「アイリちゅわ〜ん」  
 いつものアイリちゃんの店。  
 いつものようにクレスポはアイリちゃんにダイブして−  
 
 ぎゅっ  
 
と抱きついた。  
「あ、あれ?」  
「もう〜クレスポ。みんな見てるじゃない」  
 クレスポの方が驚いて呆然と手を離してしまう。  
 いつもならさっと避けるかカウンターで殴るのに……。  
「じゃあね」  
 何事もなかったようにアイリはお盆を持って行ってしまう。  
「ん」  
 クレスポは呆然と見送りながら、手をニギニギと何度も握った。まだ柔らかさが手に残っている。  
アイリちゃんの、女性特有の柔らかさが。  
 それは思春期真っ盛りの少年にはとても刺激的で。  
「ごほん」  
 咳の音でハッと我に返ってしまう。音源はベルカナ。  
「クレスポさん、鼻の下を伸ばしてないで」  
「そうだべ。今日はロマールに無事戻ってきたお祝いだかんな」  
 続けてマロウ。  
「そうっすね」  
 彼らクレスポとその仲間たちは、レイドのロマール転覆計画を見事打破し、その首謀者を捕えて盗賊ギルドに引き渡した。  
今日はその祝賀会である。  
 何しろ、莫大な報奨金を貰い、ギルド内の地位も大きく上がったのだ。  
そりゃもう、クレスポも有頂天になろうというもの。  
「よーし! 今日は飲むっスよ!」  
 ベルカナのむすっとした表情にも気にすることなく、クレスポは陽気に笑う。  
 
「でも。さっきのアイラちゃん、確かに普段と違ったわね」  
 宴の最中、シャイアラが何気に出した言葉にベルカナがぴくっと肩を震わす。  
シャイアラの横ではいつものようにブックがサラダを盛り分け、レイドでいつの間にか購入していた本を読み耽っている。  
「そりゃーもちろん! 俺の実力と凄さに気付いたんスよ!」  
「はいはい、確かにクレスポさんは凄いですわ」  
 ワインを口にしつつ、ベルカナが適当そのものの声で相槌を打つ。  
 確かにクレスポは僅かな期間に成長した。それは全員同じなのだが。  
 盗賊ギルドの幹部になり、国家間の紛争を事前に解決し−  
 ちょっとした英雄と呼ばれてもおかしくないのだが、以前とほとんど同じく威厳が感じられないのは、クレスポの人徳だろうか。  
「はい。クレスポさまは凄いです」  
 部下のジーンちゃんは生真面目な声で言う。  
「は〜い。お代わり持ってきました」  
 住み込みで働いているレミィちゃんもキラキラした眼差しで全員を見ていた。  
盗賊ギルドに憧れていたレミィちゃんも、今では住み込みでアイリちゃんの店で働き、そしてベルカナの部下でもある。  
 盗賊に憧れる彼女が、盗賊ギルドの幹部で大きな功績を果たしたクレスポたちに憧れるのも当然だろう。  
「はぁ〜」  
 ため息をつくベルカナに、笑顔でアイリがお代わりのワインを持ってくる。  
「あら。ベルカナちゃんどうかした?」  
「いいえ。何でもありません」  
 
 少し頬が赤くなったベルカナの視線の先、「がはは」と笑うクレスポがジーンとレミィちゃんの肩に手を回して、マロウから止められている。  
「クレぽん、飲みすぎだよ」  
 マロウが言ってる側から、ガクンとクレスポの首が傾いてテーブルに突っ伏した。  
「もう。しょうがないだなぁ」  
 酔い潰れてマロウに介抱されるクレスポ。これもいつものことだ。  
 そんな光景を見て、ベルカナはため息をつき、アイリは微笑している。  
「ねっ。ベルカナちゃん」  
「はい?」  
 不意にアイリがそっと訪ねてくる。みんな宴に夢中で誰も聞いていない。  
「クレスポとは……その、できてるの?」  
「ぶっ」  
 思わず吹いてしまう。  
「じょ、冗談じゃありませんわ! なんでわたしが……」  
 だんだんと声が小さくなり、遂には掻き消えてしまう。  
「あはは。ごめんごめん。うん、そうだよね」  
 冗談だと言わんばかりにアイリはパタパタと手を振る。だが次の言葉は冗談には聞こえなかった。  
「それじゃあ、私がもらっちゃうね」  
「えっ?」  
 何を? と聞き返す間もなく、アイリは席を外して、酔い潰れてテーブルの上に鼻ちょうちんを垂らすクレスポに駆け寄る。  
「もう。しょうがないわね。よいしょっと」  
「オラが部屋に運ぶだよ」  
 アイリがクレスポの肩に手を回すと、マロウが手を貸してくれる。  
「すみませんマロウさん」  
「いいだよ」  
 そして二人で上の階にあるクレスポが泊まっている部屋まで運んで−  
 戻ってきたのはマロウ一人だった。  
「マロウさん? ……アイリさんは」  
「ああ。もう少しクレぽんの面倒見るって言ってただ」  
 何事もないようにマロウは言う。  
「……」  
 ぎゅっ、とベルカナのカップの取っ手を握る手に力が篭もる。  
「あーらら。どうするベルカナ?」  
 ワインのグラスを傾けながら、シャイアラが心底面白そうに瞳を輝かせていた。彼女も相当頬が赤い。  
「べ、別にどうもしませんわ!」  
 ドンッ! 椅子を倒しそうな勢いでベルカナは立ち上がる。  
「そろそろ帰らせてもらいます」  
「あら、そう」  
 シャイアラはそれでもいいやと、側で本を読むブックに視線を向け、  
「ブック。今日はもう遅いから送っていってあげて」  
 日はとっくに暮れて、外はもう真っ暗。ベルカナがいかに熟練の冒険者で魔術師といえど、ロマールの夜を酔った女の子の一人歩きは危なっかしい。  
「はっ!? それならマロウさんが送れば」  
「マロウしゃんは、アタシを送るの」  
「オラが?」  
「あら。イヤなの?」  
「そんなことないべ。それじゃあ、ベルカナ気をつけるだよ」  
「はい。皆さんも」  
「ブック。今日はもう帰ってこなくていいわよ」  
 ベルカナを送って店を出て行くブックに、シャイアラはそんな言葉を掛ける。  
マロウの腕に手を回して。  
「さっ、マロウしゃん。アタシたちも」  
 
「しょうがないだなぁ」  
 そしてシャイアラを宿に送ったマロウは、そのままベッドに引きずり込まれて……。  
 
 場面は戻ってアイリちゃんの店。  
「うーん……うーん……。今日は大時化っスよぉ〜」  
 船に乗ってる夢でも見たのか。ベッドで寝返りを打つクレスポをアイリはうふふっと笑顔で見下ろす。  
「さて」  
 こうしてばかりもいられない。まだ後始末も残ってるし。  
と、アイリが立ち去ろうとすると−  
「きゃっ」  
 アイリの手に何かが触れる。見ればクレスポの手がしっかりと握られていた。  
「クレスポ?」  
 起きてるの? と思ったが、その目はしっかり閉じられている。  
「もう」  
 仕方なしに、手を握ったまま再びベッドの横にある椅子に腰掛けると、今度こそクレスポの手がぱっちり開いた。  
「ベ、ベルカナ!?」  
「ぶー。残念でした」  
 いきなり別の名前を呼ばれて、アイリはちょっとムッとなってしまう。だがすぐに笑顔で、  
「酔い潰れちゃったのよ。ここまでマロウさんが運んでくれたんだからね」  
と、クレスポの手を両手で握って、アイリは優しく語った。  
「そうっスか……」  
 ガンガン頭は痛むが、手に触れる柔らかな感触がすぐに忘れさせてくれる。それがアイリの手と知って、なぜかクレスポは慌てた。  
「わわわっ! ……アイリちゃん!?」  
「ん? どうかした?」  
 手を握ったまま、優しい笑顔で見下ろすアイリ。クレスポは胸の底からハァと安堵の息を吐いた。酒臭い息。  
「もうみんな帰ったわよ。クレスポもこのまま寝なさい」  
「ん」  
と頷き、クレスポはアイリに握られた手に視線を向ける。  
「このまま居てあげるから」  
 じんわり。  
 胸がポッと熱くなり、じんわりと視界が揺れた。  
「クレスポ?」  
「え、ええと……。その俺、天涯孤独の身っスから。こういうの弱いんスよ」  
「ふふっ。いいわよ」  
 アイリの手が、クレスポの額を優しく撫でる。普段は額当てが巻かれている額を。  
「……ん」  
 目を閉じて、クレスポはそのサラサラの手の感触に身を委ねた。  
 何年ぶりだろう。こんな暖かい手に包まれるのは。  
「ねえ。クレスポ」  
「ん?」  
「あなた。本当に良く頑張ったわ。凄いと思う」  
「……どうしたんスか急に」  
 素直に褒められるとつい照れてしまう。  
「急にじゃないわよ。ずっと見てたんだから。  
 ……いつの間に、こんな大きくなって」  
「そうスか?」  
「そうよ。自分で言ってたじゃない。『クレスポ、スゴイ』って」  
 目を開けたクレスポは照れたように笑っていた。アイリも笑い返す。  
 カーテンから差し込む青白い月光だけが、二人を照らしていた。  
 
「ねえクレスポ。聞いても良いかな?」  
「……アイリちゃんなら何でも」  
「そ、その……恋人とかいるの?」  
「ぶっ」  
 思わず吹いてしまう。  
「ゲホッげほっ……い、いないっすよ」  
「でもホラ。ベルカナちゃんとか仲良いじゃない」  
「ベルカナは……仲間っスよ。それに俺の好みじゃないっス」  
 断言するようにきっぱりとクレスポ。  
「じゃあ、どんなのが好み?」  
「そりゃーナイスバディのお姉さんス!」  
 これまた断言。  
 アイリは自分の体形を見下ろし、  
「私は?」  
「は?」  
「私は、好み?」  
「もちろん好みっス!」  
 そうでなければ飛びつくはずがない。  
「そう。良かった」  
 手を離して、アイリはゆっくりと立ち上がる。  
 そして背中に手を回して、  
「ちょっと。背中向いてて」  
「ん」  
 よく分からないが、クレスポは反対側の窓を向く。カーテンの隙間から青白い月光が漏れていた。  
   
 スルスル……  
 
 クレスポのよく鍛えられた耳に、絹が擦れる音がして、ドキンと胸が高鳴った。そしてパサッと何かが落ちる音。  
「……いいよ」  
 声に反射的に振り向くと−  
 
 そこに美の女神がいた。  
 
 それは言い過ぎにしても、クレスポにはまさに美の極致だった。  
 裸になって恥ずかしそうに手で胸と股間だけ隠すアイリ。  
 酔いも一発で吹き飛び、カーと顔が赤くなる。  
「もう! 恥ずかしいのはこっち!」  
 悲鳴のような声で短く言うと、ドッとベッドに倒れこんでくる。  
「うおっ」  
 二人分の体重が掛かり、宿のベッドが軋む。  
 クレスポの膝の上に横になったアイリは、ニッと妖しい笑顔でクレスポを見上げた。  
「ここまで……したんだから。恥かかせないでよ」  
 ゴクッとクレスポの喉がなる。  
 口が自然に伸び、「ちゅー」の形で全裸で横たわるアイリに近寄った。  
「ふふ……」  
 アイリもうっすらと頬を染め、ちゅっと口を突き出す。  
 唇の粘膜と触れ合った瞬間−  
 ビビッと頭に電気が走って痺れ、クレスポは両手を回してアイリを抱きしめ、  
上に覆いかぶさっていた。  
「やん。焦らないで」  
 口を離して、熱い吐息を吐き、アイリはクレスポの胸をそっと指でなぞる。  
そして服のボタンを外していった。  
「クレスポも……脱いでよ」  
 
 うんうんと頷いたクレスポは、バッと立ち上がると、一瞬にして上着とズボンを脱いだ。  
「きゃっ」  
 一緒にふんどしまで脱いで、ピンと上を向く細い肉針が飛び出す。  
「わ〜。小さくて、カワイイ!」  
「そんなぁ。あんまりっス」  
 ガクッと首が折れる。針のように細く、毛もろくに生えていない局所は確かに可愛いといえば可愛い。かな?  
「うふふ」と笑い、ちゅっと針のような細い先端に唇が触れる。  
「ふわっ」  
 ピクンピクンと針金が揺れ−  
 
 どぴゅっ  
 
と白い液が飛び出した。  
「きゃっ」  
 いきなりの射精が口にかかり、キスしたアイリは思わず顔をしかめる。  
「ご、ごめんっス」  
「ううん。いいの」  
 だがすぐ笑顔になってぺろっと口に付いた精を舐めた。  
「あはっ……。薄味が飲みやすいかも」  
「ええっ!?」  
 アイリに顔を近付けたクレスポも、その唇に付いた精液をぺろっと舐めてみた。  
「にがいっスよ〜」  
「もう、しょがないわね」  
 ちゅっとアイリから口を重ね、すぐに離した。  
「ほら。口直し」  
「でへ〜」  
 クレスポ顔がデレレと崩れる。そのちんこも。  
「あら。もう萎んじゃった?」  
 クレスポのそこはいきなり小さくなってぷらぷらと揺れていた。  
「うう……。元気を出すっスよ、俺の息子」  
「そのうち戻るわよ」  
 アイリはベッドに裸体を沈め、ニッコリと微笑むと、腕を差し出してきた。  
 そのふくよかな乳房、きゅぅっとくびれた腰がクレスポの目に焼きつき、しっかりと記憶され。  
「きて。クレスポ」  
 上から抱きつき、全身でその柔らかさを感じ、素肌を触れ合う。  
「ああ…アイリちゃん。アイリちゃん」  
「ん……クレスポ」  
 唇を重ねながら何度もお互いの名を呼び、肌を重ねていった。アイリの白い肌がたちまち赤くなる。  
 ちゅっちゅっ。ちゅっちゅしてます。  
「……胸、いいっスか?」  
「いちいち聞かないの」  
 恍惚とした潤んだ表情をして、アイリはクレスポの手を取って自ら乳房へと導いた。  
「ふはぁ」  
 初めて触れたそこは綿菓子のようにふわふわで軽く、指で沈んで食い込んでいく。  
「んっ……」  
「痛くないっスか」  
「大丈夫、だから……。遠慮しないで」  
 手は勝手にアイリの乳房に食い込んで行き、その奥までしっかりと感じた。  
「アイリちゃん……すごくドキドキしてるっス」  
 
「うん……クレスポも」  
 肌を通じて感じるl。クレスポの胸のドキドキも。  
 二人はそのまましばらく動かなくなった。  
 何もしてなくても、こうして裸で抱き合うだけで、自然にドキドキが大きく、強くなる。  
「く〜」  
 先に我慢できなくなったのはクレスポだ。  
 手を離し、今度は顔を胸の谷間へと埋めた。  
「きゃんっ」  
 そのまま顔で柔らかな脂肪を感じ、小さな桜色の乳首をちゅっと口に含む。  
「……あっ」  
 アイリの胸が奥底からキュンと鳴った。  
 口に入れた乳首はとても甘くて滑らかで。  
 そのままちゅううちゅうと吸いたてると、乳首がぷっくらと膨らんで応えた。  
「あぅ……もう」  
 官能に身を委ねながら、胸にしゃぶりつくクレスポの頭をかき抱いて、よしよしと優しく撫でてやる。  
 うっとりと潤んだ瞳に慈愛の色が浮かんでいた。  
「あっ……んっ……」  
 舌で乳首を舐め、転がす度に、甘い喘ぎが自然に漏れる。その声が聞きたくて、乳首の甘さを感じたくて、クレスポはいつまでも胸をしゃぶり続けた。  
「あっアっ……そんな、胸、ばっかり……」  
 アイリの手がクレスポの腰に伸びる。  
「うおおっ」  
 ぴくっと跳ね上がるようにクレスポは顔を上げた。アイリの手が男根を掴み、クニクニと手の中で揉みしだくから。  
 たちまち手の中で細い棒が勃起し、針金のようになる。  
「ほら。元気になった」  
「アイリちゃん……」  
「あ、あのね。クレスポ」  
 細いまま大きくなったちんこを手放し、アイリは股を開いた。赤い顔を横に向けて。  
「私……初めてなの。優しくして」  
 脚の付け根、薄い茂みに覆われた女芯はテラテラと濡れていた。  
 クレスポはごくっと唾を飲み込み、腰を割り込ませて、アイリのふくよかな太股に挟まれる。  
「お、俺も、初めてっス」  
「よかった……。初めて同士だね」  
 下から微笑を浮かべるアイリに誘われるように、クレスポはぐいっと腰を進めた。  
 細い針金が茂みでするっと滑り、お腹に当たってしまう。  
「慌てないで」  
 アイリはその肉針金を掴むと、自ら茂みの奥の肉壷に導いてやった。  
 先端に、確かな肉の割れ目を感じ、クレスポの腰がガクガクと大きく震える。  
「イクッス!」  
 今度こそ! 何か、肉を捲る感触と共に、熱いモノがクレスポを包む。アイリの温もり。  
「んっ」  
 瞬間、体の下のアイリが眉を寄せて身をよじった。  
「大丈夫、だから」  
 瞳を涙で潤ませ、ハァと熱い吐息を吐いて、アイリは肉壷を貫いたクレスポの細い分身を感じる。  
包み込む肉壁が収縮し、分身を締め付けていった。  
 すると−  
 
 ぴゅっ  
 
「も、もうダメっス!」  
 いきなりクレスポが果て、腰を突き上げ、短く射精する。  
「あああんっ!」  
 アイリの体も大きく飛び跳ね、ギシギシとベッドが軋んだ。  
「もう……」  
 早すぎ、と言おうと思ったら、クレスポは上から覆いかぶさって抱きついたまま、動かない。  
「クレスポ?」  
「アイリちゃん……最高っスよ」  
 目が閉じる前にそれだけ言い残す。  
「もう」  
 思わず苦笑して、体の上のクレスポの背中に手を回して、頬にキスしてやる。  
 そしてクレスポを横にして、アイリも眠りに就いた。彼の胸に顔を預けて。  
 
 宴会の後始末は明日にしよう。  
 
 次の日の朝。  
 クレスポが起き出すとアイリの姿はなかった。ただベッドに残る温もりと、腰に走る痛みが、アレが夢で無かった事を物語。  
「やったー!」  
 人知れず拳を振り上げるクレスポでした。  
   
 その日は珍しく早朝からベルカナがアイリの店に訪れる。  
「あ……ベルカナさん、おはようございます」  
 住み込みで働くレミィが挨拶して、すぐさまベルカナに耳打ちした。彼女はベルカナの部下である。  
 話を聞き終えて、目に見えてベルカナは不機嫌になった。感情を素直に表に出すのは、お嬢様育ちといったところか。  
「あら。おはようベルカナちゃん」  
 そこにアイリが爽やかに挨拶してくる。  
 何かとびきり良い事があったような、そんな笑顔と目の輝きだ。  
今日も朝からテキパキと働いている。だが注意深く見れば腰を庇っているのに気付いたはずだ。ちょっとだけ痛い。  
「ふは〜。おはようっス」  
 そこにクレスポも階段を降りてくる。  
「う〜。腰が痛いっス」  
 こちらは腰が痛いのを隠そうともしない。  
「おっ、ベルカナ。今日は早いっスね」  
「もうクレスポ。髪がボサボサよ」  
 何故か。クレスポに駆け寄ったアイリがクレスポの額当てを直し、しっかりと整えてやる。  
「う、悪いっスね」  
「いいのよ」  
 ニコヤカに笑い合う二人。クレスポはちょっと照れがある。  
「失礼しますわ!」  
 憮然と言い残して、ベルカナは早々に店を出て行った。  
「どうしたんスか?」  
 クレスポはきゅとんと呟き、レミィはただ青い顔でうろうろして、そしてアイリは笑顔でクレスポの腕に抱きついた。  
 
「どうして……」  
 こんな気持ちになるのかベルカナには分からなかった。  
 下を向きながら、往来をぼんやりと歩く。  
 そうだ。クレスポがどこの誰とくっつこうが関係ないはずだ。  
 それなのに。  
 どうして涙が出るのだろう?  
(おしまい)  
 

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