「いや……いやだよぉ……トンキー……」
植物の根をおもわせる触手に体中をからめ取られ、身動きがとれないリーファをそのま
まに、象水母型邪神級モンスターは、異形の羽をもってしてヨツンヘイムを飛翔していた。
リーファはいま、四肢を葦のような触手で拘束され中ずりにされている。しかも顔が下
向き――ヨツンヘイムの地面に向けられているので、否応なくそれを目にしてしまう。
――ひっ!
真下にぽっかりと空く大穴にリーファは息をのんだ。
翅による飛行が不可能なヨツンヘイムにあって、底の見えない大穴の真上にぶら下げら
れるというのは、恐怖体験そのものだ。
死んでも直前のセーブポイントに戻るだけだが、眼下にぽっかりと空いた光をのみこむ
グレートボイドの暗闇は、「落っこちたらどうしよう」的な、人間の根源的な恐怖を呼び
起こす。
いくらスピードホリックたる彼女でも、恐怖から逃れるすべはない。
寒さと落下の恐怖に美貌のシルフは心の中で叫ぶ。『お兄ちゃん、助けて!』と――。
が、その願いはヨツンヘイムの暗がりに空しくとけていく。
器用にうごめく植物状の触手に、腰から下を覆っていた緑布と愛剣は回収されている。
頼りの長剣は腰になく、キュロットとニーソックスのみ、という姿にされている。たま
に手足をばたつかせてなんとか脱出できないかともがくリーファが、悲鳴をあげながら固
まった。
「はうっ!」
臀部をなで回される感覚に、リーファは恐る恐る、自分の肩越しにお尻を見る。
手足を拘束している触手よりも細い触手が一本、リーファのキュロットと下着の内側に
潜り込んでいた。ちょうど背骨のあたりから侵入をはじめた触手は尾てい骨のあたりをす
べり、さらに下へ下へと潜り込んでいく。
「んっ……や、だぁ……入ってこないで……」
繊毛をはやした触手が白い桃をぱっくりと二つに割ったような、美尻の間を侵入してい
く。
感覚だけがのこる後ろの穴を通り過ぎ、<<発情>>のせいですでに潤みをもつ秘処へ到達
する。
本来リーファとぴっちりと密着しているはずのキュロットと下着の間を、触手がのたう
ちまわりながら進んでくる。
「ひっ、やぁ……」
リーファはぎゅっと目をつむり、うしろの穴とスリットの極浅い部分と秘芯への刺激に
耐えようとするが、まだ乙女のリーファには荷が重すぎた。ぞふぞふと細かい震えを繰り
返す触手の振動がリーファを誘惑していく。
「あ……う……んっ……」
押し漏らすような吐息がリーファの口から漏れる。
微細に振動する触手が肉扉の入り口をくすぐり、そのすぐ上の陰核に振動を伝えつつ、
ずぽっとキュロットの前側から飛び出した。
「い、いやあああぁ――っ! あぐっ!」
自らの股関を這い回ってきた触手がリーファの唇を強襲した。繊毛がびっしりと生えた
触手が舌の上を滑っていく。
痛痒いはずの乱暴の刺激が、<<発情>>のステータス補正で、痛みのほとんどがキャンセ
ルされ、ただただ舌を巻き取られる快感のみをリーファに伝えた。
「んぐ……んっ……んぐっ……」
乙女の桜色の唇をめくりあげ、植物の蔦に似た触手がずっちゃ、ずっちゃと、行き来す
る。触手は最後にリーファの舌に巻きつき、じゅゅりゅる、と音を立ててリーファの口内
から出て行った。
「ん――――っ!」
舌をねこそぎ持っていかれる――だが、舌の上下を繊毛が通り過ぎる痛痒は快感を生み、
リーファの脳を直撃する。
「はぐ……はっ……ああ……」
息苦しさと舌のしびれにあえぐ、リーファの反応に気を良くしたのか、トンキーは彼女
の股の間にはさまったままの触手を、緩やかに律動させはじめた。
触手はリーファの股下全体を覆い、密着しているため、後ろのハマりと秘裂の入り口と、
未熟な秘芯が同時に擦られてしまう。
「はぁ……んっ……トンキー……」
動き自体は大ざっぱだが、触手に生えている繊毛が性感をこそいでいった。快感がブー
ストされているリーファにとっては、たとえ小さな刺激だとしても、それを快感としてと
らえてしまう。
「ふぁっ……」
ちゅるちゅると秘芯の上をはいあがる触手から振動が与えられるたびに、リーファは背
筋を震わせた。
――だめ…これ…気持ちいいかも……そうじゃなくて!
揺さぶられる快感に夢中になりかかり、リーファはぶんぶん頭をふるって正気を取り戻
そうとする。しかし、押し寄せる快感はあくまで優しく、リーファの理性を押し流してい
く。気丈に引き結んでいたはずの唇が徐々にひらきはじめていた。
「はう……んっ……ぅぅ……」
リーファがかすれた吐息を唇から漏らしていると、するするとトンキーの胴体から新た
な触手が伸びてきて、こつん、と鎖骨のあたりに当たった。
「はうぅ……なに……な、なに?」
なんどか鎖骨をなでた後、触手は衣装の開いた上部に触手が侵入をはじめた。胸元を繊
毛に引っかかれ、リーファは思わず身を引いた。
「う、ああ、あっ……そんなとこ、さわらないで」
リーファの目におびえが浮かぶ。触手はそのまま彼女の旨を覆う薄布を押しのけていっ
た。白い淡い布の内側で、ぐるっ、とアンダーバストを一周し、くるくると双丘にまきつ
く。
「やぁっ……胸にっ、巻きついて……んっ……揉んじゃやだ……そんなに強くしないで…
…」
ざらつく触手が根元からぐにぐにと巻きついてきてバストをきゅっと絞り、乳房を覆う
布をうごうごとうごめかせる。円錐の形にまで絞られた乳房の先の突起を、触手がチロチ
ロ刺激してくる。
「ううっ、やめてよぉ……うっ、あんっ、あああっ……」
服の内側で行われている暴挙と乳首からあたえられる強い刺激に、翻弄され腰回りに入
れていた力ががくっと抜けた。
四肢にからみつく触手さえ、彼女の二の腕や脇をくすぐってくる。内もものあたりに絡
んだ触手が肉感的な肢体をなで回していた。
「ふあ……あああ……ああ……」
多重の刺激にリーファは糸の切れた人形の様に脱力した。押し寄せる波に意識が跳びか
ける。
と――。触手は手にとぷっ、とぷっ、とトンキーの本体から何かが滴ってきた。
「え……な、なに……なにするの……?」
体中に巻き付いていた触手がぶくっ、膨れ上がり、リーファへの拘束が強まった。乳房
がより強く締め付けられ、股の間を通っている触手がみじろぎする。
「あっ……くっ……太く……やっ……くるしい……やめっ……」
きつすぎる締め付けに、リーファが喘いでいるうち突如、触手が震えだした。リーファ
を責める動きではなく、まるで内側から吹き出すなにかを我慢しているかのような……。
股下を通っている触手もそれにならって震えだした。再び始まってしまう予感に、リー
ファは背筋を凍らせる。が――。リーファの予想は裏切られた。
触手がさらに膨れ上がっていく。内圧に耐えきれず触手が波立つ様子に、眉をリーファ
は口元をおろそかにしてしまった。ふたたび、一本の触手がすばやくリーファの水蜜桃の
ような唇をめくりあげ、飛び込む。
くっちゅうっ――
「んぐっ!」
先ほどとはタイプも太さも違う、節くれだった触手が唇を出入りし、リーファの舌の上
をすべっていった。舌の上にのった触手がぶくっ、と口内で膨らんだ。
「んぐっ、んっ、んっ、んぐっ!」
舌への蹂躙に耐えていると、リーファの口を犯している触手も徐々に太くなっていった。
「……んっ、っ、んむっ……!」
――な、なに……なにが起こるの……?
舌をせめられつつ、リーファが疑問を頭に浮かべたその時、びしゃあああっ!と膨れた
触手から何かがあふれ出た。
「ひああああああっ!」
慌てふためき絶叫するリーファ。息苦しさはなくなったものの、代わりに正体不明の粘
液が体を覆ってくる感触に身もだえる。
全身に冷たい何かがまき散らされ、濡れていくのがわかる。
そして吐き出された液体のにおいがリーファの嗅覚を犯した。
「ああっ……ああ……甘い……」
リーファは口の中で爆発した液体にとろける甘みを感じた。煮詰めた蜂蜜を、さらに蜂
蜜でといたような甘さを持つ、半透明な粘液が強烈な甘さで脳髄を犯してくる。
触手から飛沫した粘液は緑がかった金髪にもへばりいついた。
乳房を覆う布やキュロットの内側でも粘液を吐き出されたせいで、服が濡れリーファの
肌にぴったりと貼りついた。とくに胸元の布は、濡れはりつき、乳房の淡い桃色の乳首の
形をしっかりとトレースしている。
冷たい粘液に股下と乳房を汚されたリーファはついに瞳から涙を流した。触手が口の中
から出て行ったことにもリーファは気がつけない。
しかし、トンキーの暴虐は続く。
最後まで彼女をまもっていたキュロットと下着を、触手が引きさげ始める。
「あうっ…………っ……」
あわてて股を引き締めて対抗するが、キュロット自体が粘液で濡れているため、肌の上
をすべってしまう。
やがてさらに強い力が加わり、ずるっ、とキュロットが膝下までずりおろされた。
「――!」
リーファはもう言葉もない。
仄暗いヨツンヘイムにあって、まるで真珠のように白くてなめらかなリーファの臀部が
あらわになり、先ほどまで繊毛が好き放題出入りしていたそこは、トンキーが吐き出した
粘液とリーファから生まれた分泌液でしとどに濡れ輝いている。
地下深くのダンジョンでオンナノコの大事なところを露出してしまっている事実に、
リーファが震撼しているうち、巻き付いていた触手が再びぞふぞふと身じろぎしはじめた。
四肢を縛っていた触手がリーファの体を這いまわる。
「あああっ……んぅ……おっぱいも……おしりもぉ……」
切なげなボイスエフェクトが暗闇へ吸い込まれていく。触手はその反応を楽しむように、
何度も何度も、お尻の小山を上下した。最初はくすぐったかっただけのお尻へのなで回し
が、徐々に心地よくなっていった。腰のあたりから脚の付け根を優しくなでられ、リーフ
ァは声にならない悲鳴を上げる。
快感にとろけそうになるリーファがソレを視界にとらえた。いままでの触手とは違う、
太い何かがウエストをなで回していた。
――なんだろ、あれ……太い……? でも見覚えあるような……
お尻と胸から与えられる快感に耐えながら、服の上からウエストをなでる太いソレに目
をこらした。
「え……お鼻……?」
子供の胴周りもある「鼻」だった。二つの穴がぽっかりとひらき、わずかに先を濡れ輝
かせているトンキーの鼻。その鼻が先ほどからウエストをいじり回していたのだ。
「え……と、トンキー……? や、ちょっと待って!」
混乱するリーファに見せつけるように、トンキーの鼻はするすると股の間に移動する。
「やっ、だ、だめっ! だめ――!」
鼻が向かう方になにがあるのか。気がついたリーファは、再び股をとじようとしたが、
「あうっ!」
くっ、と脚に絡んでいた触手が脚を引っ張った。なんとかあらがおうとするが、そのた
びにお尻をなでまわされ、力が入らない。逆V字で開かされたリーファの間に、トンキー
の鼻が接触した。
くちゅっ、と水音をさせながら。
「やああああ! だめっ!そこは……そこはだめ……お兄ちゃんに……」
触手の愛撫とは明らかに違う感触にリーファははばからず絶叫した。
肉扉をわずかに開かれただけで白い電撃が腰と頭を駆けめぐる。そのまま鼻を突き込ま
れるものだと誤解したリーファは身を硬くして暴れ回る。
だが、トンキーはずずりゅっ、と確かめるように鼻をならした。
「んっ――!」
入り口のあたりを震わせる鼻のうねりに、リーファがうめく。じゅるる、じゅるじゅる、
と鼻がならされるたびに入り口を揺さぶられ、そのたびに内側のなにかを吸い上げられる
ような感触がリーファに与えられる。
「ふあっ、あっ、なにっ、なにしてるの……トンキー……」
不快どころかお腹を揺さぶられる快感に意識を飲まれそうだったリーファが、トンキー
がしている行為の正体を引き当てた。
リーファの秘裂から滴るそれを、トンキーが鼻をストロー代わりにすすっていたのだ。
「やっ――!」
悲鳴をあげるよりも早く、トンキーは準備を終えてしまった。鼻先をリーファに押しつ
け、ものすごい勢いで吸い上げをはじめた。
「ひやあああああぁぁぁぁっ!」
泉の水を吸い上げるような勢いでトンキーの鼻が蜜を吸い上げはじめた。ぶるぶると
リーファのお尻が揺れる。
「い、いやあああああっ! やめてっ! 吸っちゃだめぇぇぇ!」
じゅりゅりゅ、じゅりゅりゅ、と蜜を吸い上げる音が周りに響いた。吸引によって揺れ
動いた空気が周囲の冷たい空気をもかき集めてしまうため、秘裂のすぐ上にある秘芯を空
気の動きでくすぐりはじめる。うごめく冷気になで上げられ、リーファは腰をひくつかせ
る。膣道を伝って内部まで伝わる振動がリーファを高ぶらせていった。
――また……またぁ……
泣きわめくリーファの意志とは無関係に、限界まで高ぶった体が勝手に反応していき―
―。ついに頂点へたどり着いてしまった。
「ふあああ……ああっ……あああ……」
法悦の表情を浮かべながら、背を美しく反らし絶頂するリーファのスリットから蜜とは
違う水滴が吹き上がる。きらきらと光り輝く水滴がヨツンヘイムの大穴にむかって落ちて
いった。
その液体すら吸い上げられ入り口間際をすわれたことで、分泌していた液体がすべてト
ンキーに飲まれてしまった。
なんどもバキュームされた秘裂がひくひくとうごめいている。
が――。
――あ……おなか……おなかが熱い?……寂しい……?
生まれてから一度も味わったことのない快感が、リーファの膣道を再び濡らしはじめる。
トンキーの吸い上げが終わってからも、お腹から響く快感か止まらない。それどころかも
っともっと、と求めてさえいる。
動きを止めてしまっている触手から再びもたらされるものが――ほしい。
――ほしい……ほしいよ……トンキー……
膣道が生む快感に導かれるように、リーファはトンキーにささやいた。声はなまめかし
く潤んでいる。
「トンキー……エッチしよう……」
狂った理性と本能が、シルフの少女に口走らせる。愛おしい兄の姿が一瞬だけ脳裏をよ
ぎるが、求める気持ちのほうが上回ってしまった。
手足をからめ取られ、乳房とお尻に触手をまきつかれリーファは狂おしく、トンキーを
求めた。頬や胸元からのぞく肌は朱でそまり、焦点のあわない目線で、いまだくっついた
ままのトンキーの鼻を肩越しに見つめる。
――あんな、あんな大きいの……はいらないけど……でも……
理性ではそう理解しているのにソレでいっぱいに埋めてほしい欲望が、たしかにリーフ
ァに渦巻いていた。
ほろりと流した透明な涙は、羞恥によるものか、求めても与えてくれないトンキーへの
抗議の涙か、リーファにもわからなかった。
しかし、リーファの懇願に――トンキーは困ったようにひゅるる、と鳴くだけだった。
――――
「じゃあ、行ってくるけど……本当に大丈夫か、アスナ」
「うん。リズたちが帰ってきたら、連絡するね……」
ベットに横たわったアスナがぼんやりと俺を見つめてくる。気だるげな様子に少しだけ
心配が頭をよぎったが、まああれだけすればしかたないか、と頭の隅で考えなおした。リ
ズとシノンは途中で休憩を挟みつつ(<<発情>>中のリズとシノンがどんな休憩をするのか
は、ほんの少しだけ気になったものの)、こちらに向かうそうだが――リーファとシリカ
からはメッセージへの返答がない。
様子見のためにも、俺はヨツンヘイムに行くことにした。正直邪神級モンスターがうろ
ついているあそこに一人で乗り込むのはかなりおっかない。
でもそれ以上の恐怖――場合によっては危機にさらされているかもしれないリーファた
ちに比べれば、俺の躊躇なんて些細な問題だ。念のために剣を二本背中につり、俺はアス
ナとユイを残してホームを飛び出した。
――――
ヨツンヘイムにつき、トンキーを呼んだら、触手にとらわれた半裸のリーファがついて
きた。
さらにトンキーに案内されて入った洞穴には全裸のシリカの上に覆いかぶさる、ピナの
姿があった。<<発情>>時に股間がアクティブ化するモンスターもいる、というユイの言葉
がよみがえり、刹那のだけピナを疑ったが、幸いピナはその暖かそうな羽毛でシリカを暖
めていただけらしい。
俺はひとまず、アイテムストレージからシェラフを実体化し、二人をその上に泣かせた
上で、洞穴内を暖めるために持ってきていた炭に火をつけ、その直ぐそばに座り込んだ。
二人ともどうやら犯される、ということはなかったようだが、それなりのメにはあって
いるらしい。起きたときにどうフォローしようか考えを巡らしため息をついた。
いや、説明のしようがない。正直に言うしかない。
俺は二人が受けるショックの大きさに戦慄しながらも、いまはやすらかな寝顔を見せる
リーファとシリカの顔を見つめ続けた。