「んっ」
「すまない、大丈夫かアダム?」
メノリは慌てて腰を浮かし、草むらに寝転がるアダムを気遣った。
アダムは素早く小さな手を伸ばし、メノリの手首をきゅっとつかむ。
「やめないで、メノリ」
湖を渡る風が火照った二人の肌に心地よい。
青い月影の中、アダムは仰向けになってメノリを見上げていた。
自分の身体の一部をその胎内に収めている、美しい年上の女性を。
「しかし…」
「ボク、大丈夫だよ。ただ…気持ちよすぎただけ」
「アダム」
メノリは微笑み、アダムに覆い被さるようにして唇を重ねる。
アダムの平らな胸に、やわらかい乳房が押しつけられた。
「ふふ、また中で大きくなったぞ、アダム」
耳元で囁かれ、アダムは青い頬を肌色に染めた。
その表情を愛でながら、メノリはゆっくりと腰を使い始めた。
「だって、メノリの中が…良すぎるんだもん…」
「そうなのか? 自分ではよくわからないが」
「とってもあったかくって…ぬるぬるして…」
「それで?」
メノリは目を細め、細く長い指でアダムの頬に触れた。
口角を上げると印象がガラリと変わって、ひどく魅力的になる。
アダムは自分の声がうわずっていくのを感じながら続けた。
「ちょっとざらつくとこもあるけど…それがよけい気持ちよくて…」
「ほう」
「ボクを吸い込むみたいに…あっ」
「どうした?」
メノリは艶やかに笑い、再び括約筋を絞り込んだ。
「!」
「アダム、言ってくれなければ私はわからない」
「…あ、ええと、きゅってなったの」
「どんな気持ちがした?」
アダムは白目のない瞳を潤ませ、息を上げた。
「メノリに…抱きしめられたみたいで…胸がドキドキする…」
「そうか。では、これは?」
メノリはアダムの陰茎を締め上げたまま、大きく腰をグラインドさせた。
静かな水辺の岩陰に、少年の泣くような喘ぎ声が響く。
絨毯のようになめらかな草の上で、少年の青い喉がのけぞる。
「どうした、アダム?」
「や…メノリ…変な気持ちがするの…」
「嫌か?」
「ううん…ううん…」
少年は目尻に涙を溜め、首をぶんぶん振った。
メノリは優しく微笑んで、その涙を指で拭う。
「アダム、一緒にイこうな」
「うん、うん…」
少年は独り合点してうなずく。
きっと、この美しい女性は明日のことを言っているのだ、
明日、この星を救うために、一緒に行こうと言っているのだと。
「メノリ…大好き…」
「ああ、アダム…」
「ずっと、一緒だよ…」
それには答えず、メノリは寂しげに微笑んだ。
深く腰を落として絞り上げるように締め上げ、ぐっと腰を浮かす。
そうしておいてまた括約筋を緩め、全てを飲み込むように腰を落とす。
年の割に大きな怒張は最奥を突き上げ、今にも爆発しそうに震えた。
「メノリ…ボク…おかしくなっちゃう…っ!」
「ああ…アダム…愛してる…」
両足に力を込め、乗馬でもするように。
しばらくの間、メノリは無言でその動きに没頭した。
まるで、アダムの全てを味わい尽くそうとでもするように。
「あ」
やがて、青い月影の中、少年少女は声を上げた。
アダムの身体の奥から、熱い体液が噴出する。
メノリは眉をひそめてしなやかな肢体を軽く反らせた。
痙攣する肉襞におし包まれて、青い陰茎もビクビクと射精を繰り返した。
湖のほとりにからバイオリンの音色が広がり、
旅立ちを前にした仲間達を、そっと包んでいく。
パチパチパチパチ…
「いいねぇ〜、メノリの演奏の本当の良さは、
かつてピアニストを目指した僕にしかわからないだろうけどねぇ」
岩陰で全身タイツを装着しながら、アダムはハワードの声を聞いた。
メノリはと言えば光速で衣服を身につけ、岩の上で涼んでいる。
だけでなく、バイオリンを弾く余裕すら見せていた。
「フッ、不安なのはお前の方じゃないのか?」
「なーに言ってるんだ! ぼくは…っ、メノリを心配して」
その言葉に、アダムの顔が曇った。
チャックを上まで上げ、髪に付いた草を払う。
「あいにくだが、私を励ましてくれる素敵な紳士なら、さっきからそばにいる」
「ええ!?」
アダムの顔にパッと明るさが戻った。
岩陰から顔を出し、珍妙な顔のハワードに手を振る。
アダムはウキウキとした気分で、いつになく弾んだ声を出した。
「えっへへ、こんばんは〜♪」
「なんだ、アダムか」
ホッとするハワードをよそに、アダムは岩の上のメノリを見上げる。
メノリは優しげな笑みを浮かべたまま、そっとアダムにうなずいて見せた。
この女性を一生かけて守ろうと、アダムはその時、心に誓った。
<完>