『仮想の追憶、現実の想い』 ソードアート・オンライン4巻P274より
「もう。きみ、向こうでもこっちでも、気の抜けてる時はほんとうにうっかりのんびり屋さんだね」
アスナは呆れたように首を振ったあと、日だまりのような笑みを浮かべ、頭をぽふっと俺の肩に預けた。
「キリトくん……あの……あのね、……」
こちらからはアスナの表情は伺いしれないが、彼女の頭を支える俺の肩が心なし熱を帯びるのを感じる。
「……向こうで結婚した時みたいに、また2人きりになりたいね……」
アスナの言葉にキリトは顔を真っ赤にしながら答えた。
「そうだな……また、一緒にいよう……」
両手を伸ばし、しっかりと彼女を抱き寄せる。
「あ、もう……ここじゃみんなが見てる……」
言い終わらないうちにキリトは自らの唇でアスナの唇を閉じさせる。
「んっ……ふぅっ……」
アスナが、かすかな吐息をもらした。
「もぅ……ダメだよ、午後の授業始まっちゃう」
*** *** ***
午後の授業を終えアスナとオフ会に出席すべく、キリトは彼女のクラスの前で待っていた。
リズとシリカは今日のオフ会前に用事を済ませたいということで、先に帰っていった。
「「送りオオカミにならないようにね!」」という言葉を残して。
いったい自分をどういう目で見ているのだろうと、やや不満げになりながら考えていると
「お待たせ……」
アスナの声に振り返る。心なしか顔色が悪いように感じる。
「や、やあアスナ……ちょっと顔色悪そうだけど大丈夫……あっ!」
倒れこむアスナを慌てて受け止める。顔色が悪いのは思い過ごしではなかったようだ。
「やっぱり無理してたんだな」
「ごめんね、キリトくん……心配かけちゃって……」
「まだ時間あるし、少し休んだほうがいいな――保健室に行こう」
アスナを背負い、校舎の外れにある保健室を目指す。
「えへへ」
「ん?」
「こうやってキリトくんの後ろにいると、肩車してもらった時の事を思い出すよー」
「ああ――あのあとユイに会ったんだったな――」
そんな想い出話をしつつ、保健室の扉をノックする。
――保健室内は誰もおらず、主のいないその部屋へ入ると、アスナをベッドに横たえさせる。
「……養護の先生、どこいったんだろ」
「少しこうしてれば大丈夫だから……」
「無理するなよ」
キリトはアスナの額に手をやり、熱がないのを確認すると栗色の髪へ手を伸ばし頭を撫でる。
幾分落ち着いたのだろうか、アスナの表情を見ると微笑みが零れている。
「不思議……現実世界でのしぐさひとつひとつが、あの仮想世界の想い出を蘇らせてくれる……」
髪を梳きながらアスナの言葉を、キリトは穏やかな表情で黙って聞いている。
「風邪をひいた時も、わざわざ雪を取ってきて看病してくれたよね」
「あれは――先に看病してくれたのはアスナだろ。うつしたようで悪いと思ったしさ」
「ねえ、キリトくん……あの時みたいにしてくれたら……具合良くなるかも……」
顔をぽうっと上気させたアスナが、うすく目をあけ、うるんだ瞳で俺を見ている。
艶やかな唇に、引き込まれるようにキスをする。
「んんっ……ふぁっ……」
アスナの吐息を聞き、鼓動がみるみる上昇していく。理性という名のタガが外れていく――
「――アスナ、ごめん……我慢できそうにない――」
黙って頷くアスナ。
(そういや、こっちじゃ倫理コード解除なんてやる必要ないんだったな……でも何か忘れてるような……)
軽く、強く、深く、何度もキスをしながらキリトは考える。
(――向こうじゃ何度かしたんだ……うまく出来るさ――)
アスナの制服を優しく脱がせる。まだ完全にはリハビリが終わっていない体は、華奢で、壊れそうに見える
――にも関わらず、体の線は崩れておらず、下着姿でも艶かしい。
「……キリトくん、……キリトくん、」うわ言のように繰り返すアスナ。
何度もしていたキスを、耳へ――首筋へ――鎖骨へ――少しづつ下ろしていく。
邪魔なブラジャーを外すと形の良い白い乳房が現れる。そこへさらにキスを下ろしていく――尖った先端を目指すように――
アスナの視線を感じ、顔を覗くと、彼女は恥ずかしそうに言葉を紡ぐ。
「……キリトくん……わ、私だけ、脱いでるなんて……はずかしいよぉ……」
言われて自分がまだ制服のままだったことに気がつき、そそくさと制服を脱ぐ。冷静なつもりでもそうではなかったようだ。
再びキスの絨毯爆撃を落としていく。唇から、首筋へ――鎖骨へ――乳房へ――先端をしばし弄ぶとさらに下りていく。
ほっそりとしたお腹へ――中央の窪みを通り――そして下腹部へ――。
「アスナ……下着、取るよ……」
宣言してシルク製の小さな下着を下ろしていく。ここでキリトはある種の『眩暈』を感じた。仮想と現実の『ズレ』を。
仮想空間では無かった恥毛という存在。現実空間では薄目ではあるがハッキリと栗毛色の『それ』が根付いていた――
ほんの数秒固まってしまったことを悟られないように、再びキスを続ける。そして最終目的地へ――
「ひゃう!!」
秘所への攻撃に甲高い声を洩らすアスナに構わず、舌先でクリトリスをやわやわと摘み、転がす。舌をすぼめ、膣口で出し入れをする。
「んんぅっ!! あっ、あっ、やだっ……」
薄いピンク色の、唇と同じ艶のあるアスナの秘所から――つつっと雫が垂れる。
目線を上半身に向けると――アスナは右手でシーツを掴み左手で自ら乳房をやわやわと弄ぶ。なんとも淫靡だ――
「アスナはいやらしい子だなぁ」
「うぅ……ばかぁ……」
「でも向こうみたいに、イキまくることはないんだな」
「はぁっ……はぁっ……やっぱり……あっちでは、そう……いう、仕様だった……みたい……」
息も絶え絶えに答えるアスナを見ながら、妙に冷静な気持ちになっていることに気がつく。
(さっき倒れたばかりなのに、何度もイカせて倒れられても危ないしな……)などと余計なことを考えてしまう。
「……キリトくん……もう……もうっ……きてぇ……」
「ああ……いくよ」
熱で惚けたようなアスナの表情を見ながら、自分のものを潤んだ柔孔にあてがい、少しづつ押し入っていく。と――
「っ!……い、痛!……」
「だ、大丈夫か!?」(そうだ……こっちでは初めてだったんだ……さっき忘れてるような気がしたのはこれか)
「うん……初めてなの、忘れてたよー……もう、大丈夫だから……続けて……」
とても大丈夫そうには見えないが、ここでやめるわけにもいかない。再び少しづつ進入させていく。
「……つっ!……つっ!……んんうっ!」
アスナは両手でシーツを握り締めているが、それでも痛みに堪えきれず、ずりあがっていく。
(――少しづつ入れるより、ひと息に入れたほうがいいんじゃないのか――)
「アスナ……深呼吸して」そう言いタイミングを計る。
「……うん。……すぅ……はぁー……すぅ……は……」
息を吐く瞬間を狙って奥までねじ入れる。
「んああぁぁぁっ!!」
「がんばったね、アスナ。落ち着くまでこうしていよう」
アスナにキスをしながら頭を撫でる。
「ううぅ……なんかズルい……キリトくんは、痛くないんでしょ?……」
聞かれて、思わず苦笑いをする。落ち着くまでの間、キスをし、頭を撫で、乳房を弄り、時間をやり過ごす――実際には1分ほどだったろうか――
「キリトくん……これが本物の痛みなんだよね。向こうでは感じなかった痛み――これも想い出になるんだよね。」
アスナは目尻に涙を溜めながら微笑んで言った。
「――動いて、キリトくん。……私に想い出を刻みつけて――」
「アスナ……あまり痛かったらすぐ言うんだぞ」
負担をかけないように、少しづつ動かす。一旦入り口まで戻し、浅く、浅く――
「……ん……んっ……くっ……んんっ……ふ……ふぁっ……」
内が狭くきついためか、まだアスナは苦しそうだが、徐々に振り幅を大きくしていく。
眉間にシワを寄せ、玉のような汗を滲ませアスナは喘ぐ。
思わず嗜虐心を感じてしまうが、頭から邪な感情を振り払う。
「――アスナ、……くっ……好きだよ、アスナ――」
「……んんっ……ふうっ……うん、……キリトくん…………私も……私も……すきぃ――」
「――アスナ、……もう、……そろそろ――」
「……うん……うん……きてっ…………きてぇっ――」
――限界が訪れる――俺はアスナの最奥いっぱいまで突き込むと溜まりに溜まった『想い』を弾けさせた。
「ふあああぁぁっっ!!」
ビクンと跳ね上がるアスナ。キリトの背中に回していた両手の爪が食い込む。
「――ふぅっ……ふぅっ……キリトくん……すごく、熱いのが……入ってきたよぉ……」
「アスナ……」
「……ん…………えへへ、ちゃんと出来たね……」
涙を浮かべながら満面の微笑みを向けるアスナ。それに答えるように俺はギュッと抱きしめる。
この世で一番愛する人を2度と手放したくない――そんな思いを伝えるようにキスをする
――長い、長いキスを――
*** *** ***
バタバタと駆けてくる音がする。と――――突然保健室の扉が開け放たれた!
「――お兄ちゃん、ここにいるのっ!?」
「スグっ!、お前なんだってここに!?――」
「校門前で待っててもいつまでたっても来ないから探しにきたんだよ!?……アスナさん倒れたのを見たって人がいて……大丈夫なの?」
――間一髪だった……俺とアスナはすでに制服を着ていたため、二人して胸をなでおろす。
「大丈夫ならそろそろ行かない?オフ会遅れちゃうよ――」
「――あっ!」
直葉の言葉が終わらぬうちにアスナが声をあげる。
「ちょっ、ちょっとお手洗いに……」
(やだっ、垂れてきちゃうよ――)
顔を真っ赤にしながら足早にトイレに向かうアスナを見送りながら、俺は考える。
(きれいに拭いたつもりだったけど……いや、中に出したこと自体マズかったんじゃ……)俺は先程までの情事を思い出し顔を赤くする。
「アスナさん、大丈夫かな…………ん?お兄ちゃん、なんで顔赤くしてるの??」
ジト目で俺を疑わしそうに直葉はみている。
「いやっ、なんにもないっ!――なんにもないぞ!――さあ、保健室出よう!」
急かすように直葉と保健室をあとにする。
――――ベッドシーツに一点の赤い染みを残して――――
END
おまけで
『直な気持ち』ソードアート・オンライン4巻P292より
*** *** ***
オフ会が終わり、直葉が自宅に帰ったのは21時を少し回ったころだった。着替えてベッドに体を投げ出し一息つく。
兄・和人は恋人のアスナを送るため途中で別れた。別れ際に「送り狼にならないでよね!」と言うと、
「お前まで言うか!」と反論していたが、言葉ほどには否定をしていないことに気がついてしまった。
(……なんか違和感あるな……それに保健室でも……)
モヤモヤとしたものが体を覆う。オフ会は楽しかった。でも――あの2年間の話になると話の輪に入れず、寂しさを感じてしまう。
兄のことを思うと胸がキュンッと締め付けられる。兄のアスナに対する想いはALO事件を通じて知っている。その想いはあの2年間から続いているものなのだ。
「やっぱり……諦めなくちゃいけないのかな……お兄ちゃん……んっ……」
いつのまにか左手で右の乳房を、右手で股間を弄り慰める。
「お兄ちゃんの手、熱いよ……あん……そんなところ触っちゃだめだよ……」
左手は――乳房を揉みしだく――桃色の乳輪をやわやわと弄る――ツンと尖った乳首を摘み、抓る――
右手は――縦の筋をなぞる――染み出してくる雫を指ですくい、濡れた親指でしこった『芽』を転がすように弄る――そして中指を濡れそぼる秘孔へ――
「んっ……んっ……あうっ……ふぅっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……やだよ……いっちゃやだ……お兄ちゃん――」
乳房が激しく揉みしだかれ、歪み、膣内を擦る中指の速さが増す。
「はぅっ……んんっ……お兄ちゃん……お兄ちゃん……すき……好きぃ……おにいちゃんんんぅぅぅっっ――」
《コンコンッ》扉をノックする音と共に外から――
「スグ、どうかしたのか?」
「ひゃい!!…………な、なんでもないよ!」
「そろそろALOにログインする時間だぞ。用意しとけよ――」
「う、うん……」
諦めきれないよ……お兄ちゃん――
END