「ふふふ〜ん」  
ここは冒険者の店『青い小鳩亭』。  
その酒場の中の一角で小気味良い鼻歌を歌いながらテーブルの上で水晶球を転がすのは小鳩亭の中でも一番の冒険者グループ  
『へっぽこーず』の魔術師、ヒースクリフ。  
「なに嬉しそうな顔をしてるの?」  
そんな彼を覗き込むのはこれまた同じグループの精霊使い兼小鳩亭のやり手ウェイトレスでもあるマウナだった。  
「うぉわっ!」  
ヒースは彼女の顔を見るなり吃驚し、手にしていた水晶球を慌ててポケットの中にしまい込む。  
「な、なんだマウナか…。いきなり声を掛けるなよ」  
「さっきからずーっと声掛けてたわよ。それなのにあんたったらテーブルの上でにまにましてるんだもの」  
そしてやや強い音を立てて井戸水が入ったグラスを置く。  
「何だ、俺様の美貌に見とれてたのかー?」  
いつもの皮肉めいた笑みを浮かべて話題を他に持っていこうとするヒースだったが、人の心の機微を見る経験に長けている  
マウナには通用しなかったみたいだ。  
「馬鹿な事言ってないで、何か注文して頂戴。それとさっき手にしてた水晶球、何?」  
 
「どきっ!」  
あからさまに動揺した表情を浮かべるヒース。  
「あー、何か変なアイテムなんだー」  
「ま、魔術師ギルドから借りてきたアイテムなんだ。特に大した魔法は掛かってないがな」  
そう言うヒースの顔色はあまり良くない。  
「ふーん…。ま、とっとと注文して頂戴、後が支えてるの」  
何とか話題を摩り替えるのに成功したのか、マウナの言葉に安堵のため息をつく。  
そしてその後は何も無いように、見えた…が。  
 
(どーみても、怪しいわね…)  
マウナの視線は相変わらずその水晶球が気になる様子である。  
 
その夜。  
ヒースと入れ替わって来たのは同じく「へっぽこーず」の主戦力であり、ヒースの幼馴染であり、今は彼の妻でもあるイリーナだった。  
仕事の合間を縫ってマウナはイリーナのテーブルに座り、軽めの飲み物を口にしながら彼女と昼間の出来事を話題にし始める。  
「兄さんが、見覚えの無い水晶球を?」  
「そーそー、多分ロクでもない代物だと思うけど…」  
それと同時に不敵な笑みを浮かべる彼女。  
「でも、そこまで隠してると逆に気になるじゃない?」  
「そういうものですかー?確かに隠し事をしている兄さんはいけない事だと思いますけど」  
イリーナの言葉にマウナはさらに笑みを深くして返事をする。  
「そこで、よ。イリーナ、あんた今ヒースと同じ部屋で寝泊りしてるんでしょ?そういう秘密の場所とか分からないかしら?」  
「秘密の…場所ですか」  
マウナは頷きながら言葉を続ける。  
「そうそう、あいつのこっそり隠してる春画とか…」  
「兄さんはそんな物持ってません!そういう時は私が口とか手や他の部分で出してあげてます!」  
その言葉にイリーナは否定しようとして席をがたっと立ち、新婚夫婦の営みを力説しようとする。  
「しーっ!そんな事を大声で言わない!」  
慌てて彼女の口を塞ぎ、席に座らせてからマウナは自らを落ち着かせる意味で飲み物を一口、口に含む。  
「とにかく、ヒースは今日魔術師ギルドの会合で明日まで帰ってこないから、その間に探すわよ。まさか水晶球を持っていく訳無いし」  
そしてまだ困惑しているイリーナを引きずる様にして彼女はヒースの部屋に向かうのであった。  
 
「無いわねー」  
「こっちも無いです」  
所変わってヒースとイリーナの部屋。  
意気揚々とヒースの所有物を物色するマウナとそれに釣られる形で水晶球を探すイリーナ。  
「でもそれを見つけてどうするんですか?魔法のアイテムなら私たち専門分野外ですよ?」  
がさごそと探しながらイリーナが声を掛ける。  
「そこはそれ、ツテがあるから。気にするより探しましょうよ」  
「はーい。何だか宝探しみたいで面白くなってきました」  
また言葉を止めて暫くがさごそ。  
 
数刻経っただろうか、マウナがその手を止めて声を上げる。  
「あ、これこれ!ヒースが持ってた水晶球よ」  
タンスの奥深く、巧妙に隠した跡が分かるがそれを上回るマウナの洞察力が一枚上手だったようだ。  
マウナはそれを机の上に置いて、まじまじと見つめる。  
「ふぅん、見た目はただの水晶球ね。真ん中に赤い宝石が入ってるのを除けば、ね」  
彼女の言う通り、中心に赤く光る宝石が輝いている。  
「で、どうするんですか?さっきも言った様に私たちはこれが何のアイテムなのか分かりませんよ?」  
首を傾げるイリーナにマウナは人差し指を唇に当ててウインクをする。  
「まぁ見てて。今から出かけるわよ」  
「へ?」  
彼女の言葉にイリーナはますます首を傾げる。  
 
「ああ、これは『記憶の水晶球』よ」  
夕暮れ時、彼女たちが向かったのはオーファンの魔術師ギルド。  
さらにヒースに見つからない様にこっそりと敷地内を歩き、2人がたどり着いた先は『魔女』の二つ名で有名なラヴェルナ・ルーシェンの部屋だった。  
「何ですか、それは?」  
イリーナが質問の言葉を投げかける。  
「コマンドワードを唱えるとその状況がこの水晶球に映像として保存されるの。ほら、宝石が赤く光ってるでしょ」  
そして赤く光る先を指差す。  
「何も入って無い時は青く光るんだけど、赤く光ってる時は何か映像を記憶してるって訳。ちなみに消す事も可能だし、中身を見る事も可能よ」  
「どうやって見るんですか?」  
マウナが再び質問する。  
「簡単な下位古代語で見れるようになるわよ…って貴方たちは喋れないんだっけ」  
ラヴェルナの言葉に2人同時に頷く。  
「仕方ないわね…ちょっと待って」  
そう言って彼女は後ろの戸棚から何か小さい棒を取り出す。  
「これは1回だけ未知の言葉が喋れるようになるワンドよ。旦那がお土産で持って帰ってきたんだけど、私には無用の長物だからあげるわ」  
彼女はそれと映像を見るためのワードが記された巻物をマウナに渡し、『水晶球の中身、後で教えてね』と一言付け加える。  
 
「さてさて…一体何が入ってるのかな」  
嬉しそうな表情のマウナに対してイリーナの表情は暗い。  
「マウナ…こっそり人のものを覗き見するのは良くない事です」  
「何言ってんの、先に隠し事をするヒースが悪いんじゃない。こそこそとこれを隠す方が悪いと思うんだけど」  
さらにマウナは言葉を続ける。  
「ラヴェルナさんも言ってたでしょ、映像の保存だけだって。危険なアイテムじゃない事は確かなんだから」  
そしてベッドに座りながら巻物を広げ、ワンドを握り締める。  
マウナの口から普段喋る事の出来ない言葉が流れ…そして水晶球が淡い光を帯びる。  
「さーて、何を保存してるのかなー」  
徐々に目の前に保存していた映像がおぼろげに映し出されていく。  
最初は薄かった画像が色濃く映り…そして。  
 
最初のシーンでマウナとイリーナは硬直するのであった。  
 
『だ、駄目…兄さん、もう…もう!』  
『どうした、ギブアップか?』  
 
目の前に映るのはファリスの神学校の制服を着たイリーナがスカートを押さえ悶えるシーン。  
誰がどう見ても妖しさ満点の画像が流れている。  
「いやーっ!見ないでー!」  
マウナの目を覆いかぶそうとするが、紙一重の差で回避する彼女。  
「うわー…ヒースったら、こういう趣味があったのねー」  
少し顔を赤らめて、ごくりと唾を飲み込みながら。  
その間にも映像は進み、映像の中でのイリーナは絶頂に達しながら失禁をしているシーンになっていた。  
で、当の本人はベッドの上で恥ずかしいやら腹立たしいやらで顔を真っ赤にしながら拳を握り締めている。  
「兄さんの馬鹿ーっ!後で鍛錬部屋決定です!」  
そんなイリーナを尻目にマウナはじっくり映像を見つめている。  
「でもイリーナの服装…ファリス神学校の制服だったっけ?すごく可愛いわねー。実は満更でも無いって感じかしら」  
その言葉に肩をぴくっ、と震わせてしまうのをマウナが見逃す訳が無い。  
「イリーナが着ると本当に女の子っぽくて可愛いわよ?いつもプレートメイル着てるから珍しい位に」  
「そ、そうですか…?」  
『可愛い』という言葉に反応したのだろうか、ちらっとマウナの方を見つめるイリーナ。  
「しかしすごい乱れようね、イリーナ。あーあ、顔が真っ白だし、制服もどろどろ…。でも気持ち良さそうな顔してるわ」  
その言葉に俯きながらもじもじする彼女。  
「…私も着てみたいな」  
「ま、マウナがですか?」  
「何よ、ちょっと興味を持っただけよ。無理かしら?」  
その言葉にイリーナは少し考え…首を横に振る。  
「いいですよ、もう1着あるから…」  
 
そしてマウナとイリーナ、2人がファリス神学校の制服を着ることとなる。  
「なんで私まで…」  
「雰囲気雰囲気。でも私が着るとちょっと大きいわねー、そして胸がちょっときついかも」  
年齢の割にはマウナもその格好は似合っている感じである。  
ただ本人の言葉の通り少し胸の辺りに余裕が無い感じでもあるが。  
「マウナはスタイル良いから仕方ないじゃないですかー。私なんか胸小さいし…兄さんも大きい方が好きなのかな」  
最後は彼女に聞こえないようにぽつり、と呟く。  
「さーて、この格好になったからには…映像の続き、といきますか」  
「え、何でですか!?」  
よく見るとマウナの視線が少し妖しい。  
「そりゃ…あんたのあんな姿見たら、こっちもちょっと変な気持ちになるのは仕方ないじゃないの。それに、最近『彼』も忙しいのか私としてくれないし」  
そこまで言うとイリーナを優しくベッドの上に押し倒す。  
「ちょ、マウ…な…」  
(女の子同士なのに…抵抗しなきゃ)  
イリーナはそう思って力を入れようとしたが…その瞬間に彼女の唇がイリーナの首筋に触れ、一気に力が抜けてしまう。  
「マウナったら…ひゃんっ!」  
マウナの唇がゆっくり這い、耳元をぴちゃぴちゃと舌を使ってくすぐる。  
「や、やだっ…マウナ、冗談は…あんっ」  
「ふふふ、いい反応ね。ヒースには日頃ちょっかいかけられてストレスがちょっとだけ溜まってるから、イリーナで解消しちゃおうかしら?」  
「わ、私をストレス解消に使わないで下さい…あんっ」  
マウナの手がイリーナの制服の隙間に入り、下着越しに小ぶりの胸を優しく触り始める。  
「マッサージマッサージ、胸大きくなるわよー?」  
その言葉にイリーナの抵抗が少し弱まる。  
「で、でも…痛くしないで下さいね?」  
彼女の言葉にマウナは笑顔でその胸を優しく、そして撫でるように触り揉んでいく。  
 
「ふぁ…あん…」  
イリーナの甘い声が部屋を支配する。  
「画像で見た以上に可愛い声ね…。もっと鳴かせちゃおうかしら」  
今度は背中のブラジャーのホックを外し、器用に制服の裾から外す。  
そして服の下では露になった胸を彼女が直に触れる。  
「あ、あんっ」  
その瞬間に身体をぴくり、と震わせるイリーナ。  
「イリーナ、もう乳首立ってるわよ」  
「それは…マウナが変なところ触るから」  
弱弱しいイリーナの言葉に対して彼女は胸を揉み、時々強く愛撫し、そして乳首を摘む。  
 
「あ、あはっ…マウナ、もう止めてぇ…」  
「何言ってんの、これからじゃない」  
今度は彼女をうつ伏せに寝かせ、服の隙間から見えるやや小麦色の肌をその瑞々しい唇でついばむ。  
もちろん両手は服の中で動かすのも忘れない。  
「ひゃっ…あっ、はぁ…んっ」  
イリーナの顔は羞恥と生まれた快感で赤く染まり、マウナの行動ひとつで身体を震わせてしまう。  
(いやー、ここまで感じてくれると何か征服欲が生まれてくるわね)  
その思いをそのままに彼女は必死で声を抑えようとするイリーナの敏感な部分を自らの舌と手で愛撫し、彼女にさらなる快感を与えていく。  
「イリーナ、こっち向いて」  
「ふぇ…?」  
最早抵抗出来なくなっていたイリーナはマウナの言葉に従う様に仰向けになり彼女を見つめる。  
 
赤くなった顔に潤んだ瞳。  
そしてマウナの愛撫に蕩けた表情。  
 
男性でなくても襲い掛かりたくなる、とはこの事なのかもしれない。  
そんな中マウナは自分の右手を彼女のスカートの中に入れ、下着の上からそっと触れる。  
くちゅ…。  
(うわ…もうこんなに濡れてるんだ。女として快楽に目覚めたのは嬉しくもあり複雑でもあり…ま、いっか)  
イリーナの秘所からじわじわと溢れる愛液。  
それは下着を通り越し、スカートのお尻の部分をじわじわと濡らしていく。  
「ああんっ、触らないで…。変になりそうです」  
「くすっ、もっと変になってもいいのに…。というか変にさせてあげる」  
濡れた下着をずらし、やや水仕事でささくれ立った、それでもエルフ特有の白く細い指をイリーナの秘所の入り口付近で軽く撫で回す。  
「あっ…!あんっ、気持ちいいです…!」  
少し身体を仰け反らせ、そして愛撫するたびに蜜をますます溢れ出させるイリーナ。  
「イリーナ、私の顔を見て」  
「まう、な…」  
マウナはそう言うと彼女の唇にそっと自らの唇を重ね合わせ、ゆっくりと舌を使って彼女の口内をかき回していく。  
「んっ、んっ!」  
キスをしながらマウナの手はイリーナの秘所をその指で徐々に激しく動かしていく。  
制服のスカートがイリーナ自身の愛液で染みを作り、水晶球に保管されていた自分の痴態の様に汚れていく。  
「ふぁ…んっ、ああっ…」  
スカートの中からぐちゅぐちゅと粘度の保った音が聞こえ、それが大きくなるたびにイリーナの情欲に満ちた喘ぎ声が大きくなってくる。  
「いやらしい音を立てて…しかも制服を汚して。イケナイ娘ね、イリーナって」  
「まうな、の、ばかぁ…」  
必死で悪態をつこうとするも快感のほうが勝ってしまい、思うように言葉が出せない。  
その間にもマウナの指がイリーナをさらなる快楽に導こうとする。  
右手は失禁したかの様な秘所を攻め立て、左手はその胸とぷっくり立った乳首を愛撫する。  
そして唇は肩甲骨の辺りに口づけ、舌でちろちろと舐めてやる。  
「あん、ああん!」  
もう我慢できない、といった表情でマウナの動きを求めるイリーナ。  
腰が激しく動き、その度に何度も潮を噴いて彼女の履いているスカートの色を濃い紺色に染めていってしまう。  
 
「マウナ、それ以上動かすと、出ちゃいます…」  
「出ちゃうって、何が?」  
分かっている事だが、あえて意地悪く知らないそぶりを見せる。  
「マウナの、馬鹿ぁ…」  
イリーナの言葉に彼女は来るべきその瞬間に備えてますます動きを早める。  
「はぁんっ、ああんっ!駄目、マウナも汚れちゃう…」  
「いいのよ、後で洗濯すればいい事だし。それよりも気持ちいいんでしょ、思いっきり出していっちゃいなさい!」  
さらにマウナの指の動きが激しくなり、イリーナの我慢も限界に達していた。  
「だめ、出る、またおもらししちゃう!あ、あああっー!」  
大きく一度仰け反り、力なく崩れ落ちる。  
マウナの手が一瞬暖かくなったかと思うと次の瞬間。  
下着から一気に尿が溢れ、あっという間にイリーナの紺のプリーツスカートが濃紺に染まる。  
それだけでは留まらず、スカートから一気に染み出た尿がシーツに広がり、黄色く染まっていく。  
「あ…あああ…」  
当のイリーナは絶頂感と開放感の両方を味わっているのか、声にならない声をあげながら恍惚の表情を浮かべていた。  
 
自分の愛撫で絶頂を感じながらおもらしまでしてくれる。  
マウナも今の彼女の状況を見て興奮を隠す事が出来なかった。  
 
口をぱくぱくさせながらエロティックな表情を浮かべるイリーナ。  
着ている制服は腰から上は綺麗なままなのに、スカートは尿蜜でどろどろ、足も汚れ。  
いつものエッチな顔だけでも情欲をそそりそうなのに、ファリスの神学校の制服が自らの愛液と尿液で汚れていく。  
「イリーナ、私も我慢できなくなっちゃった」  
マウナもそう言うと徐に自分の下着を脱ぎ捨て、イリーナの濡れてひくひくしている秘所に自分の秘所をあてがう。  
「ふ…ううんっ」  
彼女もイリーナの状況を目の当たりにしたのだろう、とろとろに濡れた秘所がくちゅ、と音を立てて耳の中に入ってくる。  
「駄目、マウナ…制服汚れちゃいます」  
「いいのよ、このままお互いぐちゃぐちゃになるつもりなんだから」  
「マウナぁ〜…くふぅんっ」  
少し呆れた表情のイリーナだったが、マウナの秘所が合わさるとすぐに甘い声に戻ってしまう。  
「う…んっ!」  
熱く蕩ける秘所に触れただけでマウナの大事な部分から少し蜜が噴き出してしまう。  
「マウナも…気持ちいいんです、か?」  
イリーナの言葉にマウナは何も言い返さずキスを交わす。  
そして抱きしめながら足を絡ませ、秘所同士を擦り合わせる様にしてゆっくりと動かす。  
彼女の制服のスカートもイリーナの蜜液で汚れてしまうが、それに構う事無くお互いの快楽を得るためにさらなる刺激を与える。  
「ふぁんっ!ああんっ!」  
またスイッチが入ってしまったのだろう、イリーナがまるで猫の様ななで声を上げてしまう。  
「んふっ…!イリーナのここ…すごく熱い」  
 
今度はイリーナの上体を起こし、お互い向かい合うような形にして、2人の腰がさらに激しく動く。  
「ああん!マウナ、またおかしくなっちゃう…!」  
「私も、すごく気持ちいい…イリーナのココが熱くて…あんっ!」  
お互いの秘所から溢れる蜜。  
上半身は綺麗なままなのに、履いているスカートはもはや最初の清楚さは残っておらず、いやらしい液体に塗れて女の匂いを発している。  
「駄目…マウナ、またいっちゃいます」  
イリーナの出す切ない声に彼女もまた反応する。  
「イリーナ…いっていいのよ。私も、もう、ちょっとで…!」  
ぐちゅぐちゅと激しい水音が濡れたスカートの中から聞こえ、その度に身体を震わせ快感に身を委ねてしまう。  
「だめ、私も出ちゃう」  
マウナもまた、自らの泉が決壊してしまうのを感じ取っていた。  
「出して…いいですよ。マウナも気持ちよくなって下さい…」  
荒い息を吐きながらイリーナが彼女に向かって笑みを浮かべる。  
その言葉にマウナは彼女の身体を抱きしめ、腰を動かしながら絶頂を迎えようとしていた。  
「マウナ…私も、もう、だめぇ!」  
「私も…イリーナ、私もっ!あ、ああっ、駄目っ!出る、出るっ!いっちゃうっー!」  
お互いの腰の動きが止まり、抱きしめる力が強くなる。  
そして股間に温かい感触が広がり、音を立てて2人の下半身を汚していった。  
力なくうな垂れ、激しい息使いを残すマウナとイリーナ。  
シーツはお互いの尿蜜で黄色く染まり、スカートはどろどろのぐちゃぐちゃ。  
足も履いている靴下もそれで汚れてしまっている。  
それでも2人の抱きしめる力は弱まらず、名残惜しそうに快感を貪るのであった。  
 
 
「ヒース、ちょっといい?」  
翌日、小鳩亭の一角に陣取っているヒースに向かってマウナが一言。  
「お、何だ?」  
その言葉に釣られるかのように彼はカウンターの方に向かっていく。  
「これ、なーんだ」  
マウナはまるで悪戯っ子の様な表情を浮かべてエプロンのポケットから件の水晶球を取り出し、テーブルの上に置く。  
「!」  
その瞬間にヒースの身体が石像の様に凍りつく。  
「いやー、あんたの趣味をとやかく言う気は無いけれど…イリーナに隠し事は良くないんじゃない?」  
「お、お前、まさか…」  
日頃のちょっかいの仕返しとばかりに満面の笑みを浮かべるマウナ。  
「うん、ばっちり見せたわよ」  
「馬鹿な、あれは下位古代語でしか見れないはず…」  
「ちょっとしたツテを使って、ね…。そろそろイリーナがこっちに来るんじゃない?」  
マウナの言葉にヒースの顔は顔面蒼白、汗は滝の様に流れ。  
「お、俺様急用をオモイダシタカラ、キョウハコレデ…」  
慌てて立ち上がってその場から離れようとするヒースだったが時すでに遅く。  
くるりと振り返った目の前には大剣を構えたイリーナの姿。  
「兄さん…」  
その表情は怒りに包まれている。  
「ま、待てイリーナ!これは、俺様のマル秘コレクション…じゃなかった、将来の研究の為の…」  
口から苦しい言い訳を搾り出すが、そんな事でイリーナの怒りが収まる訳でもなく。  
「汝は邪悪なりっ!」  
イリーナの大剣がヒース目掛けて襲い掛かってくる。  
(ああ、夫婦喧嘩で命を落とすってある意味珍しいな…俺様グッバイ)  
命の終了を覚悟したヒース。  
ぶんっ!という轟音が彼の耳を貫き、そして。  
 
かしゃん。  
 
死を覚悟して目を閉じたヒースの横で何かガラスの砕ける音が聞こえる。  
おそるおそる目を開けてみると、カウンターの上に置いてあった水晶球が見事に真っ二つに割れていた。  
イリーナはゆっくり剣をおさめ、少し満足したかの様な表情を浮かべる。  
「今日は邪悪の根本の水晶球を成敗しましたから特別に兄さんは許してあげます。ただし…」  
そこまで言って以前の精神鍛錬部屋みたく真っ白な灰になっているヒースにずいっ、と身体を乗り出す。  
「私に断り無く、こんなエッチなアイテムを持つことは許しませんよ?」  
そして耳元でぽそり、と囁く。  
「ただ私も昨日、恥ずかしい事されたのでおあいこです」  
「…!」  
その言葉に何があったのか分かったのだろう、ヒースは最後の力を振り絞って首を回してマウナの顔を見る。  
彼女にも聞こえたのだろう、にやにやとその様子を見て一言。  
「ごめんね、ヒース。ちょっとイリーナに悪戯しちゃった」  
手を合わせて全然反省していない口調で同じ様にヒースの耳元で囁く。  
「お、お前ら…」  
もう何が何だか。  
ヒースはそう思いながらただただ呆然とするばかりである。  
 
そんな青い小鳩亭の昼下がりのひとコマであった。  
 

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