3/7【イリーナ誕生日小ネタ】  
 
「ヒース兄さん…っ」  
 
イリーナは震えていた。  
ヒースから貰った誕生日プレゼントの小さな可愛い包みを、ワクワクして開けた後のことだ。  
真っ赤になって、目の端に涙を浮かべて、ふるふると、震えている。  
ヒース兄さんからのプレゼントを期待してなかっただけに、イリーナは心底、嬉しかったのに。のに。のに。(以下エコー)  
激しい落胆の色を滲ませ、茶色の瞳に涙を浮かべて、ヒースを睨みつける。  
 
「どういうコトですかっ?! コレはっ!!」  
「お兄サマからの、心尽くしのプレゼントに決まっておろう!」  
 
ヒースは胸を張る。張りすぎて、そのまま後ろにひっくり返りそうだ。  
イリーナはそのまま突き倒し、ひっくり返してやりたい衝動をグッと堪えて問いただす。  
 
「わかりました。一応ヒース兄さんの言い分を聞きましょう。鉄拳制裁はその後ですっ!」  
 
どちらにしても殴られるコトはかわりないようだが、ヒースは胸を張ったまま、お馬鹿な子を諭すように偉そうに言う。  
 
「赤貧貧乏半分エルフと同様、金もなければシャレっ気も色気もまったくない、  
 可哀想な妹分に対する優しい憐れみと発破、発奮、激励の意味を込めてだな…。  
 ……購入した次第でゴザイマス、いりーなサン…(汗)」  
 
情け容赦なく用意され素振りされる、銘棒『風林火山』に恐れをなして、ヒースの張った胸は次第に縮こまり、土下座へと変わってゆく。  
 
「わかりました。言っておきたいコトは、それだけですね?」  
 
イリーナはニッコリと微笑みをヒースに向ける。  
 
「…出来れば、いりーなサンが、ソレを着けた姿を拝みたいんデスガ…?」  
 
ガクガクと震えながらもヒースはコレが最後とばかりに、必死に言い足す。  
それに応えず、イリーナは微笑みを顔に張りつけたまま、風林火山を手に構える。  
 
「ま、マテ! 待ちなサイ、いりーな…」  
 
振りかぶる。打ち上げる。  
 
(ドコォン!)  
「ギャァァ…ッ!」  
 
ヒースの身体が、宙を飛んだ。  
 
その後ろ。  
テーブルの上。  
可愛い包みの中には、カラフルな色をした、可愛いくキワドい【紐パン】【紐ブラ】が丸まって鎮座していたそうな。  
 
 
後日、それはバッチリ使用され、  
ヒースの血と汗と涙とナニかの何%かを、絞りとったと云う。  
 
どっとはらい。  
 
【終】  
 

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