(前から細かったが…)  
ルナのベッドに彼女を横たえ、カオルはしみじみと見下ろした。  
ここは地球、窓からの月明かりがルナの体を照らしている。  
あの頃より背が高くなったぶん、ルナの腰回りはより華奢に見える。  
胸はあるかなきかの微乳だが、カオルにはそれがうれしかった。  
 
「ん…」  
左胸に顔を埋めたカオルの頭を、ルナはそっと抱き締めた。  
カオルの舌に弄ばれて、痒いような熱いような感覚が広がっていく。  
散々髪を乱してからルナはカオルの汗ばんだ体に手を滑らせ、  
反り返るように充血したカオルの性器にそっと手を触れた。  
(大人になったんだね、カオル…)  
 
「あっー」  
唐突な刺激にカオルは呻いた。  
ルナの細い指がからみつき、無遠慮にしごいているのだ。  
「ちょ、待…」  
「だめ?」  
ルナは上目遣いで見上げると、体を起こした。  
そのままカオルに抱きつき、押し倒していく。  
「だってわたし、もう我慢できないよ…」  
ルナは仰向けのカオルにまたがり、そして腰を落とした。  
 
「うっ!」  
熱く湿った粘膜に一気に絡みつかれてカオルは思わず腰を引いた。  
「逃げないで、カオル」  
ルナは身を反らせるようにしてより深く腰を沈めてくる。  
根元まで飲み込むと、ルナは満足そうに少し身をよじった。  
「うあっ!」  
ルナの胎内にキュウッと絞りあげられる。  
カオルは身を反らせるようにして四肢に力を入れ、  
シーツを握りしめて射精の衝動に耐えた。  
 
地球の旧パリにある空港でルナに会ったのは数時間前だ。  
久しぶりに見るルナは以前と変わらぬ青い瞳、  
変わらぬ笑顔でカオルをまっすぐに見つめている。  
(写真よりずっときれいだ)  
そのとき、カオルの心にふっと焦りが生まれた。  
次はいつ会えるかわからない。自分には今夜しかない。  
だから部屋に招かれてすぐ、腰を引き寄せて唇を奪った。  
 
「ああっ!」  
ようやく胎内にカオルを捕らえて、ルナは震えた。  
カオルの血管が膨張し脈打つのまで感じている気がする。  
(ああ、変な気持ち。でもすごくいい気持ちがする)  
「カオル、大好きだよ」  
「え?」  
意外そうなカオルの顔を見て少し悲しくなったけれど、  
それでも微笑んで素直に言った。  
「大好きだよ、あの頃からずっと。カオルだけ」  
 
月明かりに浮かぶカオルの驚いた顔を見ていられなくて、  
ルナは目を閉じ、そっと胎内のカオルを抱きしめた。  
ひさしぶりに会ったカオルは穏やかな大人の男性に成長していたが、  
その瞳の奥には以前と変わらぬ強さと優しさがちゃんとある。  
あの後、カオルが再び転校でルナの前から去ってから  
ルナは自分がカオルに恋していたことに気付いたのだった。  
「大好きだよ、あの頃からずっと。カオルだけ」  
月明かりに涙が光る。  
「ずっと、こうしたかった」  
 
「きゃっ」  
急にベッドが揺れだし、ルナは声を上げた。  
カオルが下から突き上げ始めたのだ。  
「あっ、あっ、ぐっ…、あんっ!」  
血管や凹凸が粘膜を刺激し、先端が奥を突く。  
「んっ、あっ、あっ、あっ」  
スプリングのせいで動きがリズミカルになっていく。  
ルナ自身も意識せず腰を使っているのかもしれない。  
頭の芯がぼうっとしてよく分からなかった。  
 
「俺も」  
「え? あっ、んっ、んんっ」  
「俺もルナが好きだっ!」  
カオルは再会してからずっとつけていた仮面をかなぐりすてて叫んだ。  
「好きじゃなくてあんなことするか!」  
「うあっ、あっ、あっ、カオルっ」  
 
カオルは上半身を起こすとルナの足を肩にかけて再び組み敷いた。  
「ああっ!」  
その拍子に先端が奥を圧迫し、ルナは喘いで身をよじる。  
カオルは彼女の細い腰をしっかり掴むと、そこに釘付けにするように  
大きく、早く腰をグラインドさせた。  
正体をなくしたルナはシーツを握りしめ、ただカオルの名を呼ぶ。  
カオルはルナの肩を握りしめ、懸命に耐えていたが、  
「ルナ、もう出る…っ」  
「あっ、あっ、うん」  
「くっ、出るよっ」  
「うん、あっ、あっ、あたしもっ」  
「うっ」  
 
カオルは射精の鋭い快感を感じながら絞り出すように腰を動かした。  
抜かないと、抜かないとと思いながらも腰が引けない。  
ルナの足が腰に絡み付いてきつく抱きしめていた。  
最後はぐっと腰を押し付けて子宮にねじこむようになった。  
 
ルナはフッと天井が落ちてくるような感覚を味わった。  
カオルの性器が動きながら熱い何かを吐き出している。  
その腰が引けていくのを感じ、意識せずに脚でからめとっていた。  
体が弓なりになり、体の中心から解放感が広がっていく。  
白い天井が近くなるのを感じて意識が遠のいた。  
 
 
「ルナ、ルナ」  
ゆっくりと目を開けると、白い月がぼんやりと見えた。  
それから、逆光の中にカオルの顔が浮かぶ。  
「カオル」  
頬に触る。本当にここにいる。  
「ルナ、平気だった?」  
「うん」  
カオルの黒い髪に指を入れてゆっくりとなでる。  
 
ルナの瞳が夜空を映して暗く輝いている。  
カオルはサヴァイブで過ごした最後の夜を思い出した。  
思えば、あの時から今夜のことは決まっていたのかもしれない。  
サヴァイブでも、ルナの瞳は夜空の色に染まっていた。  
 
「カオル、笑ってる」  
「君の写真を見る時は、いつもこんな顔だよ」  
 
 

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