暗い部屋のベッドの上で詩乃は悶えていた
日曜の深夜、バレット・オブ・バレッツが終わってからのあの出来事からもう5日が経過している
あの後警察が来て恭二が逮捕され、二人はそのまま病院に運ばれた
キリトはいくつかの軽い擦過傷の他はひとまず異常なし、と言う診断だったが
恭二によっていくつかの薬品を投与された私はそのまま3日ほど入院することになってしまった
入院して一日目は最悪だった
ベッドの上で幻覚にうなされながらうめいたり泣いたりで、事情聴取に来た警察も医師からストップがかかった
医師から退院の許可が下りて退院の支度をしながらも、詩乃の体の奥で疼く熱と渇きは収まってはいなかった
「しばらくは後遺症が残るかもしれません」
と言われて渡された鎮静剤を飲んでから、詩乃は今日の出来事を思い出していた
キリトに連れられて入った喫茶店で待っていた結城明日菜との出会い
そしてキリトと体を重ねた夜の事を
(・・・・・っ)
気が付くと内股をスリスリと擦り合せていた
鎮静剤を飲んでも体の疼きが止まらない
もう一度キリトに触れたい、抱きしめられたい、そして・・・・
しかし彼には既に大切な人が居る
自分が割り込むことは許されない
あの夜体を重ねたことも、キリトに明日菜を裏切らせる最低な行為だった
でも・・・それでも・・・・
大陸間高速道
北大陸と南大陸をまっすぐに結ぶ長いフィールド
シノンとキリトが最初に撃ち合った場所
シノンが南大陸から北大陸までの移動を護衛すると言う依頼をキリト受けさせたのが1時間ほど前
今二人はこの長い長い一本道をゆっくりと歩いていた
「しっかし、だれも通らないんだな〜」
キリトが頭の後ろに腕を組みながらぽつりと呟いた
「この道が使われるのはほとんど朝から昼にかけて、それ以降の時間に渡りはじめると夜になるから」
隣でシノンがキリトの呟きに返すとキリトは えっ!? とこちらを振り向いた
「そんなに掛かるのか? おいおい、夜間にこの一本道で大勢に待ち伏せされたら流石にやばいぞ?」
今や私とキリトはバレット・オブ・バレッツの優勝者だ
不意打ちでも首を取ればそれだけで名が上がる
優勝した直後にこんな所をふらふらうろつくのはあまり頭の良い行動とは言えないかもしれない
しかしシノンそんなことは今はどうでもよかった
今のシノンにこの疼きを止める以上に重視することはない
「大丈夫、こっち来て」
シノンは道路の端に止まっている大型観光バスの扉を蹴り開けると迷いなく一番後ろの座席まで行き振り向く
後ろには困惑顔のキリトが付いてきていた
「夜に動くのは危ないから朝になるまで此処で待機よ」
「・・・マジ?」
「何か予定ある?」
言いながらシノンはマフラーを外すとそれをキリトの首に回した
「いや、無いけど・・・」
キリトが自分の首に左右から回されたマフラーに困惑する
「えーと、シノン・・・・さん? これはどういう?」
「聞きたい事があるの」
シノンはマフラーの両端を握ったまま後ろに3歩下がる、首にマフラーを回されたキリトもあがらい様もなく付いてくる
ストン、と腰を下ろすと腰が大型バスの広い後部座席に落ち着いた
シノンがクイッとマフラーを引っ張ると、その分だけキリトは距離を詰めざるおえなくなる
「ねぇキリト、どうして私を抱いたの?」
「どうしてって・・・シノンに媚薬を打たれて・・・って、シノンはどうして俺に媚薬を打ったんだ?」
「打ってないわ」
「へ?」
「打ってないのよ、あのねキリト、あの無針注射器の中には、媚薬なんて入ってなかったの」
「なっ!」
そう
あの無針注射器のカートリッジの中身は、直前で恭二が使ってしまっていた
シノンがキリトに使った時、カートリッジの中身は空だったのだ
シノンは「にやっ」と笑みを浮かべるとマフラーのまた引っ張り、キリトとの距離を更に縮める
「もう一度聞くわねキリト、あの時素面だった貴方は、どうして私を抱いたのかしら?」
「・・・それは・・・お、男としてはだな、あの場面でお誘いを断るというのはその、実に難しいと言うかなんというか」
キリトが語尾を濁すとシノンはさらにマフラーを引っ張った、最早キリトとシノンの顔の間には拳二つ分くらいの隙間しかない
「・・・『男』としては? つまりキリトは、『男』だから私を抱いたの?」
「う・・・その・・・」
「じゃあキリトは・・・・」
シノンは上体を横たえる、キリトもつられてシノンに覆いかぶさる寸前に両手で体を支えた
キリトの髪がシノンの顔に触れる
「今、私が誘惑しても、『男』だから私を抱くのよね?」
シノンの頭の中で昨日引き合された結城明日菜の顔が、キリトの大切な人の顔が浮かび、胸のでチリっと、心が痛んだ
きっと今キリトの頭の中でも、明日菜の顔が浮かんでいるに違いない
「シノン、俺は・・・」
「ねぇ、キリト」
シノンはキリトの腰に左足を絡ませるとグイッと引っ張った
両手もマフラーから離してキリトの首に絡ませる
「お願い、体が熱いの、ゲームの中だけでもいい ──慰めて」
そう言うと、シノンはキリトの返事を聞かずに唇を重ねた
シノンは一見女の子にしか見えないアバターとキスを交わしながら、オプションメニューを開き<倫理コード解除申請>を送る
キリトは少し逡巡し、解除申請を──承認した
「・・・GGOの中でもこう言う事が出来るなんてね」
そういいながらキリトがシノンの胸に触れた
(ポイントオブノーリターンだ)
シノンにキスされながら送られてきた<倫理コード解除申請>を見ながらキリトは考えていた
もしこの申請を許可したらもう後には戻れなくなる
今この場での行為だけではない
此処でこの申請を許可したら、次もきっと許可してしまう
そしてこの関係がいつかどこかで破綻するまで、ズルズルと縺れてしまうのだ
(明日菜・・・)
大切な恋人の顔が脳裏に浮かび、胸がチクリとする
自分はもう彼女を裏切ってしまった
バレッツ・オブ・バレットが終わり、詩乃の家へ駆け付けて、それからの事を思い出す
(何故俺はあの時朝田詩乃を抱いてしまったのか)
詩乃の潤んだ目を見て、薄いインナーに包まれた体が悶える様を見て
キスをされて腕を絡まれて・・・
そしてそのまま引き込まれるように床に押し倒した
拒む心を媚薬を言い訳に抑え込み、求められるままに関係を結んだ
しかし免罪符だった媚薬は詩乃の張った罠だった
(・・・ファントムバレット、か)
一度は自分を救った幻影の銃弾に、次は自分が撃たれてしまった
言い訳できる唯一の要素は存在しない幻だった
(拒否できたのに、しなかった)
ならば、ポイントオブノーリターンはあの時だ
自分は引き返せる所を、とっくに過ぎていたのだ
そう思うと同時に
キリトは<倫理コード解除申請>のポッポアップ画面の<YES>のボタンを押していた
「ひぅ・・・あっ!」
恭二に2つの薬を投薬された胸は、数日たった今も疼きが止まらない場所だった
触れられると予想を上回る快感に体がビクンッと跳ねる
「・・・」
キリトがシノンの装備を外すと薄手のインナーの下で既に小さな突起が浮き上がっていた
両手を脇の下で固定すると服の上から親指だけで突起の先端を触れるか触れないかの力加減で擦り上げる
「んっ・・・あ・・・これっ・・・だ・・・だめ」
シノンがもどかしそうに胸を反り返らせるが、キリトは手を脇の下に固定しているので、突起と親指の距離は変わらない
「んっ・・・う・・・ふぅ・・・うう・・・ふ」
シノンは小指の第二関節を甘噛みして、ギュッと目を閉じる
気持ちよさとくすぐったさが綯交ぜになった感覚が胸の先端から胸全体に広がっていく
一擦りされるたびに突起は固くなっていきそして・・・
「──っ!〜〜〜っ!〜〜〜〜っっひゅ!」
ぶるぶると体が震える
「シノン・・・イったのか? 胸、敏感なんだな」
「〜〜っっ・・・こっ!・・・・んな・・・嘘よ・・・っ!〜〜〜っっ!」
イッている間もキリトは指を止めない
「まっ・・・て・・・それダメ・・・・ダメっ!」
シノンは体を捻ってキリトの親指から逃れようとする
だが手を脇で固定されているので、どんなに逃れようとしても親指の一定の付かず離れずの距離から逃れられない
「んうぅ・・・キリトぉ・・・もっと・・・強く触って」
シノンが半泣きになりながら懇願するとキリトは脇から手をどけるとインナーを上にずらした
「あ・・・」
キリトが何をするのかシノンが悟るよりはやく
「ちゅっ」
「!!!〜〜〜あっ!」
キリトはシノンの桜色の先端に吸いついていた
「ちゅっ・・・ちゅくっ・・・・ちう・・・ちゅう・・・っちゅ」
「あっ・・・・・んふ・・・・・・はぁ・・・・はっ・・・くぅっ!」
キリトが乳首を吸い上げるたびにシノンの口から押し殺した声が漏れ出てくる
「はっ・・・・あ・・・・胸・・・だめ・・・薬打たれてから・・・っふ・・・敏か・・んっ!・・敏感すぎて・・・あっ!」
いつの間にかキリトの手がシノンの腰に触れていた
「ん・・・」
脱がせやすいようにシノンが腰を浮かすとスルリとズボンとパンツが取り払われる
「っ・・・・キリト」
シノンがキリトを押しのけて座席に座らせる
「今日は私が上だから」
そう言うとジジジジとキリトのファスナーを下げて、とっくにがちがちに固くなっていた物を取り出した
「ん・・・」
シノンは左手でペニスを固定すると、少しずつ腰を落としていく
「はっ・・・・あ・・・・」
「うっ・・・」
ちゅく・・・
キリトのモノがゆっくりと、ゆっくりと、シノンの中に入っていく
そして
「ん・・・全部・・・入ったな」
「っ・・何・・・・これ・・・凄い、ピッタリしてる・・・っ」
「っ・・・うぁ!」
シノンが体をゆするとキリトが呻き声をあげた
シノンが言った通り、シノンのが動くと、シノンの中はキリトの物を余す所無く刺激する
「ン!・・・ん・・・あっ・・・シノン、まって・・・・まっ・・・・」
「ふっ・・・う・・・ン・・フフ、さっきのお返しだ」
キリトの上でシノンがゆさっ、ゆさっと休みなく揺れる
揺れるたびにシノンの中はキリトのペニスを隙間なく擦り、締め付け、絞り上げた
「はっ・・はっ・・・も・・・だめ・・・」
キリトがしがみ付くようにシノンのくびれたウェストを力いっぱいギュッと抱きしめると
ドクッ! ドクッ! ドク・・・ドクッ
「っあ・・・っはっ」
「え? ──っあ・・・・」
イッたんだ・・・
シノンはお腹の下で熱いものが広がっていく感覚に目を細める
ギュッ
両手でキリトの頭を抱きしめ
ギュウッ
ブーツを履いたままの両足がキリトの腰に回された
足をギュッと固定し腰を限界まで密着させる
えも言えぬ幸福感に満たされ二人とも無言になる
そのまま1分・・・・2分・・・
不意に
ギシッ
「!?っ」
いきなりキリトの腰が跳ねたかと思うと子宮口をコツンと叩いてきた
完全な密着状態からの不意打ちにシノンが目を白黒させる
シノンが両腕の拘束を解くとキリトがグイッと上を向く二人の視線が重なると──
「お返しだ」
意地悪そうに笑ったキリトがさらに
ギシッ ギシッ ギシッ
一旦腰を深く沈め、座席のスプリングを利用して突き上げてくる
コツッ コツッ コツッ
「──っ、──っ、──っっ!」
予想外の反撃にシノンはろくに心の準備ができていない
男性とは一度射精したらしばらくはできない物ではなかったのか?
キリトは射精後、自分の中で少しも小さくならなかった
現実世界で処女を失った時は媚薬で頭が朦朧としてたし、警察が来たこともあり
行為の後男性がどうなるのか確認のしようもなかったがこれは・・・
(聞いてたっ──話とっ──違うんっ──だけどっ!)
自分の下で跳ね回る暴れ馬を乗りこなせず、いいように振り回される
振り落とされないように腰に回した足に必死に力を入れるが
腰を密着させると子宮口を深く突かれて腰が抜けそうになる
「はっ・・・・あっ・・・・・はあっ!、キリトぉ・・・イッ・・・しょ・・にっ・・」
「っ・・・・・・」
ちゅうっ
「っ〜〜〜はっ!」
キリトがシノンをずんずんと突き上げながら乳首に吸いついてきた
ギシッ、ギッ、ギシッ、ギッ
ちゅっ、ちゅうっ、ちゅっ、くちゅっ
「あっ!・・・・ああっっ!!・・・あああっっっ!!!」
シノンの声がどんどん高くなっていき──そして
「あああああぁぁぁあぁぁぁぁあああああああああああ〜〜〜!!!!」
一際大きくシノンの声が響くと同時に
キュウウウゥゥゥ
シノンの中がキリトのペニスを一段と強く絞り上げる
「──っ!」
キリトは錫口をシノンの子宮口に宛がうと
ドクッ! ドクッ! ドクッ! ドクッ!!
「あ・・・っっあ・・・っは・・・・〜〜〜っ!!」
熱い物が最初の時よりもさらに深い所で広がる間隔にシノンは上を向き両目をいっぱいに見開いた
しかし開いた目は何も写さない
目の前は、ただ真っ白で
繋がった部分と、お腹の深い所で熱い物が広がっていく感覚だけが意識の中にあった
「ん・・・・」
「おはよう」
「・・・・おはよ」
いつの間にかバスの外は朝日が昇っていた
あれから何度も愛しあった二人はそのままバスの後部座席で絡み合うようにして眠ってしまっていた
「このフィールド、朝になったら人が沢山通るんだろ? そろそろ出たほうがいいんじゃない?」
「・・・・うん」
気怠い疲労感に包まれつつ起き上がる
「ねぇ?」
「ん?」
「時々で良いから、我慢できなくなったらまた慰めでくれる?」
「・・・・時々、な」