようにしごく。
出させるだけ出させてから、
「こら。出すなら出すって言ってよね」
眉間に皺を刻んで怒ってみせるが、彼はうっとり顔。
「ごめんごめん。気持ちよすぎて、我慢できなかった」
放出は終わっているのに、腰を小さく揺らしている。
(まあ、喜んでくれるのなら、いいわ)
そう納得した夏姫だが、彼ばかりが気持ちよくなるのもちょっと癪と、ぎゅっと
強く竿を握って呻き声をあげさせて、含み笑った。
(終)