シノンに群がるアスナとリズベットを何とかひきはがし、とりあえず落ち着いてもらっ  
た。  
   
 アスナは俺たちが置かれた状況について、大まかな説明をリズベットとシノンの二人へ  
してくれていた。  
 ステータス<<発情>>とスキル<<絶倫>>の存在。そして、それを解消するのに必要だと思  
われる行為について……。  
 そのおかげか、リズもシノンもあまりショックを受けていないようだった。  
 
 さて……。  
   
 俺はアスナたちの向かいのベッドへ腰掛けながら、記憶結晶を持ってこなかったことを  
かなり切実に後悔していた。  
 なにせ向かいのベッドにはウンディーネ、ケットシー、レプラコーンといった、種族の  
違う三人の美少女が半裸で並ぶという、レアな光景がひろがっている。  
 
 まずウンディーネのアスナ。ミスリルを編み込んだチュニックとスカートをきちんと装  
備中しているので、あとのリズとシノンに比べれば、着衣の乱れはすくない。しかし、目  
元をゆるませ、肩から力を抜き、光沢のあるスカートからのびる白い美脚をベッドの外側  
に投げ出す様は、もしかしたら全裸よりも色っぽいかもしれない。  
 
 次にケットシーのシノン。アスナとリズベットのとなり、つまり中央で身体を小さくし  
ている。水色の獣耳がときおりぴこぴこ動くのは、身体を隠すものがシャツだけだから、  
だと思う。ベッドの上でアヒル座りをしているので、ソコを直視することはできないが、  
形の良いふとももが窓から射す光に照らされ、肉感的な魅力を醸し出していた。  
 
 最後にレプラコーンのリズベットはすでに彼女のトレードマークとなっている檜皮色の  
上着を脱いでいる。アスナ以上に育っていそうな乳房は、彼女の両手に隠されて、残念な  
がら直視できない。下半身はフレアスカート一枚……だが、どうやら下着はつけていない  
らしい。その証拠にリズベットのものだと思われる、かわいらしいショーツがベッドの端  
に放ってあった。  
 
 それぞれに魅力的な、少女三人の色気に満ちた艶姿――眼福きわまる光景だったが、そ  
っち方面にまったく免疫がない俺は、そーっと、三人の姿から目をそらしつつ、しどろも  
どろに言った。  
 
「え、えっと……だ、だれから……する?」  
 
 我ながら、色気もなにもない台詞だ。でも、状況をあえて押し進めるにはこれしかない。  
恥ずかしくても、事の発端たる俺が積極的に動かないと。  
 と――。  
 顔をあからめたまま、シノンが言った。  
 
「あ、あの……キリト。そ、その……どうやって、「する」のか見せてほしいっていうか  
……」  
「え……?」  
「だ、だから! どんなことされて、どんなふうになるのか、ぜんぜん想像できなくて…  
…できれば、見本を、ね」  
 
 恥ずかしさを紛らわすようにシノンのしっぽがぱたん、ぱたんとシーツの表面を叩いた。  
 
「……」  
 
 気持ちはわからなくもない。要するに見本が欲しいということなのだろう。となると最  
初の相手は限定される。  
 俺は「ど、どうする……?」と――アスナに目線で聞いてみた。この三人で経験がある  
のはアスナだけ――相手はもちろん俺――なので話のながれだと、彼女が一番初めになる。  
 アスナはしばらく迷うように目をしばたいたあと、こくん、と頷いて水色の髪をゆらし  
た。つづいて胸元にあった手をきゅっと握りした。  
 
「うん……いいよ。私が最初で。だ、だけど……ね、ねえ、キリトくん……」  
「な、なんだよ……?」  
「……やさしくして、ね?」  
 
 アスナが頬を赤らめながらほわっ、と微笑んだ。  
 最後に小さく付け加えられた言葉に――ファーストアタックに――心臓をわしづかみに  
された気分で、俺はぶんぶん、首を縦にふった。  
 
「よ、よろしく……」  
「うん……」  
 
 アスナの手をとって、俺が腰掛けているベッドへ導き、仰向けに寝かせる。シーツの皺  
にそって、水色の髪が涼やかに流れた。  
 じゃあ、と手をのばそうとしたところで、アスナは俺以外には聞こえないだろう声量で  
つぶやいた。  
 
「あ、あの……キリトくん。うしろからしてもらってもいい?」  
 
 アスナはかぁーっと音がしそうなほど、顔を真っ赤にした。  
 俺は今の言葉を無意識に反芻していた。  
 うしろから……? えっ、後ろからって……。  
 いつもはどちらかと言えば俺がリードしているし、羞恥心をあおるためにいろいろ言わ  
せたことはあっても、アスナからそんなふうに「願い」をされたことはほとんどない。  
 しかし、リクエストとあれば聞かなわけにはいかない。  
 希望に答えるべく、アスナの身体をひっくりかえし、続けて四つん這いにさせる。  
 わずかな衣擦れの音が、どういうわけかやけに大きく寝室に響く。  
 
「んっ……」  
 
 水色の髪ごしに振り向けられたアスナの白い横顔は、不安と期待で揺れている。  
 しかし、不安の方はアスナの杞憂だ。  
 五時間ほどまえにもむさぼったアスナの身体は、いまだあせない魅力に満ちている。  
 衣装からむき出した白く華奢な肩。背に流したさらさらの水色の髪。ベルトをのせ理想  
的にくびれたウエスト。チュニックの裾をたおやかに押し上げるお尻。シーツの上になげ  
だされた足先。  
 さながら一つの芸術品のように思えた。  
 そしてなにより、「うしろから」、というリクエストが俺を燃え上がらせている。  
 初めてのシチュエーションにくらくらしながら、アスナのお尻に手をのばした。  
 
 ミスリル――青銀の糸を編み込んだスカートには、現実世界には存在しない、不思議な  
触感がある。布がわずかに冷たく、見た目よりもすこし硬い。  
 布ごしにお尻をなでまわし、手のひらでお尻の柔らかさを味わってから、スカートをめ  
くる。  
 ピンク色の下着とともに、桃尻があらわになった。  
   
「んっ……おしり、はずかしい」  
 
 くく、と枕に顔を押しつけるアスナ。そのういういしい反応に陶然とした気分になりな  
がらも、俺はあらためてアスナのお尻を見つめ、淡いピンクの下着に手をかけた。びくん  
っ、とアスナがふるえる。それにかまわず、下着をゆっくりと引き抜いていった。  
 
「ん……んっ……」  
 
 愛らしい声が響く。  
 かまわず、ショーツを太股とお尻のちょうど中間までさげてやる。わずかにのぞいたス  
リットと下着の間には、透明な糸が張っている。  
 しばらく光景を堪能したあと、一気に下着をずりさげる。  
   
「ひゃうぅ、んっ、くぅ……んっ……はずかしいよ……」  
 
 さすがにこころぼそくなってしまったのか、泣き出す寸前のような声音で言うアスナ。  
 が……俺はとぷとぷと愛液を分泌するスリットから、目が離せなくなっていた。スリッ  
トが愛液で濡れ、輝いている。  
 ここまで濡れるまで、アスナは我慢を続けていたのだ。  
 いつもより積極的に俺を求めたのは、我慢をしたが故なのだろう。  
 これ以上焦らすのは、あまりのも酷だ。  
 お尻を一なでした後、スリットの壁をわって、指を侵入させる。あっという間に、熱く  
ぬめりをおびる柔肉に指を包まれてしまった。そのまま内側の壁へ指を曲げ、膣道をくす  
ぐってみる。  
 じゅぼ……じゅぼ……。  
 
「あ……んっ」  
 
 アスナが柔筒を絞りながら、吐息をもらす。  
 
「うぅぅ……んっ、うぅ……んっ、はあっ……んっ」  
「痛くない?」  
「大丈夫だよ……んっ、んぅ」  
 
 かすれた声が返ってきた。  
 愛液をかきまぜるように指を動かすと、スリットと指の隙間から新たな分泌液がながれ  
だしてきた。  
   
「ああっ……んっ……だめ、力、ぬけちゃう……」  
 
 いいつつ、四つん這いの格好で腕から力を抜くアスナ。  
 そんなことをすれば、自然とお尻を高く突き上げる格好になる。これ以上なく恥ずかし  
い格好になっていることに、アスナは気がついていないようだった。  
 
 でも……わざわざ教えることはないだろう。  
 俺はそのまま指を鋭く抜き挿しした。性器より細く、短い人差し指を、膣道がきゅうき  
ゅうしめつけてくる。指一本でもこれだけ激しい締めつけがあるのなら、本番はさぞ……。  
 俺はアスナをいじめる傍ら、自分の装備フィギュアを操作し、ズボンと下着を装備解除  
した。  
 
「あ……」  
 
 自分の肩越しに振り向いたアスナは、一度大きく目を見開いた。視線の先には、アスナ  
の愛らしいしぐさでそそり立った性器があった。  
 
「あ……いれるの……?」  
「まだ早いか?」  
「う、ううん……。いいよ……」  
 
 こくん、と首肯するアスナ。  
 
「ちょうだい……」  
 
 桜色の唇から甘ったるい言葉をもらすアスナに、ぞくりとする。  
 頭を焦がされたまま、ついさっきまで指でなぶっていた部分へ性器の先端をおしつける。  
 スプリガンの体色を現す浅黒い肉棒が、サーモンピンクのそこを押し広げていく。  
 
「いくよ」  
 
 いいながら、思い切り腰を突き込み、性器でアスナの膣道一気に埋めた。  
 
「んんっ――!!」  
「うお……」  
 
 アスナの一番奥をたたいたのがわかったので、いったん腰をとめる。分泌液でぬめる膣  
ヒダが、ざらざらと心地いい。  
 そのまま腰を動かすと、背中にかかっていたアスナの髪が波うった。アスナの身体彩る  
装飾品が、体の震えにあわせてきらきら輝く。  
 
「んっ、ああ……んっ……んっ――!」  
「わかる? アスナ……」  
「う……んっ……キリトくんの……おなかの中にあるよ……。ああ……んっ……あつい…  
…よぉ……」  
 
 ぐちゅぐちゅ、音を鳴らしながらアスナを味わっていると、アスナが自分の指を唇に当  
てた。  
 
「んっ――、あっ、あんっ……ぅぅ……!」  
 
 どうやら悲鳴を漏らさないようにしているらしい。桜色の唇が、指の圧力で色っぽく形  
をゆがめている。我慢していたものがあふれ出したのか、腰を送り込む俺の動きにあわせ  
て、お尻を押しつけてくる。瞳を閉じているのは、より強く快楽を得るためなのかもしれ  
ない。  
 
「んっ、んっ……ああっ――」  
 
 法悦の吐息を散らしあえぐアスナの姿が、俺の中にあらがいがたく存在する性欲を増幅  
させる。  
 もっと、もっと、アスナが快楽に乱れる姿を見たい――。  
 どうすればいいのか、性器からもたらされる快感でとろけそうになる脳髄で考える。  
   
「あ――」  
 
 脳裏に名案がうかび、思わず声を上げてしまった。  
 
「んっ――? んっ、どう……したの?」  
 
 状況的にアスナの疑問は当然だ。が、いまはその悪巧み――もとい、名案をあかすわけ  
にはいかない。俺はアスナに笑いかけながら、一度大きく腰を引いた。アスナの愛液でぬ  
れた性器を、再び思い切り突き込む。  
   
「んんっ――!!!」  
 
 アスナがひときわ大きな嬌声をあげているうちに、奥底につきこんだまま彼女の腰をこ  
ちら側に引き込んで体位を変える。  
 といってもあまり難しいことをしたわけじゃない。膝立ちで交じわっていたのを、座り  
ながら交わるように変えただけだ。いわゆる後背座位の格好になりながら、アスナを抱え  
て体の正面をリズベットとシノンの方へ向ける。アスナの体重を引き受ける分、動きは不  
自由になってしまうが、俺には別のねらいがあった。  
 
「んっ……え……?」  
 
 うしろから激しくつつかれて、軽く絶頂していたらしいアスナがぼんやりとつぶやいた。  
俺はついでとばかりにアスナの太股をなでまわした。アスナの脚はいま、ベッドの上へ正  
座するように――俺の両脚をまたぎつつ――折られている。  
 これこそが、さっき思いついた悪巧みだ。  
 後ろ向きのアスナを抱っこしているような体位なので、俺にはアスナの髪や背中しか見  
えない。  
 でも、向かいのベッドにいるシノンとリズベットは、まったく別な光景を見ているはず  
だ。  
 
「あ……ああっ……いやっ、ちょっと……キリトくん……!」  
 
 アスナがぶるっと、背筋をふるわせる。きっと表情は驚愕に彩られているはずだ。  
 なぜなら、向かいのベッドにいるリズベットとシノンには丸見えだからだ。  
 俺とアスナの性器が交合しているところが――。  
 
 
「アスナ……えっちして、くっついているところ、シノンとリズにみられてるよ……」  
「い、いやあああああ――!」  
 
 アスナの悲鳴が寝室を満たすとともに、性器が激しく締めつけられた。 なまめかしい  
刺激が脳髄を直撃する。  
 
「いやあああっ! 見ちゃだめ! みないで! シノン、リズ……!」  
 
 首筋を真っ赤にそめて、膝の上から逃げ出そうとするアスナの乳房を、チュニックの上  
からふにふにともてあそんだ。  
 
「いや――! いやぁ……! んっ! はっ、はずかしい……キリトくん………!」  
 
 アスナが髪を波立たせながら、首を振るった。  
 
「……!」  
 
 ごくっ、とシノンとリズベットのどちらかが息をのむのが聞こえた。気持ちはわかる。  
それほど恥ずかしがったり、涙をうかべるたりするアスナの顔は、魅力的だった。体位の  
関係上、正面からみることができないのが残念になってしまうくらいに――。  
 服越しにも関わらず、やわらかな感触をもつ乳房に指をうずめる。指先を乳房の真ん中  
あたりでくりくりといじり回すと、ひゃっ、とか、んんっ、とかかわいらしく反応し、柔  
筒をせばめてくる。  
 そんな彼女の反応がいとおしくて、さらに羞恥心をあおるべく、ささやく。  
 
「アスナ。装備フィギュア、出してみて」  
「え……? い、いやよ!」  
 
 アスナが肩越しに振り返る。  
 羞恥心のあまりいつ落ちてもおかしくないほどの涙を目尻にためた、彼女のすがるよう  
な表情に、ぞくりとした。  
 
「頼んでも……ダメ?」  
「だ、だめっ……!」  
 
 ぷいっ、とそっぽを向いてしまう。  
 やれやれと思いつつ、片手をアスナのスリットの頂点――包皮につつまれた部分へと向  
ける。スカートをさらいつつ、指の腹でしめった秘芯をいじりまわしてやると、再びアス  
ナが背筋をふるわせた。  
 
「んっ――! 声、でちゃう……」  
 
 唇から、我慢しているのに、我慢しきれない……といった風情の悲鳴があがる。  
 
「やっぱり……いつもより気持ちよくなってるだろ? だってここ、すごい締めてくるし  
……リズとシノンに見られていると、興奮する?」  
「ち、ちがう……ちがう……は、恥ずかしいだけ……気持ちよくなんて、なってないもん  
……」  
 
 きゅうきゅうと膣道をせばめながら、アスナは自分の体を両手で抱いた。だんだんと幼  
くなっていくアスナを胸で抱えつつ、性器をすりつけるように動かした。アスナの中をぐ  
りぐり味わう。  
 
「んんっ……んんっ……」  
「ほら……いつもより感じてるし……」  
「んんっ……んっ、んんっ……あう、ちがう……ちがうよ……」  
 
 突き上げ、わざとアスナの愛液と性器をぶつけて音をたててやる……。  
 
「ああ……んっ……えっちな音、聞かれちゃう……リズと……シノンに……」  
「いいだろ……ほら、ちゃんと見てもらわないと、最初にえっちしてる意味がないだろ…  
…?」  
「で、でも……でも……はずかし、ぃ……」  
 
 いまだに戸惑い、消え入りそうな声で言うアスナだが、体は心より正直だ。性器のねも  
とまでが、ぎゅうぎゅうにしめつけられる。  
 
「アスナのきれいな裸、見たいから……な? 装備……はずしてみて」  
「んっ、ひっ……いじわる……そんなこと、キリトくんに言われたら……」  
 
 迷うように右手を払い、俺には四角い枠にしか見えないウィンドウが開いた。  
 小刻みに人差し指を震わせ、アスナがゆっくりとウィンドウの表面に触れようとした。  
 
「あ、ちょっとまって、アスナ」  
 
 アスナの手をとめる。  
 
「アスナ。ウィンドウを可視モードにしてみてくれないか?」  
「え……。う、うん……」  
 
 わずかに声を弾ませたアスナが、ウィンドウの可視モード決定ボタンを押した。ウィン  
ドウ自体にはアスナしか触れることができないが、こうやって可視化すれば装備フィギュ  
アがどのような状態なのか、みることができる。  
 いまは上半身にチュニック、下半身にスカートという装備状態だ。ショーツははずして  
いるので、チュニックとスカートを装備解除すれば、残るのは胸を覆う下着のみだ。  
 
「う……」  
 
 指先をぷるぷる震わせ、アスナの指がウィンドウの装備一括解除ボタンを押し込む。  
 ぱら、とライトエフェクトがはじけ、彼女を包んでいたチュニックとスカートが消えさ  
る。  
 乳房を覆っていた布が消え、押し上げられていた乳房がふるん、と手のひらにおさまっ  
た。  
 
「んっ――!」  
 
 とたん、色っぽい声をあげるアスナ。直に手のひらにあたる乳房は、あたたかくもやわ  
らかい。  
 乳指がうまりそうなほどやわらかいそこを、ふにふにもてあそんでみる。  
   
「ふあ……んっ! ひゃう……」  
「胸、気持ちいい?」  
 
 しこりを持ちはじめた乳首を、指でころがしながら、ふに、と少し強めにもんでみる  
 背中をぶつける勢いでアスナの身体が反った。  
   
「んんっ! うん……気持ちいい……キリトくんの手、暖かい……」  
 
 お。少し素直になったかな、なんて思いながら、そのまま二の腕や肩胛骨にキスをして、  
さらにウエストをなで回す。男性型アバターにはないやわらかさと、なめらかな肌の触感  
がくせになりそうだった。ずっとこうして、さわっていたいのが本音だ。  
 が、そろそろまずそうだ。  
 アスナが締め付けてくるたび、性器がふるえてしまう。アスナを突きたくてしかたない。  
 
「ああ……ぅぅんっ、んっ……」  
「アスナ……」  
   
 いつも強くあろう、強くあろうとしているアスナは、だからこそ弱くなってもいい自分  
を許せるシチュエーションに弱いのではないか――と唐突に思い当たった。  
 
 となれば、おもいきり甘えさせてあげよう……などと都合のいい思いつきを実行にうつ  
すべく、秘芯にあてていた指をはずし、腰のあたりに添える。  
 その時点で俺がなにをするつもりなのかあらかた察したのだろう。アスナが体を堅くし、  
首を横に振った。  
   
「いや……お、おかしくなっちゃう……!」  
 
 アスナが弱気につぶやいている最中に、俺はアスナを下から突き上げた。  
   
「あああ――!」  
 
 びくんっ、と背をそらすアスナ。髪が波立ち、毛先が俺の胸をくすぐる。  
 そのままできうる限りの早さでアスナを突きこむ。  
 性器から漏れる水音と、俺の太股とアスナのお尻がぶつかり合う音が室内に大きく響い  
た。  
 
「キリト……あんた……鬼ね」  
 
 アスナの身体の向こうからリズベットの声が聞こえてきた。  
 
「や、ほら、アスナも感じてるし……」  
「それは……」  
 
 リズベットはちらっ、とアスナの表情と格好とその他もろもろを眺めた後、小さくつぶ  
やきを返した。  
 
「そうかも……」  
「り、リズ……」  
 
 親友にまで肯定されたアスナはだらん、と脱力して体重を俺に預けてきた。肌が接触し、  
体温が伝わってくる。いつもより体温が高い。  
 やっぱり恥ずかしい行為をだれかに「見られている」という状況が、アスナの快感を  
ブーストさせているらしい。  
 
「あ、あぁぁ……んっ……ゃぁ……」  
 
 性器の内側に射精感がたまり、限界が近づいてきたころになって、挿入している俺しか  
気がつかないくらいに小さくアスナが腰を上下させはじめた。  
 
「んっ、んんっ……恥ずかしい……」  
 
 じゅぽ、じゅぽと水音が激しくなる。肌と肌が打ちなる音も、いっそう激しく……。  
 
「アスナ……」  
「いいの……お願い……みられちゃってもいいから……えっち……して……キリトくんの  
で……して……」  
「わかった……アスナも動いて」  
「うん……んっ、んっ!」  
 
 羞恥心も限界だったのか。それとも「恥ずかしい」よりも「気持ちいい」の方がうわま  
わってしまったのだろうか。アスナが激しく腰を振りたくりはじめた。  
 
「んっ、んっ、あぅ! んっ、キリトくんの……いつもより大きい!」  
「り、リズとシノンに聞こえるよ」  
「い、いっちゃだめぇ……!」  
 
 狭苦しくなった膣道を、さらに性器で貫く。それだけで、しびれるような快感がもたら  
された。性器の表面をアスナの膣道がなでていく。  
 もっと激しく……。  
 俺はアスナの肘あたりをつかみ、彼女が腰を上げた瞬間にがくっ、と引き寄せた。  
 
「あああああ!!」  
 
 深い挿入にアスナが背をそらして嬌声をあげた。  
 
「アスナ……すご……」  
 
 思わず発せられたリズベットのつぶやきに、アスナは過敏に反応した。  
 
「やあ……リズっ、んっ、んっ、んっ!! みないでぇ……!」  
「あ……ご、ごめん!」  
 
 叫んだリズベットはあわてて目をそむけるものの……しばらくするとアスナの痴態に視  
線を戻してくる。  
 
「いやぁ……みないで……!」  
 
 口とは裏腹に、すでに快感の虜になってしまったアスナは、腰の動きをまったくゆるめ  
ない。あまりにも激しい抜き差しに、アスナのアソコから透明な愛液がとびちって、俺の  
太股をぬらしていく。  
 心地いい。無意識にぐっ、と性器がふくれあがる。  
 
「ああっ、んくっ、んっ、また、おっきくっ……!」  
「アスナ――もうっ!」  
 
 一声かけ、アスナをベッドに横倒しにした。  
 片足をもちあげ、横倒しのまま……側位でつながる。腰をおしつけるたびに、きれいな  
お尻や太股がぷるんぷるん波立つのがよく見えた。血がめぐって尖った乳首の片方をちろ  
ちろ、指先でくすぐる。  
 
「ああっ、んっ、んっ、はあぁっ、ぁぁんっ!」  
 
 リズベットとシノンの視線も、もう気にならなかった。アスナからもたらされる快感に  
夢中になる。  
   
「んんんっ、いやっ! んっ、んっ、んんっ! キリトくんの、熱くてっ……んんっ、お  
かしく……んっ――!」  
 
 いつになく甲高い声をあげつつ、アスナがのぼりつめる。  
 
「ああ、ああああああ――!」  
   
 アスナは背筋をびんっ、と反らし、汗をちらした。同時に、柔筒が先端から根本までを  
なめ尽くさんばかりに締めつけてくる。  
 すさまじい快感にしたがって、俺はアスナの奥底にしぶきをまき散らした。  
 
 
「ふああっ! あああっ! ああああっ!」  
 
 吹き出すたびアスナが悲鳴をあげて、腰をくねらす。女性の絶頂は――実は男性から搾  
り取る機能なのかもしれない。深く絡みあいつつ、俺はあますことなくアスナにそそぎ込  
んだ。  
 
「ふあ……あああっ……お腹に……ぜんぶ……」  
 
 俺は果てた余韻に浸りつつ、性器をアスナにつなげたまま、彼女の背中側に寝ころんだ。  
 
「アスナ……お疲れさま」  
 
 続いて汗ばんだ背中にキスをする。背中にはりついた髪が淫らだ。  
 
「ああ……ぅぅ……。うん……キリトくんも、お疲れさま……」  
 
 吐息を散らすアスナを抱きしめ、心地よい射精感に身を任せた。  
 
 
 しばらくして――。  
 
 俺はアスナの背中に寄せていた上半身を起こして、すこしずつ遠ざかった。  
 
「んっ……」  
「アスナ。いったん抜くよ……」  
 
 アスナの頭をなでながら、半萎えした性器を引き抜く。  
 
「んっ……んっ……はぁ……ぅぅ……」  
 
 感じてしまったのか、アスナが夢見るような声をだした。  
 俺はそのまま起きあがり、四肢を投げ出すアスナをながめた。  
 側位の格好のまま、瞳をうるませ、ときおり快楽の余韻にふるえるアスナ。  
 その姿にふたたび興奮してしまいそうになりながら、もう一度だけ髪をなでる。  
 すると、くすぐったそうしながら、アスナが言った。  
   
「……キリトくん、大好き……愛してる……」  
「お、おう……」  
 
 とろとろと瞼をおろすアスナへ、俺も愛してるよ、とアスナにしか聞こえないくらいの  
音量で、つぶやき、めくれあがっていた上掛けをかけ直してやる。  
   
「んっ……」  
 
 アスナは枕に顔をよせて瞳をとじた。子供のような、幼い寝顔だった。  
 
「さて……次、どうする?」  
 
 いままでアスナとの痴態を観察――俺の痴態かもしれないが深く考えないことにする―  
―していた二人に視線を送る。  
 全裸のシノンとリズベットが俺の視線から逃げるように目をそらした。  
 その間に半裸の二人を眺めてみる。  
 メタリックピンクの髪に、フレアスカートのみ……という扇情的な格好をしたリズベッ  
ト。  
 淡い水色の髪から三角形の耳をはやし、緑色のシャツのみを装備したシノン。  
 二人とも大切なところは手で隠しているものの、リズベットの鎖骨やシノンのふともも  
やらは、カーテンから漏れる光を反射し、輝いている。  
 
 俺は二人が心に整理をつけるのを待つ。逆の立場だったら時間がほしい。  
 
 一分ほどして、リズベットが顔をあげた。  
 
 
「じゃあ……次はあたしと……あたしと、して……キリト……」  
 
 

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