暑い・・・
湿度を含む独特の蒸し暑さにカオルは目を醒ました。
ふと周りを見ると誰もいない、一瞬焦ったがすぐあることを思い出す。
一週間ほど前だろうか、夏らしい気候になってきた頃、
ハワードの我儘で夏用の家を作ろうという話になった。
みんな反対したが、運が良いのか悪いのかハワードが丁度良い場所を見付けてきたのだ。
やはりみんなも涼しい場所は恋しいらしく作業を分担し、別荘を作った、
作ったと言っても洞穴に生活用具とバリケードを張るぐらい、すぐに出来た。
そして昨日、みんなで一時的な引っ越しをすることなった、しかしカオルは、
家を放置する危険性を考え自分だけ残ることにした。
別に一人でいることは嫌いではない、昼にはベル辺りが来てくれるだろう。
そして今、暑くて眠るどころの話じゃない。
(・・・水でも浴びるか)
月の綺麗な夜だ、カオルは心で呟く、大勢でいるのも悪くないがやはり一人は心地良い。水辺に着くと夜空を反射した水面がとても幻想的で溜め息が漏れた。
あいつが一緒に居てくれたら、そんな言葉が浮かび照れ臭くなった。
とりあえず服を脱ぐ、なんとなく下着は脱ぐ気にならなかった。
(一人とはいえ・・・な)
「・・・ん?」
水辺に近付いて行くと何やら音がする、夜行性の動物でもいるのだろうか。
カオルは息を殺し音のする岩の裏側へと足を進める。
「・・・!」
カオルは声を出さなかった自分を誉めた。
「ふぅ〜」
(ル・・ルナ)
カオルの目の前にいたのはみんなと一緒に出ていったルナだった、しかも裸で水浴びしている。
夜の水辺で水浴びをするルナは美しいの一言だ、カオルは目を離せない、いや、離したくない。
(し・・しかしこれは覗きだ、や・・やめなくては・・・)
後ろ髪引かれながらカオルは移動する。
(・・・バレてはいないようだな)
妙な罪悪感と興奮が体を包む、そしてふと安心して気を緩めた瞬間だった。
「・・っ!?」
足を滑らした、しかも体全体で転んだ、びっくりするほど大きな水しぶきが上がった。
幸い怪我はなかったが別の意味で怪我をした気分だった。
「な、なにっ!?」
ルナの声だ、そりゃあ気付かれないはずはない、すぐ近くにいるんだ。
「カオル!!?」
「・・・ルナ」
ルナは布で体を覆っていた、悲しいような助かったような。
「もぅ、近くにいるなら言ってよ」
「ルナがいると気付かなかった・・」
「あ、そういえば言ってなかったわね」
どうやらルナはカオルが一人なのを心配して戻ってきたそうだ。
「別に・・」
そんな心配は、と言おうとした口をルナに止められる。
「いいの、私が戻って来たかったの!」
ずい、と胸を張られカオルは何も言えなくなってしまった。
それ以上に先ほどのルナの裸が瞼をちらつく、何か別の事を考えなくては
「つ、月が綺麗だな」
とっさに出た言葉だ。
そうね、ルナはそれだけ言うと空に目をやった。
「ねぇ、カオル」
「・・ん?」
「見たでしょ」
「 」
まさかのストレートは問いにカオルは固まってしまう。
「あ、別に怒ってるわけじゃないのよ、・・・それに・・・」
「?」
「・・・はくしゅっ!」
ルナのくしゃみで二人は水浴びの最中だったことを思い出す。
「家へ戻ろう」
「ええ」
ランプに火をともす、二人だけの家はなんだか広く感じた。
二人きりになることは滅多にない、だからこそできる話も沢山ある、
カオルはあまり喋る方ではない、そのためルナが一人で喋ってカオルが相槌を打つ形で時を刻んでいった。
そしてその時はきた。「そろそろ寝よう、明日に響く」
「そうね・・・・・」
「どうかしたか?」
「うぅん、何でもない」
カオルは男部屋に、ルナは女部屋に行った、・・・・はずだった。
(そういえば、ろくに水浴びできなかったな・・・)
まさかルナがいるとは思わなかった、とはいえあの動揺は我ながら失笑モノだ。
「・・・・・ルナ」
だが、今日の出来事はカオルの迷いから確信へ変えるのに申し分ないものだった。
(俺は・・・、俺は・・・ルナが好きなんだな・・・)
気付いて良かったことなのだろうか、このサバイバル生活、集団生活においては邪魔なモノではないか、
カオルらしい発想だが強ち間違ってもいないだろう。
(それに・・・)
ルナのことだ、自分の気持ちを告げたら気遣って何をするか分かったものじゃない。
「・・・・・」
余計なことを考えすぎた、とカオルは再び水浴びを行こうとベッドから降りる。
「・・ん?」
ふと、部屋の入り口を見ると人影が見える、今考えられる人物は一人。
「・・・ルナか」
人影がビクッと一瞬跳ねる。
「どうした?」
「ねぇカオル、・・・・い、一緒に・・・・・寝よ?」
一瞬何を言われたか分からなかった。
「・・・嫌?」
枕を抱き締めたルナが幼くも妙に色っぽく感じた。
「・・構わない」
ルナにはルナのベッドがある、女部屋に、それなのになぜ態々男部屋に来たのだろうか。
最初はルナでも一人は寂しいのだろうと思ったし、せいぜい隣のベッドで寝ると思った。
「ありがと、カオル」
カオルは気付くべきだった、なぜルナが態々枕を持ってきているのかを。
「・・!!!、ルナ!?」
「なぁに?」
ルナは、―――カオルのベッドに体を預けた。
「何をっ・・」
「言ったじゃない、一緒に寝よって」
「それはそうだが・・流石に同じベッドは」
そう言ってカオルは隣のベッドに移ろうとしたが、ルナの手がカオルの手を止めた。
「・・・ダメ」
「・・・・・・ルナ」
「おねがい・・・!」
泣きそうなルナを振りほどく力はカオルにはなかった。
ゆっくりとベッドに横になる、できるだけ体を触れないように注意しながら。
「まったく・・・、どうしたんだ急に」
「ゴメン・・・でもこんな事今しかできないから」
確かに普段ならこんなことはできるはずがない、いや、しようとも思わないはずだ。
二人はしばらく見つめ合っていた、いや目を離せなかったという方が正しいのかもしれない。
カオルは特に自分が好意を持っていると自覚したばかりの相手でしかも裸まで見た相手。
カオルは考えた、ルナはなぜこんな行動に出たのか、そして水浴びの時の言葉。
あの時ルナは何かを言い掛けていた。いや、そんなことは大した問題ではない。
カオルは気付いている、勝手に有り得ないと決めつけていただけで答えは出ている。
ルナの表情が何かを決意したようにカオルは感じ、自分も覚悟を決めた。
「カオル・・・あのねっ!実は・・・」
「ルナ」
「えっ?」
「・・・好きだ」
告白は男からするものだ、古くさいとは思っていてもカオルはそういう考え方が好きだった。
ルナは驚いてしばらく言葉が出ない様子だ、当然といえば当然だろう。
「俺は・・・・ルナが好きだ」
確かめるように再び言葉にする。
「ズルイよ・・・私より先に言って」
ルナの目には涙が浮かんでいた。
「わたしも・・・」
ルナの腕がゆっくりとカオルの首にまわされる。
「カオルのこと大好きっ!」
カオルもルナの背中に腕をまわす、二人は静かに抱き合った。
相手の鼓動が、息づかいが、総てが聞こえた気がした。
「ルナ・・・」
「カオル・・・」
二人の唇が静かに重なる、少しの静寂。
「・・・しちゃった」
「あぁ」
お互いに真っ赤な顔だがお互いに顔を逸らしているため分からない。
「・・・ファーストキス」
「ん?」
「好きな人とって決めてたの」
「・・・」
「だから嬉しい・・・」
「・・・俺もだ」
二人はその後も互いの唇を求め合った、高ぶる思いが行為を徐々に激しくしていく。
「んっ・・・ふぅっ・・はぁっ・・・・ああっ・・・」
「んっ・・・・・・ふっ・・・・・・はあっ」
唇を舌を唾液を、お互いに求め合った二人は息も切れ切れになりながら決して相手を放さない。
「はぁ・・はぁ・・・キスって・・」
「・・はぁ・・はぁ・・・ん?・・」
「・・凄いえっちだね」
「・・・・あぁ・・・」
カオルはルナの目が潤み、足をもぞもぞとさせているのを確認すると意を決した。
「・・・・ルナ・・その・」
「・・・いいよ、カオル・・・・きて」
二人にとって本当の夜が始まった。
「んっ・・」
ゆっくりと服を脱がせる、深いキスでお互いほんのり汗をかいていたため
服が少し肌にくっついて脱がしにくい。
「・・ブラジャーしてないのか」
「うん、私にはまだ必要ないみたいだから」
照れ臭そうなに胸を腕で隠しながらルナはそう言った。
「下・・脱がすぞ」
「・・うん」
カオルの手がルナのタイトスカートに伸びる、すっとルナが腰を浮かせてくれたので
カオルは手際よくできた。
そして自分も下着以外脱ぎお互い下着一枚で見つめ合う。
「手、退かすぞ・・」
「・・・・」
ルナは無言でゆっくりと腕を退ける、みるみる顔が赤く染まっていくのが分かる。
「・・ごめんなさい」
「なぜ謝る・・?」
「胸・・小さいから」
「そんなことないさ」
「でも・・あっ!」
カオルの手がルナの胸に伸び、優しく手のひらで包み込む。
「・・柔らかい」
「もぅ」
何回か揉んでいる内にルナの息が若干荒くなっているのが分かる。
カオルはゆっくりと胸に顔に近づけ少しづつ固くなり始めていた突起に舌這わせた。
「ひゃあっ!」
ゆっくりと舐めながら口に含に吸う、一つ一つの動作にルナは反応した。
「はぁ!あっ!んっ・・・はぁはぁっ・・カオ・・ル・・」
「・・ルナ」
胸から顔を離すと次はゆっくりとショーツに手をかける。
「脱がすぞ」
興奮する脳を静めながらカオルはショーツを脱がしていく。
アソコとショーツの間に光る糸のようなものを見つけ、カオルは安心した。
「・・ああっ!」
アソコの入り口周辺を触っただけでルナは反応し、水の音が聞こえる。
キツいながらもゆっくりと指を中へと侵入させ、ますますルナの反応が強くなる。
「痛くないか?」
「はぁっ!ぁぁ・・平気よ・・ぁぅぅ・・」
そして中へ入れた指はそのままにカオルのもう一方の手は
アソコにある突起を剥き出しにした。
「ああああっっ!!!!」
軽く押しただけで体を仰け反らして喘ぐルナを見てカオルの我慢も限界に達する。
「・・・ルナっ!」
「・・ぁぁ・・カオル・・・・きて・・ぇ・・」
パンツを脱ぎいきり立ったソレをルナのアソコにあてがう。
「あぅんっ!・・ぁぁ」
「す・・すまない」
初めて同士、なかなか思ったとおりに入らない、2、3度失敗しながらも、
とうとう挿入に成功した。
「ぅ・・ぐぅ」
初めての感覚は快楽というより痛みに近い、狭いのだ。
「ぃ・・んっ・・ぁぁぁ・・・」
ルナの表情もさっきまでの恍惚としたモノから一変、苦痛で歪んでいた。
しかし段々入れていく内に中の感触が強くなっていく、キツいモノが快楽へと
変わっていく、カオルは焦った、このままでは果ててしまう。
「ルナ・・大丈夫か・・?」
「ぅん・・・平気・・・」
明らかに平気そうではない、ルナらしいといえばルナらしいが
カオルはルナに自分の前では気遣いはしてほしくなかった。
「本当のことを言え・・言ってくれ」
「カオル?・・・・・・ぅん・・ものす・・ごく・・痛ぃ・・」
「・・ルナ、少しだけ我慢してくれ・・」
「・・・ぅん・・」
お互いの視線が本音と信頼を呼び出す、カオルは覚悟を決めた。
「くっ・・・・ぅぅ・・ぁああ」
「・・ぎっ!んん!!!!!!!!」
一気に貫いた、ルナは服を噛み必死で声を塞ぎカオルに爪を立てる。
背中が痛いがルナはこれ以上の痛みと戦っているんだ、そう思い気を紛らわす。
「全・・部・・、入ったぞ・・・」
「・・ふーっ・・ふーっ・・・・・・」
ルナの目からは涙が流れていたが嬉しそうな笑みだった。
しかし安心したのも束の間。
「うぁっ!」
誰かが言った、初めて同士はうまくいかないと――
「カオ・・・ル・・・?」
ルナはカオルの様子がおかしいことに気付く、なんというか
顔から血の気が引いているのだ。
「ルナ・・すまない・・中で出してしまった・・」
「・・・・・・そう」
ルナは笑顔だった、非難されると思ったカオルは驚く。
「い・・・いいのか?」
「フフッ、もし出来たら私たちの関係バレちゃうわね」
「ルナ、そうではなくて・・」
「だったら最初からしなければよかったんじゃない?」
カオルの言わんとしてることは分かる、愛を育む行為と子孫を残す行為は違う、
もしするとしてもそれはコロニーに帰ってからの方が望ましい。
「カオル、中に出さないだけの避妊は大した効果ないのよ?」
「そう・・なのか?」
「私は今何よりもカオルと一つになれたことが嬉しい」
「・・・ルナ・・・」
カオルは心で苦笑した、ルナは自分よりも何倍もしっかりしてる、
覚悟を決めて自分を受け入れたのだ。
「・・・んっ・・ふっ・・・・・ふぁっ・・・・・」
「・・ふっ・・・・・んっ・・・・」
二人の唇はお互いの唇で塞がれた、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、五感全てで相手を感じ
再び昂っていく。
「ふぁっ・・・・はぁ・・はぁ・・・」
「・・ふぅっ・・ふぅ・・」
「・・ひゃあっ!」
首へのキス、それは段々と胸へと移動していく。
「あっ・・あっあっ・・あっ・・」
「・・・ルナ・・痛みはまだあるか?」
「・・・ぅん、でも少しだけ・・」
「ほ・・、わかった」
本当か?、そう言いかけた、だが今の二人に心の気遣いはいらない。
「入れても平気か?」
「うん・・・来て」
二度目の挿入、スムーズ・・とまではいかないがルナの愛液と先ほど出してしまった
カオルの精液が潤滑油になって順調に入っていった。
「んんっ!・・・・んむぅ・・・ぁぁあ・・・」
やはりルナの顔は苦痛の方が大きそうだ。
「入ったぞ・・」
「・・・うん・・・・ねぇカオル」
「ん?」
「キスして・・・」
「あぁ」
「・・・ふぁっ・・ふぅっ・・・まぁっ・・」
痛みを消すように激しく唇を動かすルナ、カオルも懸命に答える。「・・・・ふっ・・ふっ・・・・ルナ・・・」
「・・・はぁ・・はぁ・・・・うん・・いいよ、動いて・・辛いでしょ?」
「あぁ・・すまない」
「・・・気にしないでぇっ!?あっ!!っっ!・・!!!」
ルナの苦痛とも快楽とも取れる声を聞きながらカオルは一心不乱に腰を動かした。
「ふぁっ!・・・ん゛っ!・・・ぁぁっ!!」
抑えていた何かを吐き出すようにカオルは激しく動く。
「ん゛っん゛っ!ああ゛っ!!やぁっ!・・・ああああっ!」
出そうになるのを構わず動いた。
「くぁっ・・・ル・・・・・ナ・・・」
「・・カ・・・・ォル・・・」お互いが名前を呼ぶだけで意図を汲み取る。
「うっ!!・・・」
「あああああああっ!!」
お互いが痙攣を思わせるほど震えカオルがゆっくりと重なるように倒れる。
「・・はぁ・・・・はぁ・・また・・・中に出してしまったな・・・」
「・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・そうね、でもいいの・・嬉しいから!」
「フッ・・・理由になってないぞ」
「いーの」
「・・・フッ」
「ふふふ」
そのまま二人の笑い声は寝息へと変わっていった。
――ル――
「ん・・」
―――オル―
「・・・・ん・・ぁ」
「カオル!」
「・・・ルナ」
「そろそろ起きたら?もうお昼よ」
クスクスと笑いながらルナに言われカオルは外を見る、確かに日はこれでもかと上がっていた。
「寝過ぎたな・・・」
「それよりも」
「ん?」
はい、とタオルを渡される。
「体洗いに行ったら?」
言われてみればばっちりと着替えているルナ、
それに対し自分は裸に寝汗で散々な状況だ。
「・・そうだな」
さすがに裸でうろつくのは気が引けたので下着は履いた。
「いってらっしゃい」
「・・そうだルナ」
「なに?」
「体・・大丈夫か?」
「ええ」
「行ってくる」
「カオル!」
「?」
「ありがとう」
「あぁ」
今日の日差しも強い、これはみんなが戻ってくるのはしばらく後になりそうだなと
カオルは苦笑とも歓喜とも言えぬ声で笑った。
―――end
「二人とも大丈夫かなぁ、熱中症とかに掛かってないといいけど」
ジリジリと照り付ける太陽の下、果物と魚を目一杯持った少年がいたとかいないとか。
「あっ!おーい、カオルー!」