「……んんっ」
「ふ……むっ」
孤児院の一室に、秘やかな吐息が響く。
深夜、キーナとブランシュは自室のベッドで熱い抱擁を交わしていた。
頬を紅潮させながら互いの唇を吸い、舌を絡め合う。
二人の口端から糸を引いた唾液が、まだ薄い乳房を濡らしていった。
まだ二人とも月のものが来る前のことだったろうか、
ブランシュが、甘えるようにおやすみのキスをねだってきたのが始まりだった。
最初は頬にしていただけのキスが、じゃれ合うように唇を重ねるようになり、
次第に深く、長いものへと変わっていった頃には、もうそれなしでは眠れなくなっていた。
性に目覚める年頃の二人が、毎夜柔らかい唇と舌、そして甘やかな唾液を味わううちに、
それだけでは満足できなくなるまで、長くはかからなかった。
ブランシュが固くなった薄桃色の乳首を、キーナのそれにこすりつける。
キーナがブランシュの下着に指を滑り込ませて、しっとりと濡れた割れ目をさする。
人には見せられないような恥ずかしいことをしているという背徳感と、
物欲しげに疼くところを慰め合う快楽に、年若い二人は溺れていった。
ついには、二人で木の実を採りに行った時に、森の中で全裸になって股を開き、
秘唇をぴったりと合わせて、夢中で腰を振り合ったことすらあった。
最初のうち、積極的に行為を求めてきたのはブランシュの方だった。
それが、今ではキーナの方が、彼女の温もりの虜になっていた。
気分屋のブランシュにつれなくされて、すすり泣きながら愛撫を願った夜もある。
そして、今夜も。
「……キーナぁ」
ブランシュの甘く囁く声が、キーナの頭を痺れさせる。
「ブランシュ……好き、好きなの……だから、もっと……お願い……っ」
柔らかい胸に顔を埋めて髪を振り乱すキーナに、ブランシュが微笑む。
「いいよ、私もキーナの甘いの、舐めたい」
二人は体を入れ替えると、互いの股間に顔を埋めた。
子犬が水を飲むような卑猥な音が、部屋に広がっていく。
汗ばんだ肢体を揉み合う少女たちの喘ぎ声は、いつ果てることも無く続いた。
――満足しきった表情で微睡む二人。
「ねえ、先生また見てたね」
「こそこそしてても分かるのにね、ふふふ」
「見られながらするのも、気持ちいいけど」
「先生の乱れるとこも見たいよね」
笑って顔を見合わせると、二人はまたキスを交わした。
一週間後。
孤児院の一同は、依頼を受けてアスタという村へ向かっていた。
道を急いでいるうちに、体力の無いナジカとブランシュが遅れ始める。
「先生、疲れたね……」
「ブランシュちゃん、疲れたの?ルルに乗りなさい」
ラバに乗せてもらったブランシュが、キーナに悪戯っぽい目配せを送った。
うなずいたキーナは、疲れた様子のナジカに声をかける。
「私が背負います、先生どうぞ」
「やったらお願いするわ、みんな、おおきに」
素直に教え子の背中に身を預けたナジカが、ほっと一息ついたのも束の間。
彼女は、股間に伸びてくる指の感触に気付いた。
「キ、キーナちゃん……何しとんの、あかんて」
キーナは聞こえない風に、ナジカの秘所を丹念に撫で上げながら呟いた。
「ねえ、先生……私とブランシュのこと、毎晩見てたよね」
はっと、ナジカが体を硬くする。
「先生も、寂しかったんだよね、ここが……」
女の一番感じる場所を的確に捉えられて、ナジカが身を震わせる。
「……っ!あ、あかんのよ……女同士で、そんな……」
「私たちがしてるのを覗き見して、自分でここを慰めてたのに?」
「そ、そんなん……」
してない、と言いたかった。
けれど、食い入るように教え子の痴態を見ながら、幾度となく手淫に耽ったのは事実だった。
「言ってくれれば、いつでも混ぜてあげたのになあ」
キーナは容赦なく、着衣の上からでも分かる程に固くなった陰核をこすりあげる。
「……あかん、あかんよ……みんなにも、気付かれ、て……」
弱々しく抗いながら、キーナにしがみつく。
「大丈夫だよ、先生が変な声出さなきゃ」
ナジカは観念したように、キーナのうなじに顔を埋めた。
首筋にかかる熱い吐息が、ナジカの昂奮を物語っている。
「先生、ほら……あそこがくちゃくちゃ言ってるよ。凄い音」
「〜〜〜っ!」
恥ずかしい水音も、荒い息も、全てみんなに聞かれているような気がして、
ナジカは羞恥でおかしくなりそうだった。
しかし、官能を我慢しようとすればする程、性感が煽り立てられていく。
(イ、イく……っ!みんなの前で、イ……っ!)
教え子の指で責められ続けたナジカは、最後には自分から求める言葉を口にした。
「キ、キーナちゃん……あかんの、まだ欲しいの……っ」
「村に着いちゃったから……また後でしてあげてもいいですよ?」
「……」
すがるような目でキーナを見てから、発情した体を持て余すように、
ふらふらと村長の方へ歩いていくナジカの姿を、二人の娘は嬉しそうに見ていた。
「今晩は楽しめそうだね」
「夜まで、我慢できるかな……先生?」
指を濡らした愛液を舐めながら、キーナはにっこりと笑った。