●欲望が、止められない…。お前が、欲しい…。  
 
「『──イリーナ』」  
 
浴びせるようなキスを中断し、その身体を、ただ、抱き締めた。  
イリーナの身体を、ひしと抱き締めて。  
伝わる温もりが──切なかった。  
「……イヤか…?」  
耳元で呟くように囁くように、ヒースはイリーナに問掛けた。  
 
「兄さん…兄さんっ…わたし…っ…」  
ヒースの薄い色の金髪に頬を埋めながら、イリーナの両手は、ヒースにすがりつくような形で添えられた。  
その力は、強くない。  
「………わたし」  
イリーナは言葉に詰まる。言葉が見つからない。  
ヒース兄さんのコトは、嫌いじゃない。  
こうして抱き締められいても、それが当たり前の親愛の愛情と、感じるくらい──自然で。  
ただあまりに突然で、心の準備がまるで出来ていなくて。あまりにヒース兄さんが、卑怯で…。  
───意外で。  
「ズルイです。……聞いてナイです」  
「……ナニがだ」  
低くくぐもった、奮える声。男の声、だった。  
「だって、わたし…ヒース兄さんの気持ち…聞いてナイです…」  
 
次の瞬間。ゾクリと、イリーナの身体に異様な感覚が走った。  
ヒースがイリーナの耳朶を、口に含んでいた。  
「…ぁ、ぅ…」  
「まだ…わからないのか?」  
舌で耳たぶを舐めあげながら、ヒースがイリーナの耳に、言葉と息とを吹きこんだ。  
「どこまで鈍感な鋼鉄の女なんだ、お前わ」  
イリーナの身体をヒースの大きな手が、まさぐり始めた。  
幼馴染みの兄妹分として、じゃれあううちに気づき覚えてしまった、ヒースだけが知るイリーナの感じやすい急所を──的確に刺激する。  
「…ぅ、ンンっ…?!」  
硬くシコった胸の頂点を、摘む。「あっ…?!」  
まだ男を知らない固い花の蕾は、軽く触る度にビクビクと反応する。  
「……こんなに、身体は敏感なのに…な」  
耳元で声をひそめて囁きかける。「ひぁ…ぁ…っ!」  
身体を覆う未知の感覚に、イリーナの背が反り、腰が跳ねる。  
呼吸が獣のように、荒くなっていた。  
知らない人のような、初めて見るヒースの『男』の顔。  
初めて『男』に出会った『女』のように、イリーナは戦慄き、震える。  
身体が熱い。──堪えられないくらいに。  
きゅん、と──下腹に甘美な、ウズキ。  
両足の間が、身体の奥が。イリーナの女性の部分が男性を。『ヒース』を、求めていることをイリーナは自覚した。  
「…あ…」  
 
羞恥心から。そして誰かに申し訳なくてイリーナは顔を、両方の手の甲で覆い隠した。  
 
今、ヒースが『兄』ではなく、ひとりの『男』としてイリーナの前にいる。  
それをイリーナは、全身で感じとっていた。  
 
ヒース兄さんに、キスをされた。──戸惑いはある。それでも、嫌じゃなかった。  
兄さんが身体を抱き締めている──もっと抱き締めていて、欲しかった。  
兄さんの腕の中は、どこか懐かしくて、安心してしまう。  
ひとりの少女として、ヒースに扱われて、求められているコトが、嬉しかった。  
───嬉しいと、思った。  
 
ただの兄妹分以上の関係を、望んでいる。そんな自分に、気づいて。  
性。その未知の体験への、怖さはある。  
それでもイリーナは、受け入れようとした。  
 
──この『大切な人』を、失いたくなかった。  
 
この行為が自らの純潔を、捧げる事になると、わかっているけれど。  
今、彼を。『ヒース』を拒絶したなら、2度目がナイ事を、本能的に感じとっていたのかも知れない。  
 
「あ…」  
僅かに身じろぎをすると、イリーナの太腿が、ヒースの股間の熱くて硬いモノを触れた。  
それが何か察して、イリーナは頬を染め、身をすくませた。  
 
「──っ?!」  
その行為にヒースが驚いて、小さく声をあげた。  
「…イリーナ、お前」  
瞳を潤ませ真っ赤になりながらも、イリーナは真摯にヒースに応える。  
「…兄さん…。私…兄さんなら、いいです。私のはじめてを、兄さんにあげます…」  
 
───ずっと、聞きたいと願っていた、言葉。  
夢の中でしか、聞けないと思っていた、コトバ。  
それは正直さを美徳とするファリス神官の口から溢れ出る。  
それでも聞き返さずにはいられなかった。  
「…いいのか? ホントに…いいのか?」  
イリーナの目には、ヒースが半眼になって、何かに耐え苦しんでいるように、見えた。  
 
「…兄さんのコト、信じてます。誰よりも。…信じさせてクダサイ。  
 イケナイコトをしても…ずっと、私を大事にしてくれるって…。  
 ずっと、一緒に…いてくれるって…!」  
イリーナの潤んだ瞳に、様々な感情を押し殺したヒースの顔が映る。  
ヒースの瞳に、恥じらいに美しく頬を染めたイリーナが映る。  
ほんの少しだけ開く唇と、震える喉が、ひどく煽情的に映った。  
揺れる瞳の中に、互いの想いを感じ、受け入れた。  
静かに──微笑む。  
「…ああ。信じてろ」  
唇を寄せた。重ねる。重なる。ついばむ。幾度も。幾度も。  
イリーナからも求める僅かな反応を、ヒースは敏感に感じとり、笑みを浮かべる。  
そして、次第に──深く。  
イリーナの口内にヒースの舌が侵入し、犯した。  
唇の感触。はじめての他人の舌の感触。  
無器用に縮こまっていたイリーナの舌を、ヒースのものが挑発し、絡む。  
身体の熱さ。頬の熱さ。身体中が火照る。  
キス。与え与えられる感触、それだけが世界のすべて。  
早鐘のような鼓動が、お互いに聴こえてしまっていると思った。  
触れるイリーナの唇の柔かさ。  
指に絡むヒースの髪の柔かさ。  
溢れる吐息の熱さ。  
絡んでくるヒースの舌の感触が、卑猥で、淫らで、それでもとても心地良くて。  
ずっとずっと、して、いたかった。  
背がゾクゾクする。イリーナはヒースの抱擁から、堪らず逃れるように背を退けそらせる。  
ヒースはそれを許さず、腰とうなじに手を回し、抱き寄せた。  
口内に溜る唾液を、互いに混ぜ合わせ、塗りつける。  
そんなことを続けて…息が苦しくなる頃、ほんの少しの余裕をつくりだし、互いに飲み下した。吐息の熱さ。イリーナの身体から立ち上るオンナの香り。  
イリーナの舌が躊躇いながらも、ヒースの舌に応える。  
そのことが、嬉しくて、愛しくて。  
──信じられなくて。  
栗色の髪を掻き分けて片手でイリーナの後頭部を支え、逃れられないように、頤をとる。  
その間の僅かな隙間で、ちゅくちゅく、と舌と唾液の音。  
イリーナは切なげに眉を寄せて、目を閉じていた。ただ、一心にヒースに与えられ続ける感覚を、受けとる。  
今のイリーナにとって、ヒースに与えられる熱い体温と切ない感覚が、世界のすべてだった。  
逃れられず抱き寄せられたイリーナの身体は、ヒースの逞しい胸の中にすっぽりとおさまり、互いの熱い体温と速い鼓動を伝えあう。  
 
絡む舌の感触が卑猥。なのにとても心地良くて───止められない。  
淫らな愛しさ。ずっとずっと、していたい。していたかった。  
いつしかイリーナの腕が、そっとヒースの背中に回って、抱き締めていた。  
甘い吐息。互いを求め、かすめる指先。唇。より強く深く求め温もり。絡む脚。ヒースの身体の重み。  
感覚すべてに──ゾクゾクする。  
興奮が、身体を熱くする。じわりと、肌に汗を浮かばせていた。  
ヒースが口を離すと一瞬、唇と舌との間に唾液の糸がひいて、途切れた。  
ヒースの手が、頤からイリーナの胸へと移動し、神官服の胸元の赤いリボンを、しゅるりと、音をたてて解かれた。  
神官衣の上着の裾に、ヒースが手を滑り込ませる。そのまま神官服を胸の上まで捲り上げられ、イリーナの胸が露出させられた。  
ヒースの視線の先で、ピンク色の胸の尖端がプルリと、震える  
 
右側のそれをヒースは愛しいモノのように口づけて口に含み、もう片方はそっと指で摘んだ。  
じかに摘まれヒースの指先から、胸の尖端に与えられる、切ない感覚。  
擦られ、転がされ、くにくにと揉まれる。  
「ん、ああっ…!?」  
イリーナの脳に、甘い痺れ。  
ゾクリとした感覚。両足の狭間に、とろりとした感触を感じる。  
男の手が。ヒースの行為が、これほどまでイリーナの身体を翻弄するとは、思いもよらなかった。  
イリーナ自身も知らなかった、淫らなイリーナの一面を、晒けだし暴きだす。  
「はぁ…ッ!?…ふぁっ…んくっ!!」  
身体の震えが止まらない。ヒクヒクと、身体が、勝手に震える。  
これから、自分はどうなってしまうのか。どれ程のモノを感じるのか。  
初めての刺激と感覚に、イリーナの身体は小動物のように震えた。  
怖かった。  
それでもイリーナは、ヒースの与えるモノに抗えない。  
ヒースを拒み、抗いたくなかった。  
 
肌を這って、ゆっくりと下半身に降りてゆくヒースの吐息。  
唇から時折、焦らすように与えられる舌の感触。イリーナの肌を確かめなぞるように滑る指先。  
ヒースが与える刺激を、イリーナはギュッと目をつむり、その感触だけを受けとり続ける。  
「んっ…あんっ!…に、兄さん、兄さん…っ…!」  
 
その声に次第に余裕が、無くなっていた。イリーナもヒースも。  
羞恥と戸惑い。そして…翻弄される感覚の命じるまま、イリーナは腰を浮かせた。  
茶色の瞳を潤ませ、ヒースを見上げる。  
「兄さん…」  
─── 誘惑。  
イリーナに最も似つかわしくないその行為が、ヒースの劣情に火をつけた。  
躊躇うことなく、ヒースはイリーナのスカートの中に手を差し入れた。  
飾りけのない白い下着に手を添えて、ゆっくりと、下ろす。  
浮かされた腰ゆえに、抵抗はない。滑らかなイリーナの尻を、ヒースの手が滑ってゆく。  
イリーナの腰骨が、いまだ淡い栗色のけぶりを持つ恥丘と谷が露になる。  
ヒースは無意識のうちに、生唾を飲み込んでいた。  
イリーナのまだ誰も手を触れさせた事のない綻びを目にして、ヒースの頭に血が上る。  
イリーナの秘唇。ヒースを受け入れるべき秘裂。  
喉が渇く。知らず、何度も唇を舌で湿らせていた。  
イリーナの下着をその足先から外して、ベッドの下へ、ぽとりと落とした。  
 
指先をイリーナの滑らかな下腹部に滑らせる。  
それは初めて、まじまじとみる女の性器だった。  
指先を恥丘に潜り込ませ、その谷間の奥をを探り、誰も触れた事のないダークローズの秘唇、貝を割り、綺麗なピンク色をした膣内へと指先を挿し入れた。  
くちゅり、と粘着質な水音がした。ヒースの指先が、濡れる。  
 
「んっ…!?」  
「…濡れてる、な」  
ヒースが笑みを洩らす。濡れた指先を、中で掻き回す。  
「ひぁ…ぅっ?!」  
クチュ、グチッ…グチュ…。  
「凄いな…触れば触るほど…溢れてくる。イリーナ、感じてるのか…?」  
「んぁ…ぁ、ああぁ…っ」  
感じとる刺激。  
イリーナがその淫らな音を聞くまいと、両手で頭を抱えた。  
真っ赤になりながらもイリーナは潤んだ茶色の瞳で「聴かせないで」と、ヒースを責めていた。  
そんなイリーナの非難の視線を、ヒースは気付かなかったフリでやり過ごす。  
イリーナの両足を抱えて自らの肩にかけ、大きく広げさせる。  
イリーナの顔のすぐ真上で、イリーナの恥ずかしい場所がすべて、ヒースの目に晒される。  
 
「あ、ん…っ…!?」  
 
イリーナの顔が、恥ずかしさに泣きそうに歪む。  
イリーナの秘唇を指先で広げると、ヒースはそこに顔を埋め、口づけた。  
チュ…チュッ…。  
キスをするだけでは物足りなくて、ヒースは舌を這わせて舐めあげた。  
ペロ…レロ…レロ…。  
「あっ?!…ヤっ!やだぁっ! 兄さんっ…そんな…トコロ…っ!?」  
その行為はイリーナの顔の上、間近で見させられている。  
「…イリーナ、綺麗だぞ。ここ」  
舌先でヒースは、イリーナの貝の中、赤く充血した真珠を転がす。  
「ひぁ…っ?!!…あ!…あ、ああんっ!?」  
触れた瞬間に、イリーナの浮かせた腰がビクリと跳ねた。  
イリーナは切なそうに、足の先まで震える。  
「あっそこっ!?…ヤっ…触らないでッ…! 刺激が…強すぎ……あっ!…ヘンに…なっちゃう…っ…あぅっ!ん、だめ…ぇっ!?」  
赤い真珠を舐める度ごとに、イリーナはビクビクと身体を震わせて、よじり、逃れようとする。  
 
「あ…ああ…あああっ…ヒース兄さん…っ!!」  
 
ヒースの与える舌先の刺激に、ピンク色をした膣から、次第に溢れでる愛液。  
ヒースはそれに気づいて、膣のナカに舌先を捻りこみ、溢れるイリーナの雫を、音をたてすすり上げた。  
イリーナの身体は、ひとつひとつの刺激ごとに、妖しくくねる。  
反応があれば、さらに丹念に舌先と指で愛撫した。  
「ぅあぁっ…ひあ…っ!ふ…ああぁっ!?」  
イリーナはヒースの与える慣れない感覚と刺激に。初めての快感に悶え喘えいだ。  
そんなイリーナの愛しく淫らな姿に、ヒースも次第に余裕を無くしていった。  
頭の中が痺れる。息が重い。  
片手で自分のものを、ズボンの中からら引き出す。  
興奮していたそれは、十分にそそり起ち、先走り液を滲ませていた。  
「……っ?!」  
天を指す、赤黒い肉棒。  
イリーナがはじめて間近で見るヒースの男のモノに、息を飲む。  
それをヒースは片手で軽く扱いて先走り液を塗りつけると、イリーナのまだ男を知らないダークローズの秘唇に、ヒタリと宛てがう。  
プルリとした触感を、イリーナは秘裂に感じた。  
「え…?あ…っ…や、…?!!」  
「いくぞ、イリーナ…っ!」  
 
制止しようとしたイリーナに気づく余裕もなく。  
その余裕のなさを誤魔化すためにヒースは、イリーナの返事を待つことなく、強引に挿入した。  
 
───ずずずっ…ぬぷぷ。  
「ひああっっ!! あ、ああ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!」  
 
無理矢理に押し入り、引き裂かれるような痛みにイリーナの身体が退けぞる。  
「いた!いた…いたい。いたいよ…!ダメぇ…兄さん! む、ムリですっ…イタイ…イタイよ…兄さん…っ」  
「悪い…イリーナ。もう少し…もう少しの、辛抱だから…っ」  
 
体内を押し広げる痛みにボロボロと涙を流すイリーナに、罪悪感を感じ、申し訳ないと思いながらも、  
ヒースはイリーナの内に進入することを、やめなかった。  
───快感で頭がクラクラする。  
熱したナイフがバターの中に沈み埋もれてゆくように、ゆっくりと、ヒースはイリーナを貫き通そうとしていた。  
つん、とナニカが切れるような感覚。  
イリーナの秘所、ヒースが押し入るその部分から流れ出た赤い一筋。  
処女であった証が滲み、シーツを赤く染めた。  
イリーナの膣内は、ヒースのモノで、下腹の奥深くまで、みっちりと満たされ征服された。  
イリーナが確かに『処女』であった証を目の端に捉え、感じて、ヒースは内心、安堵した。  
処女を失ったばかりのイリーナだったが…ヒースはまだイリーナを解放するつもりはなかった。  
ボロボロと涙を流すイリーナの様子を窺い様子をみながら、ヒースはイリーナの上でゆっくりと腰を動かしはじめる。  
ゆっくり、ゆっくり、と。  
ヒースはイリーナの身体を、自らのカタチに慣らしていく。  
「はぁ…は…ぁっ…イリーナ…見ろ。わかるか…? お前のナカに、今、俺が入ってるんだぞ…っ!?」  
イリーナは顔の上で、イリーナ自身の中に、ヒースのモノが出入りするのを、見た。  
目の前で。  
卑猥で見慣れぬ赤黒い『男』のモノが、ヒースの肉棒が、イリーナ自身の体液を潤滑油にして…何度も何度も…。  
何度も…イリーナの秘裂のナカに突き挿し入れられ、ギリギリまで抜かれ、また挿し入れられる。  
その度にジュブジュブ、グチュグチュと体液が掻き出されて泡になり、イリーナのふとももを伝い流れて、滴り落ちた。  
「ひぁ…ふぅあ!…はぁ…ふはぁ…!?」  
ズズッ…ずぷっ…ずぷっんっ…ずず…ズプッ…。  
破瓜の痛みにボロボロと涙を流し息を乱すイリーナの髪を優しく撫でながらも、ヒースは行為を止めるつもりはなかった。  
ヒースは腰を一心に振り続ける。  
「もぅ少し…少し…我慢してくれ…イリーナ…。イリーナ…っ」  
快感をより感じる為。  
イリーナを自らの色とカタチとに染めきってしまう為に。  
 
ゆっくりゆっくりと、イリーナの中に抽出を繰り返す。  
それから、どれだけの時間がたったのかわからない。  
傷ついた痛みにあえいでいたイリーナが。その身体が…次第に…ヒースのモノを受け入れはじめる。  
イリーナの身体は次第に…ヒースのモノで膣内をヌルヌルと執拗に擦られる感覚を…気持ちイイと、感じはじめていた…。  
 
「あ、あぁ…ん。…ひぁぅ…っ!?」  
明らかに快楽の響きを伴った、甘いあえぎ声。同時にイリーナの身体がビクンと震えた。  
我慢に我慢を重ね、イリーナの身体に快楽を導いていたヒースの瞳が、笑った。  
ようやくイリーナを気持ち良くさせる事が出来る。二人で、快感に身を委ねることが出来る…。  
 
「くっ…は、…イリーナ…お前の身体が慣れれば、…俺達はもっともっと、気持ち良くなれるんだぞ…?」  
低い声でイリーナに囁きかけながら、より強めに挿し入れた。  
「ひ…っあ!あ、あぁんっ!ああん!…兄さん!…ヒース兄さん!」  
ヒースのモノが。イリーナのナカが。互いの刺激に反応し、ヒクヒクと反応を仕返す。  
イリーナのナカが締めつける。ヒースのモノがビクビクと震える。  
お互いの言葉以上に、正直な身体の反応。それに気づき、照れ臭さからヒースは動きを速くした。  
己れの感情と欲望をイリーナに悟られる照れ臭さを、イリーナに与える刺激と快感に紛れさせ誤魔化す。  
「んく…っ!? ひふっ…あぅ…あぁあッ…!」  
ヒースが腰を突くごとに、イリーナの目前でイリーナが滴らせる愛液が泡になり、ジュブジュブと音をたてて、飛び散っていた。  
 
 
───互いを求めるカラダを、感じる。  
心から、互いの心と身体とを求めあっていた。  
いつしかイリーナの腰が、ヒースのモノをより深く、より強く感じるように、求めるように動いていた。  
イリーナの視線が絡む。ヒースは笑ってみせる。繋がって、擦れあって。  
汗が肌を伝う。  
そうして、次第に二人で高みを目指す。  
───昇りつめる…。  
 
「ン…アんッ───ふぁぁァ…ッ!? 兄さ…んッ」  
「……ッッ!?」  
快楽の絶頂。  
イリーナのカラダが、ビクビクと痙攣したように震えた。  
イリーナがヒースの腕の中で、背を大きく退けぞらせる。  
イリーナのナカが、ヒースのモノを絞りとるように、幾度も絞めあげた。  
強く抱き締めイリーナの爪が、ヒースの背中にくいこんで、ぷつりと傷をつけた。  
「───ッ?!」  
小さな傷と痛みを気にする様子もなく、ヒースの腰が、一際強くイリーナに打ち合わされる。  
「え?!あ、ああっン…ッ?!!」  
イリーナの腰が大きく跳ねる。  
イリーナの中でヒースのモノが暴発した。  
「…あッ…ああ゛あ゛あ゛っ!?」感じ過ぎ、涙をボロボロと流してイリーナは自分の身体の中に注がれ続ける、熱いモノをぼんやりと感じていた。  
お腹の中に、ヒース兄さんの熱い精液(モノ)。  
感覚が。───…気が…遠くなる。  
ヒースの金色の前髪が、滝のようにヒースの表情を、隠していた。  
茶色の瞳を涙で潤ませたイリーナは、前髪で隠されていたヒースの表情を捉える。  
眉根を寄せて目を閉じて、イリーナのナカに、欲望を吐き出し続ける『男』の顔。  
イリーナに。他人に、はじめて見せたヒースの『男そのもの』の表情。  
『───兄さん』  
…形容しがたい愛しみと哀しみを、イリーナは感じた。  
 
───私達、もう、戻れない。  
 
ただの無邪気な兄妹には、もう。。  
男と女として、互いに『欲望』を感じずにはいられなくなったコトを。  
無邪気な子供時代への『かなしみ』が。『喪失』の哀しみと愛しみが、そこにはあった。  
ビュクビュクッ…ビュッビュッ………ごぽり…  
イリーナのお腹の奥で、ヒースの熱い欲望が溢れて、満たした。  
はじめての女体との交わり。そして、射精。  
イリーナの処女を奪い、白く汚した。  
まだ綻びはじめたばかりだったイリーナの華を、摘みとった。  
目をつむり身体が余韻に震えるまま、ふぅっ…と、深い息をヒースはついた。  
 
荒い吐息を押し殺しながら、イリーナを見下ろす。  
己れの薄汚い欲望を、受け入れてくた、腕の中のイリーナが──愛しい。  
汗の玉を浮かべた、うっすらと桜色に上気した肌。  
潤みヒースを見上げる、イリーナの大きな茶色の瞳。  
ヒースの与えた感覚に蕩ける顔は、普段からは想像もできないくらいに、色っぽい。  
愛しくて、愛しくて。堪らなかった。  
その愛しさが、射精後の軽い鬱から発する哀しさと罪悪感を押し流す。  
後悔なんてしない。したくない。欲しかった華だ。  
その華の中に顔を埋めて、匂いを確かめ他人に摘みとられる前に摘みとる事を、いつしか願っていた。  
後悔はしない。互いが望んだ事。イリーナが俺を受け入れ、望んでくれたこと。  
汗と唾液にまみれて、互いの身体をいたわりながらも、求めて果たした。  
それでも、この行為は終わりじゃない。始まり。ほんの始まり。  
余韻に震えるイリーナの赤い唇に、そっと唇を寄せて、重ねる。  
イリーナは瞳を閉じて、ヒースの逞しい首に腕を絡め、抱きしめる。  
そのまま、二人が満ち足りるまで重ね続けた…。  
 
 
事を終え、ヒースが身体を動かそうとして気づいた。  
身体が動かない。……万力で固定されたように。  
コイツめ。軽くため息をつき、苦笑いをする。  
やはり一筋縄ではいかない。そうだろうとも。俺様だけの特別製だ。  
イリーナは身体の下。  
その下半身をヒースと性器を重ね合わせたまま、未だ絶頂の感覚に酔って、身体を震わせている。  
イリーナの膣がひくひくと痙攣を続けてる。女の快感は、男のそれより長い。  
イリーナの、性行為に汗ばんだ頬を軽く指を触れ、イリーナの注意をひく。  
イリーナの流した涙を、指で掬い取った。  
「…ふ…あ…?」  
「腕を緩めてくれなさい、イリーナ。俺様、動けないぞ」  
「……」  
イリーナが切なそうな顔をした。  
───やだ、寂しい、と。  
それを嬉しく感じる。  
「また、抱いてやる。俺様が飽きるまで、ずっとな」  
「……」  
イリーナが少しだけ、ムッとした顔を見せた。  
意地悪く、笑って見せる。  
 
「──…信じてろ」  
 
軽く、抱き締める。  
逃がさない。諦めたりしない。  
 
イリーナとし続けたい。イリーナを抱いていたい。ずっと。もっと。  
心と身体が、この病みつきになりそうな一体感と心地良さを、忘れられる訳がない。  
イリーナの額に唇を寄せて触れ、栗色の髪をゆっくりと優しく撫でる。  
イリーナが、その腕をゆっくりとほどいて、ぽふり、とヒースのベッドに投げ出した。  
その全てを許した無防備な体。  
細い首。滑らかな肌色、まだ幼さを残すカタチ。  
情を煽る桜色の胸の先の二つの蕾と、下腹のまだ薄い栗色の茂み。  
愛しかった。──綺麗、だった。  
名残惜しげにゆっくりと性行為を解く。  
イリーナの体に顔を埋め、汗を舐めとり、全身にキスを繋いでいった。  
女の部分。その両脚の間は楔から解き放たれ、ヒースがそこに注いだ真っ白い体液をコポリと溢れさせ、イリーナの紺色のスカートに溢れ落ちた。  
その白い滝に失われた純潔を顕す、一筋の赤い流れ。  
真っ赤に充血した美しい赤い真珠が、その白い流れに絡まり卑猥で、そしてとても美しかった。  
脚を広げさせて、イリーナの股間から流れでる二人分の体液を、戸棚から出してきた清潔な布で丁寧にフキ取る。  
敏感になったイリーナの身体は、それだけでビクビクと反応した。「…んっ……ん!」  
口元に作った拳で声を抑え、イリーナはそんな赤子のような扱いに対する羞恥と、卑猥さと、心地良さを堪える。  
そんなイリーナの様子に気づき、ヒースはフトモモの内側をそっと撫であげた。  
「───あっ…!?」  
弱い部分を刺激され、ピクリと足が開き、ひゅっと喉元をのけぞらせた。  
イリーナの茶色の瞳が、目の端に涙を浮かべて、うっとりと焦点を失う。  
イリーナがヒースを探して、手を伸ばす。  
「…兄さん…私。…兄さんが欲しいです…もっと…もっと…」  
蕩けて微笑むイリーナの茶色い瞳と、上気して赤く誘う唇に、ヒースは目を細めて挑戦的な笑みを浮かべた。  
イリーナの伸ばした手をヒースが取る。  
緩く指を絡めて、強く握りしめた。  
イリーナを。この少女の手を、身体を、手放す気はもうない。  
誰にも──紫の瞳が脳裏をかすめる──誰にも、渡さない…。  
 
「『兄さん』と俺を呼ぶな、イリーナ。俺はもうお前の兄じゃ、いられない」  
 
───重なる身体。  
 
イリーナの求めるまま、ヒースはそれからもう一度───した。  
 
 
 
【終】  
 
 
 
「あの、ナカで…出しましたね…いっぱい…?」  
「イヤだったか?」  
「──!?」  
「ん?…どうなんダ?」  
「…イヤじゃないですケド、…デモデモ…!」  
「これで、ずっと一緒に、いられるダロ?」  
「ずっと一緒の…約束?」  
「……言わない」  
闇の中で顔を背けるヒース。  
「むう。それ、ヒドイ人ですよ、ヒース兄さん」  
クスクスと笑いながら、闇の中でイリーナは、ヒースの腕に抱かれたまま、瞳を閉じた。  
『いつか絶対「好きだ」って言わせてやるんだから』そう、胸に誓いながら。  
 
「───ずっと一緒です。ヒース兄さん」  
 
 
 

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