久しぶりにアイツの顔が見たくなった。
「ん…メールか…」メノリは携帯にメールが入っていることに気づいた。
普段メールなんて仕事の関係で何通もくるものだったが、この日のこの時はなにか違う感じがしたのだろうか、ふいに声に出していた。
「…!ハワード……懐かしいな…暫くあってもいないしメールもしていなかったからな…」
誰からのメールなのかを確認すると内容を読み始めた。
『久しぶりだな。この前学生時代の友人とあってな、昔の話をしてたらあのときの事思い出してしまった。そしたらなぁーんか無性にお前らが懐かしくなって…会いたくなってきた
』
「…ふん、ハワードのやつ。久しぶりに何かと思ったら……。
はぁ!?」
『だから今から会いに行くから家の鍵あけてろよな?こんなじかんだし、もう家にいるんだろ!』
「何をいってるんだ、アイツは…それに何故に私なんだ!?カオルやシンゴ、ベルならわかるが…まったく」
メノリがそうこう考えているうちに時間は刻々と過ぎていった。
ピンポーン
「!!…まさか」
メノリは恐る恐るインターホンにうつる人物を確かめた。
ピンポーン…ピンポンピンポンっ……
「…ハワード…だな」
メノリは未だに子供じみたことをする相手に呆れながらも部屋に入れようか入れまいか迷っていた。
だが、インターホンにうつるこの男はいじけてしまうだろうと思ったのと、もしダメといったら「せっかくこの僕がきてやったのに」なんて無駄口をたたくにきまっているだろうと思いしょうがないのでインターホンではあるが相手の応答に答えた。
「…なんだ?こんな時間に…」メノリは明らかに嫌そうな態度で接した。
「なんだはないだろう!?…せっかくこのハワード様がきてやったんだ!…なかにいれろよ。」
「…しょうがない。ちょっと話すだけだぞ?」
メノリは明日は仕事が無いことを確認し許可した。
がちゃっ
「よっ!久しぶりだな?随分女らしくなったんだなぁ?」
「…ハワード。お前はあの頃からまったく変わらないんだな。」
メノリは呆れてはいたが、ハワードの様子をみて元気そうにやってるんだなと安心し、どこか懐かしい感じがしてかるく微笑んだ。
そんなメノリの表情を見てしまったハワードは不思議そうな顔をする。
「…メールに書いてあるとおりだけど、急にあいたくなってよ!ちょっと迷惑かもって思ったがきてしまったよ。」
「そうか…で、なんで私なんだ?」
メノリは今一番なぞに思っていたことを口に出した。
「…はぁ?別にいいじゃないか…んなこと。」
「なんだ?余計きになるではないか…」
「どうせ…い、言わなきゃいけないんだろうな…っははっ。だから言うけど…」
「……?」
「いやぁー…あんまり言いたくないがあの頃一番お前に世話になってたからな。一番怒鳴られたし、喧嘩したしなぁ?…ははっ…」
ハワードは普段口に出さないようなセリフを吐き恥ずかしい気持ちでいっぱいになっていた。
「ぷっ……」
メノリは不覚にも吹き出してしまった。
「!?わらったな!?僕がどんな気持ちで…っ」
「あははっ…悪い、お前らしくないと思ってな。まぁ、とりあえずそこに座ってくれ。…ちょうど良いワインがあるんだ。いれてくるから…」
「…ん。うぅん?まった!ビールとかはないのかよ?」
「お前も有力者の息子の割には庶民的なものを好むんだな。」
「も?…いやいや、そういうわけではないっつーの」
「まぁ、良い。ビールならあるぞ。」
この日二人はあの頃の思い出話に没頭していた。あの頃のすべてを、始まりから終わったときのことまで語ってしまうくらい盛り上がっていた。
「…アダム…元気にやっているだろうか。」
「…アイツにもあいてぇなぁ」
「ああ。今度はあのときのメンバー全員であの頃を語りたいなぁ」
メノリも普段とは違った表情で、仕事の疲れから開放されているような感じでもあった。
「…そうだなぁ?」
そろそろハワードも酔ってきたのだろうか。メノリはアルコールは程ほどにしているため酔うことなどなかったがハワードの顔は明らかに酒に酔っているような顔であった。
「ハワード…お前、大丈夫か?…まったく。」
「メノリー…お前、好きだぁー」
「はぁ!?」
メノリは突然のハワードの発言に目を丸くした。
「何を言っているんだお前は…」
「好きだーーっていってんの!!わかんないかよ!?」
「わっ…」
ハワードは言うと同時にメノリを床へ押し倒した。