『ほらカオル、お前も一緒に見ようぜっ』
『・・・・・。』
ハワードとカオルは「みんなの家」の女子部屋にいた。
ハワードが言う視線の先には、ベッドで気持ち良さそうに寝ているルナが見える。
よほど疲れているのか、毛布替わりのシーツも被らずに仰向けのまま無防備に寝ていた。
『今は誰もいないしな、絶好のチャンスだぜ、カオル?』
『・・・・何の話だ?』
『だからさ〜、ルナのスカートの中だよ。お前も気になるだろ?』
『・・・・・・。』
興味があったのは自分だったのに関わらず、ハワードは一人では臆して行動が出来ない為に、カオルを誘っていた。
しかし誘われたカオルは目的を知らされておらず、いつの間にかここに居た。
『毎日毎日あんな短いスカートで動かれちゃ、色んな意味でたまんないんだよなぁっ。なぁカオル? ―・・・・ってオイ!どこ行くんだよ?』
『くだらん・・・一人でやってるんだな』
「ん…んん……。」
『あ、ルナが脚開いたぞ』
『!?』
カオルは一度立ち去ろうとしたものの、ハワードの声にすぐさま反応を示し、ルナが眠るベッドへと視線を移した。
そこには先刻まではしっかりと閉じられていた両脚が開いており、二人の目線からははっきりとスカートの中が見えた。
まさかハワードとカオルに見られているとは夢にも思わず、ルナは気持ち良さそうに眠ったままだ。
『ん・・・?おいカオル、早くどっか行けよ?』
『・・・・ふん。ちょうど此処で釣り針を作ろうと思ったところだ。』
そう言うとカオルは突然釣り針を作り始めた。
『ったく素直じゃねぇなぁ・・・・』
横目でチラチラとルナの方を伺っているカオルを捨て置き、ハワードはルナのベッドへと恐る恐る近づいてゆく。
「すー…。すー……。」
『いつもいつも僕に命令しやがって・・・・・・へへっ 今はカオルが見張ってるし、邪魔は入らない――
ゴガッ!
最後の言葉を吐く瞬間、ハワードの首筋にカオルの手刀が命中し、鈍い音がした。
『か・・・・はッ・・。』
ハワードはベッドの脇に足元から崩れ落ち、意識が飛んでしまったようだ。
『・・・・そこで寝ていろ』
カオルはいつの間にか釣り針を作るのをやめており、そればかりかルナのベッドの上に身を乗り出し始めた。
「ん〜……。すー…すー…。」
『・・・・・・。』
ルナが時折目を覚ましそうになる挙動を気にしながら、カオルはまるで動物を狩る時のように精神を集中させ、周りに気を配った。
風の音、木が揺れる音、極限まで五感を集中させたカオルには、ルナのスカートの中しか見えてなかった。
ベッドの下にはハワードが倒れている、いつ目が覚めるか分からない、やるのは今しか無いとカオルは確信した。
『・・・ゴクッ』
「すー…すー…」
先程のハワードの様に、カオルもまたスカートの中に目をやり、しかし迷うことなく背を丸めてルナの両脚の間へと身を置いた。
『ハァ・・・ハァ・・・・』
どんな強敵に遭っても臆さないカオルだが、こういった敵にはすこぶる弱かった。
どうしていいか分からず、ルナの両脚を開いたままハァハァと息を切らして動けない。
『(どうする・・・どうすればいい・・・!?』
目の前にはいつも遠くから見ていたルナの太ももがあり、その奥には一度も見た事がなかったルナの下着が見えた。
また、寝汗をかいていたのか下着がくい込んでいるのが分かった。
『ハァ・・・ハァ・・・っ』
とにかくどうしていいか分からず、気持ちばかり焦っていたカオルは、何を思ったのかスカートの中に頭から突っ込んだ。
同じスカートでもメノリより密閉性が高いルナのそれは、中に入ることでより体感することが出来た。
中はルナの匂いで充満している。
「ん……んん…。」
カオルが頭を埋めたことで、ルナの両脚はより大きく開く形になっていた。
もはやルナに気付かれまいと気を配る余裕すらカオルには無く、ただ欲望の赴くままに動いている。
『ルナ・・・・っルナ・・・・ッ』
と、ルナの局部に顔を押し付ける姿は端から見たら変態でしか無かったが、今は誰もその事を咎めることは出来ない。
「ん… ぁ…ッ …んん……っ」
ぐりぐりと顔を押し付けている内に、カオルの涎なのかルナの下着から溢れたものなのか、カオルの目の前に見える下着はすっかり液体でぐしょぐしょになっていた。
ルナは起きているのか寝ているのか、それを考える暇も無いほど、カオルは夢中に顔を埋めている。
―その時、横で故意的に寝かされていたハワードが目を覚ました。
『・・・いってて・・・。カオル!お前僕に何かしただろ! ・・・って!?
「お、お前達・・・っここで何をしている……!?」
『『!!?!?!?』』
ハワードが目を覚ますと同時に女子部屋の入り口に立っていたのは、メノリだった。
カオルにとっては遭って欲しくない出来事が連発して起こり、身動きも取れずに固まったままだ。
「んん……あれ?どうしたのメノリ??」
実は起きていたのか寝ていたのか、ルナが目を覚ますとメノリがもの凄い形相で立っており、ハワードがベッドの横でビクビクしているのが見え、ルナはそれを不思議に感じた。
「・・・足元を見ろ、ルナ……」
メノリはこういった出来事に慣れておらず、いつものような毅然とした態度ではなくなっていた。
一番気まずいのは、今まさに太ももに挟まっている人物だったが。
「え……足元…? …か…っ……カオルぅ!?」
『・・・・・!!!』
すっかり固まったまま意識をどこかへ飛ばしていたカオルだったが、ルナに見つかり、現実に連れ戻されてしまった。
こっそりと太ももの間から抜け出すカオル。
「え…と……何してるの…?」
『す、すまないルナ・・・・。ハワードが・・・・。ハワードに、頼まれた・・』
「ハワードが…?」
『ああ・・・・。やらなきゃ俺の秘密を・・・みんなにバラすと脅されて・・・』
ベッドの上に座ったまま、二人は話していた。
ルナはカオルを見つめ、しかしカオルはルナを見ずにどこか遠い目をしている。
「そう…大体話は分かったわ。でもあなたの所為じゃないわ、カオル…」
『ああ、だが俺が悪いんだ・・・。全部俺が―
「いいのよカオル……もうそれ以上自分を責めないで…」
『すまないルナ・・・。俺は・・・どうしてあの時ハワードの口車に乗ったんだって・・・ 俺があの時ハワードの言う事さえ聞かなければ・・・っ!もしかしたら俺は無意識の内に頭を・・・埋めて・・・。くっ・・・・う・・・ッ!』
「カオル……。」
そう言うとカオルはベッドに両手を叩き付けて悔しがり、ルナにしか見えない体勢のまま、目から涙を流した。
『は!? ちょ・・・カオルお前さっきから何言ってんだよ! なんか言ってること滅茶苦茶だろ!おいカオ―
「お前はこっちに来いっ。 たっぷり…お仕置きしてやるからな」
『パ・・・っパパァ〜〜〜ぁっ!!!』
―その後、ハワードの処遇がどうなったかは、定かではない。
完