忙しいのはお互いだ。それでも一ヶ月に一度二度程度しか会えないのであれ  
ば、それではちょっと苛々も溜まるというもの。  
「――お前はそればかりだな」  
 メノリはそう呟いて、ハワードの髪をくしゃくしゃと撫でる。セットにどれ  
だけ時間が掛かってると思ってる、そう言おうとしたけれどやめた。  
 ハワードは有名アクター。メノリは連邦議員秘書。忙しさにスケジュールが  
会わないのは仕方の無い事かもしれない。一ヶ月もろくに顏も見ずに過ごした  
事もある程だ。けれども、だからって。  
「会う度会う度そう言われてもな。」  
 そればかりは私にもどうする事もできないぞ。メノリはそう言ってソファー  
の上でくつろぐ。外で会うにも人の目が気になっておちおちデートもできない  
ので、二人の場合はいつも互いの部屋を行き来している。今日はハワードの番  
なので、ちゃんと部屋を掃除してからメノリを招いた。来る度メノリは意外と  
綺麗だな、とか言うけれど勿論のこと。メイドにやらせているんだから。  
「…それはそうとさぁ、メノリ」  
 時計をちらりと見やってから、ソファーの上でくつろぐメノリを軽く押し倒  
す。以前はこう攻めるだけで顔を朱に染めたのに、今じゃ慣れてしまったのか  
どうだか。眉を逆ハの字にして、メノリはお前という奴は、と息をついた。  
「会う度それか」  
「たまにしか会えないんだもーん。溜まる物は溜まるでしょ」  
「甘えた声をだしても駄目だっっ」  
 するりと隙間から抜け出して、彼女は僕の頭を軽く小突いてみせた。呟いて  
みせるのは「二人ただ一緒にいるだけでも楽しいじゃないか、だいたいお前は  
…」そう小言ばかり。  
 
 そうと言っても我慢できないのが僕で、生意気に説教を続けるメノリの口を  
手で塞いだ。彼女がびっくりしてる間に、再度彼女の身体をソファーに押し倒  
して、馬乗りになる。先みたいに優しいものじゃない。  
 抵抗する前にメノリの手を掴んで、口紅でなぞられた唇に舌を這わせてから  
キスをする。舌を入れようにも、彼女の口は固く閉ざされたままでどうにもで  
きない。それならと彼女の歯茎や舌の歯列を丹念になぞりあげると、徐々に校  
内の力が緩む。その隙に舌を滑り込ませて、何度も角度を変えながら絡めた。  
彼女が苦しそうに息を噴き出した頃に、ようやく唇を解放した。銀の糸が舌を  
伝って、途切れた。  
「…ふ、あ。待たんか、馬鹿者がっ」  
「別にいいだろ?」  
「やっ、やめんか!ひっ、人の話をっ…!」  
 暴れるメノリを抑えて、彼女のニットを脱がしていく。あまりにも暴れるも  
のだから脱がせにくかった。  
 黒いブラジャーに包まれたメノリの胸はいつみても綺麗で、思わずごくりと  
生唾を飲んだ。ホックをはずそうとかがみ込んでメノリの背中に手を回せば、  
くすぐったいのか彼女の身体がひくん、と揺れた。その一瞬の油断を利用して  
ブラジャーを一気に脱がす。諦めたかその気になって来たのかは知らないが、  
抵抗はだんだん弱まって来たので手を解放する。  
 胸を揉んで、乳首を指先ではじく。一度舌で舐め上げればメノリは小さく甘  
い吐息を漏らした。  
「いいの?」  
「…だめ、だ」  
「じゃ、なんで抵抗しないの?」  
 かぷりと軽く噛み付いて、左手で開いてる乳房を刺激する。開いた手は彼女  
の敏感な部分を中心にまさぐっていく。  
「っく、ふあっ――ひんッ」  
 答えのかわりに帰って来たのは上擦った高い声で、思わずハワードは身震い  
してしまった。それが少々癪で、仕返しとばかりに強くその頂きを舐めあげた。  
歯を立て、彼女が飽きる事のないようにそこを刺激する。  
「メノリはさぁ、僕の事考えてオナニーとかするの?」  
 ふと思いついた事を口にする。瞬間、メノリの顔は一気に朱に染まって、目  
をさっとハワードから背けた。その姿が可愛いくて、少々ズボンがきつくなっ  
ているのを感じる。  
「な・・しないにき、ま、あっ」  
「こことかさぁ、いじったりする?メノリはどうやってやるの?」  
 胸をいじりながら、ゆっくりと手を水浸しになった下着に手をかけた。半分  
脱がして、ぬらりと濡れたそこを撫でる。口の様にひくりと動くそこがおもし  
ろくて、指を二本入れて優しくかき混ぜる。  
「やだ、いやだあッ、んん!」  
「メノリはこうやって、中にいれてかき回すの?」  
「やらないっ、やだ、あ、ひあ、あッ」  
「本当かなあ」  
 
 円をかくように、内側をなぞって、時折前後に動かす。その時のメノリの様  
子様子が面白くて、耳から鎖骨までをいじりだす。耳朶にかぷりと噛み付けば、  
先よりも甘い喘ぎ声が返って来た。  
「んあッ、ハワードォ、あ、あ!」  
 ハワードは指の動きを止めて、ズボンを脱ぎだす。急かすように彼女の足の  
間に身体を沈めれば、粘度のある水音がちゅぷ、と鳴った。最初はゆっくりと、  
徐々に腰を早く動かしていく。  
「いっ、あん、あぁん、ひぃ、ふああっ」  
「自分の味、確かめてみろよ。」  
 彼女の粘液がたっぷりとついた指を二本、彼女の口に押し入れる。唾液と絡  
ませながら、強く腰を打ち付けた。指をくわえつつも、それでもメノリは喘ぎ  
声をあげた。室内に響くのは甘い声と肉のぶつかりあう音だけ。  
「あっ、あッはわァどっ!やっ、や、あ!」  
 口だけの抵抗に、深く深くと腰を動かす。痙攣する彼女のそこに、ハワード  
はメノリの限界を理解した。  
「っ、もうだッ…!!」  
 
 
 
「馬鹿」  
「ごめんって」  
「馬鹿めが」  
「謝ってるだろ」  
「大馬鹿もの」  
 一向に機嫌を直さないメノリを後ろから抱きしめて、でもよかっただろーと  
笑い飛ばす。瞬間飛んで来たゲンコツに、思わず大声をあげた。  
「っだああああ」  
「少しは反省しろ!」  
 けれども離れようとはしない彼女を、ハワードは頭を抑えつつ幸せそうに抱  
き寄せた。  
 

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