アインクラッド第二十二層の森で、アスナは果物や木の実を脇に抱えたバスケットに詰め込んでいた。  
葉を透かして降りてくる陽光に目を細めると、ほっと一息ついて誰が切ったのか、切り株の上に腰を下ろす。  
「いっぱい採れたなあ……キリトくん、喜んでくれるかな」  
釣りに出かけて食材を釣って来てくれるキリトに申し訳なさを感じ、はるばる森まで足を踏み入れたのだ。あの黒髪の剣士は心配そうにしていたが、アスナだって負けず劣らずの名にし負う一流プレイヤーなのだ。  
被った麦わら帽子を取ると、栗色の長いストレートヘアがそよ風にたなびいた。葉っぱがくるくると飛び上がっていく様を、はしばみ色の大きな瞳が追いかけていく。  
森の中は温かみがあって、それでいて静謐だから居心地がいい。湖のほとりにキリトと一緒に購入したログハウスは言うまでもないが、木に囲まれているというのは、存外に気分がいい。  
都会育ちのアスナにとって、見渡す限りの緑は新鮮で鮮烈だった。これが現実なら、とてもじゃないがノースリーブでは出歩けないだろう。虫に刺されるだろうし、葉っぱなどで肌を切ってしまうかもしれない。  
仮想のもたらす心地よさ――草木の香りや土の匂い、陽の暖かさや風の涼しさは、電気信号の変換だと言ってしまえばそれまでだが、いま感じている全てだということに変わりはない。  
肥沃な大地の香りに鼻腔を膨らませると、穏やかな空気がアスナの中を通り抜けていく。  
キリトと二人で、ピクニックや散歩に来るのもいいかも知れない。手をつないで歩く姿を想像したら、アスナの頬が緩んで幸せそうな笑顔をつくった。  
「よし! もっとたくさん集めて、おいしい料理を作ってあげよ」  
すくっと立ち上がって帽子をかぶると、バスケットを片手にアスナはどんどん森の奥へと足を進めていく。  
身の丈ほどもありそうな葉っぱを押しのけていくと、少し開けた場所に出た。目の前には太くて大きな木がどんと構えていて、枝には黄緑色の果実が生っていた。  
「おいしそう。キリトくん、ああいうの食べるかなあ」  
アスナは手を伸ばしつつ、木の枝に近づいていった。背伸びをして果実を取ろうとするのだが、よろけてしまい、足が何かにぶつかった。ガサガサと葉っぱが揺れたかと思うと、真下から触手が伸びあがってアスナの四肢を絡め捕った。  
「きゃあッ!?」  
突然のことだったので、レイピアを引き抜く余裕もなかった。地面からは身体が浮き、宙に吊り下げられている状態だ。  
触手型のモンスターのようだが、二十二層にモンスターはいないと聞いていたからまったくの無警戒だった。じたばたと暴れるも、踏ん張りどころのない空中では、力が全くかからない。  
どう対応したものかと逡巡していると、新たに伸びてきた触手がアスナの剥き出しの肩を撫でた。ぬるりとした感触に、背筋がぞっと冷えた。  
アスナの恰好は花柄のチュニックワンピースで、ノースリーブのためか肌の露出が多い。このままではダメージを負ってキルされてしまう――。  
脳裏に浮かんだのは、キリトの顔だった。先日、結婚をし、夜をともにしたパートナー。そんな彼の心配を裏切ってしまった罪悪感が胸に去来した。  
「このッ……!! やあ!!」  
力任せに手足をばたつかせても、触手は微塵も緩まない。解決策が見つからない間にも、わらわらと数本の触手がアスナの周りでうねうねとその先端を揺らしている。  
どこから伸びてきたのかと、真下を見ると、ラフレシアのような巨大な植物が大口を開けていた。オブジェクトはグロテスクで、毒々しい紫色だ。その口から触手は生えている。  
二の腕や太ももにまとわりつく触手は、植物の蜜のせいなのか妙にぬめっとしていて気持ちが悪い。  
ネットサーフィンをしていると、見たくなくともこういう触手が女の子を襲っている画像が目に入ってくることがある。アスナはそれに吐き気すら覚えたが、いまほどではなかった。  
生理的に受け付けない感覚が、肌の上をナメクジのように這いずり回り、思わず手に巻きつく触手を掴んでしまう。グミを握っているような弾力がある。それが余計に受け入れがたかった。  
身じろいでいると、一本の触手がアスナの胸をつんつんと突いてきた。すると追随するように触手が伸びて来て、アスナの胸をぺたぺたと触っていく。  
「やっ……やめて!!」  
狂おしく絶叫するも、そもそもあらゆるモンスターはプレイヤーの言葉に耳を傾けたりはしない。動物を説得するに等しい、無意味な行為だ。  
 
先端を舐めるような動きを見せる触手に、アスナは戦慄を隠せなかった。吐き気と背筋に走る冷たいものが身体を震わせる。  
太ももに巻きついた触手は、螺旋を描くようにぬるぬると這いあがってきて、もっとも触れられたくないところに触れた。  
「…………ッ!?」  
湿った感触が下着越しに伝わってくる。アスナは太ももを閉じているのだが、掴みどころのない触手はするすると太ももの間から顔をのぞかせる。内ももを通る粘り気に全身の産毛が逆立った。  
アスナは薄目で自分のヒットポイントバーを見やり、驚きに目を瞠った。バーはモンスターに襲われているにもかかわらず、一片たりとも減少していなかった。  
どういうことだろう。これはモンスターではないのか……?  
身体中を走るおぞましさは感じるし、こいつらの見た目はどう鑑みても敵のそれだ。数いるモンスターの中には、触れているだけでHPを削っていくタイプもいるが、攻撃されてHPの減らない的には相見えたことがなかった。  
ともかく、一刻も早くこの状況を脱しなければならないのだが、縛られていてウインドウメニューを呼び出すこともできなければレイピアを引き抜くこともできない。まさに刀折れ矢尽きた状態だ。  
アスナの逡巡を見透かしたように、触手が次々と伸びて身体を締め上げてくる。大腿部やお腹を強い力で締め付けてきて、自分の筋力パラメーターでは如何ともしがたかった。  
意志あるように蠢く触手が服の中に侵入を開始した。脇や裾から蛇のようにするりと直接肌を舐めまわしてくる。  
「ッ……!! い、や」  
ワンピースだったからブラジャーは身につけていなかった。そこを触手が目ざとく攻撃してくる。生温かな湿った異物が、アスナの乳首を執拗に弄ぶ。  
触手は胸だけではなく、下着の中にも手を伸ばしていた。ねっとりとした物が股間を擦ってきて、全身が粟立った。反射的に閉じようとした脚を掴まれ、大きく広げられる。手はバンザイをしているように絞められている。  
「んっ……あっ…………くうっ……!!」  
胸や股間を弄られる恐怖に、思わずアスナは瞼を下ろす。皺の寄った眉間にはぽつりと汗の玉が浮かんでいて、冷や汗が触手の粘液と混じっておぞましい感触を生み出す。  
そろそろと一本の触手がアスナの眼前で揺れる。先端には小さな穴が開いていて、そこからあふれ出る粘液が涎を垂らしているみたいだ。そいつがアスナの唇に触れると、  
「……ッ!!」  
目いっぱい口を開けて噛みついた。歯を立てて噛み千切ろうとするのだが、ゴムを噛んでいるようでまるで効果がない。  
触手は噛まれたまま、ぐちゅりとアスナの口腔に食指を伸ばして蠕動する。  
「! やあ…………ンんンッ!!」  
アスナはなおも顎に力を込めて噛みつくのだが、触手はなんてことなしに蠢いては粘液を垂らしていく。舌が触手に絡め捕られ、唾液と粘液が口の中で混ぜ合わさって溢れかえる。  
口元から混然となった液体を零しながらも、アスナは吐き出そうと舌で触手を押し返す。  
暖簾に腕押し柳に風で、逆に舌を刺激されて、奥まで突っ込まれてむせるばかりだ。  
「ん、ごほっ……えっ……ぷぁッ」  
アスナに絡みつく触手たちは、常に動きを止めない。手の中で握った触手のにゅるにゅるとした動きは、まるでアスナに扱かれているようだ。  
触手の先端から出る液体が胸を汚し、滑りが良くなった分乳首を執拗に弾いてくる。股間も同じで、下着はすでにアスナのものか触手の体液かでぐじゅぐじゅに濡れていた。  
クリトリスと割れ目を刺激しながら、蛇のように股を這いずり回される感覚に、頭から足先まで痙攣する。  
「んっ……ンんンんンんっ!! ぷぁ、んぶっ」  
アスナの胸が寄せられ、その間の溝を触手が蠕動しながら往復する。胸の間にわずかに挟まった触手が擦れる感触が、おぞましくて嫌悪と恐怖にそそけ立った。  
ワンピースがあらゆる方向に引っ張られて、徐々に破れていく。布の引き裂かれる音がかすかに聞こえ、アスナの裸身が白日の下にさらされた。  
陽光を照り返す白い柔肌は、いまは触手が吐き出した粘液でべとべとになっている。下着も剥ぎ取られ、その中でぽっかりと開く穴に触手が先端を宛がった。  
 
「……ッ!! ンぶッ!! ンんン!! ンッ――!!」  
アスナは涙を流しながら、頭を振って必死に抗おうとする。強靭な触手はそれを許さず、アスナの身体を強烈な力で絞めて、縛りつける。  
禍々しい紫色のグロテスクな物体が、膣を割って入って、アスナの中に侵入してくる。  
前戯がしつこいほど長かったのと、触手自体の粘性のために、抵抗なくアスナは触手を受け入れてしまう。  
そうだ。そもそもどうしてアスナは触手にいやらしいことをされているのか。  
先日、キリトと夜をともにするにあたって、アスナは倫理コード規制を解除していた。キリトと触れあうための障害でしかなかったそれは、二十二層に来てからは設定しなおしてなかった。  
セックスなどの行為では……HPは減らないのか。  
アスナはいまさらながらに考えに至ったが、時はすでに遅かった。  
深くまで入り込んできた触手は、キリトのモノとは太さも長さも比べるまでもなかった。より押し拡げられた膣は、どうしようもなく触手を締め付ける。分かりたくもない触手の全貌が、肌身を通じて分かってしまう。  
「ン――――ッ!!」  
膣壁を擦りながら、触手がぐるぐると回り出す。今まで感じたこともない出鱈目な衝撃に、アスナはわれ知らずに身体をのけぞらせる。  
ピストン運動に回転が加わり、それでいて蠕動すると言うのだから与えられる刺激は計り知れない。人間相手では到底ありえない動きに、アスナは全身をなぶられているのを感じる。  
こないだ……キリトくんのを感じたばっかりだったのに。  
黒髪の剣士の体温や匂い、指の細さ、何よりも身体を全身で感じたのに。  
あの感覚がまだアスナの中に残っているから、この触手が与えてくる感覚を否定できなかった。デジタルだけどデジタル以上の実感をアスナは持ってしまう。  
宙づりにされていたアスナは、現在はラフレシアのような花弁の上に載せられている。手は相変わらずバンザイをしているようで、広げられた脚の間では触手が蠢いている。  
口と膣を塞がれたアスナは言葉を発することもできずに、ただ群がる触手に蹂躙されるだけだ。  
手の中をにゅるにゅると動いていた触手がかすかに震えると、アスナの髪に向かって白い液体を吐き出した。栗色の髪をねっとりと汚していく液体は、まるで男の出す欲望のようだった。  
アスナは目を閉じて必死に触手の蠢動に耐えていてそれには気付いていない。  
膣の中を掻きまわされると、アスナの女の部分が過敏に頭をもたげてしまう。すでに何度か果てていたが、触手はそれでも動きを止めない。アスナの体液を貪るように、どんどん膣を嬲っていく。  
アスナはもはや抵抗する力を失っていて、口の中はもう唾液と粘液で溢れていた。口角から顎を伝って液体が垂れる姿は、淫靡で艶っぽかった。  
口を膣に見立ててピストンしてくる触手も震え始めると、勢いよく口の中で白い液体を吐き出した。  
さすがのアスナも驚愕に目をも開くも、打つ手がないので嚥下するしかなかった。それでも飲み切れない液体が、口の中の物と混じり合ってこぼれ出る。  
蜜なのか、それは甘くて蜂蜜みたいだった。  
触手は口の中だけでは飽き足らずに、アスナの顔にも白濁を吐き出していく。小作りな美貌を精液にも似た液体が滴る様は、欲望のはけ口にされた囚われの姫君といった様相だ。  
アスナは肩で息をしながら、呆然と遠い目をしている。  
触手はクリトリスを刺激しながら、中でも暴れまわる。もう普通で満足はさせないと言わんばかりに、触手だけに許された動きをしてくる。  
アスナは全身を汚されて、徐々に何かが出そうな感覚に身を襲われる。それはキリトと繋がっている時に感じた、あの人だけに許したつもりのものだ。  
「……い、やっ…………こんな、化け物に…………イかされる、なんて」  
忌々しげにつぶやくアスナだったが、ぐったりと投げ出された手足では抵抗も空しい。ただ犯されるだけで、しかし終りがいつなのか分からなかった。触手は無限の勢いで数を増やしていたからだ。  
自分の中で、触手が膨れてぷるぷる震えているのが分かる。  
「あアッ…………クううッ――――――イやあッッ!!」  
勢いよく、アスナの中を液体が満たした。どくどくと子宮まで届きそうな勢力で、中で粘液が流動するのに、アスナは身体をびくびくとのけぞらしながらエクスタシーを感じていた。  
「あうううううう…………ッ!!」  
全身を痙攣させて、やがて触手が出て行ったあとも、アスナはその余韻でしばらくは頭がまっしろになったままだった。  
 
 
その後、アスナは花のベッドの上で何度となく触手と交わった。体力ゲージは減ることはなかったが、精神力のゲージがあったらとっくに尽きているだろう。  
全身をどろどろの液体にまみれさせたアスナは、虚ろな瞳で横たわっている。その間にも、触手は彼女の口や膣に入り込んでは、好き放題に白濁を吐き散らしていく。  
ただ人形のように犯され続け、体力も減らないのでイき続ける。無限地獄の中で、アスナはキリトに謝っていた。  
キリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさいキリトくんごめんなさい。  
アスナは快感に溺れていた。心地よい絶頂が休む間もなく身を襲い、抑えがたい快楽がどんどん外に放出される。ただ気持ちよかった。死んでしまうくらいの快感だった。  
全身を嬲られ、舐められ、辱められ、犯され、蹂躙され、アスナは触手に身を委ねていた。  
決して現実では感じ得ることの出来ない快感に。  
 
(終わり)  
 
 

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