「今日会えない?」  
アスナから珍しくデートの誘いだ  
「あー悪い今日は人と会う約束があるんだ」  
せっかくだが今日はシノンと会う約束がある。  
「あっそうなんだごめんね、また明日学校で」  
「ああ悪いな、また明日」  
そう言って電話を切る。約束の時間までもうすぐだ早く行かないとな。  
 
 
「遅い!」  
結局約束の時間より遅れてしまった。  
「いやあ悪い高速が混んでてさ」  
「ケーキひとつ追加ね」  
「な、なんでそうなるんだ」  
「菊岡さんと食べた店にしようか?」  
「遅れた私が悪かったです。ですので御勘弁を」  
あんな店でケーキ食われたら帰りのガソリン代がなくなる。ここはケーキ1つで手を打とう  
「ほれヘルメット」  
「ん、した付けて」  
「へいへい、いい加減メットくらい一人でつけろよ」  
「別にいいじゃん」  
「じゃあしっかりつかまっとけよ」  
「ところでどこのケーキ屋に行くの?」  
シノンが聞いて来る。  
「アスナとたまに行く店があるんだそこでどうだ」  
「ふうんじゃあそこで」  
シノンの許可も出たところでその店に行く。  
アスナと一緒に行くので次に行った時に変なことを言われません様にと祈りながら店に入る。  
すみません本日満員ですので相席で宜しいでしょうか?  
『大丈夫です』  
そして案内された席にいたのは  
「キリト君!?」  
よりによってアスナだった。  
 
「ふうん会う人ってシノンさんだったんだ」  
やばい、これは一見優しそうだが、返答次第では殺られかねない  
「そ、そうなんだ悪いな」  
「分かってるよキリと君この雌豚に何か弱みを握られてケーキをおごる羽目になったんでしょ」  
「ちょっと雌豚とは何よ!」  
「うるさい!黙ってろ!」  
いつものおしとやかさは息を潜めひどいことを言っている。  
「アスナいくらなんでも雌豚は言い過ぎだ!」  
「うるさいわね、キリとくんは私とシノンとどっちが大事なのよ?」  
完全に修羅場だった。どう返答しようかと迷ったが、俺のだした答えは  
 
「シノンだ。」  
言ってしまった。だが後悔はして居ない、これは俺の偽りない本心だ。  
「な、何で…」  
「すまない、だが自分に嘘は付けない。俺はシノンを愛している」  
「キリト…(照)」隣でシノンが顔を真っ赤にしているがそれはおいといて、  
取り合えずアスナをなんとかしないとな。  
「そう、だったの。なんで?」  
ここは本音を言ってもいいか、  
「簡単だ、自分の悩みをよくわかってくれる娘と、何も分からないお嬢様とじゃ誰だって前者を取るだろう」  
我ながらひどい言い方だが、これくらい言わなきゃアスナが何をするか分からない。  
「ひどいよキリト君!」  
そう言ってアスナは去って行った。  
 
その夜シノンと別れて家に帰ると、アスナがいた。  
「なんだよお前とやり直す気はないぞ」  
「ネエキリトクン、これな〜んだ」  
そこにあったのは、ショートカットで傍を小さく結んでいる女の頭だった。  
そう。さっき別れたシノンの切断された頭だった。  
「な、アスナ。何をしたんだ」  
思わず声が出る。  
「ふふふこの女私が襲いかかった時になんて言ったと思う?助けてキリトですって  
笑っちゃうわねキリトくんが助けに来るわけ無いのに」  
ヤバイこれは俺もシノンと同じ状態になるかもしれない。  
そこに俺のバイクの音を聞いたのか直葉が出てきた。  
「お兄ちゃんお帰りってアスナさんも一緒?」  
「駄目だスグ今すぐ逃げ」  
ろという前にアスナの包丁がスグの首を両断した。  
その光景はまるで今はなきアインクラッドの  
ラフコフ討伐戦で俺が殺した名も分からぬあいつを思いださせた。  
「ふふふ、この売女が、キリトクンを誘って」  
「アスナ、なんでだ!なんでスグを殺した!」  
「うふふ邪魔だったからよ、ねえ、キリト君こいつらもわかる?」  
アスナまたいくつかの頭と思しきものをだしたどれも見覚えのあるものだった。  
「シリカ!リズ!これはサクヤか?」  
「うふふこれでキリト君を惑わす女はひとりもいないよ」  
「ふざけるな!お前のしたことは殺人だ!俺の大切な人たちを奪いやがって!絶対許さないからな!」  
激情を隠さず俺はまくし立てた。しかしアスナ。嫌、にっくき殺人者は笑いながら  
「大丈夫よだってあなたもそっちに行くのだから」  
と抜かしてきた。  
「どういうことだ!」  
「こういうことよ!」  
そう言ってアスナは俺の懐に突っこんできて  
俺の腹をさした。  
痛い。いや、熱いまるで腹に焼きごてを突っ込まれたようだ。  
「な、なんだア…ス…ナ」  
「ふふふキリと君安心して、ちゃーんとあなたの首は大切に保管しておくから」  
ああなんか眠い、多分俺の最後の命の火が消えかけているのだろう。  
奇しくも俺の頭によぎるのはヒースクリフの奴との最後の決戦の時だった。  
だが俺の手にエリュシデータはなく、近くにランベイトライトも落ちていない。  
ああ、父さんと母さんには悪いことをしたな。なにせ息子も娘も一気に居なくなってしまったのだ。  
それだけを思うと俺は、まぶたを閉じた。  
 
The end  
 
 
 
 

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