駄目だ駄目だ駄目だ。  
 全く、話にならん。どういうことだ、男子たるもの、女子の身を守るのは当然のことではないか。  
 それが、シンゴは研究に没頭、まあそれは子供ゆえ、致し方ないという見方もある。しかし、他の連中ときたらどうだ。  
 ベルは頼りにはなるが、積極性がない。受動的な守りではいざという時にどのようなことになるか、分かったものではない。  
 カオルは能力的には優れているが、まず人としての常識がない。コミュニケーションも取れない男子など、話にならん。  
 ハワードなど、論外だ。奴にはコミュニケーション能力しかない。女子を守ろうともせん。  
 全く、この星で生きていくことになったというのに、これでは異性交遊もできん。  
 いや、別に異性交遊を望んでいるわけではないが、さすがに毎日、やることもないと刺激が欲しくなる。  
 そして最も手近なところにある刺激といえば、やはり未知の領域、異性交遊だろう。  
 だから、決して邪な気持ちがあるのではなく、これは、そう、人間として成長するための試練を求めているに過ぎない。  
 しかし・・・・・・駄目だ、話にならん、身の回りにいる男子といえば、子供と弱気と孤高と高慢。  
 その中から誰を選べばいいというのだ、全く。  
 シャアラは手っ取り早く、否、当初から付き合いの深かったベルと引っ付いたようだが、やれやれ、にこにこ微笑んでいるだけの  
二人を見ていると、こちらの方がむず痒くなる。  
 しかも、身近な二人がくっついたというのに、残された男子に焦りの気持ちが皆無というのも嫌になる。  
 私はそんなに魅力に欠けているのかっ?  
 い、いや、そんなことはないはずだ。スクールにいた時もそれなりに人気はあった。あの頃は少し、精神的に背伸びをしていたような  
ところがあったせいで誰も踏み込んでこようとはしなかったが、今の私がスクールにいれば、引く手あまたのはずだ。  
 それなのに、カオルは毎日のように一人で散歩、ハワードはアダムと一緒に探検ごっこ。  
 ふざけるな!  
 
 全く、せっかく人がいかにも暇を持て余しているふうに散歩をしているというのに、声もかけてこんとは・・・・むう、納得いかん。  
「あれ、メノリ? 何してるの?」  
「ん?」  
 森の中を歩いている途中、声をかけてきたのはルナだった。  
 最終的にこの星に残る決断を下したルナは、人間の可能性をよりサヴァイヴに分からせるため、サヴァイヴの研究に付き合ったり、  
時には皆をお茶に誘ったりしている。  
「少し、散歩をな」  
 そう言うと、ルナは目を細めて微笑んでみせる。  
「あはは、メノリもなの?」  
「も、とは?」  
「さっきね、カオルとも会ったのよ。声かけたら、カオルも散歩だって。一緒にどうかって誘われたんだけど、私はサヴァイヴに会いに  
いくところだから、断っちゃった」  
「・・・・そ、そうか」  
 カ、カオルに誘われただと?  
 私はまだ一度も声すらかけられていないというのに、何故、どうしてルナにだけ?  
「? どうしたの、メノリ」  
 ま、まさか私には、自分では気づかないだけで、どこか致命的な欠陥でもあるというのかっ?  
「・・メノリ?」  
 た、例えば・・・・目付きが悪い、か? い、いやしかし、以前に比べれば随分と柔和になったはずだ。笑うことも心掛けている。  
 ならば・・・・あ、足が臭い? い、いやいや、つい最近まで原始人のような生活をしていたのだ、確かにスクールに通っていた頃に  
比べれば少しきつくはなったが、それは皆も変わらないはずだ。それに今は毎日、きちんとシャワーを浴びている。  
 く、ならば一体、何が原因なのだっ?  
「ちょ、ちょっとメノリ、どうしたの? 急に黙り込んで・・・・」  
 と、ルナが肩を揺さぶって、はっと正気を取り戻す。い、いかん、つい自分の世界に入っていたか。  
「・・あ、いや、なんでもないんだ。少し考え事をな」  
 無理して微笑むと、ルナが心配とばかりに眉を八の字にする。  
「何か悩みがあるの? 私でいいなら、相談に乗るわ」  
 
「いや、問題ない。その・・・・少し、説明しづらいことなのだ」  
「だったら、なおさら!」  
 ルナが私の手を取り、両手で握り締める。表情は悲壮で、目を潤ませている。  
(・・・・・・・・・・・・)  
 そういえばルナは、いつも助けてくれた。頼りになる上、私とは違い、リーダーの素質にも恵まれている。皆から愛され、尊敬され、  
隣人のように思われている。  
 そう、まさに理想の・・・・・・はっ!?  
(な、何を考えておるのだ、私はっ)  
 急に頭を振った私を訝ったのか、ルナが私の顔を覗き込んでくる。濡れた瞳で、顔を寄せて。  
「・・・・・・ルナ」  
 しまった、妙に意識してしまったせいで、一気に顔が赤くなっていく。耳まで真っ赤に染まっているに違いない。ま、まずい。  
「・・メノリ、どうしたの? 顔が赤いわ。もしかして、風邪?」  
 更に顔を寄せてくるルナの、その唇に目がいってしまう。ますます、顔が赤くなり、鼓動が高まっていく。  
「ななな、なんでもない、その、少し疲れたようだ、悪いが私は戻るぞっ」  
 こうなったら脱兎の如く、と逃げ出そうとするが、敢え無く失敗した。そうだ、私の手はルナに握られていたんだ、忘れていた。  
 振り向いてつんのめった私は、後ろに引っ張られるままに倒れ込んだ。  
「きゃっ」  
 というルナの声が聞こえて、しまったルナも巻き込んだか、と思ったが時は既に遅く、ルナは私の下敷きになった。  
「す、すまない、つい転んでしまって・・・・」  
 仰向けに倒れたまま顔だけ横に向けて、背後のルナを見ようとする。その動きに合わせるように、ルナがもぞもぞと体を  
動かしたことが、触れている背中の感触で分かった。  
「・・・・・・・・む」  
 ルナは、上半身を心持ち上げていた。  
 頭を、というよりも唇を突き出して。  
 
 その結果・・・・・・振り向きざまの私の唇に、ルナの唇が触れた。  
 柔らかい・・・・感じたことのない感触が、私の唇を襲っている。反射的に鼻の呼吸を止めてしまったが、苦しくならない。  
 頭の芯がぼうっとするような、不可思議な甘みが、唇の感触とともに頭の中に広がっていく。  
 あまりに長く感じた数秒後、ルナが頭を引いて、いたずらっぽく笑った。  
「メノリ、私のことが好きなの?」  
 図星・・・・い、いや、違う!  
「・・な、何を言っているんだ、全く、いきなりその、キ、キ、・・ッスなどしおって!」  
 怒鳴りながら体を起こそうとするが、ルナの両腕が私の腋の下を通って肩に置かれているため、動こうにも動けない。  
「お、おい、ルナ、何をふざけている、放すんだっ」  
「駄目よ、メノリ。隠したって私には分かるの。感じたもの。メノリったら、私のことが好きなんでしょ?」  
「ち、違う! 断じてそんなことはない!」  
 だが、私の思いとは裏腹に、あたかも図星であることを見抜かれたように、私の顔は真っ赤になっていく。  
「メノリ、可愛い」  
 再びルナが顔を寄せてくるが、私は顔を上向けて、それを拒む。  
「い、いい加減にしないかっ、ルナ、いくら私でも怒るなぁ!?」  
 ルナがいきなり私の胸に触れたせいで、語尾がおかしなことになってしまう。  
「ななななな、何を、何をしているっ」  
「軽いスキンシップじゃない、メノリ」  
 そう言いながらもルナは、制服の上から私の両方の胸を、両手で優しく揉んでいる。その度に制服と、服の下の  
ブラジャーが形を変える。  
「ややや、やめろ、ルナ!」  
「い、や」  
 
 そう言って、ルナはか細く息を吐いた。その息が私の耳を撫でると、足の先が震えた。  
「おとなしくしててよ、すぐに終わるから」  
 何を終わらす気だ、と叫ぼうとするが、うなじの辺りに生温いものが這いずって、またも足が反応する。  
 どうやら、ルナが私の首の周辺を舐めているらしい、小さな水の音が耳に届く。  
 だが・・・・重要視するのは、そんなことではなかった。問題は、私の体の反応だ。  
 先程からどうにか逃げようとはしているのだが、ルナの舌が通ったところが熱くなり、揉まれている胸も温度を上げて、  
どんどん私から力を奪っている。時に強い力を見せるのは足のみで、しかも足はびくびくと、攣るのではないかという  
反応を見せるのみで、決して立ち上がるための力を出そうとはしない。  
(・・まずい、このままでは・・)  
 このままではルナの手からは逃れられない、と考えた矢先、ルナの手が腹まで下りて、私が腕を使って抵抗する前に  
手は服の中へと入り込んでしまう。  
「よ、よせ、よさないかっ」  
 だが私の言葉も虚しく、ルナの手は私のブラジャーに触れ、いとも簡単にブラジャーを上にずらしてしまう。  
「・・や、ぁ、よせ、ルナ・・」  
 ルナの柔らかい手が、私の胸を撫でる。胸の周辺、それからわき腹、腹、再び胸、そして乳首に触れる。  
 私の体は、もう抵抗の意思を捨てて、ルナの行為を甘受しようとしている。  
「・・よ、ぉ、せっ・・・・」  
 撫でるだけだったルナの手が、優しく揉む動きに変わった。あまり大きくはない胸を寄せ集めるように揉んで、かと  
思えば指先で乳首を転がす。その動きは確実に私の快感を引き出している。  
「・・メノリの胸、柔らかい。ねえ、気持ちいい?」  
 答えるわけにはいかない、答えてしまえば、この行為そのものを認めてしまうことになる。  
「・・・・は・・ぁ、ぁ、ぁっ・・」  
「ふふ、気持ちいいのね。良かった」  
 ち、違う、私は決して気持ちいいわけではない、ただ体が動かないだけで、変な声が漏れてしまうだけで・・・・。  
「・・メノリ・・」  
 
 ルナの右手が、胸から腹まで滑り降りていく。ルナの触れた部分はまるで熱を持ってしまったようにじんじんとして、  
そこから確実に快感が引き出されている。  
 と、ルナの手が腹でも止まらず、服から出てきて、スカートを捲り上げた。  
「・・なっ、ル・・」  
 もはや、抗議の声も出せない。ルナの右手は私の股の付け根を撫でて、白い下着を指でなぞっている。  
 自分の性器から、授業で習ったものが溢れているのが分かる。今まで気付かなかったが、ルナに触れられたせいで  
下着が肌に触れて、濡れている、ということが分かった。  
 妙に温いそれで下着は濡れて、ルナが濡れている部分を執拗に指で擦り上げる。  
「やっ、はぁ、ルナ、よ、よせ、よせっ」  
 感じたことのない大きな波が迫っているのを感じた。胸の奥から焦燥感がせり上げてきて、それ以上の快感が  
爆発しようとしている。  
「・・・・メノリ、イキそう?」  
 ルナの言葉に答える余裕など、もう私にはない。  
 目を閉じて、ルナの行為を鮮明に感じる。舌が耳を撫で、左手が胸を揉みながら乳首を擦り、右手が下着の上から  
割れ目に入り込むように濡れた部分を擦り上げている。  
「ぁ、ルナ、駄目だ、ぁ、ぁ、はぁ、う、あ!」  
 瞬間、溜まりに溜まった快感が爆発するのを、確かに感じた。  
「・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・」  
 硬い息を吐き出すようにして、体中を侵している余韻を外に出す。  
 それでも体の熱は冷めなくて、頭の奥にかかる靄も消えない。まるで霧の中の森に迷い込んでいるようだった。  
「・・イッたみたいね」  
 ルナが呟いて、私の下から這い出てくる。  
 しかし起き上がる気力すらない私は、仰向けで土の上に寝転んだままだ。  
 ルナはそんな私を覗き込み、爛漫な笑みを見せる。  
 
「メノリ、涎が凄いよ。ふふ、舐め取ってあげる」  
 そう言って、ルナが顔を寄せて、唇を重ねる。ルナは無抵抗な私の唇を舌で割って、口内に侵入させてくる。  
卑猥な水音が頭の中で響いた。ルナはそれにも構わず私の舌を絡め取り、私の唾液を吸う。そして自身の唾液も  
送り出してきて、抵抗できない私はそれを飲み込む。  
 ああ、体の中までも犯されていくような快感が、私を襲う。  
 唇を離したルナは、私の涎の跡をなぞるように舌を走らせてから立ち上がり、いつもの笑みを見せる。  
「メノリ、今度は私の部屋に来てね。もっと気持ちよくしてあげるから」  
「・・・・・・・・・・」  
 ルナは私の答えを聞く前に、その場から立ち去ってしまった。  
 しかし・・・・・・聞く必要は、なかったのだろう。  
 ルナの言葉を聞いた時、私は今夜にでもルナの部屋を訪ねようと思って、笑っていたのだから。  
 
          終わり。  
 

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