このラノ 記念SS  
キリト「SAOには排泄は無いが、果たしてアナルセックスはサポートされてるんだろう  
か…」【前編】  
 
 
 
 
 起床アラームがやさしく頭の中で鳴り、彼の隣で目を覚ます。  
 彼はいつも無垢な寝顔で、規則正しく寝息を立ててまどろんでいる。  
 そのやすらかな寝顔をみるたびに愛おしさがこみあげてきて、この時間が永遠に続けば  
いいのにと思いながら、彼のとなりに改めて寄りそう。  
 <<黒の剣士>>キリトの新妻 <<閃光>>アスナの朝はだいたいこんな風に始まるのが常……  
だったのだが、本日はいつもと違っていた。  
 
 
アインクラッド第二十二層  
二○二四年十月  
 
 
「おかしいと思ってたんだよな。よくよく考えたら俺アスナよりはやく目を覚ましたこと  
なかったからさ」  
「んちゅ……んっ……あぅぅ……だってキリト君の寝顔、可愛いんだもん……」  
 アスナは小さないたずらが見つかってしまった時の、くすぐったさを胸の中に感じなが  
ら言った。  
 キリトはさすがに少し恥ずかしげに苦笑しながら、ゆるやかに腰を動かしはじめた。  
 アスナのこんもりとした豊かな二つの小山が、動きにあわせてたぷたぷゆれる。その真  
っ白な胸と胸の間に涙滴型のペンダントが揺れていて、彼女の肌に彩りと色気を添えてい  
た。。  
 キリトの指が乳房の先端、桜色のつぼみをとらえる。そのタッチは気づかわしげで、触  
れる指先は羽毛のようにやさしい。  
「んっ……キリト君……」  
「まだ体出来てないだろ。俺も、アスナのなか、ゆっくり楽しみたいし……」  
「キリト君のえっち」  
 アスナはしんしんと与えられる快楽に酔いしれながら、ほんの五分前のことをおもいだ  
した。  
 
 アスナはキリトの起床時間の八時より、十分だけ早く起きて彼の寝顔を観察するという  
行為を日課にしている。  
 そしてもういちいち解除するのが面倒だ、と言って倫理コードを解除したまま眠る彼の  
無垢な寝顔の頬にふれたり、起きるかな、起きないかなと半ばキリトが起き上がるのを期  
待して寝息を妨げないようにキスを落としたりしていた。  
 
 二人が第二十二層のログキャビンに新居をかまえて、十日前後。アスナからすれば、よ  
くいままでバレなかったなー、というのが正直なところで――その実、一度キリトが起き  
上がったときにはかなりのパニックに襲われたのだが――バレるのは時間の問題だと考え  
ていた。  
 時間にして七時四十五分ごろ。  
 唇に何かがふれる感覚で目を覚ましたアスナの目の前で、キリトがやさしく「おはよ  
う」とつぶやいた後に、いきなり貫いてきたこそ、予想外だった。  
 眠っていた体が一気に覚醒する。アスナの悲鳴を呑み込むような深い口づけがあって、  
その感覚に陶酔するころ、やっとアスナは自分よりも何分か早くキリトが起床し、起きる  
のをまっていた、という現状を理解できた。  
 
 そしてアスナはいま、キリトを受け入れるため両足を大きく広げ、快楽に耐えるために  
ベッドのシーツをつかみ、目をうるませて時折ふってくるキリトと口づけをしていた。  
 彼女の秘裂から男根が抜き出されようとすると、アスナの肉壁がキリトのソレのふちに  
ぴったりとよりそい、じゅぷ、じゅぷと淫らな音をまき散らす。  
 そうしてまた受け入れる。キリトの亀頭が内壁をこそぐように入ってくる刺激が、アス  
ナの思考をピンク色に染めていく。  
「んっ……でも最初にキリト君が入ってきたとき、びっくりしたんだよ。――全然痛くな  
かったし」  
 よせては返す波のような動きで刺激され、じょじょに高ぶっていくのを感じながらアス  
ナは言った。  
 アスナからすればもうほとんど答えが出ているような疑問なのだが、いちおう聞いてみ  
ることにした。  
 ぴた、とキリトの動きが止まる。  
「はいってくるとき、全然痛くなかったしね……もしかして昨日の夜「寒いから裸のまま  
一緒にいよう」って、キリト君が言ったのも関係ある?」  
「そ、それは……」  
 ほほを掻くキリト。アスナは呆れ半分、キリト君らしいなーという感情半分でため息を  
ついた。  
「怒らないから、どんなことしたか話してみて」  
「……アスナの体に悪戯しました。なんだかこう、寝顔が可愛くて、顔とか、唇とかさわ  
りました」  
 
「……他には?」  
「あと、その、おっぱいも……アスナの大事なところも」  
「ほとんど全部じゃない!」  
「……マジで、マジでごめんなさい」  
「もう」  
 憤然としてみせるが、アスナは心のなかで苦笑する。  
 
 一度だけ、悪戯をしたことがあった。いつものとおりキリトの十分前に起床したアスナ  
はその線の細い体中をぺたぺたとさわり、最終的に張りつめた男根にたどり着いた。  
 朝立ちという現象があることを知っていたアスナは、なぜかかわいく思えてしまった亀  
頭の部分を好奇心で触れた。それを何度か繰り返していると、男根全体がぴくぴく、とう  
ごめいて先端から白濁液を吐き出されてしまったのだ。間近で観察していたせいで精液は  
アスナの顔を濡らし、さらに彼女自慢の栗色の髪にもふりかかった。  
 パニックに陥った時にはもう、キリトの起床時間まで五分を切っていたので、アスナは  
SAOのあらん限りの知識を駆使しそれの排除を行ったが、結局間に合わなかったので  
「き、キリト君! 今から一緒にお風呂入ろう!」などと、混乱状態でなければ絶対に口  
にできない――願望はあっても――言葉投げかけて、キリトの手をとり風呂場に飛び込んだ。  
 精液を洗い流すどころか、そのままキリトと交わってしまい、そもそも体を洗う必要が  
なくなってしまったのは笑い話に類するものだろう。  
 
 どうやら寝ている間に悪戯していたのはお互いさまのようなので、いまの恥ずかしい失  
敗を告白してしまおうかと思って、アスナはやめた。  
 申し訳なさそうにするキリトに一個貸しにしておくのも悪くないと考えたからだ。  
 それにいきなり突きこまれたのに、それを受け入れてしまった自分に驚いていたのもた  
しかだ。なぜなら――。  
「アスナ……ごめん、そろそろいいかな」  
 物思いから引き戻されてキリトを見上げる。なにかを我慢するように切なげに眉をゆが  
めるキリトの顔があった。  
 アスナはすこし腰をひいて、自分の具合を確かめてみる。内壁をキリトの男根がすりあ  
げる感触があり、ぬる、と膣内でうごめくのを感じたが痛みはまったくなかった。  
 ただ甘いしびれるような快楽がある。最初こそ羞恥心から快楽に体をゆだねるのに抵抗  
があったが、心地よい一体感と、頭を真っ白にする快感にアスナはすでに虜になっていた。  
「いいよ。おもいっきりでも、大丈夫だよ……」  
 アスナがそうつぶやくと、キリトは待っていましたとばかりに腰を動かしはじめた。  
 
 
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「んっ……はぁ……」  
 アスナは大き目のまくらをだきしめるようにして、ベッドに上半身を倒した。ぼふっ、  
と顔をまくらの表面にうずめる。綿でできたまくらの感触が愛おしい。  
 その拍子にぬるん、とキリトの男根が抜ける。いままで後背位で貫かれていたのだ。  
「はぁ……はぁ……アスナ……」  
 いまのいままで大いに暴れていたキリトはそのまま仰向けに倒れこんだった。腰が抜け  
てうごかない、という感覚をアスナをあじわっていた。  
 SAOには疲労値というのは存在しない。だから筋肉痛や筋肉疲労で体が重くて動かな  
いということも、もちろんない。  
 ただ、肉体を酷使しすぎると耐えがたい頭痛に見舞われたりするため、体を休める時間  
は必要だ。  
 ただし、逆にいえばいつまでも動き続けることができる、ということになる。そしてそ  
こにお互いを求める気持ちがあれば自然、行為は長く、激しいものになる。  
 十代の少年少女に与えられるはずの青春というリソースを階層攻略やレベルアップに費  
やし、まともな恋愛をしなかった反動か、二人はこんな風に力尽きる愛しあうことが多々  
あった。  
 人知れず心の中に抱えてしまった空洞を相手から奪うもので満たそうとすれば、自然と  
そうなるのかもしれない。  
 そのたびにアスナとキリトは反省会を開いたりするのだが、どうしても一度はじめてし  
まうと止まれない。疲れた腕を振るってスクリーンウィンドウを開き、時間を確認すると  
もう正午をとっくに過ぎていた。途中で休みもとらずに四時間は行為に及んでいたことに  
なる。アスナはため息をついた。  
 うしろから貫かれていたため、お尻を突き上げた格好のままでいたのに気がつき、アス  
ナはゆっくりと折り曲げていた脚を伸ばしてうつ伏せの格好になっていく。  
 じゅる、とお腹のなかで何かがうごめいた気がした。  
「……んっくぅ……」  
 
 子犬のような鳴き声のような声でアスナが鳴いた。ビールジョッキ一杯分ではすまない  
精子の量がそこに注ぎこまれているため、それらの粘塊が出口に向かって落ちていくだけ  
でも内膜を刺激してしまう。  
 すると、いまのいままでキリトと交わっていた秘裂からごぽごぽと音を立てて、精子が  
流れ出ていった。  
「んっ……やら……」  
 流れ出る粘液がアスナを刺激し、快楽漬けになったアスナを再び責めたて愛液を分泌さ  
せる。新しい愛液とまざった精液は次から次へとこぼれ出て、肉ひらをつたって彼女の秘  
芯へ向かって流れ、ぼつ、っと落ちていく。  
「あ、アスナ……」  
 アスナは何とかまくらから顔を離して、彼女から見てお尻の先で仰臥しているキリトを  
見る。もう秘処を隠す気力もアスナには残されていない。  
「……?」  
 キリトの視線はアスナのそこに注がれていた。アスナは少しだけ眉をひそめる。キリト  
の視線はいままで交わっていた秘裂よりも一段、高い位置を見ていたからだ。  
 
 キリトの視線の先にあるものに思い当たる。  
 そこにあるのは――菊の花の形をしたもの。排泄が必要ないこのSAOでは無用のはずのもの。感  
覚だけの虚ろなもの。  
 
 
 
 
 そして、本日一日アスナを大いに悩ませる一言がキリトより告げられた。  
 
「SAOには排泄は無いが、果たしてアナルセックスはサポートされてるんだろうか…」  
「エ……!?」  
 
 

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