アイルが夜中トイレに起きると、食堂から漏れる光が
ドアからひょいと覗き込むと、そこには一人テーブルに座りコップを傾けているナジカが居た
最早、明け方に近い時間である
不思議に思い、アイルはナジカに近付いた
「どうしたんですか先生?こんなじk・・・!」
近付くと凄まじい程の酒の臭いに気が付いた
文字通り、浴びるほど飲んでる。そういった風情だった
「・・・あ〜、アイル君なぁ。こんな時間まで起きてたらアカンよぉ」
焦点の合わない目を向けにこやかに微笑む彼女の姿は何故だか悲哀を感じさせた
慌てて、近付いたのはナジカの身体を心配したのもあるが、何故だか彼女が消えてしまいそうな錯覚に陥ったからだった
「先生、駄目ですよ。こんなに飲んじゃ身体に毒です」
「ええの、ええの。うちは・・・うちは大丈夫だから。みんなを守るって誓ったんやから・・・誓ったんやk・・・」
俯いてくぐもった嗚咽と鼻をすする音が嫌に部屋に響いた
「何があったんですか?先生、泣かないで下さい。僕に出来る事があったら、何でもしますから」
どうして良いか、なんと言って良いか判らない
判らないけど、先生を安心させたい
こんな姿のナジカを見るのは、あまりにも辛かった
先生には微笑んでいて欲しかった
「先生やってね、お酒くらい飲みたい時があるんよ・・・・・・。泣いてなんかあらへん」
「先生・・・」
「みんなの事はうちが守る。だから大丈夫や。
みんなの笑顔を守る為だったら、うちどんな事だって耐えられるんや」
そう言って、アイルの頭を撫でる
「みんなは、うちの宝物や」