GGO内《SBCグロッケン》のとある宿  
   
 ベッドに寝そべった影の、つるりとした剥いたばかりの  
ゆで卵のような肌のうえを、少女の指がつつぅとなでていった。  
「…やっぱりこれはとてもずるいと思うの」  
そう呟いたのは、栗色の髪を垂らした少女であった。  
「そうか?っていうかこっちで、その、したいって言ったのはアスナじゃん」  
そう返したのは、黒い真っ直ぐに流れる長い髪。白く透明な肌。長いまつげに縁取られた瞳。スラリと通った鼻筋。  
そして艶やかな唇をあわせもった、一見して少女としか見えないM型アバターである少年、キリトであった。  
「それはそうだけど…なんていうか、これ単に女の子ってわけじゃなくて美がついちゃうレベルじゃない。…あーもう!えいっ!」  
「ひゃう!」  
少女、アスナに腰のくぼみを指でなでられ、キリトはぞくっとした感覚を受け  
やや低いが十分少女として認識されるであろう声をあげた。  
「ううっ、やっぱり声も可愛らしいし、こう、女の子として負けてるような気がするって言うか」  
「それはもうむこうで散々言い尽くした話だろ?まぁALOとちがってそっちの気がある女の子って見られるから、やっかみが無い分こっちの方が楽といえば楽だけど」  
と、いったんキリトは言葉を切り、こう続けた  
 
 
「で、…その、さ。はじめる…か?」  
 
 
事の発端はなんてことのないアスナの言葉であった。  
「そういえばさ、キリト君。私思ったんだけど」  
「? なに?」  
ALO内アインクラッド第22層の我が家でアスナと二人くつろいでいたときのことであった。  
「ちょっといつもと違う感じでエッチしてみない?」  
「はぁぁ!?」  
 
もちろんキリトもアスナも彼氏彼女の関係であり、リアルでもALOでもそういう行為に及んでいたが、どちらも十代の若者である。いろいろなことに興味があるのはおかしいことではないと言えるのだが…  
 
「それで?違う感じってどういうことだよ?」  
「んーと。そうだなぁ」  
「思いつかないんだったら別にいいんじゃないか」  
「でも、お互いをもっと知るためにはいろいろシテミルベキジャナイ?」  
「そーいうものなのか?」  
 
と、これだけであればいつもの日常の中のちょっとおかしな会話だけで済んだのであるが、このときは偶然もしくは運悪く壁の大型スクリーンをつけていたのがまずかった。  
その大画面に映されたのはご存知ネット放送局《MMOストリーム》による第4回バレット・オブ・バレッツの開催告知であった。  
 
「そーだ!これだよ!」  
「うぇ?」  
 
これが本件の全貌である  
 
"ぴちゃ……、くちゅ……"  
「く……っ」  
キリトは首筋をなめるアスナの舌に思わず声をあげた  
「キリト君どうしちゃったの?まだなめてるだけだよ?」  
 舌が湿った何かを舐め取るような音と、何かを啜るような音。そして少女のか細い喉が、小さく上下する音。  
「いや…でもっ、ぅあっ、これは…」  
キリトの反応に満足したアスナは、ぬらぬらと光る舌をさらに下に向けキリトの胸にある桜色の突起を啄ばんだ。  
「ん……あっ、……んん」  
頭が小さく動き、その度に変化をつけた刺激が、熱のような刺激で溶かす。  
「く……っ」  
彼が出した声に気づいたのだろう。アスナは顔を上げた。  
すぼめられた桜色の唇から、彼女の唾液でてらてらと濡れた突起がその姿を現す。  
「キリト君……ふふっ、気持ちいいの?」  
ほっそりとした指をで摘み上げ、さわさわと上下しながら、まるで涙をこらえているかのように潤んだ目で、見上げる。  
だが彼女が泣いているのではないことは、一目でわかる。その目元は、あからさまな淫らな欲望で、薄く上気していた。  
 
「そっか、気持ちいいんだ……嬉しいな」  
頬を染めながらそうつぶやくと、彼女は二つの突起を指先ではじき、さらに舌でなめあげた。  
"ぴちゃ……"  
「ひうっ…もっ…やめっ」  
「だーめ。いっつも私が気持ちよくしてもらってばっかりだし遠慮しなーい」  
"ちゅぅ……はむ……んくっ"  
さらに唇で吸い上げ、啄ばむ。  
「ひゃんっ!くぅん!ぁぁっ、」    
「ふふっ。女の子じゃなくても胸でこんなに感じるんだね。それともこのアバターは違うのかな?」  
 何かに憑かれたような熱心さで、少女は行為を続ける。  
 口元からたれ落ちた唾液が形の良い顎まで濡らすのも構わず、頬をすり寄せ、舌を絡め、なおもつつきまわす。  
"ぴちゃ……、くちゅ……"  
「どうキリト君?女の子の感じわかった?」  
アスナの顔が、彼にそっと寄る。彼女の顔が、彼の視界に大きく被さってきて、そしてキリトの唇に、柔らかな感触が伝わった。  
軽く、静かな、そうであるからこそに、一番深く感じさせてくれるような、そんな口付けであった。  
 
しばらくの間そんなふうにお互いを感じ合った後、その唇はゆっくりと離された。  
頭がぼんやりとしてきたキリトの肉棒に、柔らかな、ひんやりとした指先の感触が触れる。アスナが彼の下半身に手を伸ばし、細い指を少年の熱い欲望に絡めてきたのだ。  
「あ……くっ」  
アスナとのキスに気を取られていたキリトはは、不意打ち気味の刺激に、小さく声を洩らしてしまう。  
「すごいねキリト君。顔も体もほんと女の子なのに、すごくあつくて大きい」  
彼女の指が絡みついた肉棒は、一見美少女にしか見えないアバターに不似合いな大きさで、興奮によって硬くなり、たぎっていた。  
「もうこっちは準備万端だね。」  
そういった少女の顔は、獲物を前に舌なめずりする、メスライオンのそれだった。  
 
 

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