・直葉×和人 SAO時代
・仮想空間でのアッチッチ=夢精扱いの設定。
・前回投稿したのとはつながりません。
・>>685氏の直葉×和人に触発された結果物。
一番最初に、直葉に状況を説明した医者は、これはお兄さんが生きている証です、と言った。
おもえば、このときの医者の不適切な一言がすべての原因だと、直葉は気がついていた。
最初にそれに気がついたのも直葉だった。
いつものように、ベッドに横たわる兄を見舞いに来た折、いままでかいだことのないにおいが鼻についたのだ。
掃除は行き届いているし、常時は消毒液と干されたシーツの香りぐらいしかしないので、その臭いは余計に際立っていた。
生臭いにおいだった。烏賊が腐ったような、どちらかと言えば嫌悪してしまうような、臭い。
ゆっくりと兄に近寄り、直葉はその生臭い臭いのもとを探りはじめ、出所を――確かめることができた。
年齢相応の知識はもっていたものの、それが男性の精子の臭いであることに気がつかなかった直葉はすぐさま、ベッドサイドのボタンを押し、応答した看護士に向かって、大声で状況を説明してしまった。
兄がなにか変な病に陥っているのだと、本気で思ったからだった。
そして事情を知った女性の看護士が苦笑する中、当時の直葉は至ってまじめに、医師の話を一人で聞き、とんでもない勘違いに気を失うところだった。
だが――――。
――――
「また出てるね……お兄ちゃん……」
一向に目覚める気配のない、和人にそんなことをささやきながら、これからの行為で汚れてしまわないよう、制服の上から羽織っていたセーターを脱いで、ハンガーに掛ける。外に出るにはさすがに肌寒い格好であるが、空調の効いているこの部屋では十分だ。
セーラー服の生地の下、直葉の意志とは関係なく、たわわに実ってしまった乳房が制服の胸元を大きく押し上げていた。
もう一度だけ、部屋の施錠を確かめて直葉は靴を脱いでベッドに乗り込み、和人の寝間着に手をかけた。
トランクスと寝間着のズボンを膝元までおろすと、白濁液にまみれたそれが顔を出す。
見慣れてしまった男性のシンボル。
直葉は慣れた動作でそこに顔を近づける。
じゅるり、とまだ硬さを残すそれを口に含む。何度も経験しているうちに、それを口に含むことに抵抗はなくなっていった。
「んっ、ふぐっ……んちゅ……んっ……んっ……」
はやく、元気になってね、お兄ちゃん……。
そんな願いを託しながら、そこに舌を這わせる。
「んっ、ふぐっ……んちゅ……んっ……んっ……はぁっ……お兄ちゃん……気持ちいい……?」
返事をするように、和人のそれはピクピクうごめく。直葉は満足げに微笑み、さらに兄のそこを深くくわえ込んだ。
「んちゅ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……」
兄の名前を呟きつつ、舌先を先端から根本までゆっくりと這わせ、鈴口にこびりついた精液は唇で取り去っていく。
するとほんのわずかではあるが、兄のそれが反応する。それだけで十分。夢中になった直葉は頬と髪が汚れるのをかまわず、行為を続ける。舌先で感じる体温が愛おしい。精液のひと滴すら掬う勢いで、直葉は奉仕する。
手を握っても、握ってくれない。
笑いかけても、笑ってくれない。
話しかけても、応えてくれない。
返事がない、ただの屍のようだった兄が唯一反応してくれる行為に直葉はすっかり魅せられてしまった。
もちろん、頼めば看護士が処理をしてくれる。完全介護のこの病院は、随意に動けなくなった彼らSAOプレイヤーの排泄の世話まできちんと執り行ってくれるのだ。
でも、直葉はそれを頼まなかった。どういうわけか、この夕方の時間帯に、兄はよく性を吐き出している。それに気がついた直葉は、なるべくその時間帯に兄のそばに控え、それを待つようになっていた。
そして、友人からあまりにも男っ気のない直葉のために用意された過激なレディースコミックを参考に、たどたどしく、兄のそこに口戯をはじめた。
「んちゅ……んっ……やだっ……また……」
艶をおびる直葉の声に、奉仕の悦びではないものが混ざる。
「はぁっ……ん、ふぅ……くぅん……」
子犬のような吐息を吐き出しながら、直葉は片方の手で和人のそこの根本に当て、もう片方の手で、セーラー服の裾を掴みたくしあげる。
すぐに制服の下に隠されてしかるべき、下着に包まれた豊かな乳房が現れた。
「あ……んっ……」
続いてブラジャーに手をかける。フロントホックのブラジャーの合わせを弾くようにはずすと、下着の締めつけから解放された双丘がぷるん、と外部にさらされる。
大きさこそ年不相応であるものの、その先端はまだ幼く鮮やかな桜色。まだ一度も他人を赦したことのない、その先端も未成熟で小さなつぼみがあるだけだった。
だがそのつぼみも、すこしづつではあるが、赤みを持ちつつある。兄に対する行為をはじめたときよりも明らかに成熟し淡く尖りつつある。
「――――――んっ!」
そのつぼみに、自ら触れる。
ただそれだけのことで、声を押し殺して、直葉は達した。
「んっ、はぁ、はぁ、はぁ……お兄ちゃん……」
直葉はふしゅう、とスカートの中が湿っていく感覚を感じ、次いで、兄のそこにすがるように脱力した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
兄の性器を舐め、自分の乳房に触れるだけで達してしまうようになった自分をはしたないと思いつつ、しかし、燃え立つような快感にはあらがえず、体勢を整えて、兄のそこにむしゃぶりついた。
乳房においていた手を、今度はスカートに向ける。制服のスカートの裾をもどかしくかきあげ、下着に手をかけた。
下着の内側に指をひっかけて、するすると舌におろしていく。下着は見るものがみればしゃぶりつきたくなるような肉感的な尻を超え、ぐっと引き下ろされる。そして直葉は脚をもぞもぞと動かしながら器用に足首まで下着を脱いでしまった。
直葉と下着の間に、透明な筋が何本も引かれていく。下着という堰をなくした直葉の秘処からはとめどなく、愛液があふれ出て、その水滴は内股、内太股を伝って落ちていき、和人のベッドに染みをつくる。
(こんなに……こんなになっちゃったよ……)
夢の中で兄は誰を想像して、だれを犯しているのだろうと考えたとき、スカートの下着の中で、いままで生理のときくらいしか意識をしたことのなかったそこから、つっと滴が流れていく感覚を直葉は未だに覚えている。
その正体を自分で探っていくうちに……自分の無意識な反応の正体を突き止めてしまった。
突きとめてしまった以上、止まることはできなくなっていた。
兄と通い合いたい。致したい。という感情を閉じ込めておくことが直葉にはもうできなかった。
しんしんと、響くような快楽を下半身で感じながら、直葉は兄を口に収める。
新たな刺激をあたえられたことで、再びそこには血が通いはじめており、直葉の口のなかで徐々にではあるが、硬さを取り戻しつつあった。
「んちゅっ……んっ……んっ……ちゅっ……んっ……」
自らの行為で興奮しながら、直葉は自分の肉ひらを人差し指でかき分け、そこに触れていく。最初は静かに、触れるように。
直葉の指の腹は、同世代の女子に比べて少し硬い。
素手で竹刀を握りしめて振るう、それを日課にしていれば、掌の皮膚が厚くなるだけでなく、その先端の指も徐々に硬みを帯びていく。
「はうっ!」
その指の腹の硬い部分がクリトリスの先端をとおりすぎる。
「んっ……んっ……んっ、んっ、あっ、んっ! もっと……」
最初こそ遠慮がちに上下するだけだった指先は徐々にいやらしく、秘芯をなめまわす。
思わず細めた口内の頬側に、和人の先端がこすれる。すでに十分な硬さを取り戻した和人のそれは、直葉の外頬を膨らませる。
その刺激に反応した和人のものは、いままでないほどに先端を持ち上げた。
「んっ……それが……んちゅっ、いいんだね……」
一度大きく、根本まで含み、内頬をきゅっとすぼめながら、先端近くまで唇をひきあげる。
水密桃のようにみずみずしい唇がグロテスクな男根に沿ってめくられ、再びそれを飲み込んでいく。舌先はぼっこりと膨らんだ尿道をなぞり、鈴口をれろれろ、と転がす。
「んちゅ……あっ……んっ、んっ……いや……」
兄が反応してくれるのがうれしくて仕方なく、直葉はより深く、より早く、頭を動かしはじめる。目の前に流れてきてしまう髪を片手で押さえつけ、より純粋に行為を継続する。
じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ――
リズムカルに口戯を続けながらも、
すでに直葉はこれが擬似的な性行為であることを認識している。だからこそ、止められないし、止まらない。
舌先に感じかに、痺れるような苦さを感じる。射精の直前にいつも感じる先走りの液、味。
「んっ、んっ――んん――っ!!」
もっと、もっと――。一滴たりとも逃さぬように、出口のあたりを舌でなめ回す。
みだらな刺激に、直葉は自らも感じていくのがわかる。まだ何者も受け入れていない、未通のそこから何かがあふれそうだった。
もう一度、もう一度だけ。
直葉はぐい、と男根を飲み込んだ。瞬間、
「んふ――――!?」
男根が口の中で暴れ出す。和人の体温そのままの灼熱した精液が口内を直撃する。
その拍子に強く、直葉は自分のそこをこすってしまった。
「んっ、んんっ――――!!」
口に広がる苦みが一瞬で消え去るほどの、快感が意識を塗りつぶす。
だが、兄のそこから吐き出されるそれを一滴ものがすまいと、目をつむって快楽に耐える。
それでも秘処からあふれ出る愛液は、蛇口をひねった後の水のように、ぐっちょりとベッドのシーツに噴出された。
「んっ、んっ、んっ――けほっ、けほっ」
粘っこい液体がのどを直撃してしまい、思わずせき込んだ直葉は、口をはずしてしまった。
和人の男根から発射された精液は、至近距離にいた直葉にとび、快楽でそまりきった彼女はそれを避けようともしなかった。
男根は、びゅ、びゅ、びゅと何度も直葉の顔と髪に白濁液を振りかけ、徐々に硬さを失っていった。
直葉艶やかな黒髪に粘性のそれが張り付き、ゆっくり、ぼたりと、ベッドのシーツへ落ちていく。
病室に荒い息が響く。
「なに……やってるのかなぁ……あたし……」
いつもの自問自答。答えがでるはずのない問いは、すぐに直葉に舞い戻ってきて、心を打ちのめしてく。
「変態……だよね……こんなの……やだよね……」
最初に浮かんだ自嘲的な笑みは、すぐさま崩れて、泣き顔に変わる。
いやなら、いやでいい。そういってほしい。
――――和人は何もいってくれない。
「――ひっく」
涙が一筋、二筋と流れ始めると、後は流れるままだった。
「ひっく……早く帰ってきてよ……お兄ちゃん……大好きって言わせてよ……お兄ちゃん……抱きしめてよ……スグって呼んでよ……」
行為のむなしさが理解できないほど直葉は子供ではない。脱力しながら、兄のそこから口を離す。
いつもと同じように、口と心に苦みだけが残る。
――――
淫猥な行為の後をかき消して、次いでに兄の体を拭いた後もずっと、直葉は泣き続けていた。できればこのまま、兄の横で眠ってしまいたかった。でもそれは赦されない。もうしばらくすれば、面会時間は終わるのだから。
心に区切りを付ける――もちろん、後ろ髪を引かれる思いは強い、直葉は和人の唇に自分の唇を落としてから、ベッドを降り離れた。。
「またね、お兄ちゃん……」
また、明日も同じように泣き出してしまうかもしれない。けれど和人との距離をゼロにする方法はもうこの行為以外に、思いつかない。
苦みを噛み締めながら、直葉は病院の扉をそっと閉めた。