小ネタ「KOBの衣装をヒロインに着せてみた」
「そういえば、KOBの衣装って可愛いですよね……」
「あ、じゃあ着てみる? ちょうど三着分あるし」
「え? あ、あたしはいいよ。はずかしいし……」
なんて会話があったのは五分前。ログハウスのリビングで突発的に行われる
ことになった、アスナ、リズベット、シリカのファッションショーに、もちろ
んキリトは参加させられた。
キリトはキリトで、KOBを退団してからインベントリに格納されたままだった血
盟騎士団の衣装を半ば強引に着せられ、三人がきゃっきゃっするのを眺める。
似合う、と三人に聞かれてキリトはこくこくと三人にうなずいた。
(あ、アスナ以外はコスプレだけど……二人とも似合ってるな……)
紅白の衣装に身を包み、姿見で自分の姿をそれぞれ確認する彼女たちを、キ
リトは盗み見る。
SAOの装備品に体格は関係ないので、小柄なシリカにも紅白の制服はぴっ
たりフィットしている。普段からミニスカートなので、全体の印象こそ変化し
ていないものの、そもそもKOBの衣装が派手目に作られているので、晴れ着
を着せられた初々しさがある。二―ソックスとスカートの間からまろびでる太
股がまぶしい。
激変しているのはリズベットだ。赤基調の衣装を身につけることが多い彼女
だが、白基調の衣装に着替えただけで印象が激変していた。ピンクの髪が白い
衣装に映えている。いつも装備している服よりもスカートが短いのか、やたら
と裾をおさえたりひっぱったりしている姿は、彼女の童顔も相まって非常に愛
らしくキリトの目にうつる。
どこか落ち着かない二人とちがい、堂々としているのはアスナだ。普段から
身につけているものだけあって立ち振る舞いこそ堂々としているものの、顔は
真っ赤に染まっている。キリトと結婚して以来、なるべく肌を見せないように
していたアスナはどうやら元の衣装がむずがゆいらしい。ちらちらとキリトの
方に視線を向けてはそらしていた。
そんな三人の変化にキリトもどぎまぎしてしまう。
親しい少女たちが衣装をかえるだけで、どこかもっと別の、高値の花のよう
な感じがしてキリトは三人から目をそむけた。
内心心臓をばくばくさせるキリトに気がつかず、三人はひそひそと、話を続
けた。
「ねえ、アスナ……今晩あたり、その格好でキリト誘ってみたら」
「あ、それ絶対に有効ですよ。だってキリトさんの目、ぎらぎらしてますもん
……」
「……そう、かな。キリト君よろこんでくれるかな?」
「……なんだか」
「……とってもうらやましいですね。言わなきゃよかったかな……」
とっても乙女な表情をするアスナに、リズベットとシリカはほぼ同時にため
息をついた。