場面はコロニーに戻ってから1年後。  
全員無事にコロニーに辿り着き、しばらくは平穏な学園生活を送るのだが、  
ある日ビスコンティ財閥は自社製の宇宙船に相次いで欠陥が見つかった  
ことにより崩壊。一文無しとなったメノリは学費が払えず学園を中退、  
お定まりのコースを歩み半年後には風俗嬢に。毎日何本もの  
ペニスをくわえ続ける生活が続いた。  
 
そこにある日思いもかけない客がやってくる…カオルだった。  
話を聞くとメノリが学園を去ってすぐに、議員である父親の汚職が  
発覚。メノリ同様一文無しとなり、今は日々肉体労働にあけくれ  
身をすり減らしながら生きているという。  
 
メノリにペニスをしゃぶられながらカオルは言う、  
「なあ覚えているか?あの星での生活を…  
あの星で生き延びるよりも、コロニーで生き延びる方が  
俺たちにとっては大変なようだな…」  
カオルのペニスを口に含んだまま、メノリは小さく頷く。  
「私はもう生き延びることに疲れてしまったよ…」  
射精に導きながらメノリは呟いた。  
カオルも同じ気持ちだった。非力な個人にとって  
自然よりも社会の方がよほど恐ろしいのだ。  
 
事が終わった後、メノリはバックの中から小ビンを取り出し、  
中のカプセルを2錠手のひらに広げた。  
「ここであったのも何かの縁だ、共に脱出しないか?この“星”から」  
そう言ってメノリは1錠をカオルの手のひらに置き、  
もう1錠を自分の口に放り込んだ。カオルは全てを悟りそのカプセルを飲み込んだ…  
 
消えゆく意識の中でメノリは短い夢を見た。  
夢の中でメノリはかつて命がけで日々を過ごした、あの星の海に  
浮かぶシャトルの屋根の上にいた。  
突然海面から巨大なウミヘビが現れた、あの星に流れ着いた日に遭遇した怪物だ。  
ウミヘビは海面から垂直に体を出し、今にもメノリに襲いかかろうとしていた。  
突然のことに足がすくみメノリはただウミヘビを見上げるばかりだった。  
 
しかし、メノリはふとウミヘビの後ろに何かがあることに気付く。  
…それは巨大なビルだった。  
ビルはあのウミヘビよりも大きく、静かにメノリを見下ろしていた。  
ウミヘビは静かに水の中に潜り、後にはビルだけが残された。  
メノリはあっけにとられながらも笑い出した、  
「ははっ、私はあんなウミヘビに怯えていたのか  
このビルに比べれば遙かに小さいあんなウミヘビなんかに…」  
笑いながらも瞳からは悲しみの涙があふれている。  
巨大なビルは太陽を覆いながらただ静かにそびえ立っていた。  
 
…それがメノリが最後に見た夢だった。  
                          完  
 

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