(これで、ほんとに気持ちいいの?)  
 直立する彼の股間に肩を重ねる格好のみづきは心で思い、問いかける。そのたび  
に「とってもいい」と快美にとろけた顔で答えてくるから、みづきは彼のモノを腋  
で挟んでしごきつづける。  
 恋人同士になってからセックスだけでなく手コキやフェラチオ、パイズリに素股  
といろんな淫戯を楽しんできた。今日もそのどれかをやらされると思っていたみづ  
きは全裸になったとたん「腋でしてほしい」と言われて、ぽかんと口を開けてしま  
った。「腋コキ」というプレイ、体温計を挟むようにペニスを腋で挟んでくれと説  
明されても、納得がいかなかった。  
 納得できなくても彼がしたいというのなら拒めない。とまどったまま、とっくに  
固化していた一物を腋に挟みつけた。  
 挟んだはいいが、次になにをすればいいかわからない。なにもしないでいると、  
彼が深く息をつき、腰を揺すりはじめた。肉棹をしごく形になっても、奉仕してい  
るという実感がない。  
 とにかく自分でもなにかしようと肉棒の動く方向に合わせて体ごと動いてみた。  
すると、それが良かったのか彼が喜びの声を大きくした。  
 最初はぶきっちょでも、動いているうちにこつがつかめてくる。うまくいってい  
るのは、彼の声でわかる。  
「こ、ここも気持ちいい。みづきの体は、ううっ、どこも、気持ちいい」  
(感じてくれる。わたしの腋の下でも……)  
 しごいているうちに彼が気持ちよくなっていることを、腋の下で感じさせている  
ことを信じられるようになってきた。みづきの心持ちが変われば、腋の下のうねり  
も微妙に変化し、敏感な勃起はすぐさま新たな快感に痺れる。破裂してもおかしく  
ないほどに膨張し、逞しく反りかえる。  
 みづきはふと思いつき、竿をずらして亀頭を腋のくぼみに収めてこすってみた。  
敏感な先っぽを包まれて彼がよがるだけでなく、丸みに腋をくすぐられてみづきに  
も甘い快感がひろがる。自分も気持ちよくなって、ますます愛撫にのめりこむ。  
 興に乗って男の腰もみづきの体もリズミカルに動く。みづきの鼻は男の汗の匂い  
を吸い、男はみづきの肌から立ち昇る官能臭にくらくらする。  
 上から降りかかってくる彼の息が切迫さを増し、より熱くなってきていた。  
(こうやって、しごけば)  
 ペニスが限界を越えてふくれ、ドクッドクッと雄々しく脈打つ。射精の予兆にみ  
づきは手コキで導くように、不器用な腋でまったく同じようにはできないが、彼を  
イカせるために腋下をせっせと動かした。  
「おっ!」  
 ビュクッ、ビュククッ、ドピュピュッ。  
「あ」  
 遂に彼は腋コキで達し、派手に放った。みづきは挟む腋で牡根の脈動を感じ、噴  
出する液を見下ろす。  
「くうっ」  
「きゃあっ!」  
 ペニスがのたうち、スペルマは前だけでなく横に散ってみづきの胸を汚した。熱  
い飛沫をふくらみに受けて、みづきは高い声を放った。  
 手コキよりもパイズリよりも大量に噴出したように見えて、みづきは驚き半分呆  
れ半分。  
「はあ。すごくいっぱい、出しちゃったね」  
「それくらい気持ちよかったんだ。みづきの腋の下、すげえよ」  
「……誉められてもねえ」  
 満足に浸る彼が心から贈ってくれる言葉とはいえ、みづきは苦笑するしかない。  
「あらら?」  
 膨大な精の射出を終えたというのに、一物はまったく萎えずにいた。腋に挟まれ  
つづけているのが実に効いているようだ。  
「もう一度、する?」  
 いたずらっぽく言えば、  
「してくれ」  
 間髪いれずに答えが返ってきて、みづきはくすっと笑う。身を器用にくねらせて、  
勃起を腋の下で元気にはずませた。  
 
(終)  
 
 

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