とはいえ、一度に全員の面倒をみることはできそうになかったので、とりあえず二人組 
でお願いすることにした。 
 ――その際のくじびきでも一騒動あったのだが、それはもう最新の黒歴史とさえ言える 
ような、俺にとって思い出したくない過去となったので忘れることにする。 
 くじ引きの結果、最初はユイとシリカとなった。そのあとにリーファとリズ、最後にア 
スナとシノンの組み合わせだ。 
 
 
―――― 
 
 
 俺は寝室の扉の前でシリカとユイの準備が終わるのを待っていた。なにやら準備が必要 
らしい。 
 
「キリトさーん。いいですよー」 
 
 一分ほど待機し、半分程度開け放たれた寝室のドアからシリカの声が漏れだしてきた。 
 
「お、おじゃまします……」 
 
 自宅の寝室ではあるが、一応おとないを入れつつ寝室に入る。 
 視界はすぐにベッドの上に座る二人の少女をとらえた。 
 
「し、シリカ!? ユイ!? どうしたんだ、その格好!」 
 
 シーツをキャンパスに、ゴシックな黒白の衣装に身を包んだシリカが、スカートの後裾 
からしっぽを揺らして答える。 
 
「あ、あの……膝上ミニのメイド服に、レースふりふりのエプロン。もちろん靴下はニー 
ソックスです……」 
「パパ……似合っていますか?」 
 
 ユイがおずおずと聞いてくるが視覚情報からあたえられる衝撃が大きすぎて、すぐには 
答えられない。 
 俗に言う、メイド服。いや、メード服をシリカとユイを纏っていた。胸元までを覆うエ 
プロンは白くてひらひら、その下の衣装は黒くてふわふわだ。 
 メード服のデザインは共通のようだが、よく見るとわずかな差異がある。ユイは頭に白 
いヘッドドレスが乗り、黒髪をくるくると結い上げているし、シリカの頭の上には、暖色 
系の毛が生えた獣耳がある。髪型はいつものツインテールだ。 
 ちなみにユイはブーカの姿をとっていので、身長も体型もシリカと同程度だ。シーツの 
上で花のようにスカートを広げ寄り添う二人は、仲の良い姉妹のようにも見えた。どちら 
が姉でどちらが妹なのかはこの際置いておく。 
 
「あの……パパ?」 
「あ、ああ。もちろん……似合っているよ。で、でもどうしてそんな格好……?」 
「その……キリトさんが……」 
「パパが喜んだらいいなーと、思いまして……」 
 
 頬を赤らめながらそんなことを言ってくる二人。 
 効果はてきめんだ。格好ももちろんだが、彼女たちがここまで俺を想ってくれているの 
が心の底から嬉しかった。 
 現実世界に置いてきぼりの心臓が心配になるくらい、早鐘をうつ。 
 この二人と、これから……。 
 
「じゃ、じゃあ……キリトさん……」 
 
 シリカが俺を見上げながらつぶやいた。 
 
「ご奉仕……します、ね。ご主人様……」 
 
 その台詞は反則じゃないか……? 
 最大級の爆弾を放り投げてくるシリカの頭を、照れ隠しにくりくりなでまわす。 
 
「んんっ……くすぐったいです……」 
 
 はにかみつつ言うシリカ……。その横でユイがぷくっ、と頬を膨らませる。 
 
「わ、わたしも……ご奉仕します。マスター」 
「ま、マスター?」 
「語訳的には間違いありません……。それにナビゲーション・ピクシーの所有者は、通称 
『マスター』です」 
「……」 
 
 俺のことをマスターと呼びたいが為のいいわけに聞こえるが、それはそれだ。ヘッドド 
レスのひっついた頭を撫でてやる。 
 
「はう……んっ……これだけで、ストレス値が下がりそうです」 
「それで終わるならいいんだけどな……」 
 
 俺が何も考えずに放ったコメントを受け、二人の顔が火を吹くように赤くなる。 
 
「じゃ、じゃあ…ご主人様……」 
 
 シリカが耳をぴんと立て、すがるような目つきで言い、 
 
「マスター……いっぱい、ご奉仕しますね……」 
 
 ユイが太陽のような笑みを浮かべて……。俺のズボンへと手を伸ばしてきた。 
 
 
 
 
「シリカ……ユイ……も、もうちょっとゆっくり……」 
「ぢゅる……んっ、んっ、ちゅる……ちゅぱっ……だめですよ。キリトさんは、力抜いて 
いてください」 
「パパ……ちゅっ、ちゅっ……ふふ。パパのここ、硬くて熱いです……ちゅる…んっ、舌、 
やけどしちゃいそうです……」 
 
 二人の「ご奉仕」が続いていた。 
 ベッドの上に仰臥する俺のそばに、シリカとユイが四つん這いでならんでいる。二人の 
前には、あきれるほど反り返った性器があり、二人はそれを――スプリガンの種族特性を 
受けて浅黒いそれを、シリカとユイが舌と唇で慰めている。 
 
「んっ……ちゅっ……ぢゅる……んっ、また、びくってしましたよ、キリトさん……。こ 
このくびれたところがいいんですね……?」 
「くっ……」 
 
 シリカがカリ首をくすぐってきた。 
 思わずうめいていると、性器の根本からも、柔らかかつなまめかしい感覚が……。 
 おそるおそる視線を向けると、ユイの舌先が性器の根本を這っていた。 
 
「ふふ……マスター、本当に……ちゅる……フェラチオに弱いんですね。先だけじゃなく 
て、ここもびくびくしています……」 
「は、はしたないぞ、ユイ……」 
「……マスターのためなら、悪い子になってもいいです……んっ、またびくびく……そん 
なに暴れると、噛んじゃいます……」 
「ぐ……」 
 
 完全に手玉に取られていた。 
 打ち合わせでもしているかのようだ。ユイがちゅるちゅると先端を吸ったかと思えば、 
シリカが尿道管を唇で挟んで吸ってくる。 
 
「ぐ……くぅ……」 
「んっ……ふふ、このぼっこりしているところも……ちゅるっ……弱いんですね……」 
「ちがいます、シリカさん。ここの……尿道の先のところが……ちゅっ……マスターの弱 
点です……ママが教えてくれました」 
 
 グロテスクな肉棒を前に、そんな会話をするシリカとユイ。笑顔と行為のギャップに頭 
がクラクラする。 
 二人はまるでアイスキャンディーを舐めるように、舌で性器の表面をくすぐってくる。 
 
「じゅる……んっ、いただきます……ご主人様……」 
 
 亀頭をなめていたシリカが唇をひらいて、性器を半ばまでくわえ込み、ツインテールの 
髪と獣耳を揺らして、頭を上下させる。 
 
「んんっ、ちゅっ、ちゅっ……ぢゅる……んっ、ちゅ……どう、ですか……?」 
「ああ……くっ……シリカ……いいよ……」 
 
 上目遣いの目線がたまらなく愛らしい。口のなかで亀頭を舐めまわされると痺れるよう 
な快感が背筋に走る。 
 
「ちゅる……んっ、んっ……まだ、だめですよ……今度はユイちゃんの番です」 
「はい……マスター。いただきますね……」 
 
 シリカが性器から顔を離し、かわりにユイが性器を含む。 
 
「ちゅる……んっ、ふうっ……んっ、ちゅる……」 
「う、ぐ……」 
 
 桜色の唇が性器の表面を這いまわり、頭の上下にあわせ、舌が尿道の上をすべっていく。 
 
「くっ……あああ……ぐっ――!」 
 
 性器に痺れるような電撃が走り、俺の意志とは無関係に吹き上がった。 
 
「んんっ……!」 
「ん……」 
 
 幼さを残す相貌に白い粘液がべったりとかかっていた。ユイの黒髪が汚れ、シリカの耳 
にまで、飛んでいってしまう……。 
 ちょっと困った顔をしつつ、シリカとユイが微笑む。 
 
「ご主人様……」 
「マスター……いっぱい、出しちゃいましたね……」 
「……ごめん……」 
 
 二人の顔や髪に飛び散った粘液を、あらかじめ用意していた「無限ハンカチ」で拭って 
やる。獣耳をぬぐってやるとシリカはくすぐったそうに身体をよじり、髪を拭くとユイは 
幸せそうに目を細める。そして未だ硬さを残す性器を二人して見つめてくる。 
 
「ご褒美……ください。ご主人様……」 
「マスター……」 
 
 
 
 二人を上下に抱き合わせる。 
 しっぽの関係でシリカが上、ユイが下の構図だ。 
 不安げな視線で俺を凝視する二人にほほえんでから、スカートとエプロンを払った。 
 ニーソックスとスカートの黒、肌の薄桃色が目の前に現れる。ソックスをつり上げる 
ガーターベルトが薄い腰周りを飾っていた。二人とも肌が白いので、ぬらめくスリットが 
さらにいやらしく強調されている。 
 
「じゃあ……シリカから……いくぞ……」 
「はい……」 
 
 後背位の形でシリカとつながる。後ろ腰でまとめられたエプロンのひもとしっぽがゆら 
ゆら揺れる。 
 
「ひゃんっ――! んっ………キリトさんの……熱いです……」 
「ご主人様の……じゃないのか?」 
「あっ、そ、そうでした……ごめんなさい……」 
「いや、いいけどさ……」 
 
 狭め……というよりもそもそも小さいソコは、わずかに動くだけでも心地よかった。 
 腰を動かしはじめるとさらにその傾向があらわになった。狭い柔筒が表面を刺激してく 
る。 
 さすがにすぐの射精には抵抗感がある。俺は気を紛らわせるべく、小さなお尻をむにも 
に揉みながら、快感に震えるシリカにつぶやいた。 
 
「ぐ……くっ、シリカ……いま、どんな気持ちか、いってみて……」 
「え……そんな、恥ずかしいです……」 
「ご主人様の命令でも?」 
「え……ええっ――!」 
 
 照れるシリカのしっぽが、もじもじと揺れる。俺は苦笑しながら、促すように腰を動か 
した。 
 
「はうう……んっ、んんっ……そ、それなら………しかたないです……」 
 
 一度大きく息を吸い、シリカが消え入りそうな声ではじめた。 
 
「ご、ご主人様の……んっ、性器が……暴れています……お、おなかのなか……かっ、か 
きまぜられています……」 
 
 シリカはおずおずと言い切った。肩越しに見えた瞳には、いまにも落ちそうな程の涙が 
たまっていた。 
 
「くぅ……んっ……は、恥ずかしいです……」 
「ごめんな……でも、可愛かったぞ……」 
「そ、そんな……ご主人様の命令だったから……」 
 
 ケットシーのしっぽがふるんふるんうれしそうに揺れた。 
 
「じゃあ……ご褒美な……」 
「はい……! はぅっ! んんっ、くぅ……はぁ、あんっ!」 
 
 しばらくシリカの狭苦しいそこを楽しんで、今度はユイのそこを犯すべく性器を抜き出 
す。 
 
「ああ……マスター……んっ……」 
 
 先端をユイの幼い秘裂におしつけると、ユイがすがるような視線で俺を見てきた。 
 
「マスター……はやく……ユイにご褒美ください……。ぐちゅって……なかで……なかで、 
ください……」 
「ああ……」 
 
 ユイの本質がAIだというのを忘れてしまいそうなほどの熱くて甘い視線と台詞に誘わ 
れ、性器を押し込む。吸い込まれるように、性器がユイのなかへと収まっていく。 
 
「ふあぁ――! ま、マスター……のが……!」 
 
 シリカと交合していた間にも――もしかしたらシリカとの交合を見ていたために濡れて 
しまったのかもしれない。性器はすみやかにユイの膣道を埋めた。そのまま腰を打ち付け 
る。 
 
「はぁ……はぁ……マスターのおっきいのが……ぐちゅ、ぐちゅって、ユイの中に入って 
きちゃいます……熱くて、硬くて……びくびくしています……」 
「そ、そんなイヤらしいことばかり、言ってるとアスナに叱られちゃうぞ?」 
「ま、ママもさっき、パパにいわされていましたよ……」 
「そ、そうだった……。でも無理しなくていいからな……?」 
「はい……でも、マスターのおっきくて……んっ、ぐりぐり……お腹が、膨らんじゃいそ 
うです……その入り口のあたりをぐり、ってされるのが、気持ちよくて……」 
「……こうか?」 
 
 俺は入り口のごく浅いあたりを性器でこすってみた。 
  
「はうっ! は、はい……そこ、気持ちいいです……んっ、で、でも……激しくしちゃ、 
だめです……」 
 
 それはかなり難しい。 
 しかし強めにこすっているせいで、こちらの限界も速まってしまった。 
 
「ふあっ……あんっ、くっ、マスターの……パパの、はぁっ、はぁ……良すぎです!」 
「ユイ……」 
 
 愛娘がそんな淫らな言葉を口にし、俺を求めてくる。それが倫理観を揺さぶり、さらに 
は背徳感を煽るってくる……。 
 頬を赤く染めあげたユイは、女性としても魅力的で、美しく巻かれていた黒髪が、はら 
はらと落ちるのがなんだか――儚い。 
 
「ユイ……そろそろ、いいか?」 
 
 声をかけてから、少し強めにユイを責める。フェラチオで一度放ったとは言え、<<絶倫 
>>の効力はいまだ健在だ。一気に高ぶる。 
 
「ふぁ――! あっ、ああっ……! くっ、ああっ……!」 
 
 最後に奥深くまでついてやると、その刺激でユイは背筋をそらして達してしまった。 
 
「ああ――! ああ、あああ――! パパ――!」 
 
 迫ってくる柔肉を思う存分堪能し、愛娘が絶頂間に酔っているうちに性器を抜く。 
  
「はあっ……はあっ……はあ……、パパっ……パパぁ……」 
 
 性器という栓をぬかれた秘処から、透明な愛液が落ちてきて、メード服のスカートを濡 
らしていく。 
 
「……ご主人様……」 
 
 どこかうらやましげな瞳のシリカに性器を押し込む。 
 
「あんっ――! くっ、んんっ、はあ……はあ……、キリトさん!」 
 
 揺らされつつも、いじらしく腰を動かすシリカが、振り向きながら言った。 
 
「キリトさんのっ、はあ、いっぱい……ご褒美……ください……なかに、そそいで……く 
ださい!」 
 
 性器を包み込んでいた柔肉がせばまった。そもそも限界の近かった俺は、精液をシリカ 
へ注ぐ。 
  
「ふあ、あああああ! んっ、くぅ――!」 
 
 メイド服のフリルを揺らし、背を反らしてもだえるシリカに精液をたたきつけ、一度引 
き抜いた。 
 そして一時的な虚脱状態にあったユイへ性器を押しつける。 
 
「ふぁ……! ああ、マスター……!」 
 
 絶頂であらたな愛液を分泌し、狭まっていた膣を埋め、最奥部に精液を注ぐ。性器に引 
っかかる柔襞が心地よかった。 
 
「はあ……はあ……マスター……パパの……全部……」 
 
 性器は、愛娘と妹分に一滴たりともあますことなく性器を注ぎ込み、そこでやっとおさ 
まった。 
 
「ふあ……はあ……はあ……ご主人様……」 
「はあ……マスター……おなか、一杯です……」 
 
 二人はお互いを抱きしめるようにしながら虚脱した。身につけている黒いスカートに愛 
液と精液が混じり合った液体が流れ、衣装を白く染めていた。 
 
 
▲ 
 
 またしても妹――正確には従兄妹の直葉――正確にはリーファと――することになって 
しまった。 
 しかしこのログアウト不可状態を抜け出すには、仕方ないことだ。 
 俺は胸に生まれ来る背徳感を押さえつけ、行為をはじめようとリーファとリズへ手を伸 
ばした。伸ばしたが、どういうわけか二人に押し倒されてしまった。 
 あっという間にベッドの上へ転がされてしまった。そして二人は―― 
 
「……んちゅ……んっ…気持ちいい? お兄ちゃん? アスナさんが……お兄ちゃんはこ 
うすると気持ちよくなるって……」 
 
 胸の双丘を俺へと捧げるようにしつつ、リーファが頬を赤らめる。二つの大きな胸が、 
肉棒の左右に這い、やわやわと形を変えている。 
 
「くっ……リーファ……でもやや拡大解気味じゃないか……それ、フェラチオじゃなくて、 
パイ――」 
「……えっち」 
 
 ぶすぶすと音がしそうなほどリーファは顔を赤らめる。 
 しかし困ったことに、快感に集中すればするほどリーファの向こう側に妹の姿を見いだ 
してしまう。 
 実際は従兄妹という関係ではあるが、一つ屋根で過ごしている直葉にそんなことをさせ 
てしまっている事実が、背徳感になって背筋を焼く。 
 しかし心地いいのも確かだった。快感にほだされ抵抗感が薄らいでいく。 
 
「むっ……んっ、まだ無理してる……もう観念して……あたしだって恥ずかしいんだから 
……」 
「む……じゃ、じゃあ……。遠慮なく」 
「どーぞ……んっ……んぅっ……んっ」 
 
 リーファが乳房で作った筒で肉棒の表面をさらっていく。真っ白な胸の間を、浅黒い肉 
棒が出入りする光景は官能的だ。 
  
「んっ……んっ……ちゅっ……」 
 
 たまに接触する舌がくすぐったく、気持ちいい。脳幹を直接ゆさぶるような快感に、思 
わずうめいてしまう。 
 
「う……」 
「ふふ。ほんとだ。お兄ちゃん、かわいい……」 
「か、からかうなよ……」 
「だって、本当なんだもん……ちゅっ……」 
 
 リーファは言いながら、胸をよせ上げつつ先端を舌でつついてきた。胸が小さいとでき 
ない芸当だ。 
 
「くっ……リーファ、それ、反則だからな……」 
「ええー。せっかくお兄ちゃんも気持ちよさそうなのに。もしかして、あんまり気持ちよ 
く……」 
「……いや、すごく気持ちいい」 
 
 正直に吐露してしまった気恥ずかしさに、そっぽを向いた俺を、くすりと笑う声。 
 
「良かった…あ、あたしも……んっ――くっ、はう……先、こすれて気持ちいいし……」 
 
 リーファの声の芯がとろけはじめた。 
 
「っ――、んっ、ぅぅ……はうっ……んっ……ぢゅる、んっ…ぢゅる……ちゅる……」 
 
 リーファが亀頭全体をなめ回すたび、彼女の緑がかった金髪がひょこひょこ揺れる。 
 
「んっ……ちゅっ…ぢゅるっ……おっぱい、痺れちゃう……」 
「もう、張りつめてるもんな……」 
 
 胸で作られた筒の先端を指で摘まんでみた。 
  
「んんっ――!」 
 
 リーファの身体がしなってふるえる。 
 
「はうぅ……っ、だ、だめぇ……。いまはあたしが、お兄ちゃんを……良くするの……」 
「そ、そりゃうれしいけど……」 
 
 そろそろ出してしまいそうだ。と――。 
 
「キリト……い、一応あたしも感想がほしいんだけど……?」 
 
 俺とリーファのやりとりを難しい顔をしながらも見守っていたリズが、小さくささやい 
た。 
 顔をめぐらせると、おもわぬ至近距離でリズと目があった。添い寝状態なので当たり前 
と言えばあたりまえだ。しかも目があったのもつかの間、リズが顔を赤らめるものだから 
よけいに気恥ずかしい……。 
 
「ど、どうなの……下のほうがやっぱり気持ちいい……?」 
 
 リズはいいつつ、豊満な乳房を俺の二の腕に押しつけてくる。 
 俺はぶるんぶるん頭を振った。別に無視をしていたわけではない。腕を挟む双丘はやわ 
らかく、しかも密着度が高い分直接リズの体温をつたえてくる。 
 気持ちよくないわけがない。 
 
「え、ええっと……」 
 
 だが「リズの胸も気持ちいい」という感想を口にできない。それは自分の語彙の少なさ 
故だったけれども、リズはその沈黙を誤解してしまった。眉を寂しげによせ、うつむく。 
 いつもは気丈で、俺たちの牽引役である彼女のそんな表情に胸が切なくなる。 
 
「リズ……いや、そうじゃないんだ。言葉で伝えるのが苦手でさ……」 
 
 うつむけていた視線をあげたリズと、至近距離で視線を絡ませる。 
 俺は彼女の肩に腕をまわして、唇をつかまえた。 
  
「ん―。ちゅっ……んんっ」 
 
 そのまま舌を絡め、リズの唇を味わう。胸に当たる乳房が柔らかくて気持ちよかった。 
 
「はあ……んっ、ちゅる……んんっ……」 
 
 いったん唇を離した。 
 リズは夢見るように視線をさまよわせた後、微笑しながら、俺の胸板に上半身をのせて 
きた。 
 
「……一応、気持ちは伝わってきたけど……」 
「さ、さいですか」 
「うん……。ね、もう一回……」 
 
 どちらかと言えば悪友として付き合っているリズの、そんなおねだりに応え、もう一度 
口でつながる。 
 
「んっ……んっ……ちゅる……く……んんっ……はあ……」 
 
 リズの妖しげな吐息を間近で聞きつつ、リズの舌を舌でむさぼっていると、性器からな 
ま暖か感触が。 
 
「んっ、くふ……こっちも……気持ちよくなってね……」 
 
 リーファが胸をよせながら、身体を上下に揺さぶりはじめる。時折性器の先端から電撃 
が走るのは、胸の谷間からはみ出た性器を口で慰めてくれているからだろう。亀頭全体が 
ざらざらしたナニカに刺激される。これはきっと、リーファが舌で亀頭を…。 
 
「んんっ……くふう……んっ、んっ……ちゅ……こっちも、集中して……」 
 
 取り合いをしているわけではないのだろうが、今度はリズが激しく舌を絡めてきた。 
 
「はあ……あんっ、おっぱい…ちゅるっ…燃えちゃう……。んっ、ちゅる、ちゅる……」 
「くっ…」 
 
 下半身と下半身が種類の違う快感におそわれる。 
 どちらに集中すべきか……いや、奉仕の心地よさはどちらも変わらない。人生に何度も 
経験市内だろう懊悩には、結局答えはでそうになかった。 
 
「はう……んっ、ご、ごめん……お兄ちゃん、そろそろ……」 
 
 ずっと俺の性器を慰めていたリーファが、上半身を持ち上げて言ってきた。リズの肩の 
向こうにせっぱ詰まったリーファの顔を見つける。 
 
「……あ、あたしも……その……したい……キ、キスだけじゃ、もう満足できない… 
…」」 
 
 至近距離で可愛いことを言ってくるリズの髪を撫でつけ、俺は苦笑しながら言った。 
 
「ああ……じゃあ、今度は俺が、リズとリーファを良くするよ……」 
「お兄ちゃん……」 
「キリト……」 
 
 そういうとリーファとリズは、こっちが幸せになってしまうような花ほころぶ笑みを浮 
かべ、抱きついてきた。 
 むにゅ……。際限なくやわらかいものが、俺の胸に乗っかった。俺はなんとなく二人の 
背中に手をなでまわしつつ、胸におしつけられてくる柔らかさをしばらく楽しんでしまっ 
た。 
 
 
 
「……」 
「っ……」 
 
 横向きに抱き合った二人の視線を受け、俺は無意識に唾を飲み込んでいた。二人の距離 
は零……ようするに密着している。となれば、二人の乳房はお互いの弾力を受けて形をか 
えるわけで……。そこには人体のフシギというか、VR空間のシェーディング能力の妙と 
も言えるナニカが確かに存在しているわけで……。 
 
「……なにみてんのよ」 
 
 リズに言われ、慌てて我にかえった。 
 先端どうしがくっついている胸部から目を引きはがし、あきれたような表情の二人へ言 
う。 
 
「じゃあ……するぞ……」 
 
 投げ出された脚のさきを手のひらで撫でてみる。両手を同じように動かせるのは、かの 
二刀流の経験があるからだ。 
 ほぼ同時に二人の身体が小さくはねた。 
 
「ん……くっ、くすぐったいよ……」 
「さわり方が……い、いやらしい……」 
「そんなこと言われても……仕方ないだろ」 
 
 そろそろと手を進め、膝部、太股と続き、最後にお尻をくにくに刺激してやる。手のひ 
らいっぱいに柔らかさを感じた後、そーっと脚と脚の間に指を忍ばせる。 
 
「あ……んっ……」 
 
 かすれた声は、二人のどちらのものだったのか。同時進行でリズとリーファのそこへと 
指を到達させる。指先に湿った感触があった。 
 
「あう……んっ、んんっ……お兄ちゃん……」 
「キリト……そこ……」 
 
 それぞれの反応を返してくる二人へうなずき、もう少し脚を広げてもらった。上半身は 
お互いを抱きしめたままだ。 
 ソコを指で確かめる。指はとろけた膣道へ吸い込まれるように収まった。そのままゆっ 
くりとかき混ぜる。 
 
「ふぁっ――! あんっ……んっ……」 
「やんっ……か、かきまぜないで……くっ……んんっ……キリトぉ……」 
「でもなあ……二人とも感じているしさ」 
 
 男根に比べれば遙かに細い指が締め付けられる。感じているのは確かなようなので、さ 
らにもう一本指を増やしてみた。 
 二本の指でぬめった膣壁をくすぐり、時折ふっくらと勃起した秘芯を刺激してやる。 
  
「ふぁ……あんっ……んっ、ぅぅ……お兄ちゃん……あん……ゆ、指……やさしい……」 
「あん……も、もう! ゆ、指までやらしい……ふあ……く、ふぅ……」 
 
 指がうごめくたびに身体をわななかせる二人がたまらなく愛らしい。膣道は十分に濡れ 
そぼり、愛液を分泌し続けていた。 
 もう十分だ。俺は少し強めに膣壁を刺激しつつ、二人から指を引き抜いた。 
 
「ふぁ――!」 
「っ――!」 
 
 膣壁をけしずられ、小さく絶頂した二人がびくびくと身体を震わせる。快感に耐えるべ 
く口を閉じ、瞳をとじる二人の姿は、耐え難いほどに魅力的だった。 
 
「リーファ……リズ……いいか?」 
 
 長身のリーファが持つ、長い片足を持ち上げ、そこを露わにする。リーファの片足に乗 
りあがるようにして、一気に挿入する。 
 
「んん――!! くっ、ふぁ……あんっ……んっ……」 
 
 リーファが目を見開きながら、すがるようにリズを抱きしめた。 
 俺は性器を奥底まで届かせたあと、確かめるように二三度動いてみた。そのわずかな性 
感にさえ、リーファはすぐに反応して、柔肉をぎゅうっと狭めてくる。 
 そのまま揺さぶりつつ、抱え上げた片足に舌をはわせる。 
  
「はうっ――!? そ、そんなところ…んっ、んんぅぅ!」 
「いいじゃないか。脚長いし……きれいだぞ……それに、この格好だと……こんなことも 
できる」 
 
 脚に体重が乗らないよう気をつけつつ、左手で秘芯をつついてやった。 
 
「っ――!?」 
 
 とたん、リーファが背筋を震わせる。かまわず、今度は包皮をさらいながら秘芯に指の 
腹を当てすりあげてやる。 
  
「や、そ、そっち、だめっ! だめぇ……、だめっ……くっ……んっ……お兄ちゃんのバ 
カぁ……」 
 
 すでに涙まじりの嬌声をあげ、さらに真っ赤になったリーファをしばらく揺らした。 
 
「はあ……はあ……はあ……あっ、んんっ――! んんっ!」 
「ちょっと、待っててくれ……リーファ」 
 
 リーファが十分に高まったのを確認し、今度はリズの脚を抱え上げた。 
 
「……」 
「……」 
 
 照準をつけたところで、止まる。 
 
「……お兄ちゃん?……リズさん?」 
 
 不自然な停止を感じ取ったのか、リーファがつぶやいた。 
 この停止の間に俺とリズは無言の覚悟を決めた。リーファと同じように脚を抱え上げ、 
そこに性器を照準し、挿入する。 
  
「っ――あっ……んっ!」 
 
 リズのそこはすぐに俺を受け止めてくれた。 
 そればかりか……まるで挿入を待っていたかのように締め付けてくる。 
「んんんっ――! くっ……や、やっぱり……あんたと……相性……」 
 
 まだ挿入しているだけなのだが、リズは激しく喘いでいた。こちらも油断していると声 
を漏らしてしまいそうだ。それ程までにリズのここは、心地がいい。 
 
「そ、それは言わない約束で……」 
 
 覚悟を決めて腰を打ち付ける。リズが背筋をピンっ、のばした。 
 
「あうっ――! やぁ――! んっ、やっ……! はあ……はぅっ!」 
「リズさん……気持ちよさそう……」 
 
 リーファがリズの顔を眺めながら、うらやましそうに言う。上半身を抱き合わせている 
ので、リーファとリズの顔は至近距離にあった。 
 唇が寂しそうだ……などと思ってしまった俺はいつもの悪癖で、つい――。 
 
「そうだ……リーファ」 
「ん?」 
「リズはキスが好きみたいだから、キスしてみてくれよ」 
「っ!?」 
 
 リズがきっ、とこちらをにらみつけるが、リーファはまた別の反応だった。あきれたよ 
うな、まんざらでもなさそうな……。 
 
「じゃ、じゃあ……リズさん……」 
「え、ちょ、リ――!」 
 
 凛々しささえ持つリーファが幼い相貌のリズへ、口づけする。 
 血色のいい唇同士が違いの弾力を受けて歪んでいた。 
 
「んっ……!」 
「はうっ……!」 
 
 とろけた表情と唇から漏れる吐息の二つから、二人が十分に興奮しているのが見てわか 
った。最初こそ積極的に舌を絡ませることの無かったリズが、徐々にリーファの唇をむさ 
ぼりはじめた。 
 俺の位置からでは、二人が舌を絡める姿がよく見える。 
 
「んんっ……ちゅっ、んんっ……んっ……」 
「ふぁ……あんっ、リーファ……ああっ……ちゅる……んっ――!」 
 
 キスに夢中になりはじめたリズの奥を小突いてやる。 
 
「はう――っ、くぅ、うう!」 
 
 リズはキスをしたまま俺をにらみつけてくる。が、すでに童顔の上に涙目なリズには、 
まるで迫力がない。そのまま腰をうちつける。 
 リーファとリズの胸が、ふるふるとふるえながらこすれあっていた。 
 
「あ……」 
「んっ――!」 
 
 勃起しきった先端が偶然ふれあい、そのたびに双方が悲鳴じみた嬌声をあげる。 
 その瞬間、リズの膣道が急激に狭まり、俺を最後まで高めた。 
 
「ああ……くっ……まずは……」 
 
 リズから性器を引き抜き、今度はリーファのソコを亀頭で割る。 
  
「ん――!」 
 
 唇をリズへ預けたまま、くぐもった悲鳴をあげるリーファは、腹部をへこませながら俺 
を受け入れた。せばまる膣道が最後の堰を瓦解させる。 
 先端から吹き上がる熱い飛沫を、リーファの中にそそぎ込む。 
  
「ふあっ!? あああっ、ああああっ! ああ――!」 
 
 熱いしぶきに驚きながら、リーファが柔肉を狭めてくる。搾り取られるような締め付け 
を遠慮なく味わった。我慢する必要はなかった。 
 
「あああっ……ああっ、お兄ちゃんの……お腹の奥に、入ってくる……」 
 
 考えようによっては限りなくなまめかしい感想を口にし、体中を……もちろん膣おもび 
くびく痙攣させる、リーファから性器を引き抜き、続いてリズへ……。 
 
「キリト……いま終わったばかりなんじゃ……」 
「大丈夫だよ」 
 
 いまだ射精の悦びに痺れる性器をリズへとたたき込む。 
 
「んんっ――! んっ……はう……んっ、んん――!? あうっ!」 
 
 リズが目を見開いた。膣道は相変わらず熱くとろけきっていて、愛液を染み渡らせた膣 
ヒダが達したばかりの性器に絡みつく。 
  
「ぐ……う……ほら、大丈夫だろ……」 
 
 一突きしただけで、性器は射精前の硬さを取り戻そうとリズの内側でのたうちまわって 
いた。 
 リズは頭を左右に振って嬌声をあげる。 
 
「あああっ――! やああっ――! お、大きく……!」 
「くっ……り、リズ! 暴れると――!」 
「いやっ――! いやああああ――!」 
 
 リズが悲鳴を上げながら、身悶えする。俺は片足を引き寄せ、むさぼり尽くす勢いでリ 
ズを犯し続ける。恐ろしいことにリズのなかで高ぶった性欲は、すぐに解放されてしまっ 
た。 
  
「リズ――!」 
 
 思い切りつきこみ、性器を一番奥へ。そこから尿道管から精液が吐き出されていく――。 
 
「ふあっ、ああ――!! いやっ、だ、だめぇ――! ああっ……ああ、あんっ……くっ 
……また、また……」 
「くっ……あああ……ああ……リズ……」 
 
 射精とほぼ同時にリズは達してしまったようだ。入れているだけでも魅力的なリズのそ 
こが、震えながら性器を絞る。最後の一滴まで絞られる快感に俺は思わずうめいていた。 
 
「はあ……く……んっ……ま、また……いっぱい……」 
 
 しばらく快感に震えていたリズが自分の下腹部のあたりを撫でる。ちょうどそのあたり 
に、子宮が……。 
 色っぽい光景に性器が反応してしまう前に、性器を引き抜く。危うく第二ラウンドを開 
始してしまうところだった。慌てて引き抜いたせいで、白い液体がリズの太股に飛び散っ 
た。 
 
 
「あんっ……ああ……リズ……さん……」 
 
 リーファがおずおずとリズの肩を抱きしめた。快楽の熱をお互いに伝えるように抱き合 
う二人は、やがて呼吸を落ち着かせていく。 
 
「はあ……はあ……はあ………」 
「あふ……んっ……キリト……」 
 
 脚を閉じる力おも無くしてしまったらしい二人は、俺を視界に捕らえつつ、ゆっくりと 
瞼を閉じていった。 
 腹部や脚に飛び散った精液が、安堵の表情を見せるリーファとリズと対照的に、ひどく 
淫らだった。 
 
▲ 
 
「も、もう……限界……だめよ、キリトくん……」 
 
 アスナは俺の胸を押して俺の唇を遠ざけようとした。しかし、力をいれるつもりがない 
のか……または本当に力がはいらないのか、遠ざける効果はまったく発揮されていない。 
 
「まあ……大丈夫だよ。ほら、口開けて……いいだしっぺはアスナだろ?」 
「うう………で、でも……」 
 
 アスナの肩に手を回し、彼女が逃げ出さないように固定する。 
 俺は手元にあったボトルを煽り、液体を口に含む。度の強いウィスキーが舌をちりちり 
と刺激してくる。 
 
「はう……はぅ……」 
 
 目をつむり、まつげを震わせるアスナの唇に自分の唇を押しつける。わずかに開いた桜 
色の唇の間に、口に含んでいた液体を流し込む。 
 
「んむっ――! んっ…、んんっ…んっ……」 
 
 とぷ、とぷ……。口の内側になったウィスキーがアスナに向かって流れていく。 
  
「んっ……むぐっ……んっ……んっ……!」 
 
 アスナはくぐもった声を上げつつ、ウィスキーを受け止めた。液体を移し、そのまま舌 
を舐めとる。いま移したばかりの、ウィスキーの味がした。 
 いまシステム上では複雑な計算が行われているだろう。アスナと俺の口中では「粘度の 
ある液体」と「液体によってぬめる舌」の味覚プリセットが複雑に絡み合っているはずだ。 
アミュスフィアはそんな熱く、とろけた感触を脳へ直接おくりこんでくる――。 
 
「んぐっ……んっ、くぅ……んっ、んっ……んんっ……んっ……ごくっ……」 
 
 アスナは切なげに眉を寄せつつも、行為を受け入れ続ける。やがてこくん……と、アス 
ナの喉へウィスキーが落ちた。 
 
 
「んっ……はあ……はあ……はあ……ま、また……飲んじゃった……」 
 
 アスナの口の端から琥珀色の液体が流れる。液体は、そのまま裸の首筋へと流れていっ 
た。舌がしびれているのか、唇はわずかに開け放たれている。目元はすでに妖しげだ。 
 
「はあ…はあ…もう……おかしくなっちゃう……身体が熱いの……とけちゃいそう……」 
「そ、そうか……」 
 
 本人が言うとおり、指先でちょんと押すだけで倒れてしまいそうなほど、アスナは芯の 
抜けた身体で座っている。ただ、頬をとろけさせ、しなをつくり、熱い吐息とともに乳房 
を揺らすアスナの姿はいっそすさまじいと形容できるほど色っぽい。 
 
「はあ……はあ……はあ……わたしも、もう……限界……」 
「……シノンはまだまだ……だろ?」 
 
 俺のすぐ左にいたシノンがそう言うので、もう一度、ボトルをあおり、今度はシノンの 
唇を奪う。後頭部に頭をそえ、そのまま……。 
 
「い、いやよ、もう……あう……んっ……んっ……ぅぅ……んむっ……」 
 
 再び琥珀色の液体を口移して、身体を離す。 
 
「は、ああ……ぁぁ……ぁぁ……もう、イヤだって、言ってるのに……ぅぅ……」 
「まだ見せてもらってないしな、シノンのそこ……。ほら、もう一度……」 
「むぐっ! んっ……んんっ……!」 
 
 目を見開くシノンだが、抵抗はほとんどなかった。 
 ここまで積極的になれるのはもちろんお酒の力なのだが、結局はこれ、ただの「雰囲酔 
い」だからだ。どれだけ飲んでもアルコール中毒になったりはしない。 
 おそらく<<絶倫>>ステータスに影響されてか、アスナとシノン……それから俺は、ウィ 
スキーの味に酔いはじめていた。 
 
「はあ……ああ……身体が熱い……」 
 
 アスナは自分を抱きしめるように、腕を回しながら言った。 
 ――緊張していたシノンをほぐすべく、お酒を持ち出したのはなにを隠そうアスナなの 
だが、本人が一番初めに陥落している。知り合ってから長いが、アスナがこんな風になっ 
たのは初めてだ。 
 
「お酒の力は偉大……か。とても雰囲気酔いに見えないけど……」 
 
 つぶやきつつ、アスナを眺めて油断している敏腕スナイパーの唇をとらえ、ウィスキー 
を流し込む。 
 
「んっ――!? むっ、んんっ――んぅ!?」 
 
 酔っぱらってはいれど、アスナほど酩酊状態にはなっていないシノンが、さらに真っ赤 
になりつつ液体を受け入れる。 
 
「く……んっ、強引なの好きじゃないのに……」 
 
 芯を無くしたかのように、耳が垂れる。はあはあと吐息を荒げるシノンが可愛くてしか 
たない。 
 
「はう……んっ、きりとくん……」 
 
 際限なく甘い声で呼ばれ、俺は苦笑しながら再びウィスキーを口に含もうとした。 
 それを見ていたアスナが、泣きそうな声を出す。 
 
「……お、お酒はもう、いいよ……」 
「まあまあ……」 
 
 こうなるとどこまで乱れるのか見てみたい気がする。実際に成人したときのためにも… 
…。 
 顔を背けるアスナのおとがいに指を当てて、唇をよせる。 
 
「んっ……」 
 
 濡れた唇を奪い、ふたたびノンアルコール・ウィスキーを彼女へ流し込む。 
 流し込みつつ、ベッドの上にぺたんとアヒル座りするアスナのソコへ指をはわせた。 
  
「んぐっ――! んっ……ひゃう……んっ、んっ――」 
 
 唇をからませつつ、アスナの内側を指先でかき混ぜてやる。愛液がすぐに指へとからん 
できた。空いた手で乳房をもんでみると、アスナがぴくんと跳ねる。 
 
「んんんっ、ふぅ、んっ……はぁ……やっ……か、かきまぜないで……おかしくなっちゃ 
う……」 
 
 アスナは消え入りそうな声でいい、俺の胸を押してきた。でもやはり力が入らないのか、 
それとも本当の希望は別のところにあるのか、指はただ胸元に這わされただけだった。 
 そんな風に、しばらくアスナを味わった後、今度はとなりのシノンへ向き直る。 
 
「……私も、もうお酒は……んむっ――!」 
 
 シノンの懇願を最後まで聞かず、俺は唇を押しつけた。もう一度琥珀色の液体をシノン 
の口へと移していく。と――。 
  
「んぅぅっ! や、やめてっ――!」 
「――っと!」 
 
 息苦しかったのか、液体がわたりきらないうちに顔を逸らした。シノンへ運ばれるはず 
の液体が、彼女の胸元へ降りかかってしまう。 
 
「あ……ご、ごめん……なさい」 
「まあ……いいけどさ。じゃあ……ここ、いいかな?」 
 
 返事を待たずにシノンの鎖骨あたりに口付けする。ウィスキーの滴を舌で舐めとり、さ 
らに舌へ……。乳房を守っていた手をやんわりとはねのけ、ソコを露わにする。 
 何度か交合はしているものの、胸部を直視するのは初めてだった。アスナやリズ、リー 
ファに比べればささやかだが、形のいい乳房と円錐に尖った乳首が可愛らしい。 
  
「あ……み、見ない――はうぅ!」 
 
 見ないでといわれそうだったので、滴を舐め尽くす勢いでシノンの乳房に舌を這わせる。 
しばらく口でやわらかさを堪能した後、先をぱくっとくわえた。 
 
「はうっ……はあ……やっ、やめて……し、痺れる……」 
 
 シノンの声が鳴き声にかわってしまったので、名残惜しさを感じつつも唇をはなした。 
いままで吸い上げていた乳房のつぼみが少し硬くなっていた。 
 
「はあ……はあ……やめてって、言ってるのに……」 
 
 シノンが非難をあびせてくる。しかし、目が潤んでいるのでちっとも怖くない。 
 
「いやー……あまりに魅力的なんでつい……それに緊張をほぐしてもらわないと……」 
「……やりすぎよ……えい」 
「ぐ――!?」 
 
 早業だった。俺の反応を上回る早さで、シノンがそそりたった肉棒に指を這わせた。 
  
「あ……シノのん……ずるい」 
「んぐ――!?」 
 
 そしてあろうことか、アスナも性器をつかんでくる。二人の指は絡み合い、性器は膣と 
も口とも違った感触の筒に包まれた。 
  
「……こんなに熱いんだ……。んっ、びくびくしてる……いつもこうなの? アスナ… 
…」 
「うん。でも、いつもよりすごく大きい……」 
「そりゃあ……二人のそんな姿を見てればこうなるよ。<<絶倫>>の補正もあるし――。あ、 
あの、そろそろ手をはなしてくれないか?」 
 
 いや、美少女二人に性器を握られているというシチュエーションは、男として喜ぶべき 
なのだろうが、弱点をにぎられて落ち着かない&じろじろ見られて気恥ずかしいがあわさ 
ってどうにも胸が浮ついてしまう。 
 なんとか逃げ出そうにも、場所が場所だけに身動きがとれない。 
 
「ふふ……さっき指でも、気持ちよさそうだったよね……キリト君」 
 
 お酒でとろけた瞳を俺にむけたアスナは、ゆっくりと手を上下させ始めた。 
  
「う、うわっ――アスナ、やめ――」 
「――ふーん……」 
 
 指から生まれる快感につい甲高い声を上げてしまった俺に、にやりと笑いかけるヤマネ 
コ一匹。 
 
「ここがキリトの弱点なんだ……覚えとこ……」 
「いや、覚えなくていいから……くっ――!」 
 
 二人の指先が生む微細な圧力にすぐさま追いつめられる。 
  
「はあ……ああ……キリト君……ふふ……お酒のお返し……」 
「んっ……結構、力かげん、難しいかも……」 
「あぐ……も、もう本当に……!」 
 
 先走りの液がローション代わりになって、二人の指へ絡んでいく。 
  
「う……くっ……だめだ、二人とも離れ――!」 
 
 ずるっとすべったシノンの指が、亀頭の段差を乗り上げる。性器に電撃が走った。とど 
めようとする俺の意志とは無関係に、精液が吹き上がる。 
  
「んっ……!」 
「ひゃっ、ああ……!」 
 
 あまり経験のないシノンが少し身体をのけぞらせる。性器は俺の意志から離れ、粘液を 
吹き出し続けていた。距離があるので二人のからにはかからなかったが、しかし……。 
 絡み合った二人の指に白い液体が降りかかっていった。 
 
「ご、ごめん……」 
「んーん……。キリト君が気持ちよかったなら……いいよ」 
 
 アスナがゆっくりと手を離した。 
 
「……性器だけじゃなくて……せーえきも……こんなに、熱いの……? こ、こんなの… 
…出されたら……やけどしちゃう……」 
 
 続いてシノンが指をはなす。 
 精液は二人の指と指の間や手首のあたりまでふりかかってしまっており、指の先――桜 
色の爪さえも白く汚していた。 
 
 二人に例のハンカチをわたし、手を拭ってもらう。その間――射精後の倦怠感に酔う。 
 と――。油断していた俺にシノンが迫っていた。 
  
「まだ……硬いの? ここ」 
 
 あろう事か白い液体で汚れた亀頭にシノンが頭を近づけていた。 
 
「え……な、シノン――!」 
 
 そしてさらに衝撃的なことに……くんっ、とにおいをかいだ。 猛烈な羞恥心が駆けめ 
ぐる。 
 
「んっ――。ちょっと、生臭い……けど……」 
 
 そのままぱくっ、とシノンは亀頭を口内に含んでしまった。 
 
「――っ!」 
 
 出したばかりの敏感な性器をくすぐられる。シノンはおずおずとした舌づかいで精液を 
すべて舐めとり、やがて顔をあげた。 
  
「むっ……苦い……」 
 
 シノンは肉食獣的な笑みを浮かべて俺をみる。さっきまで、胸を隠して小さくなってい 
たシノンは、そこにはいなかった。獲物の弱点を見つけ、いきいきと輝くホソクシャの目 
で俺を見上げ――。 
 
「けど……キリトのだし、まあ……いいわ。ごちそーさま」 
 
 シノンはクールに言ってのけ――萎えはじめた性器をぺろっ、と舐め上げた。 
 
 お酒の力は――本当に……恐ろしい。 
 
 
 
「んっ……や、やっぱり、あんたの……私には大きすぎる……。頭のさきまで……ゆ、揺 
れちゃう……」 
 
 そんなことを言われたら、もっと揺さぶってみたくなる。 
 本能に促されるまま、腰を上下させてシノンの奥をおしあげてやりつつ、口元にアスナ 
のスリットを舌でくすぐってやる。 
 
「はうっ……くぅ、んんっ……!」 
「ひゃう……キリトくんっ……なめちゃだめぇ……」 
 
 アスナとシノンのとろけた声を聞きながら、夢中になって二人を責める。 
 シノンと騎乗位で重なりつつ、さらに俺の頭をまたぐ形で座るアスナのスリットを舌で 
味わう。 
 
「ふあ……く……んっ……はあ……んっ……苦しくない……?」 
「いや、大丈夫。いい眺めだし……ここ、すごく濡れてるよ…」 
「はう……んっ……いたずらしちゃ、だめ……痺れちゃう……」 
 
 悩ましく言うアスナには、いまだにお酒の毒がまわっているようだ。舌で秘芯をくすぐ 
ると、ときおり腰を押しつけてくる。そのたび、アスナのソコからは際限なく愛液があふ 
れ出してきて、俺の頬までをぬらしていく。 
 
「はあ……はあ……んっ、キリト……本当に器用ね……んっ……」 
 
 シノンはいいながら、体を上下させてくる。シノンの膣道は突くたびに狭くるしくなる 
ようだった。あの気高いシノンが自分から腰を上下させる姿は、さぞ魅力的なのだろうが、 
あいにくと俺の視界はアスナで占められている。 
 
「ひゃんっ……んっ、くっ……んんっ……! や、アスナぁっ!」 
「はう……んっ……シノのん……ちゅっ……んっ、くぅ……んんっ」 
「んむ――!」 
 
 シノンがいきなり身体を前傾させた。ぺたん、と俺の下腹部へ手のひらをつき、くぐも 
った嬌声をあげる。 
 
「ふあっ、あんっ……んむっ……んんっ――!」 
 
 次いで舌先でつついていたアスナの秘処がばくばくとわななき、シノンとの性交が生む 
音でもなく、アスナの愛液が舌と干渉する音でもない、まったく別種の水音が部屋内に響 
き始める。 
  
「んちゅ……んっ、はあ……ああっ、んっ……アスナ……だめ……どこに集中すればいい 
のかわからなくなっちゃう……」 
「んっ、ふぅ……んっ……大丈夫……どっちも、気持ちよくなって……」 
 
 俺には想像することしかできないが、どうやらアスナとシノンは俺の身体の上で唇を重 
ねているらしい。ちなみに俺には、アスナしか――アスナの形のいいお尻や背中ではねる 
水色のロングヘア、それからいっそかわいらしいとも思えてしまう後ろのハマり……しか 
みえていない。 
  
「んっ……ふぅっ、んっ……ちゅ……んっ…!」 
「ふあっ……ちゅっ、んっ、っく……! んんっ!」 
 
 唇を合わせたことで昂るペースも同期したようだ。シノンが腰を上下させるのとほぼ同 
時に、アスナが自らの秘芯を俺の口へ押しつけてくる。そしててっぺんにたどり着くのも、 
ほとんど同時のようだった。 
 
「ふあっ、あああ! あう――!」 
「んっ、んん――!」 
 
 ほぼ同時に二人が達した。 
 秘裂の入り口をくすぐっていた舌がヒクつくそこに吸い込まれる。同時、性器がずるっ 
と突き刺さった。シノンが脚から力を抜いてしまったのだ。 
  
「う――!」 
「あうっ! んん――!」 
 
 自重によって貫かれる形になったシノンが激しく震える。わななく膣道から快楽を得、 
性器が先端から粘液を吹き出す。シノンの奥を押し上げるように、精液は吹き上がった。 
 
「んっ――! んんっ――! は――!」 
 
 大きく息を吸い込んだシノンが、今度こそ完全に脱力した。 
 そんなシノンには申し訳ないが、精液の噴出はいまだとどまっていなかった。 
 
「ああ……ああ……まだっ……まだ、でてる……」 
 
 それでもシノンは最後まで俺の性器を締め上げ、最後の一滴まで搾り取ってくる。 
  
「んっ……ふあ……あう……もう……だめ……」 
 
 シノンの体がゆっくりとアスナにしなだれかかったようだった。 
 アスナとシノンの呼吸がとろけて重なっていく……。 
 
「はあ……はあ……お疲れさま、シノのん……」 
「う、ん……アスナも……がんばってね……」 
 
 そんな言葉を交わしながら、アスナとシノンは俺の上で快感に酔っていた。 
 
 
 シノンを傍らに寝かせたアスナが、陽の光をバックに膝建ちになった。肩から力を抜き、 
忘我の吐息を漏らすアスナの姿は、神々しいまでに魅力的だ。 
 汗に濡れた乳房や陶器のようになめらかな腹部はまるで裸婦像のお手本のように美しく 
清楚なのに、その下のスリットはまるで誘っているかのように濡れ輝いている。 
 アクアブルーの瞳を情欲の炎で揺らし、とろけきった……甘い声でアスナがつぶやく。 
 
「……キリト君……」 
「アスナ……」 
 
 互いの名前を呼びつつ、重なる準備をする。といっても、アスナのそこはすでに濡れて 
いるし、俺の性器は天を向いている。 
 
「んっ――」 
  
 自らのスリットに指をあて、鮮紅色のそこを露出させたアスナは、もう一方の手を肉棒 
にはわせ直立させる。性器にふれる彼女の指先は冷えていて心地よかった。 
 アスナの指が、性器の先端をいじりまわす。 
 
「んっ……いい?」 
 
 聞かれるまでもない。俺はうなずいた。 
 アスナの口の橋がほころぶ。 
 
「じゃあ………ふぁ……あっ……はあ……はあ……ん――っ!」 
「ぐっ――!」 
 
 呼吸を整えたアスナが、一気に身体を落としてきた。やや強引ともいえる造作だったが、 
すでに膣道は愛液で満ちていて、俺の性器をいとも簡単に導いてしまった。 
 熱く濡れる柔肉がぴったりと性器の形にゆがみ、表面をそそりあげてくる。 
 
「ふあ……あああ……はあぁ……っ」 
「ぐ……くっ……アスナ……ここ、濡れていて……熱くて、気持ちいい……」 
「ああっ……う……んっ、わたしも、キリト君、感じているよ……」 
 
 いまの挿入で軽く達してしまったのだろう。びくびくと全身をふるわせつつ、アスナは 
切なげに微笑んだ。 
 
「はあ……でも……だめ……も、もう……」 
 
 眉をしかたまま、船をこぐようなゆるやかな動きでアスナが腰を上下させる。 
 俺は性器から得る快感におぼれそうになりつつも、アスナの両手首をつかみ、俺の腹部 
へ乗せた。 
 
「ふあ……ああっ、あんっ……んっ……はあ……あああ……いいの? お、重くない?」 
「ぜんぜん。ほら…アスナの好きにしていいから……」 
 
 アスナの指先がスプリガンの浅黒い肌の上に乗った。体重を半分くらい引き受けたが、 
これでアスナは思う存分動くことができる。 
 
「ほら、動きやすくなったろ……」 
「うん……じゃあ、動くね……んっ、んんっ……! はあ……!」 
 
 なめらかな腹部を踊らせ、長い水色の髪を波立たせるアスナ。 
 俺の腹部へ手を置いているせいで、先を尖らせた乳房が、二の腕に挟まれ形を崩してい 
た。しかしそもそも柔らかい乳房は、アスナの体に合わせて尖った先端を跳ねさせる。チ 
ェリーピンクのそれが目の前で揺れていた。 
 
「あああ、あああ……んっ……はあ……はあ!」 
 
 アスナに責められつづける性器が、白い電撃を発生させ、俺の脳髄を焼き始める。この 
ままアスナのしたいように……とは思ったものの、あまりにも強い快感に根負けした。 
 
「ぐ……お、俺も……俺も……!」 
「はあ……うんっ、キリト君もうごいて……! もう……壊れちゃってもいいの……キリ 
ト君にされたい……」 
 
 アスナの口にする精一杯の言葉が、胸にしみ入ってくる。と同時に我慢も効かなくなっ 
た。アスナが腰を落としてくるタイミングで腰を上げ、下から突き刺す。 
 
「んんっ、――あああっ! ……ふっ……んっ、ああ……はあ……! 揺らし……すぎっ、 
だよ、もうっ……!」 
 
 瞳をぎゅっと閉じたアスナが手のひらを、俺の胸板へとすべらせ、俺の上で四つん這い 
になる。 
 いままで背中に流れていた髪が、肩からはらはら落ちてく。 
 
「うう……お酒……お酒、回っちゃう……んんっ――!ふっ、あああっ、んっ、んんっ… 
…! あぅ……!」 
「いいんだよ、揺さぶっているんだから……ほら……」 
 
 より身近でアスナが嬌声を上げる。 
 
「ああっ、いやっ、いやぁぁぁっ! ああ――!」 
 
 アスナは腰をくねらせながら俺を受け入れ続けた。俺の眼前で、いまにも泣き出しそう 
な顔で快楽を教授するアスナの、花弁のようにほころびた唇から吐息が漏れる、かすれた 
吐息さえ、いまは愛おしい。無 
 手を伸ばし、アスナの肩をぐいっと引き寄せ、抱きしめる。彼女の胸元で揺れていた双 
丘が密着した。 
 
「んんっ――! はっ、はああっ――!」 
 
 さらに深い挿入に、アスナはむせび泣く。しかし俺はオスの本能に押されるがまま、ア 
スナを深く、深く貫き愛し続けた。そして――。 
 
「――ふああ! ああっ、ああああんっ!」 
 
 腕の中のアスナが達し、身悶えする。すぐ側にあった唇を唇でとらえ、わななく身体を 
抱きしめた。 
 
「――んんっ! んんっ――んんっ、はう――!」 
 
 逃げ場をなくしたアスナをさらに強く抱きしめ、奥へ奥へと……。求めるままに彼女を 
むさぼる。 
 
「ふあぁっ、あああっ、やあっ、もう……もう――!」 
「アスナ――!」 
 
 高ぶりは俺の方がはやかった。アスナの奥底に飛沫をたたきつける。密着するアスナの 
体が大きく跳ね上がった。 
 
「んっ――! んんっ、んんっ――!」 
 
 目の前に白くスパークする。アスナは身体を俺に押しつけながら、嬌声をあげる。柔肉 
が狭まり、性器をしめつけてくる。その性感を受け、さらに膨張した性器が粘液をまき散 
らす……。 
  
「あああっ、んっ――! んっ、んんっ――!」 
 
 激しいエクスタシーに震えるアスナと射精する快感におぼれる俺は、むさぼり尽くすよ 
うに腰を動かし続けた。 
 肌を打ち付け続ける。 
 
「――ふあ……あんっ……んんっ、んっ……ん……」 
「アス……ナ……」 
 
 やがて四肢から力を抜きしなだれかかってくるアスナの背中を抱きしめ、撫でる。 
 
「ふあ……あっ……あぁ……キリト君……キリト君……」 
 
 さわり心地のよい髪となめらかな肌の感触を手のひらに得ながら、快感の余韻にふるえ 
るアスナを抱きしめ続けていた。耳元で、アスナがうわごとのように俺の名前を呼んでい 
た。 
 
▲ 
 
 しばらくして、胸の中にいたアスナが小さな寝息を立てはじめた。 
 腕をといて、アスナをのぞき込む。 
 鎖骨のあたりに頭をのせるアスナは、安らかな表情で眠りに落ちていた。 
 そういえば……。 
  
 俺は視線を巡らせてシノンの姿を探す。アスナとの行為に夢中になり、途中で意識を失 
ったシノンのことをいまのいままで忘れていた。 
 これほど失礼なこともないだろう……。シノンに火矢をぶち込まれても、今回ばかりは 
文句は言えまい。 
  
 だが――。 
  
 そのシノンの姿が見えない。アスナを傍らのベッドへ寝かせ、ウィンドウを呼び出す。 
フレンドリストの表示を確認する。どうやら俺とアスナ以外の面々は、無事にログアウト 
で来ているようだ。ユイの姿も見えないのでどうやら無事クエストクリアー……。 
  
「……クエストなわけ、ないか」 
 
 傍らのアスナに視線を向ける。裸の胸や肩がどうしようもなく色っぽかった。彼女の寝 
顔を見るのもなんだかひどく久しぶりだ。 
 俺は彼女に上掛けをかぶせ、そのとなりに寝そべる。手をつなぐくらいは許してもらお 
う。コードによる拘束――すなわちログアウト不可状態から脱出していので、寝落ち機能 
は働くはずだ。 
  
「おやすみ……」 
 
 アスナに一声かけてから目をつぶる。 
 この一日で大いに消耗した精神は、すぐに眠りへと落ちていった。 
 
―――― 
 
 目をさますと自室だった。最後にいたした激しい交わりのせいで頭の芯がまだぼんやり 
としているが、無事にログアウトはできたようだ。カーテンの向こうは暗かった。昼間に 
ログインし、それからダイブしっぱなしだ。身体は一ミリも動いていないとはいえ、疲労 
は蓄積している。明日は――正確にはもう零時をまわっているので今日は――十二月最後 
の日曜日だ。疲労を回復させるにはちょうどいい。たとえ午後まで眠っていても、だれも 
文句は言わないだろう。 
 アミュスフィアを傍らにおき、しばらくぼうっとしていた。 
 
 ……そして下半身が気持ち悪いのに気がついた。 
  
「……とりあえず、シャワーかな……」 
 
 どうやら現実世界でもまき散らしてしまったようだ。ダイブ前に身につけたトランクス 
が濡れていて気持ち悪い。とりあえず応急処置をし、着替えを手にシャワールームへ向か 
うため廊下へでた。ほかの面々がどうしているかも気になったが、それは落ち着いてから 
にしよう。 
 
 隣の部屋からせっぱ詰まった声が聞こえたのは、俺が廊下へ一歩踏み出した時だった。 
  
「ふぁっ……んっ……あんっ……ど、どうしようっ……止まんないよ……!」 
「す、スグ?」 
「亜……お、お兄ちゃん……ちょっと、来て……!」 
 
 半開きになった扉をあけ放ち、中に入る。部屋は常夜灯が一つついているだけで薄暗い。 
 
「スグ……どうし……」 
 
 オレンジ色の常夜灯の下で、直葉がうめいていた。ややオーバーサイズのティーシャツ 
に身をつつんでいる。ここまではまだふつうだ。仮想世界へログインする際は、リラック 
スできる格好が一番いい。 
  
 しかし――。いまその……ティーシャツは衣服の体をなしていなかった。ALOのシル 
フ、リーファと共通する乳房の上まで、シャツの裾がめくれあがっていた。鍛え上げられ 
た脚の陰影が、常夜灯の光をうけて浮かび上がっている。 
 
「んっ――、くっ――と、扉しめて! お、お母さん帰ってるの……!」 
「そ、それはマズい……!」 
 
 慌てて後ろ手に扉を閉めた。密室に直葉と二人だけになる。 
 
「はあ……はあ……」 
「だ、大丈夫か……?」 
 
 明らかにふつうではない直葉の様子が心配になる。 
 
「大丈夫……じゃ、ないかも……ログアウトして起きたら……んっ、体が……」 
 
 いいながら、直葉は身じろぎした。なにかを耐えている様子だ。 
 
「スグ……もしかして……その……」 
「はあ……はあ……うん……ALOにいたときみたいになってる……」 
「そ、そんな……」 
「でも……本当なの……んっ、ここ、もう……」 
 
 ここと視線で指し示すそこは、下生えの生えた秘処だった。茂みに隠されてはいるもの 
の、確かに存在するそこはオレンジの光を反射させている。ふと見上げた直葉の指先は、 
透明な液体でぬれていた。いまのいままで……自分を慰めていたのだ。 
 
 背筋に冷たい汗が流れていった。たしかにログアウトした直後には、直前に得た刺激が 
残留してしまうことがある。しかし、だからといってステータスまで引きずるのは予想外 
だ。 
 もしくは――。アミュスフィアの感覚キャンセル機能はナーヴギアに一歩劣る。そのせ 
いで、置いてけぼりになっていた体をも興奮状態にしているのかもしれない。 
 呆気にとられる俺の前で、直葉は情欲を払うかのように頭を左右に振った。 
 しかしそれでもこらえきれないのか……。息を掠らせながら、俺を見上げる。 
 
「はあ……んっ……お兄ちゃん……」 
 
 直葉の潤んだ視線の先は、俺の下半身だ。 
 
「スグ……あれはあくまでALOで……仕方なく……」 
「わかってる! でも……でも」 
 
 頭をぶんぶんと左右に振り、直葉は目を見開いた。救いをもとめるように潤んだ瞳をな 
んどかしばたいたあと、自分の体を両手でだきしめながら、消え入りそうな声でいった。 
 
「おなか……熱いの……ほしいの……お兄ちゃん……」 
 
 ぽろ、と透明な涙が頬をながれていった。 
 
 
 
 
 
 
 埼玉県の端にある、高層マンション。そのエレベーターから降りて、右に曲がり、数十 
メートル歩ききって、突き当たりの角部屋へ歩む。金属の扉と向かい合い、上下にふたつ 
そなえつけられた電子錠にキーを押しつけ、続いて静脈認証用の端末に手のひらを押しつ 
ける。その時点で防犯カメラがうごめき瞳をフォーカス。無影の光が虹彩を識別し、網膜 
認証が済むと、がちん。 
 電子錠が解除された。同居人の一人が人の出入りを気にしているため、こんな風にやや 
過剰気味なロックをしているが、発案者のその日とはとある理由から実家に帰っていた。 
 
 ようやっと開け放たれたドアに体をすべりこませ玄関で靴をぬいでいると、廊下を猫が 
一匹歩いてきた。長いしっぽをゆらゆら揺らして、足下にすりよってくる。同じ名前で、 
何度目かの代替わりを行ったというマンチカンをひょいっ、と抱きかかえる。この猫はな 
ぜだかよく懐いてくれていて、帰宅するとこうして出迎えてくれる。 
 ちなみに猫の主人は、とある理由で実家に帰っていたりするので、この猫も――ピナも 
人寂しいのかもしれない。 
 
 が、猫を抱え上げたせいでつい、玄関に立てかけてあった黒い棒状のもの――ナノカー 
ボン製の竹刀を、肩から掛けていたバックで倒してしまった。これも同居人の持ち物だ。 
愛用されたせいで所々傷んではいるが、よく手入れされている。おなじく同居人は不在だ 
った。全日本で五本指に数えられる彼女は、指導の依頼やら自身の稽古やらで不在にする 
ときが多い。 
 もっとも彼女も、ある事情で一年ほどすべての指導を休止することになるのだが――。 
 
 竹刀を立てかけて、廊下を進む。と――胸に抱いた猫が小さく鳴いて爪をにゅにゅっ、 
と伸ばす。そこには四角い段ボールが置かれていた。空いている片手で段ボールあけてみ 
た。とたん、甘い果物の香りがあたりに満ちる。驚きつつ段ボールの中をのぞき込むと、 
そこには色とりどりの果物があった。これも同居人の両親が送ってきてくれたもので―― 
例によって同居人自体は実家に帰っているのだが――これにはいつもお世話になっている。 
手を伸ばして赤々としたリンゴを手に取り、コートの裾で表面を拭き一口、口に入れる。 
旬の果実は甘かった。物欲しそうに猫が鳴くが、リンゴは食べさせちゃだめですよーと、 
言われているため猫にはあとでキャットフードを進呈することにする。 
 
 そこで猫はすねたようにひらり、と腕から抜け出してしなやかに廊下へと降り立ち、と 
ことこと先に進んでいってしまう。 
 
 思わず苦笑いしながら、リビングに踏み込んだ。 
 
 オレンジ色の光が満ちていた。窓からの採光量が多いため、カーテンで遮光をおこなっ 
てもリビングの明度は十分だ。強い光におもわず目を細める。 
 
 ぼんやりとした光の中に栗色の髪が浮かぶ。彼女自身が自分で選んだ赤色のソファーに 
背をあずけた女性が、慈愛の表情を浮かべ、ブラウスのボタンをおなかのあたりまではず 
し、赤ちゃんに母乳を与えている。 
 
 幸せそうな表情を浮かべた女性が、ゆっくりと視線を持ち上げた。はしばみ色の瞳と視 
線がからむ。ときおりぺち、ぺちと乾いた音が響くのは、赤ちゃんがおっぱいを叩いてい 
るせいだ。昔はあんな風に自分も――と、不思議な感慨がわき上がった。 
 一息すってから、言う。 
 
「ただいま。ママ……」 
 
 わたしは妹におっぱいをあげながら微笑むママにそう言いつつ、デイバックをソファー 
においた。さらにとてとて走って、ママのとなりに腰掛ける。生後三ヶ月の妹は、ママの 
おっぱいを元気に飲んでいた。赤ちゃんにしては肌がなめらかだ。なにかのおとぎ話の、 
お姫様みたいに肌は真っ白できめ細かい。髪だって黒檀のように真っ黒で芯がある。 
 幸せそうな妹の表情を眺めつつ、ママの肩に頭をひっつける――。 
 いつも通りママは優しく、際限なくやさしい声音で、わたしに言った。 
 
 
 
 
 
「――おかえり、ユイちゃん」 
 
 
 
 
 
 
 
(完) 
 
 

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