「みんなの家」は出来たが、今度は食料を集めなければならない。
その日、カオルとペアを組んだのはシャアラだった。
「いかん、雨が降る。いったんあそこで休もう」
食料を集めている最中悪天候に遭ったふたりは手近にあった洞穴に逃げ込む。
あっという間の土砂降りで辿り着く前にずぶ濡れになったふたりだったが、どうにか一息つくことが出来た。
「幸い奥に枯れ木の山があった。これを燃やして暖をとろう。寒くないか、シャアラ?」
「(ええ、ムッツリニンジャさん。)大丈夫よ」
「(なんだ今の妙な間は)そうか。待っていろ」
パイロットの習得課程にサヴァイヴァル訓練でもあったのかカオルはあっという間に火種を作り出し、重ねておいた枯れ木に火をつける。
ふたりはしばらく無言で火に当たっていたが、やがてカオルが重い口を開いた。
「シャアラ、やはり濡れた服を着たまま乾かすのは体によくない。俺はこのままで平気だから後ろを向いている。その間に服を脱いで体も温めろ」
「(ムッツリニンジャ改めムッツリスケベさん、)分かったわ」
「おいシャアラ、お前俺に変な名前付けて呼んでないか?!」
「ううん、気のせいよ」
涼しい顔でウソをつくシャアラに釈然としないままカオルは後ろを向く。
一方シャアラは忠告に従い服を脱いで火にあたった。
「ふう。いやあ、ずいぶん髪が乱れちゃったなあ」
そんなことを棒読み口調で言いながらカオルはコンパクトを出して開き、中を覗く。無論鏡に映すのは自分の髪の毛ではなかった。
(ふふ、くつろいでいるなシャアラ。どれ、どんな下着を着てるか・・・・・・・・あれ、下着が見えない?)
見えないのも道理、なんとシャアラはすっぽんぽんだった。
(こ、これは! サクランボがふたっつ! アワビがいっこ・・・・・・・)
「失礼ね、せめて桜貝と言って」
カオルの心のセリフになぜかツッコミを入れ、シャアラは平然と火にあたり続ける。
盗み見ばかりか心の中までばれていては仕方がない。カオルは火に向き直り、全裸のシャアラに相対した。
「んcいふぉえvgう゛ぉtrg(シャアラ、なぜきみはスッポンポンなんだ)」
「まだ動揺してるのね。セリフが文字化けしてるわよ」
「む・・・・・・・・・わが心空なり。柿が生る鳴る法隆寺・・・・・・・・ふー、すーっとしたぜ」
「落ち着いた? じゃあしようか」
「な、なにをだ?!」
「セックスに決まってるじゃない。若い男女が暗いところでふたりきり、濡れた身体を火で火照らせて、欲情に濡れる瞳と瞳。これでお○んこしないなんて、ひろゆきさんと最高裁が許してもエロパロ板では許されないわ!」
「そ、そうか(ひろゆきさんて、だれ?)。では遠慮なく」
すっくと立ったカオルは素晴らしいジャンプをし、シャアラめざして放物線を描き落下していく。
その過程で服が一枚一枚脱げ、落下点では全裸になる。カオルはルパンダイブ≠フ免許皆伝者であった。
「ふぅ〜じこ・・・・いや、シャ〜〜アラちゃ〜〜ん!」
「いや〜〜ん!」
ちっともイヤそうでない声で叫んだシャアラは両手を広げ、カオルを迎える。
そしてふたりは重なり合った。
「キミの瞳に、乾杯」
「わたし、初めてなの。優しくしてね」
セックスだのお○んこだの口にしたあげく股をがばっと広げ「ヘイ、カモン!」とばかりにカオルに抱きついたシャアラはそう白々しく言って頬を染める。
(処女と少女と娼婦に淑女・・・・・・・・・)
カオルの脳裏にはそんなフレーズと共にヒロミ・ゴーの華麗なステップが乱舞した。
BGMには「美女と野獣」が似合ったかもしれない。だがふたりは期せずして「酒と涙と男と女」を同時にハミングしていた。
「可愛い胸だね」
「いやぁん、馬鹿」
「こんなに小さな穴にぼくのが入るんだよ」
「いやん、そこはおヘソなのぉ」
キクゾウ師匠リスペクトな愛撫も終わり、いよいよ本番である。
「いくよ」
「き、きて!」
さすがにここまで来るとシャアラの頬も期待と興奮で赤らみ、受け入れ態勢は完璧だ。
そして叫んだ。
「ファイトぉーっ!!」
「いっぱぁーつっ!!」
シャアラの気合いにカオルも気合いで答え、股間のサターンロケットにも気合いがみなぎる。
射出角の調整も終え、発進は秒読み段階だった。
「シャアラ!」
「カオル!」
―とくべつ〜なてぇがみぃ〜―
「あれは! しまった!!」
「どうしたの?」
「エンディングだ! ここまで時間が掛かりすぎた!」
「そんなあ〜〜!」
―どこまーでぇーもーつーづぅいーてーくすとぉ〜りぃーこーのままぁー―
「ど、どうすればいいの?!」
「今は再放送だから、ハッチポッチステーションになだれ込んで人形たちの後ろに隠れるんだ! グッチさんなら分かってくれる!」
「ああ、刻がみえる・・・・・・・」
−劇終−