冬の近づいていたある日、迫り来る冬に備える為その日は皆食糧集めに精を出し  
…気が付いたらアダムの姿が見えなくなっていた。  
 
「アダムー!」「アーダームー!」  
 
皆が方々を捜す中森を捜していたルナは前方からフラフラと歩いてくるアダムを見つけた。  
 
「もう、何処に行ってたのアダム、皆心配してたのよ…あら?」  
 
見ればアダムの顔が赤い、赤いどころか真っ赤になっていた。  
 
「ど、どうしたのアダム?まさか熱でも…」  
「ルナー!大好きー!」  
 
突如ルナ目駆けてアダムが飛び掛かりキスの雨を降らせ始める。  
 
「ちょっちょっとやめてアダム! !? お酒臭い!?一体何処から…」  
 
「見つかったのか?」  
 
騒ぎを聞き付けてメノリがやって来た。  
 
「メノリも大好きー!」  
「うわっ!?こっこらっよさんかアダム!」  
 
更に騒ぎを聞き付けて皆が集まって来るが、アダムはそこへ片っ端から飛び掛かっていった。  
 
「シャアラも大好きー!」  
「キャアッ!?や、やめてぇアダム!」  
 
「シンゴも大好きー!」  
「や、やめてよアダム!」  
「チャコも大好きー!」  
「や、やめぃやアダム!」  
 
「カオルも大好きー!」  
「よっよさないか!」  
 
「ハワードもちょっとだけ好きー!」  
「なんで僕だけ…」  
 
「ベルもー!…届かないー!」  
「おっ落ち着いて、アダム」  
 
皆に満遍なくキスの雨を降らせるとコテン、とひっくりかえり、そのままアダムはスヤスヤと眠り込んでしまった。  
 
「一体、どうなってるんだ」  
 
アダムの唾でベトベトになった顔を拭いながらメノリが言った。  
 
「お酒の臭いがしていた様だけど…」  
「酒ぇ?そんなモノどぉこにあるんだよぅ!」  
「それは…」  
「原因はこれだな」  
 
カオルが竹のコップを差し出した。  
 
「これは…まさか猿酒か?」  
「猿酒?」  
「果物等が木の空に落ちて醗酵してアルコールが発生したものだ、実際見るのは初めてだが…」  
「森の木の空にこれが溜まっていた」  
「アダムはこれを飲んじゃったんだね」  
 
「チャコ、アダムの具合、どう?」  
 
猿酒と聞いてからアダムの体をスキャンしていたチャコが答えた。  
 
「ああ、大丈夫やアルコールの血中濃度もそんなに高くないし、急性アルコール中毒の心配は無さそうや。  
おそらく、飲んだのは一口だけだったんやろ、  
ただな、二日酔いになる可能性あるかもしれへんけどな」  
 
「それは仕方がないだろう」  
 
「おぉや?メノリ、顔が赤いぞ?」  
「もしかしてメノリも酔ったの?」  
「じゃあメノリも皆にキスして回るのか?」  
「回るかっ!」  
 
ベルがアダムを抱き上げてベッドまで運び、その日の騒動はそれで終わった。  
 
 
翌朝  
 
「気持ち悪いよ〜頭が痛いよ〜」  
 
三歳にして酒の味と二日酔いの苦しみを知ってしまったアダム、後に大酒飲みになったとかならないとか…。  
 
おしまい  
 

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