〜シャディの場合〜  
 
あたしがレイハと喧嘩になったきっかけは、ほんの些細なことだった。  
だもんで、ちょうどその場に居合わせたリュクティも、甘く見てたんだろう。仲裁に入るタイミング  
を、すっかり逸していた。  
あたしとレイハと来ては、パーティーを組んだ頃は、まるで日課みたいに喧嘩していた。あの頃は、  
喧嘩になったらどっちかがさっさと席を立ってたから、深刻な事態に陥らずに済んでたんだ、と、今  
になって分かる。手遅れだって気もするけど。  
ちょっとした意見の食い違いが、売り言葉に買い言葉でどんどんエスカレートして、とうとう収まり  
がつかないトコまで来ちまった後では。  
けどね。  
「リュクティ程度の男に骨抜きにされた女が、なに言ってやがる!」  
なんて口走ったことは、即座に後悔した。レイハのやつが、ドラゴンでもびびって逃げ出すような目  
で睨み付けてきたんでなければ、さっさと取り消していただろう。でも、ここで前言を撤回したら、  
喧嘩相手に怯えたと思われるような気がして、つい、意地を張っちまったんだ。  
「貴様……!」  
怒りに身を震わせたレイハが、椅子を蹴倒すようにして立ち上がる。  
その瞬間だった。リュクティの背中が、あたしの視界を埋め尽くしたのは。  
「やめないか、レイハ! 剣から手を離せ!」  
彼がレイハに向かって怒鳴りつける声を聞きながら、盾になってくれたんだ、と気付く。  
恋人に叱られたレイハは、鞘走らせかけていた愛剣フレイムブレードを慌てて投げ捨てた。自分が何  
をやりかけたかに気づいて、顔面が蒼白になっている。  
「……シャディは、自分の部屋に帰ってろ」  
あたしの方に視線も向けず、リュクテイは命じた。  
戦慄に膝が笑っているのをごまかしながら、あたしはその命令に従った。  
 
それから、どのくらいたったろう? ドアをノックする音があたしを現実に引き戻し、あたしは自分  
がベッドの端っこに腰掛けていることに気付いた。  
「入っていいよ。鍵はかかってない……と、思うから」  
あたしの言葉に応えて部屋に入ってきたのは、リュクティだった。彼は、あたしの隣に腰を下ろす。  
「レイハは?」と、あたしは尋ねた。「まだ、怒ってるかい?」  
「どうやら、もう落ち着いたみたいだ。きみに謝ってくれって、頼まれて来た」  
「謝るのはあたしの方さ。あんなこと、言うなんてさ……あたしゃ自分が情けないよ」  
あたしが落ち込んでたのは、レイハに斬り殺されかけたからじゃない。自分が、ぶった斬られても文  
句を言えないような憎まれ口を叩く嫌な女だって、思い知ってしまったからだ。  
「まあ、気にするなって。俺がだらしない男だってのは、事実なんだし。もっとも、レイハが骨抜き  
になっただなんて、思わないけどな」  
あたしの肩に手を置いて、リュクティは、ぎこちなく微笑んでみせた。  
「リュクティ……あんた、いい男になったねえ」そう言いながら、あたしはリュクティの胸にもたれ  
かかった。「もっと早くに、そういう姿を見せてくれてりゃあ、惚れちまってたかも知れない」  
そりゃ無意味な仮定だ。こいつが「いい男」になったのは、レイハのお陰なんだから。  
「今さら惚れたりなんてしないけど……今のあんたにだったら、抱かれてもいいな」  
緊張で全身を強ばらせるリュクティをからかってやるつもりで、あたしは言った。正直、半分くらい  
は本音も混じってたけど。  
その時――リュクテイが開け放したままにしておいた扉に、長身の女のシルエットが浮かんだ。  
「れ、れ、れ、れいは?」  
あたしの身体を押しのけるようにしながら、リュクティの声が裏返る。  
やばい。これじゃあ、あたし、まるで泥棒猫じゃないか。  
ところが……その時、レイハの口から出た言葉は、まったく予想外のものだった。  
「お望み通り抱いてやれ、リュクティ。そして、わたしが骨抜きにされるのも無理はない、と、思い  
知らせてやってくれ」  
 
部屋の中に踏み込んできたレイハは、後ろ手に扉を閉め、鍵をかけた。あたしとリュクティの方を、  
ずっと睨み付けたままで。だけど、その瞳には、さっきみたいな迫力はなかった。  
要するにこれは、レイハなりの謝罪なんだろう。自分のオトコを貸し出すことで、斬りかかりそうに  
なった件に詫びを入れようってのに、すねた言い方しかできないでいるんだ。  
それにしたって、あたしって、そんなに物欲しげに思われてたのかねぇ? そこん所がちょいと面白  
くなかったもんだから、あたしは、ふん、と鼻を鳴らしてみせた。  
「ミラルゴには『喧嘩両成敗』って言葉は、ないのかい?」  
その挑発に、レイハは面食らったようだった。  
「なんだと?」  
「別にいいさ。さっきの喧嘩は、ぜ〜んぶ、あたしが悪かったってことで。あんたは、あたし一人が  
罰を受けるのが当然だって思ってるんだろう?」  
上着の袖から腕を抜きながら、あたしは恨みがましい声を出した。  
我ながら理屈もヘッタクレもない言いぐさだってぇのに、レイハは慌てて首を横に振る。  
「い…いや! わたしも一緒に罰を受ける! 最初から、そのつもりだ!」  
あたしの口車に易々と乗せられて、レイハは腰帯をほどき出す。あたしたちは、早さを競うように、  
着ている服を脱ぎ捨てていった。  
「うわあ……」  
身につけた布の量が少ない分、先に服を脱ぎ終えたあたしは、全身に刺青が施されたレイハの肌を見  
て、感嘆の声を漏らした。  
戦乙女の紋――話には訊いていたけど、直に見るのは、これが初めてだ。  
「きれいだねぇ」と、あたしが素直に感心すると、レイハは頬を朱に染めながら答える。  
「お前の肌も、とても、きれいだと思うぞ。真っ白で、すべすべで……」  
微笑みを交わし合ったあたしたちは、もう一人の当事者に視線を向けた。  
そう言えば、リュクティの意志を全然確認してなかったけど……ま、いいか。どうせ逆らうことなん  
て、できっこないんだから。  
 
状況について来られず、まだ上着一枚脱いでいなかったリュクティを、あたしとレイハは、一致協力  
して素っ裸に剥いた。最後の一枚をはぎ取った時に現れた、縮こまったままの陰茎を目にして、レイ  
ハがオロオロとした声を出す。  
「どうしたのだ、リュクティ? いつもは、あんなに元気なのに……」  
どうやらこの女は、男性器ってもんは勃起している状態が普通なんだと思ってたらしい。相手から求  
められた時に応えてるばっかりだと、そんな誤解が出来るもんなのかい?  
あたしは、思わず苦笑した。  
「男ってのは、案外デリケートなんだよ」縮こまったモノを指先でつまむようにしながら、レクチャ  
ーしてやる。「いきなり、とびっきりの美女二人に迫られたら、緊張して萎縮しちまっても無理ない  
さ。特に、リュクティみたいな小心者はね」  
「リュクティ!」レイハは、きっとした目で恋人を睨みつけた。「小心者と呼ばれて平気か? さあ、  
早く元気を出せ!」  
「追いつめたら逆効果だって。あたしが男の勃たせ方を教えてやるから、同じ通りにやってみな」  
あたしに言われたレイハは、こくりとうなずくと、ベッドの上にペタンと座り込んだ。まるで、ちっ  
ちゃい女の子みたいな座り方で、なんだか可笑しかった。  
「ねえ、リュクティ……」あたしは、甘ったるい声を出し、リュクティの首に手を回すと、ゆっくり  
とキスをした。たっぷりと舌を絡めて回し、お互いの息吹を交換する。  
「さ、今度はあんたの番」  
うながしながら、あたしがリュクティから離れると、レイハはきっと表情を引き締め、ずいっと前進  
した(だから、ちっとは力を抜けよ)。恋人の後頭部を力ずくで押さえ込み、まるで逆レイプしよう  
かってな勢いで唇をぶつけてゆく。  
「……ぷはぁ!」  
数分後、ようやく解放されたリュクティは、潜水から揚がってきたみたいに大きく息をついた。  
今やあたしは、レイハにテクニックを伝授することに、すっかり夢中になっていた。リュクティの股  
間を指でまさぐり、調子を取り戻しつつあることを確かめて、次のステップに入る。  
 
あたしも胸には自信があるけど、レイハも、サイズといい形といい、立派なモノを持っている。これ  
は有効に使ってやらなきゃ、もったいないってモンだ。  
「う、ああ…さ、最高だ……」  
四個のおっぱいに急所をサンドイッチにされて、リュクティがうめく。  
あたしは左右の乳房を互い違いに上下させつつ、時折、サンドイッチの具に向かって舌を伸した。  
レイハもまた、リュクティの急所に胸を擦りつける動きを休めない。あたしのやり方を真似して、リ  
ュクテイを悦ばせようと必死だった。  
ふと視線を上げ、リュクティの締まりのない表情を見てしまったあたしは、こいつがあたしのオトコ  
じゃなくって良かった――なんて思う。こんな顔を見せられたら、百年の恋だって冷める。  
レイハはどうなんだろう? と、思っていると……  
「気持ちいいか? わたしはお前を、気持ちよくしてやれてるのか? ああっ、嬉しいっ」  
感激してやがんの。うーん、愛の力ってぇのは、偉大なのかも知れない。  
 
「それじゃあ、前奏はこれくらいにして、クライマックスに突入といこうか」  
あたしは、向かい合ったレイハのくびれた腰に両腕を回し、背中からベッドに倒れこんだ。あたしに  
引っ張られて、刺青に覆われた女の身体が、あたしを跨ぐように四つんばいになる。  
リュクティに向かって二輪の花を見せつけながら、あたしは、レイハに耳打ちした。  
「え?」と、躊躇するレイハに、あたしは「早く言え」と視線で命令する。  
「りゅ、リュクティ…ど、どちらでも……」レイハは、恥ずかしそうに声をしぼり出す。「どちらで  
も…お好きな方から……め、めし……召し上が…れ……」  
こういう“基本的な性格に反する”言動に、男心ってのは激しくそそられるものだ。案の定、リュク  
ティは、盛のついた犬みたいに息を荒げている。  
あたしは、レイハの尻の後ろから右手を回し、彼女の花弁を押し開いてやりながら、左手でリュクテ  
ィを手招きする。  
獲物に襲いかかる猛獣のような雄叫びを上げて、リュクティはレイハにぶち込んだ。  
 
「あう! リュクティぃ! ああっ! こんな……こんなっ! こんなに凄いの、初めてっ!!」  
リュクティに貫かれたレイハの肉体が、あたしの上で暴れまくる。  
長く艶やかな黒髪が、ふぁさ、ふぁさっと波を打ち、あたしの頬をくすぐる。  
刺青の狭間で存在を主張する桃色の乳首が、激しく上下運動を繰り返し、あたしのそれと擦れ合う。  
快感にわななく指先が、救いを求めるように、あたしの背中を這い回る。  
男と女とが繋がった場所から熱い汁が溢れだし、あたしのヘソにしたたり落ちる。  
あたしは全身でレイハの法悦を堪能していたけど、腰の奥が、これでは足りない、と主張し始める。  
「ね、リュクティ……レイハばっかり悦ばせてないで、あたしにも、おくれよ」  
「ああっ! そんな……わたしは、まだっ……!」  
今にも絶頂に達しようかという局面で肉棒を引き抜かれたレイハは、うらめしそうな声を上げた。  
「そんな顔をすんなって。すぐに返してあげるからさ……ああっ」  
あたしの中に、レイハの愛液でベトベトになった肉の塊が、侵入してくる。  
鶯の谷渡りの、これが一回目だった。  
「「あ、あ、あああああーーーーっ!!」」  
リュクティの激しい演奏に合わせて、あたしとレイハは、一晩中、デュエットで歌い続けたんだ。  
 
つーワケで。  
それからってぇもの、あたしは、週に一回くらいの割合で、レイハに喧嘩をふっかけるのが習慣にな  
った。喧嘩した晩には、あたしたちは「両成敗」を受けるのだ。  
あたしがいいオトコを手に入れるまでは、こういう関係も悪かぁないかな、と、思う。  
ところで、ちょっと心配なことがある。  
レイハのやつ、あたしと肌を重ねてるうちに、なんかレズっ気に目覚めちゃったみたいなんだよね。  
近頃、あいつがボウイを見つめる瞳に、どっか妖しい光が宿っているような……  
あたしが悪いんじゃない……よ、ねぇ?  
                                         END  
 

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