ALOに惚れ薬が導入されました。オンライン  プロローグ  
 
 
 
アルヴヘイム  
二○二六年一月  
 
 昔はアスナと一緒に使っていたベッドのスプリングが苦しげに音をたてる。  
 まだ昼の明るい時間。窓から差してくる光が、俺にまたがるシノンの裸体を余すことな  
くさらけ出していた。  
 シノンが耳を揺らしながらうめくように言う。  
 
「もう……もう嫌よ……こんなの……」  
「なにいってんだよ、シノン。そんな風に俺の上で、よがり狂ってるじゃないか……」  
「ひっ……嫌……言わないで……お願い……お願いです……」  
 
 涙を浮かべる猫耳シノンへの返事の代わりに俺は腰を下から突き上げるように動かした。  
俺の性器はシノンの膣道をにごちゅっ、とこすって突き刺さる。  
 騎乗位で股がるシノンががくがくと体を震わせた。  
 
「いやっ……んっ……急に動かないで……お願い……お願いします……動かないで……」  
「強引なの大好きなくせに……この間だって」  
「嫌い……乱暴なのは……んっ! またぁ……また動いた……動いちゃいやぁ……」  
 
 泣き出す直前のような声でさえずるシノンを下から突き上げる。そのたびにシノンが悲  
しげに鳴く……。  
 かつてGGOで見せた凛とした表情はなくて、小さな子猫みたいに体を小さくし、貫か  
れているシノンが目の前にいる。  
 なんどか、ちゃぷちゃぷと突き込んでいると、シノンの体が突き上げに併せるように動  
きはじめた。  
 
「あっ……やっ……腰うごいちゃう……」  
「ほら。乱暴にされるのがうれしいんだろ、シノン。しっぽが揺れてるぞ……!」  
「好きじゃ……ないっ! 好きじゃないけど……んっ……けど、気持ちいい――!」  
 
 腰の上に陣取るシノンが、腰をすり付けてくる。狭めの膣道から与えられる快感に俺  
も除々に昂ぶっていく。  
 悔しげに顔をゆがませるシノンが、ついに涙を流した。リビングの燭台から降り注ぐ明  
るい光にてらされて、涙がきらきらと輝く。  
 涙はとてもおいしそうだった。きっと砂糖のようなあまやかな味に違いない。  
 俺はシノンに向けてシニカルな笑みを送ってやった。涙一つさえなめ尽くすような、そ  
んな心持ちで。  
 
「シノン。それがおまえの正体だよ。快楽に溺れる、かわいい子猫のようなその姿が、お  
まえの正たひ――」  
 
 横からむにゅうっ、とたぶん世界一柔らかいものが俺の頬に押しつけられ、俺は台詞を  
ファンブルした。  
 
「あう……お兄ちゃん」  
「り、リーファ……」  
 
 いったいどういう構造で当たり判定が発生しているのか――いつかもみほぐしながら試  
してみたいと思っているリーファの胸が押し当てられた。  
 本人は先ほどのはげしいえっちで、全裸のまま気をうしなっていた。だから無意識に胸  
を押しつけているのだろうけど、あまりにもタイミングがよすぎる。  
 
「ちょ……リーファ。いまいいところ……」  
「お兄ちゃん……だめぇ……おっぱいでなんて恥ずかしいよぉ……」  
 
 ど、どんな夢みてるんだ……?  
 とりあえず押しつけられてくるおっぱいをから顔を離して、台詞を続けようとすると、  
今度は右隣のシリカが、んっ、とかわいい吐息をはきながら、お腹を二の腕に押しつけて  
きた。  
 
 もちもちしたお腹が気持ちいい。リーファとほぼ同時に気絶してしまったシリカもまた、  
気を失いながら体をすり付けてくる。  
 
「あ、あの、シリカ。もうちょっとだけ離れて……」  
「はう……キリトさん……いい加減、お兄ちゃんってよばせてくださいよぉ……」  
 
 ど、どんな夢みてるんだ――!?  
 リーファの時よりもどきどきする台詞を聞いてしまい、俺はとうとう台詞を続けるのを  
諦めた。  
 
「ぷっ……ふふふっ……」  
 
 お腹の上のシノンが爆笑した。ひとしきり笑うと、浮かんだ涙を払いながら、「やっぱ  
り無理あったわね。この設定」とつぶやきにやりと笑った。  
 
「い、一気に肉食スマイルですか……そんなに笑わなくても」  
「あんたが『たまには趣向をこらそう』なんて言ってきたのが悪いでしょ。まあ、楽しか  
ったけど」  
「つ、続きはその、また今度……」  
「そうね、次の機会もすぐにありそうだし……。それにしてもうらやましい光景よね、そ  
れ。ほかの男が見たら、無限PKくらい覚悟しなさいよ、本当に」  
 
 シノンが苦笑した。  
 どうやら俺の現状を指しているらしい。  
 リーファとシリカ――ALOのアイドルに囲まれ、あんな寝言までささやかれる俺は、  
ALO一の幸せものかもしれない。  
 その上現在、ALOで株を急上昇させている《猫妖精族》のシノンとえっちしていると  
ほかのやつらが知ったら……。  
 《二刀流》のユニークスキルを知られた時以上のやっかみがあるに違いない。  
 俺はため息をついた。  
 
「……年末は忙しくて相手できなかったからな……たまってたのかも、リーファもシリカ  
も」  
「まあ、それを言うなら一番心配なのはアスナね。リズはあとで来るからいいけど、実家  
に帰ってる間ってログインしてこなかったから、きっとすごいことになってるかもよ」  
「あ。お、俺もいま一番、それが怖い……たしか、最後に会ったのがエクスキャリバーと  
りにヨツンヘイムに行ったときだったから……もう何日も前だよな……」  
「……そのときはみんなでアスナを慰めないとね。リズもリーファもシリカと……ユイち  
ゃんと……もちろんキリトと……まあそれはそれとして、ねえ、キリト……」  
 
 ふるっ、とシノンが体を震わせた。同時に中がきゅうっと狭くなる。  
 
「んっ……ちょっと限界みたい……リーファとシリカを起こすのも何だから……このまま  
してもいい?」  
「いいけど、シノンはいいの? あんまり騎乗位好きじゃないだろ。さっきはそういうプ  
レイだったから我慢してもらったけど」  
「我慢するよりはマシだし、たまには上になるのもいいかも。いつも後ろからばっかりだ  
しね」  
「シノン……」  
 
 その言葉に、俺はすこしだけいたたまれなさを感じる。  
 自分から腰を振る、という行為に対して抵抗があるくせ、後ろから責められるのに弱い、  
というわがままなシノンも、ここ一週間ほどでずいぶんと心境に変化があったらしい。  
 
「じゃ……動くね……」  
 
 シノンが緩やかに腰を動かしはじめた。ちゃぷ、ちゃぷと音をならしながら腰を上下さ  
せる。  
 しっぽを握られると、にゃーにゃー叫び始めるシノンの姿もそれはそれで魅力的なのだ  
が、恥ずかしそうに腰を上下させ始めるシノンの表情にもそそるものがある。  
 リズやアスナには一歩及ばない大きさの乳房が、それでもぷるん、ぷるんと揺れていれ  
ていた。  
 
「んっ……くっ……ほんとうにおっきい……でも、奥まで……届いて……っ!」  
 
 いつもより五割割増で大きい――アスナ談――らしい俺の性器をシノンが飲み込んで、  
また吐き出す。  
 ぞくりと背筋に響く快感に――シノンが泣き叫ぶまで突きたくなる衝動がもたげてくる。  
 
「――っ!」  
 
 獣の本能じみたそれから何とか意識をそらしつつ気を静めていく。  
 以前はそのコントロールができなくて、アスナとユイで――本当の地獄というのを見た  
ことがある。  
 俺もアスナもユイも、だれも止まれなくなって、最後には絶頂づけになった二人をさら  
に貫き続けなくてはならないという、トラウマめいた思い出があり――。  
 
「んっ……あうっ……んっ、んっ!」  
 
 経験不足の騎乗位でもだんだんとコツを掴んできたのか、シノンが腰をくねらせてきた。  
淡くて薄い肩の向こうでどこか扇情的にシノンのしっぽがゆらゆら揺れる。  
 
 リーファの膣に注ぎ込んでも、シリカの口で受け止めてもらっても、全く衰えを見せな  
い性器はシノンの膣道の暖かさを伝え続けてくる。  
 
「くっ……シノンっ!」  
「ん……ん……キリトの、なかでピクピクしてる……」  
 
 さらに激しく腰を浮かせるシノン。体毛がないせいで丸見えの結合部に性器がつきたっ  
ていく。  
 
「ああ……シノン……気持ちいい……」  
「そう……んっ、あんたが――キリトが喜んでくれるなら、いいよ……」  
 
 腰に周りにたまってくる欲求が高ぶり、無意識に先端が震わせていた。  
 そもそも、普段はクールビューティーを具現化するような凛々しい態度のシノンが、目  
を細めて、自分から腰を動かし、あぐあぐ喘いでいる姿だけで興奮する。  
 そんな俺の興奮を引き受け自分でもわかるほど、性器がひとまわり膨れた。  
 
「あぐっ! んっ、んっ、んっ! ま、まだ大きくなるの――?」  
「た、たぶん……」  
「も、もっと……んっ? それは、ぞっとするかも……んっ、んっ、んっ!」  
 
 困ったように眉をひそめるシノンの目が、どこか好奇心旺盛な色が走る。  
 膨れた性器がよほど魅力的だったのか、シノンは一度大きく腰を浮かし、いきおいよく  
一気に腰を落とした。  
   
「いっ!」  
 
 入り口から奥底までを一気に割り込む。シノンの内側に性器がこすれて、俺は思わずう  
めいた。先端から根本まですっぽり包まれ、また引かれていく。  
   
「あっ、やっ、やぁっ! これ、いい!」  
 
 理性が吹き飛んだ声で叫びつつ、シノンが上下を繰り返す。そのたびにシノンの奥にご  
つんごつんあたる性器の先端。  
 
「んっ! もうちょっと……っ!」  
 
 つぶやきつつ、シノンは自分の乳房に手を当てた。汗にまみれて輝く乳房に指が埋まる。  
本来であれば俺が味わいたいくらい、揉み心地の良さそうな乳房がシノン自身の手で形を  
変え、肌色より少し濃い色素の乳輪が形をゆがませる。両手を動かすと間違いなくシリカ  
とリーファを起こしてしまうので、仕方がないが惜しい事をしたと思う。  
 
「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ!」  
 
 持ち上げて、落とす動作が激しすぎて、シノンのお尻と俺の太股がぱんぱん、と乾いた  
音を立てはじめた。  
 
「ああ……ああ……っ!」  
 
 シノンが美しく体をそらしながら、自分の乳首をきゅうっと摘んだり、指でなでたりし  
ている。滑りが足りないと思ったのか指を自分の唇に這わせて水分を乗せてもう一度――。  
   
「んんっ! んんっ、んっ!」  
 
 シノンは目をぎゅうっとつむった後、体をたわめ、大きく体をそらす。  
 びくん、びくんと軽く絶頂したシノンがしっぽと耳をびくびくと痙攣させた。性器を包み込む  
柔肉がぎゅうっと壁を狭めてくる。性器の全部をなぞってくる快感に、俺はついに限界を迎  
えたが――。  
 
「あ、ま、まずい! シノン、ごめんっ!」  
「はあ……はあ……えっ?」  
 
 余韻を楽しんでいるシノンはいま、脚から力を抜いている。ようするに性器は深くシノ  
ンにくわえ込まれているのだ。そんな状態で射精を開始すればどうなるか。  
 ぎりぎりで我慢する、俺の言葉を察したシノンが青ざめる。  
 
「あっ――、い、いやっ、いまそんなことされたら――!」  
「だめだ! シノン、ごめんっ!」  
 
 あわてて腰を浮かそうとするシノンより、俺の射精の方がはやかった。  
 握られるような強い刺激で、俺はついにシノンの中に一射目をぶちまける。  
 
 どおぷううっ!  
 
 弾丸じみた、密度の濃い精液がシノンの奥を直撃した。  
 
「あぐっ!」  
 
 シノンの体が大きくかしいだ。  
 
「んっ――! やあっ、ま、待ってっ! 待っ――!」  
 
 もう遅かった。一度先端から熱いしぶきを吹き上げたら止まらない。  
 一射目の威力で泣き叫ぶシノンを、二射目、三射目と、俺の意思にかかわらず追撃して  
しまった。  
 
「あ――んっ――!」  
。  
 押し上げられるたびに走る、許容量を超えた快楽にシノンが悲鳴をあげた。腰が抜けて  
しまっているのか、抜こうとする気配が一切ない。  
 
「あぐううううっ! が、我慢してよぉ!」  
「む、無理……」  
 
 途中から止めるなんて、無理だ。構造的に。  
 
「あああ……あああ……」  
 
 お腹のあたりに手を添えて、中出しの快楽に耐えるシノン姿は、なんというか反則級に  
可愛かった。眉の片方をきゅっとひそめて、わずかに上体を前傾させて――。  
 
「シノン! そんなかわいい顔されると、余計に――!」  
「ば、ばかっ! どうしろって……んっ――!」  
 
 内側から押し上げられる快感に、シノンの言葉が中断される。  
 残念ながらシノンの艶姿は発射の回数を増やす材料になった。  
 
――――  
 
「大丈夫か? シノン」  
 
 おそらく現実では不可能なはずの回数と量をシノンの中にぶちまけつづけ、やっとおさ  
まった時にはシノンは疲労困憊の様子でうなだれていた。  
 
「はあ、はあ……あっ……」  
 
 力を失ったシノンがゆっくりと上半身を倒してくる。ちょうどリーファとシリカの真ん  
中。俺の胸のあたりに額をつける。  
 
「はあ……はあ……はあ……これ……癖になったら……キリトのせいだからね……」  
「……」  
 
 心の中でもう一度謝る。シリカを起こさないように右手を動かして、しっとりと汗で濡  
れた髪をなでていると、んぐっ、と甘えるような声をだしたシノンが胸元に頭を乗せてき  
た。  
 猫耳をわななかせるシノンが頬をすり付けてきた。にゃー、と鳴き始めてもまったく違  
和感のない、無垢な表情で目をとじるシノン。  
 
 俺の性器は目的を達したにも関わらず、全く萎える気配がない。シノンを突き刺したま  
まだ。いまはやさしく包まれているので機能していなけど、一たびはじまればとあるス  
テータス補正を受けて、もうひとつのステータス以上を持つ異性を貫きつづけてしまう俺  
の分身――。  
 正直、扱いに困っているそれが、いまだにそそり立っているのを感じて、三人を起こさ  
ないようにゆっくりとため息をはいた。  
 
 リーファ、シリカ、シノン――三人の体温を受け止めながら、俺は目をつぶって始まっ  
た日のことを思い出していた。  
 
 

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