「こんなところに呼び出して……どういつもりだキバオウ」  
 
俺は、キバオウに呼び出されアインクラッド第50層アルゲードのボロ宿に来ていた。  
嗅いだことのない香草の匂いが部屋中に広がっていて不快だ。  
はじめは断ろうと思ったがキバオウの一言で断れない状況に追い込まれた。  
 
「閃光はんと同棲してるんやて? キリトはん。あんさんの態度しだいでは、  
明日の新聞の一面に載るで、大変やろな嫉妬やらなんやらで大変やろな?   
何十人も押しかけて、二十二階層での、幸せな生活もめちゃくちゃや」  
 
にやにやと笑うキバオウ。キバオウとは対照的に俺の表情は冷たいものになっていった。  
キバオウとは馬が合わずに何度も衝突している。  
弱みを握られているこの状況ではいくら警戒してもし足りない。  
さっきからガムでも噛んでいるのかくちゃくちゃと音を立てていてひどくカンにさわる。  
 
「そんな、怖い顔せんといてや。別にええんやで、殴りたいんやろ? 殴ればええやん」  
 
「ここは圏内だ。殴ったところダメージにはならない」  
 
「キリトはんが望むなら今から外行ってもええよ。でもな。わいを殴った瞬間オレンジ直行や。  
オレンジの人間が、どんな顔して、家庭に戻るんやろうな。  
ご近所さんにも怖がられて、かわいい可愛い奥さんに肩身狭い思いさせてまうわ」  
 
確かに、その通りだ。一度ネームがオレンジになれば一週間はグリーンに戻らない。  
ソロ時代にはまったく気にしなかったが、今は致命的だ。  
下を向き唇を噛みしめる。  
それを見たキバオウは、急に不機嫌そうな顔になり、深くため息をついた。  
 
「ほんまつまらん男になったなキリトはん。前のキリトはんやったらここまでコケにされてダマッとらんかった。  
わい、こう見えてキリトはんのこと好きやったんやで。そら、嫉妬もした、ずるいと思った。  
でもな、そんなもん、よりずっとずっと憧れのほうが大きかったんや。とくにキリトはんの目が好きやった。  
そこが見えへんほど、昏い目が……それがなんや! そのふねけた目は! そんなんそこらのくそがきと変わらん!   
キリトはん。あんたはぬるくなったんや、あの女のせいで」  
 
感情的になっていくキバオウ。  
それに対して俺は、正直戸惑っていた。  
彼の言っていることがわかる。だが、それでどうして彼が怒っているのかがわからない。  
 
「キバオウ。俺に何をしてほしい。はっきり言ってくれ。はやく家に戻りたいんだ」  
 
こいつのくだらない話をはやく切り上げて、アスナの待っているあの暖かい家に戻りたい。それだけが望みだった。  
 
「ほんまつれへんなキリトはん。まぁ、ええわ。別にキリトはんにしてほしいことは何もないわ。  
正直、ここで足止めすることが目的やからな」  
 
背中を冷や汗が伝う。  
俺を足止めする? そうする必要があるということは……  
 
「キバオウ! おまえ、いや、おまえらはアスナに何をする気だ」  
 
「そないにあわてんでもええで。”もう”わいは何もする気はないで」  
 
少しだけ安堵の息を漏らす。  
しかし、それを見てキバオウの唇が吊り上った。  
 
「なんせ、もうアスナはんはおらんからな。やりたくてもやれへんわ。でも、あんたもせいせいするやろ?   
これであの糞女の呪縛から逃れて、まえの、強いキリトはんに戻ってくれる」  
 
「もう……いない。だと、アスナが、そんな! ありえない。アスナが負けるなんて!」  
 
「別に、不思議やないやろ。アスナはんを呼び出すんなんて簡単や。  
あんさんを呼び出したんと同じ手や。で、最後に一言、キリトはんには絶対言うたらあかんでっていえばそれでOKってわけや。  
それにそこから先もな。  
ちょっと、麻痺らせて、アスナはんの指動かして無理やりデュエルさした。  
でもまぁ、あっちいったのアスナはんのストーカー連中ばっかりやからな、  
殺すまえにハラスメントコード解除して、いろいろ楽しんだんやないやろか」  
 
俺は今日の朝のことを思い出す。  
出かけると言った俺に向けて手を振ったアスナ。その手が震えていたことを。  
不安や、怒りで胸が埋め尽くされる。  
しかし、それを一度追い出して、頭を必死に回す。  
まず、フレンド登録を呼び出す。これで、少なくとも生死確認はできる。  
祈るような気持ちでウインドウに目を向けると、アスナの名前が半透明で表示されていた。  
つまり、それは……  
 
「うっ、うそだぁぁぁぁぁ、うそだぁぁあぁぁあ」  
 
叫ぶ、デジタルの俺の体はいくら叫ぼうが喉が枯れない。  
あきれるほどの声量。  
でも、叫ぶのをやめると、昏い感情で体が破裂しそうだった。  
どれだけそうしていただろう?  
感情が収まった。違う、方向性をもって、収束した。  
やることは一つ。  
 
俺は無言で剣を抜き、キバオウにたたきつける。体にあたる直前でシステムによる防護が働き剣が止まる。  
 
「キバオウ! 俺はおまえを絶対に許さない! いずれ、絶対にお前を殺す」  
 
そして今の言葉に、一言付け加えた。キバオウを殺してからアスナのところに行くと。  
 
「そや、その目や! それでこそ、ワイが恋したキリトはんや!!」  
 
歓喜の表情を浮かべるキバオウ。心底理解できない。何がそんなに嬉しいのか。  
俺の怒りはあいつを喜ばせるだけなのか!?  
どうすれば、あいつを苦しめられる!?  
答えが浮かばない。頭がぐるぐるする。  
 
「絶対に許さないからな」  
 
これ以上ここに居ても無駄だ。圏内だと報いを与えられない。  
徹底的につけ回し、圏外に出た瞬間に殺すと誓い。ここから立ち去るために歩き出す。  
そのときだった。体から急に力が抜け、うつ伏せに倒れる。  
はじめは、精神的な重圧によるものだと思ったが違う。  
この感覚には慣れている。そう、これは麻痺による状態異常のものだ。  
 
「どうして? 俺は、なにも口にしていないのに」  
 
そう、毒を盛られた覚えはない。  
なのになぜ? わけがわからない。  
 
「不思議そうな顔してんなキリトはん。でも、無理はないやろうな。ええ匂いしているやろ。  
これ、最前線で見つかったドロップアイテムでな。この香嗅いでると麻痺になんねん。  
しかもな毒飲ませるんと違って、香やからな。五分で解除なんかされへん。  
この香が燃え尽きて匂いがなくなるまで二時間ずっと麻痺しっ放しや。  
きき始めが遅いのがなんてんやけどな」  
 
最前線にいれば、おそらく存在を見落とすことはなかっただろう。  
悔し涙がこぼれるおそらくアスナも同じ手でやられたはずだ。  
俺が痺れているのには、納得がいった。だが、どうしてキバオウは……  
 
「言いたいことはわかるでキリトはん。なんでワイが無事かやろ? ほれ、これのおかげや」  
 
そう言うと、キバオウは舌を突き出す。  
舌の上には、丸められた草があった。その草はラインコッド草。麻痺に対する解毒草だ。  
ガムだと思っていたが、あいつはずっとこれを噛んでいた。  
 
「俺も殺す気か」  
 
なんとか声だけはひねり出した。  
たとえ体は動かなくても気持ちでは負けないと、強い意志を込めて睨み付ける。  
 
「ああ、キリトはん。そんな目で見られると逝ってまうやん。ぞくぞくするぅ」  
 
キバオウは身をよじり自分の体を抱く。  
 
「そんなもったいないことせえへんよ。キリトはんのこと好きっていうとるやろ。  
自分の好きな人が動けないんやですることは一つや」  
 
「おまえ、いったい何を!」  
 
今までとは別種の恐怖が体を貫く。  
 
「決まってるやん。愛のデュエルや。まぁ、ふつうのデュエルと違うんは、闘志の変わりに愛があって、  
お互いの剣はアレ。ほんで、リザインしても、終わらんってとこや。あと知ってるか?   
男同士やったらハラスメントコードでえへんのや。つまり、この世界の神様も、  
キリトはんとわいのデュエル応援しているってことや」  
 
そういうと、キバオウは自分を脱ぎ、白っぽい肌とは対照的な黒い肉棒を取り出す。  
 
「ひっ」  
 
あまりにまがまがしい黒いされに、乙女のような悲鳴をあげてしまう。  
 
「どうや、なかなかのもんやろ。わいのダークリサルパーは。ほれ。いくで、わいのヴォーパルストライクや!!」  
 
キバオウの手が俺の髪をつかむと、無理やり頭を持ち上げ筋肉の弛緩で半開きになっている口に、  
奴のダークリパルサーを突っ込んできた。  
喉まで届くダークリパルサー。  
純粋に喉を圧迫された苦しみと気持ち悪さで吐きそうになるのを必死にこらえる。  
涙がこぼれる。  
アスナの敵の前で涙を流すことは許されない。だが、俺の意志とは裏腹に次々に涙がこぼれた。  
いっそ噛み切ってやろうと思うが口に力が入らない。  
それをいいことにキバオウは俺の頭を両腕で挟むように持ち替え激しく腰を動かす。  
 
「キリトはん最高や! ほんま、あったかくて引き締まって、奥がこりこりして最高や!   
わいのダークリパルサー耐久ゲージがどんどんたまっていく。ほんまずるいわぁ、  
もっと楽しみたいのに、もう我慢できへん。出てまう。このままラストアタックボーナスもらっちゃうぅぅぅ」  
 
恍惚としたキバオウの声。  
俺はひたすら憎しみを込めてキバオウを見上げようとしたが、打ち付けられる股間以外が映らない。  
やつの黒い草むらが目に入って気持ち悪い。  
 
「わいの大技いくでハウリング・オクターブや!」  
 
そして、ついに奴の必殺が来た。炎をまとわせたかのように熱い奴のダークリパルサーによる5連続突き、  
斬り下ろし、斬り上げ、最後に全力の上段斬りを繰り出すコンビネーションで口の中を蹂躪した。  
大技に分類され、技後の隙も大きい。  
 
「んんんんん」  
 
悲鳴をあげたが、奴のダークリパルサーが口をふさいでいるため、くぐもった声しか出ない。  
口の中に、熱いダークリパルサーより熱い何かが吐き出された。  
 
「ああ、ボスアイテムキリトはんにもってかれたは。ちゃんと受け取るんやで」  
 
そう言うと、キバオウは俺の口を萎えたダークリパルサーを無理やり突っ込んで閉じ、鼻をつまんだ。  
俺が息をするには、口の中のボスドロップを受け取るしかない。  
ちっそく寸前で、俺がボスドロップを受け取ると、口からダークリパルサーを引き抜いた。  
 
「おええぇぇ、おえぇぇぇえええ」  
 
何度も吐こうとするが、SAOでは嘔吐感はあっても実際の嘔吐はできない。  
ゆえに、ずっと吐き気がするという地獄のような状況に陥っていた。  
 
「キリトはん、今、自分がどんな表情しているかわかってるか? そんな怯えた表情されたら、  
わいのダークリパルサーにエフェクトかかってまうわ」  
 
俺はキバオウのダークリパルサーに目を向けると、小さくなるどころか、さっきよりも大きくなって、  
エフェクト……俺の唾液と先走り液で濡れていた。  
 
「……もう、許してくれ」  
 
怖い、ダークリパルサーが怖くてしょうがない。今はどんなモンスターよりも、  
キバオウのダークリパルサーが怖くて仕方がなかった。  
逃げ出したい。そうだ、もともと、ここでは何もできない。  
だから、ここから逃げるのはアスナへの裏ぎりではないんだ!  
 
「許してくれ? へんなこと言うなぁ。怒ってるのキリトはんやん。  
そないな弱気なんキリトはんらしくないな。剣がないからか?  
 しゃぁない。キリトはんの剣抜刀してやるわ」  
 
キバオウは、うつ伏せになっている俺を蹴っ飛ばして仰向けにさせると俺のベルトに手をかけ、  
引き抜く。そして勢いよくトランクスごと黒いズボンを下ろした。  
 
「見るなぁ」  
 
そして、ついに俺の大事なところが晒されてしまった。  
 
「キリトはんは、肌が白いと思うてたけど、ここはホンマに真っ白やなぁ。それに少しこぶりで可愛いわ」  
 
アスナに初めてのこれって標準サイズ? と聞かれて、平均より少し多きいかな とうそをついた記憶がフラッシュバックした。  
つまり、俺は情けなくて仕方がない。  
 
「けど、最高の名器や。わいのダークリパルサーにまけへん名剣や」  
 
俺はその言葉に目を見開く。  
 
「こんなに小さいのにか」  
 
「サイズは関係あらへん。美しくないかどうかや。これはりっぱなエシュリデータや」  
 
やめろ、今優しくされたらお前を殺せなくなる!! アスナの顔を浮かべて憎しみが消えないように必死にこらえる。  
 
「それにな、ちょっと小さいからってなんや、すぐに大きくしたるわ」  
 
キバオウは俺の萎え萎えのエシュリデータにかぶりつく。まずはある程度の固さになるまで優しくなめ。  
少し大きくなると、口に含みころがし、そして芯をもった固さになるとバキュームのように吸い上げた。  
やばい、アスナのより気持ちいい。  
 
「どや、大きくなったやろ」  
 
「ああ、そうだな」  
 
俺のエシュリデータは驚異的な膨張で、俺自身見たことがないサイズになっていた。ここまでの勃起は初めてだ。  
そして、そんなことよりも、キバオウの口が俺のエシュリデータから離れたことが惜しくて仕方がない。  
俺のエシュリデータにとって、間違いなくキバオウの口は最高の鞘だった。  
 
「そないなもの欲しそうな顔先といてや。今までの準備体操や。こっからが本番やで!」  
「これが、準備体操!?」  
 
俺は思わず生唾を飲む。これが準備体操だったら、本番はどれほど……  
ほほが赤く染まる。  
憎しみや悲しみや怒り。それがすべて消え去り。俺はキバオウとダークリパルサー、それにエシュリデータのことしか考えられなくなっていた。  
ちらっとアスナのことが頭に浮かんだが、すぐに消えてしまった。  
 
キバオウが床に手をつき、仰向けの俺に覆いかぶさる。手は、俺の頭の左右に置き、膝立ちになっている。ぎりぎり体が触れ合う距離。  
少しずつキバオウの体が近づいてくる。  
 
「じゃあ、いくでこっからが本当のデュエルや」  
「キバオウ。こっちは既に準備OKだ」  
「じゃ、カウントいくで!」  
「おう!」  
「「5」」  
「「4」」  
「「3」」  
「「2」」  
「「1」」  
「「0」」  
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉう」」  
 
そして、ついにキバオウのダークリパルサーと俺のエシュリデータが触れ合った。  
 
「キリトはんわかるか」  
 
キバオウが期待を込めた目で見つめてくる。  
 
「ああ、わかるよ」  
 
俺たちは、お互いのダークリパルサーとエシュリデータをこすり合わせながら目と目を合わせて見つめあう。  
 
「わいらは、お互いの剣をぶつけあわせてるわけやない」  
 
「そうだ。ぶつけてるんじゃない。二人で、いや二本でひとつなんだ」  
 
「そやそや。わいらは二人で」  
 
「「二刀流のキリトだ(や)」」  
 
右の剣で中段を斬り払う。間を空けずに左の剣を突き入れる。右、左、また右。  
脳の回路が灼き切れんばかりの速度で”俺=キバオウ”は剣を振るい続ける。  
そう、ぶつけ合っているのではなく、二人で一つになって二本の剣をふるう感覚。  
何を言っているのかがわからないが、そう感じるだから仕方がない。  
きっと、これは俺とキバオウだけがたどり着ける境地なのだ。  
 
「キリトはん。そろそろフィニッシュや」  
「キバオウ、俺ももうそろそろ限界だ」  
「最後は、あれしかない」  
「ああ、あれしかない」  
 
”俺=キバオウ”は完璧に通じ合っていた。あれが何かを話す必要がない。  
それどころかタイミングを合わす必要すらなかった。  
 
だからこそ、お互い自然にタイミングで、0.01秒の誤差もなく、完全な同期をもってそれを口にした  
 
「「ジ・イクリプス」」  
 
”俺=キバオウ”二刀流最上位剣技〈ジ・イクリプス〉を放った。  
太陽コロナのごとく全方向から噴出した剣尖が超高速で、いうの間にか隣で見ていた茅場へと殺到する。連続二十七回攻撃――。  
一瞬の刹那に繰り出される二十七回の快楽は俺とキバオウ、そして茅場を焼き尽くした。脳が真っ白になり、何も見えなくなる。  
そんななか、何もない空間でただ、キバオウを求めて俺は手を伸ばす。そしてその手をキバオウの手が優しく包んだ。  
そして、その温度が意識をつなぎとも世界に色が戻る。  
 
意識が戻り周りを見渡すと、そこは美しい草原だった。  
そこにいるのは、しかめっ面だが、どこか優しげな雰囲気を醸し出す茅場。  
満面の笑みを浮かべるキバオウ。そして……キバオウに負けないくらいの笑顔を浮かべた俺だった。  
 
「見事だ。キバオウ、そしてキリトよ。貴様らの愛は、麻痺で動けないはずの体を動かし  
システムに守られていたはずの私にすら届いた。  
見事、クリアーだ。これより、SAOに収容されている全プレイヤーのログアウトを開始する」  
 
「茅場、それは本当か!?」  
 
「ああ、本当だ」  
 
本来は大喜びするはずの茅場の言葉。しかし、なぜか喜べなかった。  
 
「いやや、わいはログアウトしたくない。キリトはんといっしょがええんや」  
 
しかし、茅場は無限で首を振るとログアウトを続ける。  
キバオウの言葉で自分の気持ちが理解できた。しかし、俺は精一杯、  
涙をこらえて最高の笑顔を浮かべて口を開いた。キバオウに最後に見せるこの世界の俺が泣き顔なんて絶対に嫌だから。  
 
「キバオウ。リアルで会おう」  
「そないなこというたかて、わいらリアルのこと全然しらへんやんか」  
「桐ヶ谷……桐ヶ谷和人。多分先月で十六歳。キバオウも、本当の名前を教えてくれないかな?」  
 
俺の気持ちが通じたのか、キバオウは涙を流しながら、それでもぐしゃぐしゃになった顔で笑顔を浮かべ、そしてえづき声で、言った。  
 
「わいは、木場 央や。今年で三十一歳の東京生まれの埼玉育ちや」  
 
じゃあ、おまえなんで関西弁やねん!と心のなかで突っ込んでいると、意識が遠くなるのを感じた。  
 
「俺とお前は二人で二刀流のキリトだ。だから、絶対に惹かれあう。絶対にまた会おうぜ」  
「おう約束やキリトはん」  
 
そして、それがSAOでのキバオウとの最後の言葉だった。  
こうして、俺の二年にもおよぶアインクラッドの冒険は幕を閉じた。  
 
 
 

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