「ひゃっほ〜、俺、幹部になれたッス!!」  
「クレぽん、もうその話何度目だべ?」  
 アイリちゃんの宿(仮称)のいつものテーブル席。そこでは5人のぺらっぺらな冒険者たちが飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをやっていた。  
 パーティの名目は、生命力なし精神力なし甲斐性なしのナイナイ尽くしの盗賊少年、クレスポの幹部昇進祝い。  
 なんと冒険者史上類まれなる薄っぺらさの記録保持者であるクレスポが、このたびガチで幹部になれたのだ。  
 クレスポはそれが嬉しくて、ここ数日、毎晩毎晩宴会騒ぎをやっているというわけである。  
「今日は俺のおごりッスからどんどん食べるッス! アイリちゅわぁぁん、エールお代わりッスー!」  
「はぁ〜い、ただいま〜♪」  
 いつもはクレスポには鉄拳で対応するアイリちゃんだが、やはり金を落としてくれるときは手のひらを返したように愛想がよくなる。  
 よくできた看板娘だ。  
「どーしたんッスか、みんな? もっと飲んで食っていいッスよー?」  
 へらへらと笑いながらアイリちゃんが注いでくれたエールをあおるクレスポ。  
「もっと飲め、っていってもねー」  
 シャイアラが飲みかけのワインの入ったグラスを手でもてあそびながらため息をつく。  
「さすがに5日連続で飲み会やれば、飽きもしますよ」  
 クイクイと眼鏡を動かすブックは、すでに料理にも酒にも手をつけず本のページをめくっていた。  
「そうッスか? ベルカナはじゃんじゃん飲んでるッスよ?」  
「………」  
 話を降られたベルカナだったが、クレスポには反応を示さずに両手で抱えたエールのジョッキを傾けていた。  
 クレスポが幹部になったという事実は、自分にとっても嬉しいことだった。  
 思うように仕事を回してくれないギルド。回ってくる仕事といえば、あまり乗り気のしないものばかり。  
 しかも報酬はすずめの涙程度。加えて、腹の立つことばかりな幹部。  
 それならいっそ、自分でのし上がってギルドを牛耳ってやろうというのがベルカナ(黒)の野望だ。  
 ギルド員ではあるが盗賊としての手腕を持たないベルカナは、クレスポを幹部にして裏から糸を引く作戦を取るつもりでいた。  
 クレスポが晴れて幹部になったということは、その野望に大きく前進したことになる。  
 なるのだが。  
(なんだか面白くありませんわ)  
 エールを一気に煽りながら胸中でつぶやくベルカナ。  
 野望が少しずつ達成していくに比例して、面白くないことも増えてきた。  
 ひとつ。クレスポが幹部になると時を同じくして、自分もようやく導師級にやっと届くかというレベルの魔術師になることができた。  
 だが、新しい魔法を覚えたというのに、仲間の反応は「嘘ばっかりー」とか「またまた〜」とかいう淡白なものだった。  
 クレスポが幹部になってこの騒ぎ(といっても半分以上は自分で騒ぎ立ててるだけだが)だというのにこの差は何なんだろう。  
 これは純粋にプライドの問題なのでまぁおいておくとして。  
 ひとつ。クレスポが幹部になったとたん、ギルドの下の方に属する女の子たちが急にクレスポに愛想よくなったこと。  
 正式にクレスポの部下になったジーンちゃんが仕事を回してもらおうと躍起になっているのはともかく、まったく関係ない部署の女盗賊までクレスポにべったりなのだ。  
 先日も、気をよくしたクレスポが女盗賊3人組と楽しげにランチを一緒しているところを目撃した。  
 ちなみに、全員クレスポに恩を売っているつもりなのだが、クレスポ本人がその事実に気がついていないあたりが双方ともに痛ましい。  
(って、なんで私はそんなことを……。別にクレスポさんが女の子と一緒にいようが関係ないことですわ!)  
 クレスポの女好きは今までの付き合いでよくわかっている。  
 だが、今までと違うのは、クレスポの地位に惹かれて向こうから擦り寄ってくる女が増えたということ。  
 今までなんとも思っていなかったのに、どうしてこんな気持ちになるのだろうか。  
 ひょっとして自分は……。  
 
(……いいえ! そんなわけがありませんわ! 私がクレスポさんを? まさか!)  
 クレスポは色気のあるお姉さんが大好きな色情魔で、自分を貧乳と罵る最低な男で、救いようが無いくらいお調子者。  
 実力に体力がついていかず結果として大して強くもない。たくましいなんて言葉とは無縁。ちょっとだけ蓄えがあったが、ここ連日のどんちゃん騒ぎでそろそろ底が尽きてしまうだろう。しかも年下。  
 自分と理想とはかけ離れた存在だ。  
 だから絶対そんなことは……。  
「ベルカナ? 確かにどんだけ飲んでもいいって言ったッスけど、さすがに飲みすぎじゃないッスか?」  
「……!!」  
 気がつくと自分の顔を覗き込むクレスポの顔が間近にあって、声にならない悲鳴を上げるベルカナ。  
「そ、そんなことありまへん! 私、そろそろ失礼しますわ!」  
 自分でも何を言っているかよくわからなかった。しかも呂律が回っていなかった。  
 バシンとテーブルを叩きつけながら勢いよく立ち上がると、若干おぼつかない足取りで店を後にした。  
「……」  
「……クレスポー、あんた何かやったんじゃないの?」  
 シャイアラがしばらくその後姿を呆然と見送ってから、ジト目でクレスポを睨みつけた。  
「いい!? お、俺は何もしてないッスよ!?」  
「ですが、クレスポさんですしね」  
「クレぽん……」  
 ブックやマロウまでが疑いの眼差しを向けている。  
「お、俺は無実ッスー!!」  
 
 
 すっかり日の落ちたロマールの通りを、1人自宅へ向けて歩くベルカナ。暗雲で月明かりも届かない中、ライトの魔法をかけた指輪が昼間のように路地を照らすが人通りはきわめて少ない。  
(私、どうかしてます……)  
 なんとも思ってない、むしろ自分が人形にしようとしてた人間相手に悶々と思考を巡らせ、認めたくはないが勝手にヤキモチを焼いて。  
 長い間一緒に冒険をするうちに情が移ったのだろうか。いや、情などという生易しいレベルの感情ではない。  
 短いようで結構長い付き合いをしていくうちに、クレスポの悪いところもいいところも見てきた。  
 見ていて冷や冷やすることもあり、放っておけないと思ったことも何度あったか。  
 もしかして、自分でも気づかないうちにそんな感情がどんどん――  
(私、ひょっとして………)  
 認めたくない答えを導き出しそうになったとき。  
 
 ドン!  
 
「きゃっ……」  
「おおう……ねーちゃん、どこ見て歩いてんだよ!!」  
 不意に2人組みの通行人とぶつかった。こんな時間に歩いている人だ、見るからに普通の人じゃない。  
 具体的にいうと、茹蛸のような赤ら顔。片手に抱えた空の酒瓶。酒臭い息。  
「す、すみません。ちょっと考え事をしていたので」  
 咄嗟に謝罪し、まずいことになる前に早々と退散したほうがいいだろう。  
 だが、そうは問屋がおろさないのが世の定石だ。  
「考えごとだぁ? 歩きながらんなことやってんじゃねーよ!」  
「せっかく気持ちよく飲んでたのに興ざめだぜー……ういー」  
 赤ら顔を怒りにゆがめて因縁をつけまくってくるヤンキー共。  
 ガン付けられながら、ジリジリと壁際に追いやられていく。もう口でなんと言おうと無駄だろう。  
 こうなったら、愛用のメイスで脅しをかけるなりしたほうがいいのだろうか。もし実際に喧嘩になったとしても、相手は見るからにタダの下町のヤンキー。  
 メイスさえあればまず負けることはない……と思う。  
 そう思い腰に手を伸ばすベルカナ。だが。  
「……ない!?」  
 メイスの感触がなかった。今までどうして気づかなかったのだろう。そういえば、テーブルについてメイスを腰からおろしてから、出掛けに手にするのを忘れていた気がする。  
「なにがないんだ、ああん!?」  
「ま、確かにおめー、胸がねぇけどな! ギャハハハハ!」  
 服の上からでもわかるベルカナの貧乳を指差し、ヤンキーBが下品に大笑いする。  
「……ッ!!」  
 パンッ!!  
「お?」  
 路地に乾いた音が響いた。ベルカナが怒りに身を任せ、張り手を放った音だ。  
 
「んにゃろ! このアマ!」  
「きゃあっ!!」  
 叩かれたヤンキーBが逆上し、ベルカナを思い切り突き飛ばす。  
 男と女の力の差か、はたまたこの逆境に運まで傾いたか、それとも酔いのせいか。  
 おそらくそのどれもだろう。普段なら避けることもたやすいその一撃をマトモに食らい、よろめいて壁に頭と背中を打ち付けて崩れるベルカナ。  
「よくもやりやがったな」  
「へ、へへ……。よくみるとなかなかの上玉じゃねぇか。おい、やっちまおうぜ」  
 下卑た笑いを浮かべベルカナににじりよるヤンキーども。  
 そこで初めて、ベルカナの心に恐怖が生まれた。得物が無い心許なさ。男のやろうとしていることへの恐怖。  
「ば、万物の根源たるまにゃ……んぐうう!!」  
「うるせぇ! 黙ってろ!!」  
 咄嗟に魔法を唱えようとしたが、難解な古代語をつむぎだせるほど呂律が回らなかった。さらにヤンキーAがベルカナの口をごつい手でふさぐ。  
(も、もう……!)  
 ベルカナを絶望が襲う。  
 両目から涙が溢れてきて、全身がガクガクと震える。ヤンキーAの空いた手がベルカナの服にかかる。  
 
 ゴスッ!!  
 
「あいだ!!」  
 ベルカナの服が悲鳴を上げかけたそのとき。ヤンキーAは突如苦痛の声を上げ、両手で後ろ頭を押さえた。  
「な、なんだ……うわっ!!?」  
 ヤンキーBが後ろを振り向いた瞬間、高速で飛来した何かがヤンキーBの体に絡みついた。  
 バランスを崩しその場に倒れ、後頭部を激しく打ち付けるヤンキーB。  
「ベルカナから手を離せッス」  
「あ、ああぁん!? なんだテメー! 今のはテメーの仕業か!?」  
「もう一度言うッス。ベルカナを離せッス!」  
 片手に鞭を持ち、もう片手で石をもてあそびながら毅然として言い放った1人の男。  
「く、クレスポさん……」  
「ういッス」  
 ベルカナのつぶやきに間抜けにも律儀に答えたその人、クレスポ。  
 いつもは頼りないクレスポなのに。なぜか安心感が沸いてきた。胸が熱くなるのを感じた。  
「な、なにボケたこといってやがるこのヒョロヒョロノッポ……はぐあっ!!」  
 すごんでみせるヤンキーAの顔面に、有無を言わさずクレスポの投げた石がめり込んだ。  
「何度も言わせるなッス! もう二度とベルカナに手を出すなッスよ。次に同じことやったら、盗賊ギルドが黙っちゃいないッスからね!」  
 その一言でヤンキー共の戦意が見る見る喪失していくのがわかった。  
「と、盗賊ギルドのモンか……!」  
「や、ヤバイ……に、逃げろっ!!」  
 ドケチで待遇が悪くても、ロマールの盗賊ギルドは大陸一だとも言われるほどだ。その影響力は計り知れない。  
 ヤンキーAは流れる鼻血もそのままに、ヤンキーBはクレスポが鞭の拘束を緩めてやるとどうにか抜け出し、2人ともほうほうの体で逃げ帰っていった。  
「やれやれ……。ベルカナ、大丈夫ッスか……」  
 いつになくまじめにやったクレスポは、でっかい息を吐いてベルカナに歩み寄る。  
「クレスポさん………はっ!?」  
 ほっと安堵の表情を見せたのもつかの間、ベルカナは急に青ざめて口を覆った。  
「こ、こないでください、クレスポさん!」  
 急に態度を一変させ、狼狽しながら腰を抜かしたまま後ずさりするベルカナ。  
「そ、そりゃないッスよ……。そりゃあ、白馬の王子様じゃないッスけど………ん?」  
 がっくりとなったクレスポは目ざとくそれを発見した。そして、大してよくもない鼻がこの場に似つかわしくない匂いを嗅ぎつけた。  
 
「べ、ベルカナ……まさか」  
「い、嫌です……こないでください! 見ないでください!」  
 ベルカナの指輪が放つライトの明かりがそれを照らし出している。  
 ベルカナの足元から広がった小さな水溜りを。それはベルカナのスカートを濡らし、鼻につくアンモニア臭を漂わせていた。  
「ベルカナ、も……」  
 思わず口にしかけたクレスポだったが、どうにかその言葉を飲み込むことができた。  
 両目をうるうるさせ、いっぱいの涙を溜めて羞恥に顔を真っ赤に染めている顔を見たら、そんなこと死んでも口にできない。  
「こ、これは雨ですわ……っ! 雨がふってきたらか、だから……っ!!」  
 必死に言い訳をするベルカナ。  
 しかも都合よく、立ち込めていた暗雲からぽつりぽつりと小粒の雨が降り始めてきた。  
「……そうッスね。雨ッスね」  
「うう………うう……ひっく……」  
 しとしとと小雨が降り始めた夜の路地で、ベルカナはぐすぐすと泣き出してしまった。  
 
 
 
「落ち着いたッスか?」  
「…………」  
 扉越しにクレスポはベルカナに声をかけた。  
 あれからすぐにクレスポはベルカナを引っ張り、宿に戻ってきていた。  
 あの格好のまま、雨具もなしに自由人の街道を挟んだ上流、要するに貴族連中が住んでいてベルカナの家のある北区まで連れて帰るにはさすがに遠かったので宿に戻ったわけである。  
 ベルカナにタオルと、なるだけ女が来てもおかしくないズボンを選んで渡し、クレスポは廊下で着替え終えるのを待っているというわけだ。  
「ベルカナ?」  
 だが、返事が無い。  
 まぁ無理も無いだろう。弱みを見せたがらないベルカナが弱みを見せてしまったのだから。  
(しかし、あのベルカナがおもらしするほど怖がるなんて……ちょっと意外だったかもッス)  
 ぼんやりとそんなことを思いながら待っていると、  
「……もう入ってきてもいいです」  
 不意に中からベルカナの声がした。  
「そ、そうッスか……?」  
 クレスポはあわてて立ち上がり、注文しておいた暖かい紅茶を載せたトレイを持って、自室の扉をあけた。  
「ベルカ………いいっ!?」  
 がしゃん!  
 クレスポは扉を開けた先の光景に驚き、思わずトレイを取り落としていた。  
「……クレスポさん」  
 ベッドの上にはベルカナが腰掛けていた。  
 ただし、渡したタオルもそのままに、ズボンにも足を通していない。それどころか、雨でちょっとぬれただけの上着も、下着も脱ぎ去った素っ裸でだ。  
「ななな、なにしてるんスか、ベルカナ!」  
 思わず目を手で覆い隠し、自分でもびっくりするくらい狼狽した情けない声をあげるクレスポ。  
「……責任とってください」  
 ぼそりとつぶやくベルカナ。  
「せ、責任ってなんスか!?」  
「……あんな死ぬほど恥ずかしい姿を見られては、私もうお嫁にいけません……ですから責任とってください……」  
 先ほどのことを思い出したのか、それとも素っ裸であることの羞恥からなのか、耳まで真っ赤になったベルカナが蚊の鳴くような声でささやく。  
「あ、あれは不可抗力ッスよ、だから」  
「……私、魅力ないですか?」  
 そのか細い呟きに、クレスポの口がふさがる。自然と目を覆い隠していた手に隙間ができる。  
 しなやかな肢体。雪のように白い肌。どう贔屓目に見ても17歳には決して見えない控えめな胸。その頂点はきれいな桜色。  
 股間には髪と同じチョコレート色の陰毛が程よく茂っている。  
 今まであれだけひどく言ってきたが、綺麗な身体だった。  
「……そ、そんなことないッスけど…」  
 しどろもどろになって答える。  
「だったら……私を抱いてください……」  
 やはりか細い声で、だがはっきりと言葉をつむいでいくベルカナ。  
 
「だ、だけどベルカナ……」  
「……あなたはいつもそうです。アイリちゃんやコルネリアさんにはへらへらしてるのに、私にだけは酷いことばかり言う……」  
「い、いやそれとこれとは別ッス……」  
「……私はこんなに……いつもいつも、自分でも気づかないうちにこんなに……」  
 反論しようとするクレスポの言葉に耳も貸さず、ベルカナはぶつぶつと呟き続ける。  
「べ、ベルカナ……?」  
 だが、それでもおろおろし続けるクレスポに、ついにベルカナがキレた。  
「も、もう! 女の子がここまでしてますのに! あなた、本当はシャイなんですか、それとも根性なしなんですかっ!」  
「ちょ、ちょっと待つッスよ…!」  
「いいえ、待てません! 私がこんなにも……あまり認めたくはありませんでしたけど、こんなにもあなたが……す、す…っ!」  
 想いが溢れてくる。  
 初めて感じたのは、盗賊ギルドに入ったばかりのころ、クレスポと2人で盗まれた指輪を取り返しにいったとき。  
 実は新米の自分たちの戦闘力テストだったあのときの、クレスポと盗賊ララを見ていて胸に芽生えた言い表せないもやもやとした感情。  
 心配させるごとに感じていたのは母性愛なんかではないことにも気づいた。バカをやって死んでほしくない。自分の前からいなくなるのは嫌。  
 そして今日、助けに来てくれたのがすごく嬉しかった。  
 認めたくなかったその感情をはっきりと気づかせてくれた。  
「私はあなたが……好きなんですから……ッ」  
「ベルカナ……」  
 言った。言ってしまった。耳までどころか首まで真っ赤になる。  
 ベルカナはうつむいたまま動かない。クレスポも無言の状態が続いた。  
 バタン。ガチャリ。  
 突然響いた音に、びくりと身をすくめるベルカナ。視線を上げると、クレスポが扉を閉めて鍵をかけた音だった。  
「わかったッス。据え膳食わぬは男の恥ッス!」  
 クレスポは腹を括ると、一息でベルカナの座るベッドに飛び込んだ。  
「ちょ、ちょっと待ってください!」  
「な、なにッスか? 怖気ついたッスか?」  
「ち、違います! あ、あなたは私のこと、ど……どう思ってますの!?」  
 せっかく一世一代の大告白をしたというのに、返事もなしに押し倒されるのも癪だった。  
「そ、それは……」  
「それは?」  
「ま、まぁそのなんスか……ベタなんスけど……こんな身近に、こんな魅力的な子がいるなんて気がつかなかったッス……」  
 ぼそぼそと、視線をそらしながら呟くクレスポ。  
「そ、それじゃあ、私のこと、好きなんです……か?」  
「た、たぶん……好き、かもッス……」  
 いまいちはっきりしないが、とにかく今はそれで十分だった。  
 本気で赤面しているところから、クレスポは意外とテレ屋なところもあるのかもしれない。意外な一面をしって、ようやくくすりと笑い声をもらすベルカナ。  
「な、なんスか! 泣いたり怒ったり笑ったり忙しいヤツッスね!」  
 クレスポは照れ隠しするように、ベルカナを後ろから抱きすくめた。  
「きゃっ! クレスポさん! さ、最初にすることがあるでしょうに!」  
「さ、最初に…ッスか?」  
 思わず欲望に従って胸に手を伸ばしかけたクレスポだったが、その手が止まってしまう。  
「い、言わなくてもわかるでしょう!」  
 目を閉じて唇を心なしか尖らせるベルカナ。  
 
「あ、ああ。そういうことッスか……」  
「は、初めてなんですから普通にしてくださいよ……」  
「大丈夫ッス。俺も初めてッスからそんなにマニアックなことは実はよく知らないッス」  
「え、ええ!? そ、そうだったんですか……」  
 いつも女の尻ばっか追いかけてるから勘違いしていたが、どうやらクレスポは追いかけるだけで相手にされないのは相変わらずで、結局チェリー君らしかった。  
 クレスポはぎくしゃくとベルカナの唇に自分の唇を重ねる。  
「んっ……」  
「ちぅ……」  
 ただ唇を合わせるだけのキス。  
 し終わったあと、なぜか2人して硬直。  
「え……と。それじゃあ……触るッスよ?」  
「は、はい……」  
 あれだけ強気に抱いてくれといったが、いざはじめるとなると胸がドキドキする。  
 クレスポの手がベルカナの薄い胸に重なる。  
「んっ……」  
 ふにふにと無い胸を寄せたりしながら、やわらかいような硬いようなその感触を楽しむように揉みしだくクレスポ。  
「あ、案外やらかいッスね……」  
「あ……ん……くふっ……く、クレスポさん……っ!」  
 しばらくその感触を楽しむうちに、ベルカナの桜色の乳首がコリコリとしこりはじめてくる。  
 それに気づいたクレスポが、今度は乳首を重点的にいじる。  
「あっ、あっ、うあっ……!」  
 オナニーすらしたことのない少女の身体に未知の感覚が押し寄せ、ぞくぞくと全身を振るわせる。  
「も、もっとベルカナの身体みたいッス」  
「あっ、クレスポさん……きゃあっ!?」  
 クレスポはベルカナの返事も待たず、右手は胸をいじったまま、左手を下半身に伸ばした。  
 チョコレート色の陰毛を掻き分け、ベルカナの割れ目に指を這わせる。  
「ひあっ! そ、そこは……っ、ああっ、だ、だめです……っ」  
「ダメって、ここいじらないとできないッスよ。……おろ、しかもちょっと濡れてるじゃないッスか」  
 その言葉に瞬時に顔を赤く染めるベルカナ。  
「そ、そんな……だって……ひゃああっ!!」  
 言い訳しようとするベルカナの秘所に、クレスポの指がつぷぷっと埋没する。  
 そのままその中をかき混ぜるように動き回るクレスポの指。  
「ひぅっ! や……そ、そんなかき混ぜないで……ああっ!!」  
 にちにちと聞こえていた微かな水音が、だんだんとくちゅくちゅと大きくなっていく。  
「ベルカナ、横になるッス」  
「は、はい……ああんっ!!」  
 クレスポはベルカナを横にすると、腰を持ち上げまんぐり返しにして秘所を攻め立てる。  
 
 ぐちゅっ、くちゅっ、にちゅりっ、くちくちっ!!  
 
「ふあっ、んあっ! こ、こんな格好……あっ……は、恥ずかしいですっ……!」  
 クレスポはそれに答えず指を動かし、さらにころあいを見計らって口を近づけた。  
 
 ちゅううっ……じゅるっ、ぐじゅっ!!  
 
「ひゃああっ!? だ、だめっ、そんなとこ舐めないでくださ……っ!!」  
「ダメッス、舐めるッス」  
 クレスポはベルカナの足をつかむと、思い切り広げてその間の割れ目に下を這わせ、愛液をすすり上げる。  
「あっ! あっ!! ひあっ! だ、だめっ、な、なんか……んくっ! き、きちゃいま……っ!!」  
 ベルカナの矯正がどんどん高まっていく。  
「ひっ! ひーっ!! あひゃあああっ!!!」  
 クレスポの舌がクリトリスを執拗に舐め上げたその瞬間、ベルカナの身体が一際大きく震えて、続いてがくっと力が抜けていった。  
「はーっ……はーっ……」  
 クレスポが足を離してやると、くたりとベッドに突っ伏すように崩れ落ちた。  
「えーっと。イッたみたいッスね」  
 ベルカナは答えず、顔を真っ赤にして股間と胸を隠す。  
「隠しちゃ続きができないッスよ」  
「……は、はい……」  
 
 クレスポは再びベルカナの足を掴んで軽く開かせる。  
「じゃ、じゃあ入れるッスよ……」  
 クレスポはクレぽんジュニアの先端をベルカナの割れ目に押し付ける。  
「んくっ……!」  
 ベルカナは一瞬びくりと震えたものの、それ以上の抵抗は見せなかった。  
 ずず、とクレぽんジュニアが濡れそぼったベルカナの中に押し入っていく。  
「あっ……ああっ!! ふぅ……んっ!!」  
 ぬるりとクレぽんジュニアがベルカナの中に落ち込む。暖かい、いや熱いものに包まれたような感覚にうめき声を上げるクレスポ。  
 それをこらえながら、肉を割ってベルカナの中をゆっくりと進むクレスポ。  
「くぅ……い、痛っ……!」  
 ベルカナが悲鳴を上げるとともに中の圧力が強くなり、ジュニアが押し戻されそうになる。  
「うあ……す、すごいッス……」  
「わ、私はすごく痛いです……ああぅっ!」  
 身体の中をはじめて異物が突き進むその感触に、悲鳴を上げるベルカナ。  
「あっ……だ、大丈夫ッスか? ぬ、抜いたほうがいいッスかね?」  
 あわてて腰を引くクレスポだったが、ベルカナの足がクレスポをカニバサミにすることでそれを防いだ。  
「だ、大丈夫……ですから……つ、続けてください……うあっ」  
 ぐぐ、と足でクレスポの挿入を促したことで再び鈍痛がベルカナを襲う。  
「くああっ……は、入ってきてます……っ……いたっ!」  
 ぶつり、と何かを裂く感触。ベルカナの秘所から血があふれ出してくる。  
「べ、ベルカ……」  
「ほんとに大丈夫ですから……続けて……くぅぅ……かふっ!」  
 苦痛にあえぎながら、健気に振舞うベルカナ。  
「うっ……べ、ベルカナって、実はこんなに可愛げあったんッスね……」  
 ギチギチとジュニアが締め上げられる。そんな硬いベルカナの中を必死に掘り進むクレスポ。  
 血に混じりながら、ぐちゅぐちゅといやらしい水音も響いてくる。  
「ふぅぅんっ……くはっ……あふっ!!」  
 ベルカナも少しずつ、少しずつ痛みに慣れてきたのだろうか。苦痛の声に鼻にかかったあえぎ声が混ざり始めてきた。  
 
 いよいよここから、と思ったそのとき。  
「うあっ、も、もうダメッス!!」  
「……ふあっ………え?」  
 
 びゅくっ! びゅくびゅく! びゅるるっ!!  
 
「ふはー……あー……」  
「へ、へ!? も、もう出ちゃったんですか!?」  
 お腹の奥で熱いものがはじける感覚。じわりと、内側から熱が全身に広がっていく。  
 せっかく少しずつ気持ちよくなってきたかと思ったのに、これで終わり?  
 ベルカナは急速に自分の中でしぼんでいくクレぽんジュニアを感じていた。  
「も、もー限界ッス……」  
 すぽっとクレぽんジュニアがベルカナの中から抜け落ち、そのままクレスポはベッドに倒れこむ。  
「ちょ、ちょっと……わ、私はまだ気持ちよくなってません!」  
「す、すまないッスー……で、でも体力が続かないッス……」  
 けだるげな表情でベッドに大の字になるクレスポ。  
「そ、そんな……」  
 もどかしげな表情のベルカナ。  
 痛々しく割れた秘所から、破瓜の血とクレぽんジュニアのザーメンが混じってピンク色になったモノがコプコプと逆流してきた。  
 肝心のクレスポがグロッキーでは、イクにイけない。いまさら1人で慰める気にもなれないし、1人えっちの経験もないのでうまくイけるかもわからない。  
「も、もうクレスポさん! しっかりしてください!」  
「そ、そんなこといわれたって虚弱体質なのは前々からッスから……」  
 がっくりと、すでに起き上がる体力もないのかクレスポがベルカナに揺り動かされながらようやくといった感じで答える。  
「…………」  
 呆然とクレスポを見下ろすベルカナ。  
「……ふ」  
 その口から、笑みがこぼれた。  
「……ふふふふ。わかりました」  
 その顔に、黒い笑みが張り付いた。  
「ええ、わかりましたとも。これからはたっぷりと、クレスポさんが一人前の幹部に、いえ、男になれるよう、しっかり私が鍛えてさしあげますわ。それと、必ず私なしではいられないようにしてさしあげますから、覚悟してくださいね!」  
 ブラックベルカナ、発動。  
「まずは体力、いえ、精力トレーニングですわっ!」  
 むんず、とへにゃったクレぽんジュニアを掴み、無理やりしごき立てるベルカナ。  
「ひいいい! か、カンベンしてほしいッスー!」  
 思いを告げて1日。  
 さっそく立場が逆転しそうなカップルの誕生であった。 

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