思えばSAOにとらわれてから、これほど誰かと密着したことはなかったかもしれない。  
 最後に人の温もりに触れたのはいつのことだったのか、もはや検討もつかないくらい昔の出来事なの  
は確かだ。うん。  
 獣耳としっぽをはやしたシリカの肩を抱きしめる。肩は薄くて華奢で、強く抱くと壊れてしまいそうだった。  
 
「はう……」  
 
 シリカは耳元で幸せそうに息をはいた。俺の頬に頬をすりあわせてくる。  
 寒さは依然として、俺の体を蝕んでくるがこの甘い時間をもうしばらく味わっていたかった。  
 シリカのしっぽもゆらゆら、くねくね、揺れている。  
 
 クエストを受けたのがシリカで良かった。これが俺やクライン、エギルあたりが受領したクエストならどうだったろう。  
 
 あのエギルの禿頭に三角形の――  
 空恐ろしい。  
 俺は、ぶんぶんと頭をふるって想像を追い払う。  
 危うく頭の中に猫耳、腰から尻尾を生やしたエギルとクラインが、頭の中にポップするところだった。  
 セルフPTSDを生み出してしまうところだった俺は、気を取り直して、抱き合ったままのシリカに言った。  
 
「なあ、シリカ……さっきから気になってるんだけどさ」  
「はい?」  
 
 シリカが愛らしく首をかしげる、と同時に彼女の背中のあたりで「?」のマークのように、尻尾が揺らいだ。  
 だから、俺は聞かずにはいられなかった。  
 
 ねえ、しっぽってどんなかんじ? と。  
 
「その尻尾って感覚あるの? 人間に無い器官はどんな感覚するものなんだ?」  
「――っ!」  
 
 俺がそう聞いた瞬間、シリカの顔がこわばった。  
 いきなりおびえた表情をするシリカの耳に触れる。俺はさきほどからのやりとりでシリカの弱点がこれだと気づいていた。  
 今のシリカにとんでもなく効果的だとわかっていたので、今度は生え際のあたりを人差し指と親指でつまんでみる。先端よりは硬めの、むに、と不思議な弾力が指に伝わった。  
 
「にゃ、ちょっ……キリトさんっ、遊んでませんか……」  
 
片目をつぶって恥ずかしがるシリカにかまわず、俺は耳をもてあそんだ。いくらいじり回しても、ぴんと戻る耳。耳を包む産毛に親指と人差し指が滑って気持ちいい。それはシルクを指先でもてあそぶ感触に似ていて、正直ずっと触れていたい。  
 
「んっ……それで……しっぽの感覚ですか……?」  
「え? あ、そうそう。しっぽの感覚」  
 
 シリカの言葉に俺は我に返る。  
 つい獣耳に夢中になっていた俺は、危うく本題を忘れるところだった。  
 
「体の……芯の部分ですか? その、神経を揺さぶられる感覚というか……とにかく変な感じがします」  
 
 俺は好奇心を大いに揺さぶられた。  
 
「へえ。尾てい骨の延長線上の感覚か」  
「……たぶん、ですけど。さわられると……背骨がびくびくします」  
「ほう……」  
 
 そこで俺は改めてこのクエストの特異性を意識した。  
 たかだかクエストでこの手のこみようはいったいなになのか。  
 疑問が口をつく。  
 
「もしかして種族追加のキークエストとか……いや、ないか」  
「種族追加?」  
「ああ、たまにあるんだよ。アップデートで種族追加とか、職業追加とか」  
「……そういえば、変なクエストが多いですよね……。この間チェーンソーを振り回す仮  
面オーガー倒してきましたよ。ほかにも――」  
 
 シリカがSAO七不思議を話し始めた。やはり、というかなんというかこの手の娯楽に  
関する話題は、俺よりも相当に豊富だ。  
 ボリュームゾーンの中層に位置するプレイヤー全体にいえることだが、比較的緩やかに  
ながれる日々を、レベルやスキルとは別の部分で楽しもうとする彼らは娯楽や遊興の発見  
に余念がない。それらは生活を彩り、便利にするものだ。だから俺たちとは別のベクトル  
で彼らはSAOを攻略していると言っていい。  
 ――出会えばボス攻略の話やら、迷宮区のマップデータの話になりがちな俺たち攻略組  
とは、あきらかに話の幅が違う。  
 
 だが――。熱心に話をしてくれるシリカには非常に申し訳ないのだが。俺の注意はシリ  
カのしっぽに向けられていた。左右にくねるその尻尾は、「上機嫌ですっ!」と全力で自  
己主張する。  
 独自の感情表現エンジンが搭載されているのではないかと疑ってしまうほど自然に、シ  
リカの表情とシンクロするしっぽ。  
   
 気がつくと俺はその尻尾を掴んでいた。  
 
「ひやぁっ――!」  
 
 シリカは悲鳴を上げて飛び上がった。体のみならず、獣耳までピンっと立たせて、驚愕  
を具現化する。ついでにというか、俺を受け止めたままの柔肉もきゅっと淡く締まった。  
 
 握り心地のよい太さのしっぽには驚いたことに、芯の部分にコリコリとした骨の感覚が  
あった。しかもちゃんと体温まで感じる。大した再現度だった。猫を飼った経験はないが、  
家の近所の愛猫家に猫をさわらせてもらったことがあった。そのときに触れたしっぽと同  
じだ。これは猫のしっぽだ。  
   
「ひ、や、あぁ――やっ――、やっ――だめっ――、だめ、ですっ――」  
 
 俺が、にぎにぎ、するたびにシリカが細かく震えながら悲鳴をあげた。シリカの中には  
いったままの性器を膣道がぎゅうぎゅう、締めつける。先ほど暖めてもらってた時とくら  
べて、半分程度の堅さしかもっていなかった性器が刺激に反応して徐々に硬くなる。  
 俺はシリカの体を抱え直しつつ、しっぽへの愛撫? を続行した。耳と同色の明るいオ  
レンジに近いしっぽを緩く握って上下にさする。  
   
「にっ、やっ、ぁぁ!!」  
 
 シリカはぞくぞくと体を震わせた。小さい子供がいやいやする仕草で、いつの間にか俺  
の胸においていた両手をつっぱろうとする。だけど魅力的なさわり心地をほこる尻尾に夢  
中な俺は、「腕力」にものを言わせてシリカの背を片手で押さえる。  
 
 中途半端な位置で止められた手をしっぽの根本にまでおろして再び握る。  
 
「や、やめ――っ!」  
 
 シリカの要求を蹴って、根本から先端へ向けてずるっと手のひらをすべらせる。   
 
「いやぁ――っ!」  
 
 根本から先端までを余すところなく刺激されたシリカは、俺に抱きつきながらびくん、  
びくんと体をふるわせる。  
 シリカの中は温かくて気持ちいい。しっぽをせめる度に、なにか別の生き物のようにう  
ごめいて俺をせめ立てた。  
 
「ひっ、はう……ひゃあ……うぅ……ひ……」  
 
 俺は負けじとシリカのしっぽをにぎにぎしたり、さすったりする作業を継続する。  
 
 握りしめる度にあげていた悲鳴に、甘みがまじりはじめていた。  
 
 俺はシリカの腰をだきかかえて、少し体を浮かした。  
 いままでシリカの中にうまっていた俺の性器の根本が出てくる。いままで投げ出してい  
た脚をあぐらになおして、シリカに言う。  
 
「シリカ……俺の肩につかまって」  
「え……はいっ」  
 
 素直に従うシリカの腕が俺の首に抱きしめる。  
 シリカのぷっくりした腹部と淡くなだらかに膨らんだ乳房が密着する。  
 
 シリカの武器は腕力要求値が低い短剣系だからそれほど腕力を強化していない。だが、  
最低限のシステムアシストで自分の体重くらいは支えることができるはずだ。  
 
 逆に腕力値に余裕のある俺は現実世界では不可能な数々の無茶ができる。いくらシリカ  
が軽いとはいえ、細腕一本で体を支えるなど現実には不可能だ。だが、腕力補正はそれを  
いとも簡単に実現させてくれる。それでなにをしたいかといえば――。  
 
 俺は左手一本でシリカを支えつつ、再び右手でしっぽをゆるめに掴んだ。  
 
「ま、またっ!」  
 
 ぎゅうっと膣道が絞られた瞬間、俺はシリカの体をおろした。  
 ずぼっとさらに狭くなっている膣道を性器の先端がこそいでいく。  
 
「えっ――、ひっ、はう――っ!」  
 
 重力によってシリカの体が落ちる。俺の性器がせまくなっていた膣道を亀頭で割り込ん  
だ。  
 耳元でシリカの悲鳴が聞こえる。  
 ずるっと滑りながら食い込んだ男根の先端が刺激を受けて危うく二度目を吐き出してし  
まいそうになった。  
 
「はうぅ……はうっ……いま……キリトさんっ!」  
 
 シリカが俺から体をはなして抗議の声をあげる。でも大して迫力がない。愛らしいくち  
びるをとがらせる様は、すでに愛玩動物然とした愛嬌があるせいだ。  
 俺は無言でもう一度シリカの体を浮かべた。  
 
「んっ……またっ……」   
 
 今度こそ俺の意図を理解したシリカが体をこわばらせる。だが、それだけだった。もう  
一度おずおずと俺の首に手をまわしてくる。  
 
「いくよ……シリカ」  
 
 耳元につぶやいてから、片手でしっぽを握りしめ、シリカの体を落とす。  
 
「はうぅ――!」  
 
 最初より控えめの悲鳴をあげながら俺を受け入れていく。不思議な感覚だった。  
 シリカの中は狭すぎるくらいなのに、亀頭はいとも簡単に奥底まで達する。俺が吐き出  
した精液とシリカの分泌液が潤滑油として機能しているせいだ。  
 暖かく湿ったそこの感触は、自分でしたときとは比べものにならないくらいの快感を与  
えてきた。  
 癖になってしまいそうなほどの刺激を味わうべく、俺は何度もそれをくりかえした。  
 
「はうっ、あうっ、うぅっ!」  
 
 シリカの声のトーンがあがっていく。と同時にシリカが体を揺すりはじめた。  
 
「シリカ……」  
 
 俺はシリカの腰に触れているだけで全く力をいれていない。シリカがしっぽを握られる  
タイミングに併せて動いているのだ。俺の首に抱きついて、離れる。それを繰り返し、器  
用に体を上下させる。  
 シリカを抱え上げる必要がなくなり手持ちぶさたになった手でシリカの耳をなでる。  
 
「はぁ、はぁ、うぅん、ひゃう――、く、くすぐったいですっ!」  
 
 いいながらも、シリカは体の動きを止めない。俺とシリカの結合部からはぐちゅ、ぐち  
ゅと小気味のいい音がリズムカルに響いていた。   
 
「あ、ああ……キリト、さんっ――!」  
 
 大きな手のひらで握るように強く――、シリカが俺の性器を締め上げる。  
 
「ひゃ、はっ、はぁっ、はぁ……はぁっ、んっ――!」  
 
 腿に乗っかっているシリカの脚が激しくふるえて俺の首に手をかけたまま、背中を弓な  
りにそらす。  
 
「はぁ……はぁ……」  
 
 そのまま後ろに倒れそうになるシリカをあわてて支える。うすく見開かれた目はうつろ  
で、星が瞬いていた。しっぽと挿入の刺激で上り詰めてしまったシリカを抱き寄せる。シ  
リカは両腕としっぽをだらん、と脱力させた。ぴんと張っていた耳も力をなくして前にパ  
タっ、と倒れてる。  
 気をやる、という言葉は後で知ったけれどもいまのシリカはまさにそんな様子だった。  
 閉じられた桜色の唇がふるえ、わずかにまぶたを持ち上げる瞳の端から涙が一筋流れて  
いく。幼い顔に似合わない、強烈な色気を宿した表情に俺はすっかり当てられた。  
 
 俺は握りしめていたしっぽをシリカの口元に近づけた。そのまま――  
   
 しっぽの先端をくわえさせた。  
 
「むぎゅっ――!?」  
 
 あわててしっぽを口から抜こうとするシリカのお尻を俺は両手で掴んだ。想像以上にや  
わらかく、ちょうど俺の手のひらに収まるくらいの――実際には若干持て余し気味――お  
尻をもんでいるとシリカが身じろぎした。  
 
「はぎゅ……んっ……ひ、ひりとひゃん……ま、まだっ、ひゃう……」  
 
 しっぽの先をくわえたままのシリカがもごもご言う。だがその口を動かす動作だけでも  
しっぽを噛むなり、舐めるなりして、感じてしまうらしく一言しゃべるごとに性器に向か  
ってシリカの柔肉が迫ってくる。  
 
「はずかひぃ……でひゅ……むぐぅ――――!」  
 
 俺はシリカのおしりを強く掴んでぐっと持ち上げた。雁首のあたりまで俺の性器が露出  
する。    
 シリカが目の端に涙をいっぱいに溜め、いやいやと首をふるった。だが口にはまってい  
るしっぽも動いてしまい、んんっとくぐもった声を上げる。そのとたんに膣道が縮まって、  
亀頭を舐めあげる。  
 頭の奥に白い電撃がはしる。なんどかの刺激で俺の性器は暴発寸前だった。  
 
「シリカ……いくよ……」  
「……ひゃう……きりと、ひゃん……」  
 
 シリカの頬に口づけした後、脱力したままのシリカを揺さぶるべく、手のひらに力を入  
れた。  
 
 お尻をしっかりと握りしめてぐっ、と引きつけて、離す。ただただそれをくりかえした。  
今度は俺がシリカの膣道を舐め回すようにぐりぐり、先端を動かす。  
 
「ひゃうっ……んっ……あうぅ、んっ――っ!」  
 
 シリカの嬌声がとろけるように甘く、せつない。  
 そろそろ限界だった。  
 せめてシリカが気持ち良くなるようにと、反応がよさそうな部分に性器をすりつける。  
入り口から少し離れたざらざらしたそこに先端をすりつけた。  
 
「ふぐっ! ふあっ……ふっ、ああぁ!」  
 
 ぶほっ、とシリカの口からしっぽが抜けた。  
 ただでさえ狭いそこをごりごりと広げて、ただただ達するためだけにシリカを揺らした。  
 ずるり、ずるりと、内壁から湧出する潤滑液をずり取るようにシリカの小さな膣道を上  
下左右に蹂躙する。  
 
「ふぁっ、んっ、んっ、んんっ!」  
「ぐ――シリカぁっ!」  
 
 握っていたお尻を思い切り引きつけた。ずぼぉ、と音がしそうなほど深く、深く、シリ  
カを突き刺す。  
 俺の意思とは無関係に性器が熱いしぶきを発射する。  
 
「あ、あああ――! はがっ……んっ……あつっ……」  
 
 目をぎゅうっとつぶり、口を閉じるのも忘れたシリカの口腔に舌先を突っ込む。  
 
「むぐっ……んっ、じゅる……」  
 
 体の中で吐き出される衝撃に揺れるシリカが愛おしくて仕方がなかった。  
 シリカの上の口も、下の口も、等しく味わいながら、俺はしばらく頭をばちばちと焼く  
快感に身をゆだねていた。  
 
――――  
「キリトさんの……いっぱいです……」  
 
 しばらく呆然としていた俺はシリカの言葉でゆっくりと意識を取り戻した。  
 シリカが下腹部の、おそらく性器の先端がある部分に両手を当てて言う。なまめかしい  
その仕草に、現実世界に残してきたはずの心臓がバクつく。  
 
「まだ、びくびくしてる……」  
「量としてはどうなんだろうな、これ……」  
「……そもそもふつうの量がわからないです」  
 
 最初にシリカに中だししてから、まだ一度も性器を引き抜いていないのでどれだけの量  
をシリカにそそぎ込んだか俺にもわからなくなっていた。  
 
 それを伝えようとしたまさにその時、ぱたぱたというサウンドエフェクトが洞窟の奥か  
ら聞こえた。  
 俺はおもわずシェラフの横に寝かせていた片手剣を鞘ぐるみに握りしめた。  
 
 シリカもすぐに音の発生源に耳を向けた。ぴんっ、と耳がおき立った。  
 だが俺たちの警戒はすぐにとけた。  
 
「ピナっ!」  
 
 燃える薪が産む光源に照らされて、いままで俺たちのそばにいたはずのピナが羽音を洞  
窟に響かせて現れた。  
 口になにかをくわえてる。  
 ピナはきゅっ、と一声なくとシェラフの隣に四肢をつけてお座りした。  
 くわえていたアイテムをシリカが手にとり、アイテム名をしらべて、歓喜の声をあげた。  
   
「ぴ、ピナっ! それもしかしてこれ、クエストの要求アイテム……?」  
 
 こくこくと頷くピナ。  
 俺は肩をなで下ろした。  
 そこで、はて、勝手にクエストアイテムを入手してくるテイム・モンスターなんていた  
だろうかと首を傾げていると。  
 
 ピナと目があった。羽毛に包まれたドラゴンの瞳にはなんだかそこしれない――たとえ  
ば嫉妬、もしくは恨みの情が暗く輝いてる気がして、俺はあわてて目をそらした。  
 これ以上見ていたくなかった。いや、これ以上見てはいけない気がした。  
 
 でもまあ――これでクエストをクリアできる。この極寒ダンジョンから脱出できる。  
 これで一件落着のはずなのに、俺の心になにか暗いものが沈殿した。  
 体の渇望だけじゃない。抱き合っているシリカから与えられる体温は、体にしみこむだ  
けでなく、心にも染み渡っていた。  
 
 でも口でその寂しさや愛しさを表現できる気がしなかった。たぶんオフラインでもオン  
ラインでも、それは同じだろうから――。  
 俺は行為で示すことにした。  
 
 くちゅ、と。つながったままの男根を緩く動かした。  
 
「はう……?」  
 
 目的はすでに達したのだから、こうしている必要はない。シリカはほんの数秒、首をか  
しげていたが――。  
 すぐに顔をほころばせた。いままで一度も見たことのない最高の笑顔を浮かべながら、  
ぶつかるように俺に抱きついてきた。  
 もう言葉を使う必要もないくらい、俺とシリカは本当の意味でつながっていた。  
 
――――  
 
 このまま仰向けで寝かせてしまうとしっぽがシェラフとシリカの体に挟まってしまう。  
 どうしようかと一瞬考えて、結局最初に浮かんだ一案を実行することにした。  
 そのまえに邪魔になりそうなシリカの髪留めを取りさる。ツインテールにまとめられて  
いた髪が解かれて、さらりと鎖骨のあたりにかかった。  
 普段の幼い印象が一変する。流れてきた髪がまだまだ幼い顔に少しだけ影をつくった。  
 顔に陰影の出来たせいか、子供っぽさを助長していた丸い頬が隠れて少しだけ年齢を底  
上げしている。いままでアップにしていたので気がつかなかったが、シリカ髪は意外に長  
い。真っ白な胸元に夕焼け色の明るい彩りが添えられて、色っぽかった。  
 
「あ……」  
「こうすると、ちょっと大人っぽいかもな」  
「……ふだん子供っぽいってことですか?」  
 
 ぷうっとむくれるシリカに女の子って難しいな、と感じる。  
 初めてだきあってからずっといれっぱなしになっていた性器を抜いた。  
 
 んっ、うめいたあとシリカは俺にされるがまま、シェラフの上に左肩を下にし、体を横  
たえた。これならしっぽが下敷きにならない。  
 ならない、けど。  
 ずっと体を引きつけあっていたせいで、いままで見えなかった部分が目に入ってきた。  
 
 ちろちろと燃える薪の明かりに照らされて汗にぬれた小柄な体の全体が見える。  
 シリカが不安げに俺を見上げてくる。しっぽと獣耳のせいでそんな仕草が主人の顔色を  
うかがう子猫のようにしとやかだった。  
 
 その上そろえた両足の付け根の部分は、先ほど俺が存分に味わった膣道の入り口がある。  
 生まれて初めて直接見る女性器のスリットからは白い液体が一筋、重力に従って流れ出  
ていた。そしておもらししたかのように、お尻全体が濡れているのは――いわずもがなさ  
っきまでの激しい性交の後だろう。  
 自分がやらかしたことの重大さに背筋が改まる。  
 いくら体がポリゴンでできているとはいえ、SAOのサービス初日からシリカの体は、  
「シリカ」だ。まだ本名もしらない彼女の初めてを奪ったのだ。  
 
「キリトさん……」  
 
 急に黙った俺の名前を不安そうに呼ぶ、シリカになんでもない、と言った後シリカの脚  
の片方、彼女の右脚を抱え上げた。  
 そして露わになったスリットに自分の性器を突きつける。  
 入り口を見つけるのに多少手間取りながらも、亀頭をずるずるとシリカにさしこんでい  
った。  
 
「あう……んっ……んんっ――」  
 
 腰を進める合間に、人差し指でシリカの唇をなぞる。  
 唇ってこんなに柔らかいものなのかと少々感動していると、シリカが舌で指先を舐めて  
きた。ちろちろとじゃれついてくる舌の感触を指で味わう。  
 空いた片手でシリカの背中をさする。尻尾と同じ、人肌の温かさが伝わってくる。汗で  
湿ったなめらかな肌の感触も。  
 
「ちゅ……んっ、やさしいです……キリトさんの指……」  
「さっきからやさしくしてるつもりなんだけど……」  
「だってキリトさん、まだ二回目だったのに……あんなに激しく……しかも、敏感な時に  
……しっぽまで……くわえさせて……」  
「きょ、許可はとっただろ」  
 
 シリカはそこで淡くわらって、俺の手を両手で握りしめた。  
 
「冗談です。すごく……気持ちよかったです」  
「……」  
 
 そこまでいって、急に恥ずかしくなったのかシリカが顔を伏せた。三角形の獣耳は本物  
の耳のように、赤くなったりしないものの、ぴくぴくと落ち着きなく動いた。ある意味も  
のすごく不便だ、この耳。  
 
 やさしく、というオーダーがでたので、なるべくゆっくりと性器を動かした。深呼吸の  
ように、大きく抜いて、深く挿す――。  
   
「んっ……んっ……やさしい……です……当たってるところが違ってます……」  
 
 シリカのしっぽが重力に逆らって淡く揺れている。  
 ――やっぱり便利かもしれない。  
   
 俺はそんな風に挿入を続けながら、シリカの体をなでまわした。  
 左手で背中をさすり、右手はちょうどおなかのあたりを円の動きでなで回す。ときおり  
おへそのあたりをくすぐったりしてみた。  
 
「は……んっ……んっ……ちょっとくすぐったいです……うぅ……最初からこうしてもら  
うんでした……」  
「激しいの嫌か?」  
「そんなことはないですよ……でも、こうやって優しいのも……好きです」  
「そっ……か」  
 
 シリカが満足してくれるなら、俺もうれしい。  
 しばらくこのまま、のんびりとえっちするのも悪くないな、と思った瞬間だった。揺れ  
ていたしっぽが動きをとめる。  
   
「あの……ところでキリトさん……まだ、さわってもらって無いところがあるんですが…  
…」  
「……胸?」  
 
 シリカがこくん、と頷いた。  
 
「……」  
 
 俺は激しく動揺した。  
 洗濯板――よりは少しましだけど「膨らんでいる」という表現をするにはあまりにもな  
だらかなそこに、どう触れればいいのかまるでわからない。  
 
「えっとさ……触ると……痛そうだよ?」  
「つ、強くしないでくれれば、大丈夫ですよ」  
「でもさー」  
 
 煮えない返事をする俺。どうしたものかと、おもわず乳房を凝視してしまう。  
 唇よりは少し色の淡い、俺の親指の腹で隠れてしまうくらいの大きさの乳輪。その上に  
米粒大の乳首が乗っていた。  
 
「……?」  
 
 俺の視線を追って、シリカが自分の胸元に視線をおとした。  
 
「!」  
 
 俺が手をださない理由に気がついたのか、シリカはなんだか泣き出す一歩手前の表情で  
猛然と反論してきた。  
 
「だ、だって二年前ですよ……このアバターできたの……十三歳ならふつうです! きっ  
と現実世界ではちゃんと膨らんでます!」  
 
 ぷいっとあさっての方向を向くシリカ。  
 すねた様子のシリカのリクエストに答えて俺は指先をそこに向けた。  
 つぷっ、とまだつぼみともいえない、わずかな突起に指をひっかける。  
   
「んっ……」  
 
 シリカはそっぽを向けていた顔を俺に向けなおした。ゲンキンだなーとか思いつつ、指  
先でそこを押す――。いや、撫でる。  
 わずかな抵抗があるだけなのであまり強く触れると痛そうなので、あくまでやさしく触  
れ続ける。  
 
「んっ……キリトさん……さわり方がやらしいぃ……」  
「さわってって言ったのシリカだろ!」  
 
 微妙にこりこりしたそこをいじり回す。おしおきも兼ねて。  
 
「ああ……んっ、ひぃ……ぁああぅっ! んっ」  
   
 シリカがシェラフの布をぎゅうっと握りしめた。そういえばどこかで小さいと小さいで  
感じやすいと聴いたことがある。  
 身じろぎするシリカは、かわいい。  
 そんな小さな仕草が可愛くてしかたない。  
 俺はそのまま動きをとめずに高ぶるままに腰をシリカに押しつけた。  
 
 じゅぷりゅ。  
 
「んっ……ああ……あ……」  
 
 最初よりは挿入が浅いかもしれないが、シリカはちゃんと感じてくれている。肌がぶつ  
かり合う乾いた音に加えて、シリカの嬌声が洞窟に響きわたった。  
 体勢が体勢なので、シリカのお尻にあたって深くは突き刺せない。でも十分だった。シ  
リカの膣道がこそいで、包むような刺激に夢中になる。  
 
 俺の太股とシリカのお尻の肌がぶつかり合い洞窟に盛大に音を響かせる。  
 すでに二回ぶちまけているそこから、抜き挿しする度に白い粘液が飛び散ってシェラフ  
の表面を汚す。  
 
「ふぁっ、んっ、んっ……んあっ……キリトさん……もう――!」  
 
 胸を触られているのがよほど心地よかったのか、シリカが早々と上り詰める。  
 もっとも、俺もそれほど状況が変わらない。亀頭に絡んでくる柔肉はとつとつと限界を  
促してくる。  
 
「んっ……俺ももう限界だよ……」  
「はぁっ、はぁっ、うぅっ、んっ、いやっ、いっちゃいますっ! キリトさんっ!」  
 
 なにかを期待する、シリカの視線に答えて。  
 俺はシリカのしっぽを全力に握りしめた。  
 
「ああああああっ――!」  
 
 俺がしっぽを握りしめるのと同時に、シリカが達した。  
 同時にシリカの膣道に万力のような強い力で促され、俺もすぐに吐き出してしまう。  
 どぷっ! どぷっ! どぷっ! どぷっ!  
 
「ひ、あ、ああ……あ……」  
 
 射精のタイミングと同期してあえぐシリカを見つめる。きゅっと閉じた唇とまつげをふ  
るわせるシリカの艶姿と三度目の射精感に酔いしれ、シリカに全部をそそぎ込んでいく。  
 注ぎ込むのにあわせて亀頭がシリカの中で暴れる。シリカはそのたびに可愛く反応して  
くれていた。  
 
「くは……んっ……んぅ……」  
 
 体を何度か震わせたシリカは、シェラフの上にぐったりと横たわった。  
 
「お、おい。シリカ」  
 
 あまりにも脱力するのであわててシリカの顔を見る。  
 最初に俺のベッドで寝入ったときのように安らかな寝顔のシリカの表情に俺は胸をなで  
下ろした。  
 すぐにすうすう、と規則正しい寝息が聴こえてくる。  
 これだけ無茶すればそうなるよなぁ、と頬を緩ませていると――なにかの視線を感じた。  
 
 視線を向ける。  
 
 シェラフの近くで待機していたピナが、半目で俺のことをにらんでいる。  
 
 無茶した俺を諌めるようなその視線に頬をかきながら、気を失ってしまったシリカを抱  
えて一つのシェラフにもぐりこんだ。  
 クエストクリアしたらきっとなくなってしまう耳としっぽに触れながら、温かいシリカ  
を抱きしめる。きっと猫を抱きながら布団の中にはいったらこんな感じなのだろう。  
 むにゃ、とシリカがつぶやいた。  
 
「にゃ……キリトさん……大好きです……」  
 
――――  
 
 第七十五層のボス攻略が終わった。  
 俺は疲れ切った頭をぶらさげながら第三十五層主街区の宿屋に向かい、チーズケーキを  
購入する。ケーキをインベントリに格納した後、ねぐらに向かう。  
 まだまだマイホームを購入するには資金が足りず、一月ごとに一括して宿泊費をはらっ  
ている状態だが、いずれはどこかに家を購入したいと思っている。  
 どこかいい物件はないか……などと半年前には考えつかなかった思考をしながら、いそ  
いそと階段をあがった。  
 廊下の三番目の角部屋がいまの俺のねぐらだ。角部屋なので意外と広め、かつ家賃は  
リーズナブル。階段から続く廊下をきっちり二十歩ほど歩き、もう何度ノックしたかわか  
らない木目調の扉をノックする。  
 はい、という声に続いて。扉が開く。  
 
「あ、おかえりなさい。キリトさん」  
「あ……た、ただいま」  
「もう。いい加減に慣れてくださいよー」  
 
 ころころと明るい声。肩から赤茶の、毛糸を編み込んだポンチョをはおったシリカがい  
た。  
 シリカは癖のない夕焼け色の髪を肩口にたらし、おかえりと言われるのにどうしてもな  
れない俺の手をとる。  
 冬場の空気で冷え切っていた手に、彼女の小さい手が絡む。  
 
「冷たい……。早く入ってください! 風邪ひいちゃいますよ」  
「風邪って……そんなバットステータスないよ」  
「むう。ダンジョンで動けなくなっても、もう暖めてあげませんよ」  
「……それは勘弁」  
 
 俺はぐいぐい引っ張られる。暖炉の火がちろちろと部屋の奥で燃えているので、暖かい。  
 
 今日のボス攻略もつらかった。死者も多数出ている。残りの二十五層をどう犠牲者なく  
戦っていくかが、これがこれから先の課題となってくるかもしれない。  
 でも俺はクリアをあきらめていない。いままで以上にゲームクリアに執着するようにな  
ったのは、やはりシリカの影響も大きい。何とかして彼女を無事に元の現実へ返したい、  
と切実に思うようになっていた。  
 今の俺はアバターとしてのシリカだけでなく、現実世界の彼女とも一緒に歩んでみたい  
と切望している。  
 ただ、戦いの余韻を部屋にはいる前に消しておきたくて。だから、ぐいぐい引っ張って  
くるシリカの手をぎゅうっと握り返した。  
 
「えっ? キリトさん……?」  
 
 首をかしげる彼女に笑みを返して、言う。  
 
「いや、なんでもないよ。ちょっとこのまま」  
「……はい」  
 
 シリカは握られるまま、俺を見つめてくる。いつかシリカの本物の手を握ろうと心に誓  
って――。俺は部屋に一歩踏み込んだ。  
 
 

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