「なにすんだよ、おい、放せ!」
憎々しげに吠え立てる奴に、私達はこれ以上ない冷たい視線を見舞う。
縄でぐるぐる巻きにされた問題児は捕まってなお反省の態度を見せない。いい根性だとつくづく思う。
「そっ、そんな怒ることないだろ! 盗み食いくらいで!」
「食料の供給が不安定な私達にとっては十分すぎる大罪だと思うがな」
目一杯の冷ややかな声で答える私。
「そうよハワード、みんなお腹すいてるのに自分だけいい思いするなんて」
「仕方ないだろ! 食べちゃったものはどうしようもないじゃないか!」
口を開けば減らず口が飛び出すヘタレに、シャアラがため息を漏らした。
「でも、ハワードが言うことも確かじゃないかな…。
どうするの? まさか返してもらうわけにもいかないし」
その言葉を聞いて、私は突如、閃く。
「名案があるぞ」
私はルナとシャアラに耳をよこすよう指示を出す。私は思いたての案を彼女達に伝えた。
「うん。…それしかないね」
「え!? そ、そんな…」
「シャアラ、逃げるのか?」
私の問いにうつむくシャアラ。少し間があって、
「う、うん……ル、ルナが賛成なら、あたしは…別に」
了承を得た。
「決まりだな。
…ではハワード、さっそくお前からトビハネ分の栄養分を返してもらう」
「はぁ? あ…ははは、どうしたんだお前ら、そんな怖い顔でなんだよ……」
ひきつった笑みが似合う、家畜。
「や、やめろぉ! 僕に何かあったらパパが、パパが」
「ふん、脱がしにくいな……もういい、二人ともこいつを抑えつけてくれ」
懐から出したカッターがギラリと光る。
「や、やめて、許して、パ、パパーーーーー!!」
……1分後、下半身をまぬけにさらしたハワードの姿があった。
ごく自然と、私達の視線は奴の股の間に集中する。
「ちっちゃいね……」
シャアラが正直な感想を漏らした。がくりとうなだれるヘタレ。
「さて、これからどうするかだが」
「私がやる。私にやらせて」
ルナが進み出る。この辺、リーダーとしての配慮なのか、あるいは経験済ゆえの余裕からか。
「まぁ待て。相手は臆病で気が弱い上プライドだけは一人前のあのハワードだ。
うかつに手を出すと円滑な栄養補給ができん。ここは私に任せてもらおう」
私はおもむろに靴を脱ぐと、躊躇せず思い切りヘタレのものを踏みつけた。
「ぎゃぁ!」
そのまま、ぐりぐりと足の裏で踏みにじる。足の指で挟んで、引っ張りまわす。
「あううぅぅ、メ、メノリ、もっと優しく……あうぅぅっ!!」
「いい気持ちだろう、ハワード。…安心しろ、まだまだ序の口だ」
いつの間にか膨れ上がったそれには構わず、私は狙いを下の二つのふくらみに定めた。
「あぁぁああ、そこは僕だめなんだよぉおお!」
撫で回しては転がし、揺らし、振るう。ころころと心地よい感触が私を燃え上がらせる。
そして、うらやましがるようにそそり立つものに一瞥し、しゃがんだ。
「先にいただきます、とでも言っておくか」
ぱくり。
「わぁああおおおおぁあ!!」
「んっ、ん、う…んっ」
ぴくっと応えたそれに、私は舌を這わせた。すぐさま加減無しにぬめまわす。
「はっ、はっ、はぅううっ! メノリぃぃい…俺、もう…」
つい今の今までじたばたともがいていた身体が、規則的な震えに変化する。
「…っ、もう限界か…まったくお前のはお手軽でいいな」
私は舌を離し、添えた手をなるべく淫らに上下させた。
ごしっ、ごしっ、ごしっ。
「あうっ! うぁぁああぁあっ!!」
どくん、と波打つのを私は上から見ていた。くわえこんだ私の口に吹き出したものが当たる。
なかなか止まらないそれに、私は舌ですくうようにして舐め取った。
「んくっ、んっ、ふぅ……いいぞ、ハワード…その調子だ」
「メノリ、大丈夫?」
「ああ、これで少しは落ち着いただろう。次は…そうだな、シャアラ、やってみるか?」
私の指名にびくっと反応する彼女の肩を、ルナが優しく抱く。
「大丈夫よシャアラ、怖くないから。あたしたちがそばで教えてあげるよ」
「う、うん……わかった」
ぐってりとのびているヘタレに恐る恐る近づくシャアラ。息を大きく吸い込む。
「生きていくためだもん…私だって!」
にぎっ、と音がするほど強く両手でわしづかみにする。
「んがーーーーっ!!」
縛られたまま跳ね起きるハワードには目もくれず、そのまま強引な手つきでごしごし擦る。
「違うよシャアラ、もっと優しく」
「火を起こすような感じで竿を回してみたらどうだ?」
「ひゃめて、ひゃめでぐでぇええ……んぎっ」
「ごめんね、ハワード…一生懸命がんばるから、んっ」
煮えたぎったものをさますように、息を吹きかけるシャアラ。
ふと、ルナは顔を上げた。何事かと問いたたそうとする私の耳に、漁から帰ってくる男達の声が届いた。
「そういうわけでルナ、命令だ」
「へっ!? え、えーとね、その、じゃ…あたしはシンゴ」
「仕方ないな。順番だぞ」
「んっ、んっ、…ね、あたしはどうするの?」
「そんな奴もう放っておけ。もっといい蛋白源が向こうにある」
「あ、ベルだあ! うん、あたし、行ってくる!」
きらきらした瞳を輝かせて二人が走っていく。残った私と残されたバカが顔を見合わせる。
「ハワード、良かったな…カオルの姿が見えない。まだ構ってもらえそうだぞ」
「ル、ルナ、気持ちいい、気持ちいいよ……」
「んむ…っぷはぁ……ふふっ、シンゴかわいい…んっ」
「ああ、もうだめだよ、飲んで、飲んでくれるの? ルナ、出していい…のっ!?」
「いいよ、いっぱい出していいんだよ、全部……飲んじゃうから…っ」
「…シャアラちゃん、はぁ、はぁ、最高だ、最高だよ、うううう」
「ベルの、おっきいよぉ…口に入りきらない…」
「シャアラちゃん、シャアラちゃん、顔にかけるよ、あうぅぅっ」
「んっ、んっ、だめぇっ! あたしが飲むの…うんっ」
シャトルが漂流した砂浜は、乱れる私達の嬌声で支配された。
立ったまま腰を振り続ける男。座り込んで奉仕する女。
かわるがわる相手を取り替えてはお互いの性をむさぼる。
いつしか誰かが服を脱ぎはじめ、性器を擦りあい、身体を重ねていった。
ほぼ予想したとおりになって、私は口の端で笑う。
どんな頑な人間も、獣になってしまえばそれだけ扱いやすいというものだ。
砂浜に一列に並ぶ男たち。
端から端へ次々と相手を変えて、私達は吸いつく。
シンゴへ。
「えへ、メノリ、もっともっと飲ませてあげるからね…!」
ベルへ。
「ああ上手いよメノリ、またすぐ出ちゃいそうだ、あああ」
ハワードへ。
「待ってろよ! はぁ、はぁ、今、僕のを、注いでやるからな…っ!」
シンゴへ。ベルへ。また、ハワードへ。
「いいぞ、お前達…余分な蛋白質をもっと吐き出すのだ…!」
「もっと、もっと欲しいよぉ…! ちょうだい、みんなのちょうだい……っ!」
「あたし、上手くなるから…だから、誉めてね、ご褒美、いっぱいお願いね」
どくん、どくん、どくん。
ごく、ごく、ごく。
…………
どのくらいの間こうしているのかもわからなくなった頃。
私達は砂浜で寄り添うように寝転がっていた。
やまない動悸と精液の匂いにまみれて、恍惚した表情のまま。
皆を欲情させて体よく服従させるつもりが、どうも私自身しっかり楽しんでしまったようだ。
私は今更ながらそんな失念に思いをはせた。
そこに、ようやく帰ってきたカオルが無表情で声をかける。
「食料を取ってきた」
「お腹いっぱい……」