「あたしから……して……」  
「お、おう……よろしく」  
 
 俺はすごすごとリズの座るベッドへ向かった。手を伸ばせば届く距離で向かい合う。  
 フレアスカート一枚の姿が、どこか淫らでしかたない。  
 
「……」  
 
 リズは、シーツへ落としていた目線をあげた。ウサギのような赤い瞳と目があう。  
 リズはほんのわずかに視線を逸らしてつぶやいた。  
 
「あんたと……こんなことになるなんて……」  
「え、えーっと……」  
 
 うるうると潤ませるリズにそういわれてしまい、思わずのばしかけていた手を止めてし  
まった。  
 リズの瞳がはっ、と見開かれる。  
 
「ち、ちがう! そうじゃなくて……ね。なんだかいろんな意味でフクザツでさ……」  
 
 唇がわずかに震えていた。そのままやや上目遣いになり、片手を胸の前でにぎりしめな  
がら、  
 
「ね、キス……して。さっきアスナにしていたみたいに……」  
 
 と、恥ずかしそうな声で言った。  
 普段、軽口をたたきあっているときの声じゃなかった。瞳をうるませ、じっと見つめて  
くるリズにうなずき、俺は彼女の肩に手を置いた。  
 わずかに頤をうわむかせ、瞳を閉じるリズへ現実空間だったら吐息がかさなり合うよう  
な距離まで近付き、最後に間合いをつめる。  
 
「んんっ……!」  
 
 唇同士をふれあわせただけのキスに、緊張か、恐怖か、リズは唇を小刻みにわななかせ  
ていた。  
 唇の神経が燃え上がるのを感じつつも、俺はリズをリラックスさせるべく、彼女の肩に  
置いていた手を握りこんだ。  
 
「む……んっ……ふっ……」  
 
 ぱち。音がしそうなほどリズの瞳が大きく見開かれる。俺はかまわずキスをしながら、  
緊張でかたくなっている肩をほぐしてやった。肩は思ったよりも華奢で、小さい。  
 ときおりキスの角度がかわり、触覚が変化する。唇の温度が俺とリズでは違うようで、  
少々冷たいリズの唇は気持ちよかった。  
 
「ちゅっ……んっ、んっ……んんっ……」  
 
 しばらくそうしてキスを続けていると、リズがおずおずと俺の背を抱き始めた。最初は  
触れるか触れないかの絶妙な仕草で。最後にぎゅう、と強くしてきた。  
 仮想の肌が、直接密着する。  
 
「んんっ……んっ……」  
 
 いつも軽口をたたくその唇から妖しげな吐息が漏れてくる。  
 舌と舌をくちゅくちゅと絡め合いながら、体温を奪うようにつながり続ける。  
 そばにはアスナと、それからシノンがいるはずだったが、気の時ばかりはきにならなか  
った。  
 ぐずぐずと燃え立つ情欲に押されるがまま、リズをベッドに押し倒した。  
 
「あ……んっ……」  
 
 耳朶に響き、脳髄を揺らす嬌声をあげながらリズは、シーツに沈み込んだ。  
 俺は、ふたたび唇をかさねようと、彼女の下半身からにじりよろうとした。  
 にじりよろうとした――が。  
 仰向けに寝ていてもなお、形を崩さないそこに目が引きつけられてしまった。リズの呼  
吸と一緒に揺れる、大きな乳房が視界にはいった。  
 おそらくリーファよりは小さくて、アスナよりは大きいそこに目がいってしまうのは、  
俺が先天的なパラメータに逆らえないが故なのだが、それにしても見事な張り具合だ。  
 俺の視線に気がついたリズが、弱々しくつぶやいた。  
 
「……な、なにまじまじ見てるのよ……。胸なんて、アスナので見慣れてるでしょ」  
「や……その。ここの形って一人一人違うからさ……。大きさも」  
 
 今日一日でいろんなそこを見てきてしまったが故のコメントだ。しかしそのやや直接的  
な感情にリズはあきれた顔をした。  
 
「やらしい……ちなみに、どう?」  
「……どうって?」  
「……」  
 
 リズが顔を赤らめた。俺はようやくなにを聞こうとしているのか理解した。顔に血がめ  
ぐりはじめる。  
 どう、と言われても表現にこまるのだが……。  
 あらためてまじまじリズの乳房を見やる。根本から均等に張った乳房は、ほんのすこし  
汗に濡れている。そのせいか、窓から差し込む光を照り返していた。  
 光り輝く双丘の頂点には、赤のつよい乳輪と、いろいろな刺激をうけておいしそうに勃  
起する乳首があった。  
 貧弱な語彙に辟易しつつも、感想をつたえようと口を開くと……。  
 
「や、やっぱりいい……。聞いたら聞いたで、妙な気分になる気が……」  
「なんだよ、それ」  
「い、いいでしょ、別に」  
 
 リズは、すねたように顔を背ける。  
 どこか納得がいかない心持ちのまま、呼吸で上下する乳房へ顔をちかづける。  
 乳輪を唇でくすぐる。VR空間で再現されているものとは思えない柔らかさを唇で十分  
に味わい、最後に乳房のなかで一番硬く、花の新芽のように膨らんだそこをぱくっ……と  
くわえる。  
 
「ひっ!」  
 
 あたまのうえから鋭く、短い悲鳴が聞こえた。痛みはなさそうだったので、しっかりと  
持ち上がった先端を舌先ではじいてみる。  
   
「んんっ!」  
 
 リズの背中がシーツから浮いた。  
 空いた手で、もういっぽうの乳房にふれてみる。手のひらで包み込むようにしながら、  
弾力と重みがある乳房を押し上げる。  
 そのまま先端を人差し指で押したり、摘まんだりしてみる。  
 
「うぅ……んっ、くふぅ……んっ――な、なんでそんな…んっ、ぅぅ……アスナと舐め方  
まで似てるのよ……!」  
「そんなこといわれてもな……」  
 
 苦笑しつつ、顔をあげた。  
 
「そっか、じゃあ……リズは、胸が敏感なんだな」  
「な、なんでそういうことになるのよ!」  
「だって俺とアスナの舐め方が同じだって気がついたろ? そんなの、胸が敏感じゃない  
とまず気がつけないはずだ」  
 
 言ってから、硬くなった乳首を舌先でつんつんつついてやる。  
 
「――ひゃぅっ!」  
「ほら。こんなに敏感じゃないか」  
「や……んぅ……ん……わかった、からっ……くぅっ……んっ……」  
 
 すこし悔しげな声をあげつつ、リズが手のひらを俺の後頭部へ押し当てた。  
 髪をなでまわす指も、かすかにふるえていた。その行動が心細さからくるものなのか、  
恐怖からのものなのか、俺にはよくわからない。  
 それでもリズは、俺の頭をはなさなかった。  
 ときおり指がわしゃわしゃ髪をなでまわしてくる。決して不快ではないのだが、まるで  
小さな子供にもどったかのような不思議な安心感のせいで、かえって落ち着かない。  
 このまま胸に頬をうずめてねむったらさぞ……幸せだろう。  
 邪悪な感想を抱きながら、吸ったり、舌でふれたり、甘噛みしたり、リズの胸を思う存  
分味わう。舌でいくら押しても、絶妙な弾力で、触れた部分が跳ね返ってくる。  
 乳房が彼女の汗と唾液でてらてら輝いていた。  
 
「んっ――! ふあ……あぁぁ……」  
 
 最後に大きく吸い上げ、口をはなした。  
 さきは唾液でかがやき、充血しきっていた。  
 
「くぅぅ……んっ……ふぁ……」  
「リズ……」  
 
 スカートを指先でなでまわしつつ視線で許可をもとめると、リズがうなずいた。  
 裾をつまんでとろとろと持ち上げる。  
 予想通り、彼女は下着をつけていなかった。  
 ALOのアバターには、体毛が存在しない。脚と脚のつけねに存在するスリットが、明  
るい室内で露わになる。  
 檜皮のスカートと肉付きのいいふともも、スリットからのぞくサーモンピンクが生むコ  
ントラストに頭がくらくらした。  
 そこはもう濡れ輝いていた。小指ほどの広さまで、門扉を開いている秘裂から、一滴、  
また一滴と愛液が流れ出て、後ろの穴へと流れていく。  
 濡れそぼった秘裂に指を当ててみた。指の圧力をうけ、扉が左右へ押し開いていく。  
 
「んっ……」  
   
 色っぽい声をあげたリズは、不安げに俺を見上げる。  
 すぐに愛液がからんだ。入り口がきゅきゅっ、とせばまり、指の第一関節を包んだ。  
 自然と口角があがってしまった。内側は温かく、愛液に満ちている。  
 
「あ……笑ってる……んっ……あ、あんたたちのせいでしょ……こんなになってるの…  
…」  
 
 真っ赤になったリズからすぐに抗議がとんできた。「たち」というからには、アスナも  
入っているのだろう。  
 
「いや、そうだけどさ。ここ、もうぐちゃぐちゃなんだな……」  
 
 にちゃにちゃ、リズに聞こえるよう、指で音をたててやる。ひっ、と悲鳴をあげる彼女  
が可愛らしい。  
   
「……んっ、くっ……手つきがイヤらしすぎ……っ」  
「痛くは?」  
「んっ、んんっ……大丈夫……痛くないし、その……?」  
「……その、なんだよ?」  
「……ちょっと気持ちいい……アスナよりは少し……つよい、かも」  
「そっか」  
 
 涙目で愛撫に耐えるリズは、いつもよりもずっと幼く見えた。  
 最後にリズの内側で指を曲げ、思い切り引いた。  
 指に絡んだ愛液がシーツに飛び散った。  
 
「んっ――! くっ……いきなりっ……」  
「でも気持ちよかったんじゃないか?」  
 
 片頬をつりあげつつ、スリットの周りをくすぐってやる。  
 
「う……んっ……まあ、ほんの少しだけ」  
「素直じゃないなぁ……」  
 
 でもアスナよりも愛撫が強い……らしいので、方法を変えることにした。  
 そのまま濡れ輝くそこを、指二本で押し広げる。ぶるっ、とリズがふるえた。  
 
「そ、そんなとこ……汚い……」  
「大丈夫……」  
 
 簡単に返事をしてから、両手の親指でスリットを広げる。  
 すると頂点角に存在する鮮やかなサーモンピンクの真珠があらわれた。  
 そこに口を近づけ、舌をとがらせてひとなめする。  
 
「ひゃっう!!」  
 
 反射的に脚を閉じようとするリズ……だけれど、脳筋型スプリガンの筋力補正にはかな  
わない。そのまま舌先でクリトリスをはじいてやる。  
 
「んんっ、ぅぅ……っ! つっ――!」  
 
 リズは舌の動きにあわせて、ふとももを小刻みにふるわせる。  
 しばらくそうして舌で責め続ける。明らかに分泌量をました愛液を舌でなめとり、クリ  
トリスにすりつける。  
 
「ああ……んっ、もう……」  
 
 十分になぶったあと、顔をあげた。スリット全体にも血が巡りきったらしく、指を離し  
ても、包皮はめくたままだ。愛液と俺の唾液で、クリトリスが濡れ輝いていた。  
 ベッドから背をうかせたリズが、再び体をかたくしてしまうより前に、ふとももを抱え  
上げた。  
 乳房とは違う弾力のあるふとももをおしあげて、いままでなぶっていたスリットが見え  
やすいやすくしてやる。  
 
「ぐっ……んっ……、そんな、じろじろみなくても……。あたしだって、そんなにみたこ  
とないのに……ヘンじゃない?」  
「大丈夫だよ。現実のリズも、こうなの?」  
「し、しらない!」  
 
 リズがぷいっ、と顔を背けた。  
 少々なまなましい話をすると、この仮想世界に存在するアバターは、どれほど傷つけら  
れようと、生成したときの格好を取り戻す。だからどれほどここを突いてしまおうと、色  
がかわったりはしない。  
 きれいに広がるサーモンピンクへ、スプリガンの肌を正確に再現した、浅黒い性器をく  
っつける。濡れそぼったスリットへ性器を当てただけにもかかわらず、性器は確かな快感  
を俺へ伝えてきた。本能のもとめるまま、リズの大事なところへ先端を押し込もうとし―  
―。  
 
「ちょ、ちょっと待って……!」  
「え?」  
 
 動きをとめる。  
 リズが首を左右にふるった。  
 
「こわい……。こわいよ……。さっき指だけでも、気持ちよかったのに……」  
「リズ……」  
「そんなの……キリトのそんなの、いれられちゃったら……」  
 
 じょじょに涙が盛り上がる。いままでなんだかんだで気丈な態度をとっていたリズが初  
めて見せた泣き顔だった。  
 
 ――いや。  
 俺は以前に一度、リズのこんな表情をみている。たしか、出会って二日目のことだ。  
 恐怖でひきつっているリズの頬を、手のひらで包む。間近で瞳と瞳を向かい合わせた。  
   
 しばらく視線をからませていると、リズが力をぬいた。  
 決意ができたのか、俺の目を見ながら言う。  
 
「……あたしがどんなになっても、嫌いにならないで。避けたりしないって……約束し  
て」  
「……約束するよ」  
 
 彼女の誠意に答えるべくうなずき、入り口間際をさまよっていた性器の先を、彼女にあ  
てがった。  
 亀頭のさき、カリ首あたりまでが包まれる。とりあえず頭が入っただけ……なのに、膣  
道はきゅうきゅうに狭まる。  
 
「くっ……んっ……おっきい……」  
 
 うめきながら、リズが俺をみあげる。  
 
「で、でも、じ、じらさないで……一気に……。お、おかしくなっちゃいそうだから…  
…」  
「了解……じゃあ、一気に……」  
「んっ……」  
 
 リズは目をつむり、俺に行為をあずけるように身体から力をぬいた。  
 俺は勢いをつけて、一気に腰をおしすすめた。  
 
「んぅっ――!」  
 
 ぬぽ、と根本までが包まれる。  
 
「うぅ――ああ……うぅ……ほんとに……はいってる……」  
 
 リズが、俺たちの結合点を眺めつつ、言った。  
 やわやわと性器をしめつける柔筒から、なまめかしい快感が脳髄を灼いてくる。性器の  
先が、なにかにあたっていた。亀頭の平らになった部分を、リズのヒダがくすぐってくる。  
 
「り、リズ……ここ、すごいな……」  
 
 はじめての経験だった。  
 アスナをはじめ、ユイ、リーファ、シリカと、今日一日で何回もセックスをしているの  
に、この「挿れているだけで射精してしまいそうな」快感は初めてだ。  
 停止している合間にも、リズの膣道が性器の根本から先端へ向かって収縮する。  
 激しい官能に背筋がふるえた。  
 
「は……くぅぅっ……んっ、これで、全部……入ったの……?」  
 
 不安でまつげを揺らすリズに答える余裕もない。  
 じっとしているだけで精一杯だ。  
 それでもなんとか、彼女を見やる。  
 はじめての挿入に耐えるリズの姿があった。  
 唇をとがらせ、挿入に耐える健気な姿に、目が引きつけられる。  
 
「り、リズ……ここ、気持ちよすぎだ……。いま全部、入ったよ」  
 
 試しに奥をつっついてみる。腰を白い電流が直撃した。  
 リズは、下腹部に手を当てる。  
 
「んっ……これ、キリトのなんだ……中で、びくびくしてる……」  
 
 かすれた声で、リズが聞いてくる。俺はうなずき、もう一度奥を突っついた。  
   
「あ……んっ……」  
 
 瞳にたまっていた涙が、ほろ……と、頬を伝っていった。  
 しかし、そんなわずか抜き差しでさえ、心地よかった。  
 すさまじい罪悪感が胸に渦巻く。なるべく緩慢な動きで、性器の抜き差しをしはじめた。  
 
「あんっ……んっ、んんっ……」  
 
 口から漏れる吐息は、やや苦しげながらも、痛みはなさそうだった。  
 挿入するたびに白い電撃が理性をがりがり削ってくる。  
 愛液の絡んだ膣道が、性器の表面をなめあげるようにうごめく。  
 そのたびに生まれる灼熱感が、背骨をかけめぐって脳髄を貫く。  
 
「くっ――やぁっ、やだっ! もうすこし、ゆっくり――」  
 
 戸惑いの入り交じった声すら、天上の音楽に聞こえてしまう。  
 入り口あたりにまで引き抜き、一気にリズの膣道を埋める。 柔肉が性器の形にゆがん  
でいく。  
 
「ま、待って……いやああああ! や、やめっ――!」  
 
 リズは、俺の胸をぐいぐい押してくる。俺は彼女の両手をベッドに押さえつけた。  
 
「んっ――!」  
 
 理性は八割以上、とろけてしまっていた。  
 スカートから真っ白な脚を投げ出したリズは、瞼をきつく閉じ、目尻に涙をためていた。  
宝石のように輝くそれを心底うつくしいと感じた。  
 しかし本能には勝てず、俺は腰を動かし続ける。  
 
「ん――っ! んっ、ひぐっ……んっ、んんぅ、! あう……んっ!」  
 
 リズは眉をきつくよせて挿入に耐える。  
 痛々しいほど先をとがらせた双丘が、はじけるようにゆれていた。  
 
「んっ、んっ……! はぅ……んっ、んっ! んんん――っ!」   
 
 胸元まで真っ赤にした彼女の声が徐々にとろけ始めた。いままできつくかみしめられて  
いた唇が、ほころぶ。初めてにもかかわらず、リズがここまで乱れているのは、俺とリズ  
の身体の相性が抜群にいいせいだろう……。  
 大きく腰をひき、リズに叩きつける。肌と肌がうちなる、乾いた音が室内にひびきわた  
った。  
 
「んっ……くっ、うぅ……やぁっ、は、はげしぃ……っ!」  
 
 その証拠に、あばれまわる性器をうけとめるリズのそこが、より内側へ収縮している。  
根本から先までが、だんだんとしめあがっていく。それにむかって突き込んでいくと、今  
度はリズが身震いした――。  
「くっ――あぁ……リズ……リズっ!」  
 
 性器がしびれる。強すぎる快感に思わずうめきつつ、上半身を折ってリズの肩に手をま  
わした。そのまま腰をおしつける。こつん、と性器の先端がリズの奥を叩いた。  
 
 
「んんっ――! や、やめっ……こわれちゃう……っ! おなか、と、溶けちゃう――  
っ!」  
 
 声をとろけさせたまま、リズが俺の背中に腕をまわしてすがってくる。  
 
「あああっ――! ああっ、ううっ、あっ、あぁっ…キっ、キリトっ!」  
 
 ぎゅうっと抱きしめられる。俺の胸板と、リズの乳房がかさなり、挿入がより深くなっ  
た。  
   
「あああっ、んっ、くぅ……やんっ――! お、おくまで……んっ、とどいてる……  
っ!」  
 
 吐息のまじりあう距離から、嬌声をあげるリズ。  
 肌を上気させ、身体をくねらせ、より快楽を教授しようとする姿は、淫らであまりにも  
可愛らしかった。耳に吹き込まれるかすれた悲鳴すらいとおしい。  
 異性の親友、という言葉がしっくりくる関係の彼女を、性器で刺し貫いている事実も、  
精神に食い込んでいた。  
 
「ぐ……うぅぅ……リズ……俺、もう……」  
 
 が――。やがて限界がきてしまった。俺の意志とは関係なく、性器がふるえだし尿道の  
さきへ、欲望が収縮していく。  
 
「ああっ!あああっ……んんっ、くぅ……キリト、あ、あたしっ――!」  
 
 間近にあるリズは、自分の身体の変化に戸惑っているようだった。  
 
「や、やぁ……! なにっ……なにっ――! なにか、きっ、きて……!」  
 
 リズの声がかすれていく。  
 
「あぅっ――んっ! んんんんっ――!」  
 
 リズは目をみひらき、俺をはじきとばす勢いで背をそらした。  
 俺の背中に回した腕を引きつける。鈍い痛みが背中に走る。  
 爪を突き立て、眉をせつなげに引き寄せる。真っ白な喉が俺の目の前にさらされた。  
 
「んっ、や、やだっ――!」  
「え……?」  
 
 俺はおもわず声をあげてしまった。  
 つながり続ける部分から暖かい何かがふきあがり、下腹部やら、陰嚢やらふりかかって  
くる。  
 
「やっ、やああああっ! な、なんで――!」  
 
 リズが目を見開いて叫んだ。挿入で絶頂する――を通り越してしまったようだ。  
 クリトリスと秘処の間から、熱い潮がふきあがった。  
 
「んんっ――! あ、あ、ああぁぁ……! な、なんで……、こ、こんなっ!」  
「くっ――リズ!」  
 
 あまりにもいきおいよく潮がぶつかってくるので、俺はそれを直に確認したくなった。  
しかし、背中にまわされたリズの腕が俺を拘束し続ける。  
 
「いやぁぁぁぁ! み、みないでっ! 見ちゃだめっ!」  
「わ、わかった……」  
 
 リズの懇願にうなずく。  
 俺も余裕がない。  
 おそらく絶頂と羞恥心があわさった結果、性器をなぞりあげるような締め付けが性器を  
おそっていた。  
 
「ひあっ……ああっ、くっぅ、んっ――!」  
「リズ……!」  
 
 性器の先端がしびれる。彼女を強く抱きしめながら、ごつんと亀頭を奥にぶつける。  
 耐えられない。挿入したときと同じく、亀頭を襞がくすぐった。  
 それがとどめだった。  
 
「ぐ……リズっ……いくぞ――!」  
 
 尿道をかけあがり、性器から飛沫が吹き上がった。  
 リズの子宮を奥へおしやるような勢いで、粘性の液体が飛び散っていく。  
 
「やああああっ、くぅ、んんっ――!」  
 
 再度、悲鳴を響かせ、リズが背をそらした。  
 子宮を汚し尽くすように、精液がちらばっていった。  
 
「ああっ、んっ、く……うぅ……んっ――で、でてる……!」  
 
 激しくあえぎながら、リズが俺の耳元でつぶやいた。  
 
「んっ……あ、あつ……あついよ……キリト……」  
「リズ……」  
「あんっ……んっ……お、おなかっ! や、やけど、しちゃう……」  
 
 泣き声のリズに、最後の一滴までそそぎ込み、俺は額を彼女の鎖骨のあたりに預けてう  
なだれた。  
 
「……んっ、まだ……びくびく……んっ、んっ……で、でて……だ、だしすぎ……」  
 
 いまだ感じ続けているのか、譫言めいたリズのつぶやきを聞きながら、俺はしばらく心  
地よい射精感に酔っていた。  
 
 
――――――  
 
 
「あ、あんたはー!」  
 
 さっきとは色の違う涙を浮かべたリズが、俺の胸をぽかぽか殴ってくる。  
 数分前まで、揺らすがままにしていた胸を左手で隠し、もう片一方の手をふりおろす。  
 
「ご、ごめん……」  
 
 俺は叩かれるままだった。  
 はじめての彼女を本能のままつらぬいてしまった罪悪感におもわずうなだれてしまう。  
 くっ、とリズの拳が空中で止まった。瞳に逡巡の光がはしり、緩慢な動作で拳をおさめ  
た。  
 
「ホント、もう――ばか……ばかっ……もうっ……!」  
 
 顔をくしゃくしゃにしながら、リズが手を伸ばして俺の髪をなでる。俺は、彼女にして  
しまったことを深く自省しつつ、彼女の繊手に手をかさねる。  
 視線が、横座りする彼女の姿をとらえた。ところどころに情事のあとがみえる。  
 首筋のあたりには、メタリックピンクの髪がはりつき、乳房のさきのつぼみはいまだ尖  
ったままだった。  
 衣服もまた、乱れたままだった。スカートは装備されていれども、ふとももの半ばまで  
たくしあげられている。抜いたときに散らばってしまった精液が、スカートを白く汚して  
しまっていた。  
 そのうえ、ところどころ濡れ染みがあるのは、リズが吹きあげた……。  
 
「あっ――! み、見ちゃだめ……」  
 
 視線に気がついたのか、リズが真っ赤になりながら装備フィギュアを操作し、スカート  
を取り外してしまった。  
 さっき犯し尽くしたそこがあらわになるが、リズはそのまま布団の上掛けにくるまって  
しまった。  
 そこでやっと心に余裕ができたのか、息をついた。  
 俺はすかさず、アイテムストレージからよく冷えたポーションを差し入れる。  
 リズは手をのばしてポーション瓶をひったくった。そのまま口に含む。  
 小瓶を満たしていた液体が量を減らしていく。  
 と、どう声をかけようかと迷っていた俺の手を、リズが引っ張った。  
 
「うお――んんっ!」  
 
 戦闘ならまず見せない隙をつかれ、俺はリズの方へ倒れ込んだ。  
 リズはそのまま俺の頬に手をあて、唇を近づけてきた。  
 
「んっ……んっ……」  
 
 リズは、口に含んだポーションを口移ししてきた。  
 疲れた身体に、冷えたポーションはちょうど良かった。  
 興奮をおさめるように、しみ入るように、液体が喉を落ちていく。  
   
「んっ……ふっ……ん!」  
 
 リズがゆっくりと唇をはなした。  
 
「強引にされた……おかえし。これで貸し借り無しだから。もう……気にしないで」  
 
 さばさばした言いようが彼女らしい。  
 いつぞやのようにつながれた手から、リズの体温が染みてくる。  
 俺は肩からちからを抜いた。心中でもういちどごめん、と謝った。きっとリズもこれ以  
上の謝罪はつけとっていないだろう。  
 ポーションで濡れそぼる唇を笑みの形にかえながら、リズが指でシーツをなでまわしな  
がら、続ける。  
 
「でも……な、なんか……つきあっているわけでもないのに、カラダの相性がいいってい  
うのは、フクザツだけど……。あんたが気持ちよくなってくれたなら……悪くない気分だ  
けど」  
 
 リズの発言にどきりとする。たしかにカラダの相性的はおそらく最良だ。  
 リズは、おそるおそるといった感じで隣のベッドへ視線を向ける。俺もつられてベッド  
を見た。  
 隣のベッドでは、アスナが安らかな寝息をたてていた。  
 視線をもどしたリズと二人で苦笑する。  
 
「ま、まあ……アスナには、内緒で……ね」  
 
 すぼめた唇に人差し指を当て、リズがいたずらっぽく微笑んだ。  
 
 
「じゃ、じゃあ……えっと……」  
「……」  
 
 気をきかせてくれたリズが、アスナのいるベッドへ座り込んだのを確認し――ベッドの  
端で所在なげにしていたシノンへ向き直った。  
 

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