はぁ……
トランクスの中をちらっと覗いたキリトは深いため息をついた。
「なんでこんなスキル……」
目の前には、先ほど盛大にキモいいいぃぃと叫んでくださった嫁ことアスナが、キリトの顔を覗き込んでいる。
「……まあ、出現条件は不明として、よくわからないスキルがいつの間にか増えてたってのは納得したわ。
ところでそれって」
アスナの声のトーンが変わったことに気づき、キリトはふいと顔をあげた。
明らかに興味津々の美しい顔が、目をキラキラさせてキリトを見つめている。
「そのスキルって、第三者に譲渡は……できないのよね?」
「えっ?」
いや、アイテムじゃないんだし、スキル譲渡は無理だろ。
と、ぼそっと呟くと、そうよねぇスキル扱いだもんねぇ、モノ的には≪アイテム≫でもいいのにと
物騒なことをのたまっている。
「…ええと、もし“これ”がアイテム扱いなら、アスナさんとしてはいったいどうするおつもりなんで」
「やー、アイテムなら共通ストレージに入るわけでしょ。私も装着できるかなーとか」
や め て
装着してなにをするつもりなんです!?俺はそんなプレイはしません!とか、
まさかあの子やこの子を攻略する気ですかアスナさん!?とか、キリトの脳内で
一瞬にしてめまぐるしい妄想が渦巻いたが、幸いそれを声に出すほど愚かではなかった。
「うーん、一応身体の一部だから、ちょん切ったら身体欠損扱いになるのか。
しかも3分くらいで生えてくるよね。ちょっと見てみてみたいけど」
や め て
た、多分欠損しても死んだりしない…とは思うが、例えポリゴンの身体だとしても、
自分のナニが切り取られるのを見るのも体感するのも遠慮したい。さらに言うなら
生えてくるのを見るのも体感するのも(略)
「……あっそんな顔しないで、やらないやらない」
てへぺろな顔をしながらアスナはにっこりほほ笑んだ。いつもならああ可愛いと思うキリトだが、
さすがにひとしずくの涙がこぼれた。
「……ごめんねキリトくん。ちょっと遊び過ぎたね」
アスナはそういって、キリトの手を優しく握った。
「大丈夫だよキリトくん。ユニークスキルだもん、装着しなければいいだけの話だから」
はっ、アスナの顔を見つめるキリト。言われてみれば
「ソウデスネ……」