身を切るような風が吹きすさぶ12月某日。  
 ここはやっぱりファリス神殿のイリーナの私室。  
「おいイリーナ。今日は……」  
「12月24日。明日は原始の巨人から神様たちが生まれたとされる日で、今日はその前祝をする日、ですよね」  
 何気なく話を振ったヒースだったが、イリーナから返ってきた意外な答えに、硬直してしまう。  
「おかしいな。イリーナが賢そうなことを言ってるぞ」  
「……失礼ですよヒース兄さん。わたし、一応神官なんですから」  
「自分で一応、って言っててむなしくならないか?」  
「……」  
 至極真っ当な答えだったが、そこでもすかさず突っ込むことを忘れないヒース。  
 とりあえずこのツッコミで、イリーナへのジャブは成功といったところだろう。  
「まぁ、知ってるなら話は早い。前祝っていうことで、今日はこういうものを持参してきた」  
 と、ヒースが取り出したのは、来室したときから手に提げていた藤の籠。  
 イリーナが興味津々といった様子で覗き込もうとすると、それよりも早くヒースはその中身を取り出した。  
「あ、ワインですね」  
「おう。ちょっとオシャレに決めてやろうと思ってな。しかもこれは普通のワインじゃないぞ」  
 フッ、とカッコと勿体をつけてからヒースはラベルを見せた。  
「ロマールコンティ470年モノだ」  
「え、ホントですか!? それってちょっとエセっぽい名前ですけど、超高級なワインですよね?」  
 さりげなくつっこんでから目を輝かせるイリーナ。  
「ま、これくらい軽いもんだ。ま、とりあえず乾杯といこうじゃないか」  
 そのとき、一瞬だけ見せたヒースの怪しい笑顔に、舞い上がったイリーナが気づくはずも無かった。  
 
 
(ふっふっふ。イリーナをべろんべろんに酔わせて酔いどれプレイ、第1段階成功だな)  
 心の声。  
 この作者の書くヒースにエロ心を抜きにして物事を進めるなんてことは不可能だった。  
 そしてヒースの作戦通り、飲みやすいワインを次々と空けていき、程なくしてイリーナの頬は真っ赤に、目はとろんとしてきたのだった。  
「あはは。ヒースにいさん、顔がぽかぽかしますよぅー」  
 へにゃへにゃと力の抜けた表情で、ヒースにしなだれかかってくるイリーナ。  
 その腑抜けようといったら、こいつがファリスの猛女ですといっても誰も信じないくらいだ。  
「よし、作戦は順調だな」  
 すりよってくるイリーナの頭をなでながらほくそ笑むヒース。次の作戦に移ることにした。  
「ところでイリーナ。前祝には、恋人にプレゼントを贈るという習慣を知っているか?」  
「ぷれぜんとですか?」  
 ほにゃ、と赤く染まった顔を上げて繰り返すイリーナ。目を細めてうーんと考え始める。  
 さてどんな反応を見せるか。  
 というか、どういう反応を見せようが、適当に理由をつけてプレゼントはお前だ、などと前時代的なノリで押し倒すつもりなのだが。  
「そうですねー。じゃあプレゼントはわたしですー、えへへ」  
「……」  
 ヒース、一瞬の硬直。  
 まさか自分からそういうことを言い出してくるとは思わなかった。しかもここで押し倒したのではいつもとあんまり変わらないじゃないか。  
 おもしろくない。  
 などと不謹慎なことを考えた末、ヒースが導き出したアドリブは、  
「そーか、お前がプレゼントか。なら、ちょっとプレゼントらしくしてやるからじっとしとけよ?」  
「はいー?」  
 
 
 数十分後。  
「よし、イリーナプレゼントの完成だ」  
「ほにゃー」  
 ベッドの上には、パンツだけ残してすっぽんぽんに服を剥かれ、ヒースがどこからか調達してきたリボンによってラッピング、もといSMチックに拘束されたイリーナが転がっていた。  
「お前はプレゼントなんだからな。暴れてリボンが解けたり千切れたりしたら、容赦なくペナルティだぞ?」  
「ふぁーい。わかりましたぁ。で、で、ヒースにいさんは嬉しいですか?」  
 やはりたるんだ表情でにへっと笑って、イリーナはヒースの言いつけに頷いたあと、たずねてきた。  
「おう、嬉しいぞ。それに可愛いしな、イリーナ」  
 ヒースは酒気を帯びて心なしかほんのりピンク色に染まったイリーナの全身に手を這わせて答えた。  
「んっ……んくっ……あは、そういってくれるとわたしも嬉しいですぅ」  
 ぴくんぴくんと刺激に身を震わせながらイリーナが微笑む。  
 そんな反応を見ているうちに、ヒースジュニアが鎌首をもたげてくる。  
「んじゃ、プレゼントになったイリーナに俺が何をしようと問題はないよな」  
 わざとらしく質問しながら、ヒースの手がイリーナの極小の胸に伸ばされる。  
「あんっ……はい、モウマンタイですー……ひんっ」  
 妙な言葉でそれを肯定し、イリーナは喘ぎ声を上げる。  
 くりくりとイリーナの乳輪をなぞるヒース。だが、いつもならすぐに乳首攻めに入っているところだというのに、乳首には少しも触れようとしない。  
「ああん……んっ…・・・ヒースにいさん、もっと真ん中、触ってほしいです……ん」  
 だが、ヒースはその訴えを無視して、乳首を避けるように胸を揉みしだく。  
「あふ……い、言わないとしてくれないんですか……? ひ、ヒースにいさん、わ、わたしの…その、乳首も……もらってください……お願いですから…あぁ」  
 最近みっちりヒースに調教されてきたせいか、要求もされていないのに自分からいやらしく哀願するイリーナ。  
 だが、ヒースはそれを聞き入れない。気持ちよくないというわけではないが、もどかしい快楽に体をもじもじさせるイリーナ。  
「ひ、ヒースにいさん……もどかしいれす……も、もっと強くしてください……ち、乳首とか……そ、そのえと……あそことかぁ」  
 酒気だけでなく顔を真っ赤にしながら、多少ろれつの回らなくなった口調で必死に哀願する。  
「だーめ。ふっふっふ。今日はじんわりいたぶってやるぞ。せっかくのプレゼントなんだからな」  
 ヒースはにやりと邪悪な笑みを浮かべ、じわりとシミが広がりはじめたイリーナパンツに目をやりながら答えてやった。  
「そ、そんにゃあ……ふぁぁ…・・・」  
 リボンを千切らないように体の動きを抑えながらベッドで悶えるイリーナ。  
 快楽の喘ぎ声に加え、もどかしさのあまり涙が流れ始めるのにそう時間はかからなかった。  
 
 それからさらにヒースのじわじわ攻撃は続けられた。  
 気持ちいのにイクほどじゃない。イキたいのにイけない。そんな執拗な弱攻撃に、イリーナの意識はすでに朦朧としはじめていた。  
「よし……そろそろか」  
 ヒースは再びにやりと笑うと、イリーナのぐちょぐちょになったパンツをずり下ろし、充血したクリトリスと乳首に狙いを定めた。  
「ほれっ」  
 今までのもどかしさを忘れさせるかのように、ヒースはイリーナの乳首に吸い付き、同時にクリトリスを少し荒っぽくつまみあげる。  
「ひあっ!? あああっ、うああっ、んくああああっ!!?」  
 唐突に襲ってきた強い刺激に、朦朧としていたイリーナはびくりと体を大きく震わせ、快楽の絶叫を上げた。  
 その衝撃でリボンがぶつぶつと千切れ、少し送れて、  
 
 ぷしゅああああっ!!  
 
 イリーナは勢いよく潮を噴き上げ、絶頂を迎えた。  
 びくんびくんと弓なりに体を仰け反らせ快楽をむさぼるイリーナ。ヒースはさらにイリーナの膣内に指を突っ込み、ぐちゅぐちゅと愛液を飛び散らせる。  
 程なくして潮の噴出が収まり、どさりとイリーナがベッドに倒れこんだ。  
「はっはっは。そんなによかったのか、イリーナ? それよりリボンが千切れたからペナルティを……お?」  
 手にびっちゃりとこびりついたイリーナの愛液をなめ取りながらヒースはイリーナを抱き起こそうとして気づいた。  
 お仕置きと称してまた別のプレイに興じようと思っていたのに、当のイリーナがすーすーと寝息を立てているではないか。  
 あまりの快楽に気を失って、というか朦朧したなか気持ちよすぎてそのまま眠ってしまったのだろうか。  
「……えー。放置プレイ?」  
 ギンギンになったジュニアに視線を落とし、ため息をつく。  
 
 寝ているイリーナに突っ込むというのもそれはそれで乙なのだが、どうにもエロさに欠ける気がしてやる気がおきない。  
 しかし、こんなに幸せそうな寝顔を見せられては、起こす気にもなれない。  
 最悪自家発電?と思ったところで、  
「……ヒースにいさん……」  
「お、なんだおきてたのか」  
 ぼしょり、と自分の名を呼ばれヒースはイリーナの顔を覗き込んだ。  
 だが、まだくーくーと寝息を立てている。  
「……あぶないです、ヒースにいさん……そっちにはモンスターが……」  
「……寝言?」  
 冒険をしている夢でもみているのだろうか。ヒースは再びがっくりと頭を垂れた。  
 だが、不意にイリーナの手がヒースの手をつかんだ。  
「指から血がでてます……大丈夫、これくらい魔法をつかわなくてもだいじょうぶです……」  
 と、まだ若干イリーナの愛液にまみれた指をぱくりとくわえちゅーちゅーと吸い始めるイリーナ。  
 夢の中で怪我の治療でもしているのだろう。  
「お、おおう……これはまた……」  
 指先に広がるなんともいえない感触に、ぞくりと背筋を振るわせるヒース。  
 だが、どうせならジュニアをしゃぶってもらうほうがいい。  
「なぁイリーナ。こっちも怪我したんだが、治療してくれないか?」  
 指をイリーナの口から引き抜いて、代わりに手にジュニアを握らせてささやいてみる。  
「ふぁい……わかりました……んちゅ」  
「お、うは……」  
 まれに眠りながら意味もわからず会話を繰り広げる人がいたりする。  
 その応用(?)なのだろうか。イリーナはヒースに言われたとおり、握らされたヒースジュニアに何の疑問を抱かずにそれを口に含んだ。  
「じゅる……じゅぷぷ……んちゅ……」  
 いやらしい水音を立てながら、イリーナは丹念に、まさに傷口を舐め清めるようにヒースジュニアをしゃぶる。  
 次第に唾液の量も増えていき、イリーナの口の横からたらりとよだれが垂れ始めるが、それも気にせずイリーナはただひたすら舌を這わせ唾液をまぶしていく。  
「ん……んむぅ……ぴちゅ……くちゅる……」  
 意図してかせずしてか、イリーナは自分の口いっぱいにほおばったまま、口をすぼめちゅるちゅると吸い上げる。  
「はぁ……んん……むぅ……」  
「うお……こいつホントに寝てるのか……」  
 口の中で舌がちろちろと動き回る。そろそろ限界が近い。  
「んん……じゅるるるる……っ」  
 イリーナがいっそう強く吸い上げた次の瞬間、  
「うっ…!」  
「ふぐっ……んぐ………んくんく……」  
 イリーナの口の中でヒースジュニアが爆発した。熱い精液がイリーナののどの奥をたたきつける。  
 イリーナは一瞬顔をしかめたものの、すぐにこくんこくんと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。  
「……ひーすにいさん、このお水、腐ってます……」  
「…失敬な」  
 夢の中では水袋の水を飲んでいるのだろうか。イリーナは精液の味を腐った水だと表現してむにゃむにゃとまどろんでいる。  
 とりあえずすっきりはしたものの、このままおやすみ、というのも面白みが無い。  
 ヒースはイリーナの寝顔を見ながら再びニヤリと笑った。  
「イリーナ。実はそろそろ精神力がきつい。魔法を使いすぎた」  
「ほにゃ……そうでふか……ならわたしがとらんすふぁーします……」  
「おう、頼むぞ」  
 思ったとおりの寝言が返ってきたので、ヒースはイリーナの下半身に顔を近づけた。  
「よし、じゃあトランスファーだ」  
 ヒースはくくくと口の中で笑い、イリーナの割れ目を思い切り広げ、口をつけてちゅーちゅーと愛液をすすった。  
「ふあっ! んんんっ……くにゃあ……」  
 びくん、と震えて無意識に腰を引くイリーナ。だがヒースはその腰をしっかりとつかんでじゅるじゅる音を立ててイリーナの割れ目を啜る。  
「イリーナの精神力、ちゅーちゅーさせてもらってるぞ」  
「ふぁぁぁ……んっんっんっ……ひ、ヒースにいさんに精神力ちゅーちゅーされてます……んぁ」  
 膣穴に舌をねじ込まれ、喘ぎ声をあげびくびく震えるイリーナ。  
 クリトリスを鼻先で擦られさらなる愛液を垂れ流すイリーナ。  
 だが、それでも目を覚まさず夢の中でトランスファーされているイリーナ。  
 ぐちゅぐちゅという水音が静かな部屋の中を満たしていく。  
 
「ふにゃ、ふあっ、んぁ、ひんっ、あんあん……」  
 ヒースが激しく攻め立てるたびに、足の先まで震えながら喘ぐイリーナ。  
「今にも寝ながらイキそうだな、イリーナ」  
「ふぁ、ふぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」  
 とどめとばかりにヒースが指を使ってクリトリスを押しつぶし、舌を奥まで差し込んだとき、  
 
 ぷしっ!! ぷしょろろろろろろろっ!!  
 
「うわっぷ!?」  
 イリーナは再び絶頂を向かえ、今度は黄金色のおしっこを噴き出した。  
 ヒースが慌ててそれを回避したものだから、イリーナのおしっこは容赦なくベッドの上ではじけ飛ぶ。  
 ワインを飲んでいたせいか、その勢いはなかなかとどまるところを知らず、大きなシミを、さらに吸収しきれなくなった水溜りをベッドに作っていった。  
   
 じょろろろろろろ……。  
 
 イリーナの失禁はとても長く、1分ほどにも及んだだろう。程なくして勢いが収まると、ベッドには巨大な湖が出来上がっていた。  
 部屋中にツンとしたアンモニア臭が立ち込めている。  
「結構すごいものを拝ませてもらったな。眼福眼福」  
 イリーナの尿まみれのあそこにファリスの印を切るヒース。なんとなくバチあたりである。  
「さて……どうすっかな……」  
 イリーナは完全に眠りの世界に落ちたようで、すでに寝言もいっていない。  
 このまま後始末をして帰ろうか、とも思ったが、不意にまたヒースの嗜虐心がわきあがってきた。  
「ふふふ……ペナルティ、ペナルティだな」  
 
 
 翌朝。  
「うにゃ………ふぁぁぁぁぁ……わたしいつの間に寝ちゃったんだろう」  
 イリーナは窓から差し込む日差しで目を覚ました。  
 まどろみながら体を起こすと、乱れているものの服はきちんと着ていたが、それはパジャマではなかった。  
「あのあと眠っちゃったのかな……」  
 そういえば、少し頭がガンガンする。あとでキュアポイズンで酒気を抜いたほうがいいだろう。  
 サイドテーブルを見ると、見慣れたヒースの文字で、「酔いつぶれたみたいだからかえる」とだけ簡潔に書かれたメモがあった。  
「……ヒース兄さんに悪いことしちゃったかな」  
 せっかく二人だけでお祝いをしていたというのに。そんなことを考えていると、だんだんと意識が覚醒してきた。  
 同時に、下半身に感じる冷たい感触。  
「……?」  
 このなんともいえない気持ち悪さ。じんわりと、股のあたりから足、お尻にいたるまで広がるこの嫌な感触。  
 それは幼いころに味わい、二度としないと誓った、あの感触。  
「ま、まさか……っ」  
 ばっと布団を跳ね上げる。  
 そこには、立派な地図が広がっていた。ヒースの裏工作により、ご丁寧にパンツやスカートまでぐっしょりになっている。  
「い、いやーんっ!? お、おねしょ!? こ、この年になって……っ! ど、どうしよ……っ!?」  
 眠気や酒気など一気に吹き飛び、顔が真っ赤に、そして次第に真っ青になっていく。  
 もちろん、昨夜のことなどこれっぽっちも覚えているわけがない。  
 動揺し、ベッドから飛びおり下半身を気持ち悪く攻め立てるスカートをパンツを大急ぎで脱ぐ。これは洗濯すればなんの問題もないだろう。  
 問題はシーツと布団である。  
「どどど、どうしたらっ……こ、こんなの表になんて干せないよう……」  
 下半身すっぽんぽんのまま頭を抱え、涙目になるイリーナ。  
 こんなもの神殿の物干しスペースになどかけて置こうものなら、どんな噂をされるのか、考えただけでも舌を噛みたくなる。  
「ふ、ふぇぇぇ……」  
 精神まで幼児退行したように泣き出すイリーナを、扉の隙間からひそかに観察するバカが一人。  
「ふははは……ペナルティ、ペナルティだよイリーナくん。にしても……」  
 下半身丸出しでおねしょシーツを前に泣きじゃくるイリーナを見て、  
「……可愛いけどどうフォローしよう」  
 後先考えていないヒースであった。 

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