「眠れないな………」  
ぽつりとそう呟くと  
メノリは大きな溜息をついた。  
(さて…どうしたものか………)  
体を横で寝ているルナ達に向けると  
すーすーと心地良い寝息がメノリの耳に伝わってきた。  
(寝てしまったのか…)  
いつもなら、遅くまで起きている筈の友人達  
メノリが寝付いた後もきゃぁ、きゃぁとたわいもない  
お喋りをしては笑い合うのが彼女達の日課だった。  
話の輪の中にメノリが加わる事もあるが  
それは極稀な事だ。  
大抵、疲れて先に眠ってしまうのがオチだった。  
だが、今日の彼女達はお喋りもする事もなく  
すぐに寝入ってしまった。  
(起きているなら話でも…と思ったんだが…)  
隣に寝ているシャアラの顔を覗き込むと  
気持ち良さそうに寝入っているシャアラの顔が  
メノリの視界に写った。  
「ふふ…気持ち良さそうに寝ているな………」  
そっと、シャアラの頬に触れる。  
触れた瞬間、くすぐったかったのだろうか  
シャアラは身を軽くよじった。  
(おっと…起こしてしまっては可哀相だな)  
慌てて頬から手を離す。  
手に残ったシャアラの温もりは  
メノリの頬を赤面させるには十分なモノだった。  
「馬鹿馬鹿しい…何に照れてると言うのだ…私は………」  
赤く染まった自分の頬を元に戻そうと  
必死に冷静を装うが  
頬の赤みは一向に収まりそうにない。  
「頭でも冷やしに行くか………」  
起き上がり、身支度を軽く整えると  
視界に乱れたルナの毛布が飛び込んできた。  
「相変わらず…寝相が悪いんだな………」  
苦笑いしながらも、メノリは毛布を掛けなおしてやる。  
その顔に嫌悪の色はない。心なしか楽しそうに見えた。  
乱れた毛布を掛けなおしてやるとメノリは  
ルナとシャアラを起こさない様に小さな声で  
「行ってきます」と呟くと  
テントを後にした。  
 
暗い森の中をメノリは歩いていく。  
初めは薄気味悪いとさえ感じた  
梟の鳴き声も次第に慣れていった。  
(慣れとは言うのは怖いものだな………)  
地球から離れてどれ位経つのだろう。  
初めの頃に覚えた戸惑いが  
今となってはすんなり受け入れている  
自分がいる。  
地球以外の星にいるという現実が  
メノリを麻痺させているのだろうか?  
(私も変わったものだな………)  
自分でも融通のきかない頑固者だとメノリは自覚していた。  
正義感が強く曲がった事が許せない性質だけに  
最初の頃は仲間達とも衝突が絶えなかった。  
地球にいる頃もメノリは己の性質を分かっているがゆえに  
人のとの交流をなるべく避けてきた。  
いや、避けてきたと言うよりも  
避けらず負えなかったと言う所だろう。  
幼い頃から、他の子が遊んでいるのを尻目に  
メノリは習い事や勉強に追われていた。  
他の子達と遊びたいと気持ちはあったが  
父親がそれを許さなかった。  
メノリがそれに反発する事はなかった。  
頑張って勉強や習い事をすれば  
父親が褒めてくれるからだ。  
メノリはそれが嬉しくてたまらなかった。  
だから、必死に勉強や習い事に励んだ。  
「良くやった、メノリ…」  
その一言が聞きたいが為に自分の時間を  
削ってまで彼女は勉学に身を捧げた。  
そんな自分を空しいと思った事はあるものの  
決って浮かんでくる言葉は  
「決して他人に弱さを見せるな、メノリ」  
幼い頃には理解出来なかった言葉の意味も  
段々と成長するにしれ  
嫌と言う程メノリを縛り付けた。  
弱さを見せないが為に人に心を開くのを拒む様になっていった。  
それで誤解を受ける事もしばしあったが  
メノリがそれを気にする事はなかった。  
それ程、メノリの心は冷え切っていたのだ。  
氷の塊の様に硬く…凍り付いていた。  
笑う事もなく、泣くこともなく…  
硬く閉ざしたままだった。  
それを救ったのがルナ達だった。  
ルナ達との生活がメノリを変えたいったのだ。  
ルナ達が特別メノリに何かをした訳ではない。  
ただ、彼女達と過ごす日々が少しずつ…  
少しずつではあるが…メノリの氷の様に凍り付いてしまった心を  
溶かしていった。  
仲間達との談笑にも声を立てて笑う様になった。  
回数こそ少ないものの  
地球にいた頃のメノリからは考えられない姿だった。  
(これ以上奥に行くのは危険だな…)  
昼間明るかった筈の漆黒の闇に覆われている。  
辺りを照らすのは月夜の明かりだけ…  
昼間ならともかく、夜に一人で森の奥に進むのはあまり褒められたものではない。  
それに、今はメノリ一人だ。  
 
「ここで休むとするか…」  
メノリは目の前にある大きめの岩に腰掛けた。  
ひんやりとした感触が妙に心地良い。  
「あっ………」  
ふと、手を見る。  
さっきまでは忘れていたシャアラの温もりを思い出したのだろう。  
あっと言う間にメノリの顔は真っ赤に染まった。  
別にメノリがシャアラに恋をしている訳でも  
メノリにその気がある訳でもない。  
寝ているシャアラの頬を触ると言う  
背徳感がメノリの頬を染めたのだ。  
厳格な家で育ったメノリにとって  
背徳感は何とも言えないものだった。  
それを犯してしまったのだと言う自覚が  
メノリの自身を更に高揚させる。  
気を紛らわそうと必死で何か他の事を考えようにも  
頭の中に浮かんでくるのは口にするのも  
恥かしい事ばかり  
(駄目だ…我慢出来そうにない…)  
「誰も見ていないよな………」  
メノリは辺りを見回す。  
こんな夜の森にメノリ以外の誰かがいる訳もなく  
メノリの心配は杞憂に終わった。  
(大丈夫の様だな………)  
「んっ!!!」  
高まる気持ちを抑えつつ  
そっと手をショーツの方に持っていくと  
そこをなぞった。  
軽くではあったが、想像以上の痺れがメノリの体に走った。  
 
 
続く  
 

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