「ねぇ・・・メノリ?」  
「?なんだ?ルナ・・」  
「昨日泣いてたわよね?・・・何があったの?」  
ルナは椅子に座るメノリに優しく問いかける。  
「・・・いや、なんでもない・・・気にするな。」  
メノリはルナに昨日のことを突然問いかけられ、其のときの事を思い出してしまった。  
「そう・・・何かあったら・・・すぐ相談してよね??」  
「ありがとう!ルナ!」  
昨日のことを思い出し少しばかり頭が痛むがルナの優しさに心が和みニコッと笑み浮かべ礼を言う  
「じゃぁ、私はもう下に戻るわね!」  
「ああ。」  
 
ルナがいなくなりその場が静かになる。メノリは女子部屋から持ってきたバイオリンのケースを開き、  
弓に松脂を塗り始める。  
「今日は・・・静かだな・・・」  
  タッ・・・  
突然足音がし、メノリは驚き辺りを見回す。  
「メノリっ!」  
「・・・なんだ、アダムか・・・どうした?」  
「バイオリン・・・弾くの?」  
「ああ。聞きに来たのか・・・」  
「うん!あと・・・ハワー・・」  
「メノリ・・・」  
アダムが話す途中にメノリの今一番会いたくない人物が現われた。  
「カオル・・・!な、何しに来た・・・」  
「昨日のことなんだが・・・」  
カオルはゆっくりと口を動かす。  
「ドもいるんだけどなぁ・・・」  
アダムは言いかけた言葉を途中からしゃべりだす。  
「あれぇっ・・・いない・・・呼んでこよっと・・・」  
アダムはボソッと言い残すが二人にはきこえてはいなかった。  
 
「何だ?さっさと言え・・・」  
メノリは相手の目も見ず顔も方向を変えた。  
「・・・その・・悪かった・・・」  
一方カオルは真剣な様子で相手をしっかりと見、申し訳なさそうな表情で謝る。  
 
 
 
アダムとはいうと、ハワードを見つけ、メノリのいる場所へと向かった。  
「・・・うわっ!アダム!引っ張るなよー!」  
「はやくぅぅ!メノリがバイオリン弾くんだから・・・  
ハワードも、メノリのバイオリン好きなんでしょ・・・??」  
アダムは無邪気な表情浮かべ嬉しそうにハワードを引っ張る。  
「・・・んー・・・まぁ、引っ張るなって・・」  
アダムとハワードはメノリのいる場所へと着いた。  
すると・・・  
「ふざけるなっ!!私が・・・私があんなこと望んでいたとでも思っているのか!!?」  
「・・・本当にすまない・・・」  
メノリは怒鳴っていた。が、涙があふれていた。  
「おぃ、アダム・・・なな、何だよ・・・この雰囲気・・・」  
ハワードがこそっと言う。  
ハワードとアダムはメノリの怒鳴り声がきこえたと同時に二人から見えないところに隠れていたのだ。  
「わ・・・わかんない・・・メノリ・・・泣いてる・・・」  
「はぁ?またかよ・・・暫く様子を見とこうぜ・・・」  
 
「謝ってすむか!?あんなこと・・・冗談じゃないっ・・・っ」  
メノリはその場にしゃがみこみ、何度も何度も涙を拭う。  
「・・・メノリ・・・ホントにごめん・・・悪かった・・・!」  
さすがのカオルも気まずそうな顔をし、ただ謝ることしかできなかった。  
「俺も・・・自分が何をしてしまったか・・・わかってる・・・本当に馬鹿なことをしたっ・・・」  
「お前に・・・っ何がわかるっ・・・っ・・・ぅっ・・」  
メノリの涙は止まらない。  
 
「カオルのやつ・・・あのメノリをあそこまで泣かせるなんて・・・いったい何をしたんだぁ?」  
ハワードは気まずさの中、その場でそわそわしながら見ていた。  
「・・・メノリ・・・っ」  
「ぅわ!アダムッ!?」  
アダムは突然メノリのもとへと駆け寄った。  
「・・・アダム?!」  
「・・・・・・・」  
「メノリィ・・・どうして泣いてるの・・・?僕も悲しい・・・」  
「・・・アダム・・・私なんかのことで泣くな・・・」  
言うとメノリはアダムを優しく抱き寄せる。  
「・・・ぅわぁっ・・メノリィ・・・ひっく・・・」  
「・・・・お前は優しいな・・・っ」  
メノリは先ほどよりは落ち着いてきた。  
「カオル!!」  
「・・・?」  
メノリはカオルの名前を呼ぶとキッと睨みつけ  
「・・・お前には本当に呆れた・・・っ。もう・・・私にかかわらないでくれ・・・」  
「・・・・・・・・・っ・・本当に・・・悪かった・・・」  
「もう、いい。お前なんか・・・知らない」  
 
言うとメノリはバイオリンを片付け、アダムと手をつないだまま下へ向かおうとする。  
アダムは、心配そうな顔で振り返り、カオルを見つめる。  
 
「お・・・おい。メノリ!」  
「ハ・・・ハワード・・・」  
「な・・・お前・・・」  
「さっきのずっと聞いてたぞ・・・?何があったんだよっ」  
ハワードは人の心配をすることはなかなかないのでめったに言わないような  
言葉を口にし少し恥ずかしそうに口を尖らせて言う。  
「なんでもないっっ!!」  
「・・・なんでもなくないだろ!?い・・・いつも偉そうにしてるお前が・・・泣いてるなんてさ!!」  
「な・・・心配してるのか・・・?」  
「んなぁぁぁ!!!?ち・・・ちげぇーよ!そんなんじゃねぇ・・・!」  
「・・・相変わらず口が悪いんだな!お前は・・」  
暫くその場が静かになる。  
「・・・ホントは・・・ちょっと心配してるけど・・・!ちょ・・ちょっとだけだからな!?」  
「・・・・ふ・・・あははっ」  
「!?んあーー!?何だよっ!?」  
ハワードは一気に赤面した。  
「・・・やっぱりお前は可笑しい・・・っ」  
「・・・ったく・・・」  
「・・・馬鹿だな!」  
「!?なんだとっ!!!もう一回言ってみろよ!!」  
「あははっ・・・!」  
「ちぇ・・・」  
ハワードは半分わけのわからないまま口を尖らせる。  
「・・・でもよ・・カオルと何があったのかは・・・知らないけど・・・  
なんかあったら言えよ?」  
ハワードは恥ずかしそうに言う。  
「ぷぷっ・・・ハワードにか?」  
「おまっ・・・人がせっかく・・・!!」  
「キレてる暇があるなら仕事をしろ!」  
メノリはすっかり落ち着き、暫くハワードをからかっていた。  
 
 
一方のカオルは、頭を抱えていた。自分はどうすればいいのかと・・・  
また、大切な人をなくしてしまうのではないかと・・・  
 
 
次の日の朝  
「・・・ルナ。話がある・・・」  
「カオル?どうしたの?」  
「・・・・メノリと一緒に仕事をしたいんだが・・・」  
「・・・カオル!?もしかして・・・」  
ルナは相手の意外な発言にびっくりするが、にやりと怪しい笑み浮かべ。  
「ちがう!そんなことではない・・・で、いいのか?」  
「あははっ・・・ごめんごめん!ふふっ・・いいわよ?でもイキナリどしたの?」  
「狽「や・・・ちょっと・・・喧嘩してしまったから・・仲をもどしたいと思い・・・」  
「・・・ふーん。がんばってね!」  
 
こうしてカオルはメノリと同じ仕事についた。と言っても、メノリがカオルを手伝うことになった。  
「・・・・・・・」  
「・・・・・・;」  
案の定二人(特にメノリ)の雰囲気は最悪だった。  
「ねぇ、ルナ・・・あの二人・・・;大丈夫かしら?」  
シャアラが心配そうな顔をしルナに問いかける  
「・・・う・・・うん。たぶん二人ともしっかりしてるから大丈夫よ;はは・・」  
「ん・・・ハワード?どうしたの?」  
シンゴが一人浮かない顔をしているハワードのようすに気付き問う。  
「・・・・なんでもねぇよ。」  
「お前・・・妬いてるンとちゃうか!?」  
一同「・・・ぶはぁぁぁっ!!あははっ!!!」  
「!!!!!!なんだとぉぉぉぉ!!!そんなことあるわけないだろがぁぁ!!」  
「・・・・ふん、馬鹿馬鹿しい・・」  
メノリは尚も不機嫌そうな顔をする。  
「・・・;」  
「ま、みんなそろそろ作業開始よ!今日もがんばろー!」  
ルナは雰囲気を戻そうと、元気良く声をだした。  
 
 
早速カオルとメノリは川まで歩いてきた  
「メノリ大丈夫か・・・」  
そこは足場が悪かったためカオルはメノリを心配して手を差し伸べ、相手の手に触れた。  
「・・・・私に触るな!」  
メノリは相手をきつく睨みカオルの手をはらった。  
「・・・悪い。」  
 
暫く時間はたった。  
メノリは暫く黙ったままただボーっと川の流れだけをみていた。  
「・・・・メノリ・・・本当に・・ごめんな?」  
「・・・・・・カオル」  
「暇・・・だな」  
怒っていたであろう相手の様子が変化したのに気付きカオルは少しほっとする。  
「・・・ゆ・・・許してくれるのか?」  
「・・・許さん・・・でも私もずっとこのままの雰囲気でいるのは辛いからな・・・」  
「・・・ありがと・・・な」  
「で・も!許してはないから安心するなよ?」  
メノリは恥かしかったのか相手に顔が見えないようにそっぽを向く。  
「・・・よかった・・・」  
「だーかーらー・・・ふっ。」  
 
 
とりあえず、二人の仲は少しずつではあるが戻っていった。  
 
 
それぞれの仕事が終わり、カオルとメノリは一緒に歩いてみんなのいる場所へとむかった。  
「・・・っ。カオルっ・・・お前・・いつもこんな重いものを持って帰ってきてるんだな・・」  
「重そうだな・・・大丈夫か?俺・・・持つよ。」  
二人は大量の魚がはいる籠を持ちながら歩いていた。  
「いや、いい。今日は私ほとんど何もしてなかったしな・・・っうわ!」  
メノリは言い終わると石ころに躓き倒れそうになったが、カオルがしっかりとメノリを肩を支えた。  
「!・・・ホントに大丈夫か?」  
「・・・わ・・・悪いっ!気をつける、大丈夫だ・・・」  
「そうか・・・もうすぐでつくから」  
「ああ」  
 
 
 
「あ!カオルー!メノリーー!お帰り!!」  
アダムが二人を嬉しそうに迎える。  
ついたと同時に、メノリは疲れたと言わんばかりにその場に跪く。  
「すごい!カオル、メノリ!」  
ルナが二人の今日の収穫を見驚いた。  
 
「カオル・・・今日は迷惑かけてすまなかった。けど、いろいろ助けてくれてありがとな?」  
メノリは恥かしそうに最後のほうボソッと言う。  
「・・・全然大丈夫だ。気にするな。」  
カオルもらしくなく頬を赤く染め、それを誰にも見られないように下を向く。  
「良かったわね!カオル!」  
「・・・」  
 
一同はほっとし、夕食の準備を始めた。  
 
夕食の準備がおわり、一同は席につき食事を始める。  
「・・・なんかハワード機嫌悪くないか?」  
ベルが隣にいるシンゴに小さい声で話しかける。  
「あははっ!やっぱり妬いてるんだよー!ハワードはメノリのことが好きなんだってば・・・」  
シンゴはほらね!と今朝のことを思い出し、笑う。  
それにつられて、シャアラやチャコにも聞こえていたのか、クスクス笑い出す。  
 
「・・・ハワード、どうした?食が進まないようだが・・・おまえらしくないな?」  
「別に・・・そんなこたぁねーよ!」  
「そんなことある!どうした?」  
「・・・うっ?!」  
「・・・?」  
「食えばいいんだろ!?食えば!!」  
言うとハワードはがつがつと食べ始めた。  
「ハワード!・・・行儀が悪い・・・」  
メノリはハワードを叱るが相手の様子が可笑しくて、笑いそうになる。  
「ふぅーーーーん!」  
ハワードが偉そうに声を出すと、一同はまた大声でわらいだす。  
 
こうして、今日もいつものように無人島生活の夜が更けていった。  
 
 

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